71 / 88
番外編 深遠な王太子 メイヴィス & 周囲の人々
魔法省の友人ギガ❶
しおりを挟む
メイヴィスは魔法省の中にある研究室の一室で、友人が戻るのを待っていた。
「メイ!、王太子様がこんな所までどうした、何か急用か?」
部屋の主、ギガマックス・フリーデンが戻ってきた、彼はメイヴィスの事を『メイ』と呼ぶ、数少ない友人の一人だ。
「ギガ、元気そうだな、ちょっと頼みたい事があって来た」
ギガは隣国アストラルからの留学生として来て、卒業後もこの国に滞在している、メイヴィスとは貴族学校の同級生だ。
「これをペンダントに加工して欲しい」
メイヴィスはいつも身に付けている腕輪を外すとギガに渡した。
メイヴィスの魔力に興味を惹かれたギガは、魔法省でメイヴィスの魔力を研究しながら、彼専用の魔導具を製作している。
「これは俺がお前に作ったやつだな、結構石が減ってるけど、上手く作用しなかったのか?」
メイヴィスから腕輪を受け取ったギガは、不具合が無いか角度を変えて調べている。
「いや、とても役に立ったよ。魔石が残り一つになったから、ペンダントに作り変えて欲しい、腕輪は苦手でね」
腕輪をざっと見終わるとギガは、メイヴィスの顔に眼を移して聞く。
「分かった。希望のデザインとかあるか?」
「ああ、守護石のペンダントと同じデザインにしてくれ、作るのにどれ位時間がかかる?」
返答によっては出直す必要もあるかとメイヴィスは確認する、ギガは少し考えてから答えた。
「そうだな、材料も石も揃ってるから、今から始めて一時間は掛からないかな」
「じゃあ、出来上がる迄ここで待たせてもらうよ」
予想の範囲内だったメイヴィスは、待つ事にして室内を色々と見始める。
ギガはそんな彼を微笑ましく見つつ返事をする。
「分かった、俺は作業に入るけど、お前は好きにしててくれ」
ギガは小さな引き出しが沢山ついたキャビネットの中から、必要な材料を幾つか選んで出すと、直ぐに作業に入った。
「それで、この試作品はどうだった?」
作業をする間、ギガはメイヴィスに魔導具の使用感を確認する。
「そうだな守護の目的は完遂出来たけど、遠隔魔法陣の繋がる先が分からないのと、盗難や落としたりして持ち主が変わっても、それが分からないのは問題かな」
メイヴィスは部屋の中の魔導具を興味深く見て回っている。
「そうか盗難か、常に身に付ける事を前提にした魔導具だから、それは考えてなかったな、個人の識別まで組込む必要があるかな、他にはあるか?」
腕輪から琥珀石を外し終わったギガは、ペンダントチャームの加工に入る、メイヴィスと会話しながらもその手は早い。
「遠隔魔法陣が繋がっている時間が短い事と、魔法陣から出ると戻れなくなる点かな」
ギガの手はペンダントチャームの金具を調整しているが、頭と口は別に動いている。
「うーん、どちらも魔法陣の起動を自由に操作出来れば解決出来るかも知れないが、この魔導具では無理だな」
メイヴィスは珍しい形の魔導具を見つけて、それを手に取って眺めている。
ギガは作業する手元を見つつ、頭では改良点の考察をしている。
「それを可能にするには新しい魔術式を組込む必要があるが、別の試作品を作って試すか、うーん」
ギガはぶつぶつ独り言を言いながら、作業を進めて琥珀石を金具に取り付けると、チャームを完成させた。
一方のメイヴィスはギガの独り言を無視して、興味を惹かれる魔導具を次々と手に取っては、じっくりと眺めている。
「うーん、魔術式を幾つも組込むならもっと大きな魔石が必要になるな、メイの魔力に耐える大きな石ねえ、うーん」
ギガの独り言も止まらないが、作業も滞りなく進んで、魔石を取り付けたペンダントに、必要な魔術式を組込んでいく。
「よし、出来たぞ」
作業は一時間も掛からずに終了した、ギガは仕上げたばかりのペンダントをメイヴィスに渡す。
「流石はギガだ、早かったな」
ペンダントを受け取ったメイヴィスは早速それを身に付ける。
「それ位は簡単さ、新しく作るのは時間が掛かるが、既にある物をリメイクするだけだからな」」
作業が早く終わり時間に余裕が出来たメイヴィスはギガと雑談を始めた。
「メイ!、王太子様がこんな所までどうした、何か急用か?」
部屋の主、ギガマックス・フリーデンが戻ってきた、彼はメイヴィスの事を『メイ』と呼ぶ、数少ない友人の一人だ。
「ギガ、元気そうだな、ちょっと頼みたい事があって来た」
ギガは隣国アストラルからの留学生として来て、卒業後もこの国に滞在している、メイヴィスとは貴族学校の同級生だ。
「これをペンダントに加工して欲しい」
メイヴィスはいつも身に付けている腕輪を外すとギガに渡した。
メイヴィスの魔力に興味を惹かれたギガは、魔法省でメイヴィスの魔力を研究しながら、彼専用の魔導具を製作している。
「これは俺がお前に作ったやつだな、結構石が減ってるけど、上手く作用しなかったのか?」
メイヴィスから腕輪を受け取ったギガは、不具合が無いか角度を変えて調べている。
「いや、とても役に立ったよ。魔石が残り一つになったから、ペンダントに作り変えて欲しい、腕輪は苦手でね」
腕輪をざっと見終わるとギガは、メイヴィスの顔に眼を移して聞く。
「分かった。希望のデザインとかあるか?」
「ああ、守護石のペンダントと同じデザインにしてくれ、作るのにどれ位時間がかかる?」
返答によっては出直す必要もあるかとメイヴィスは確認する、ギガは少し考えてから答えた。
「そうだな、材料も石も揃ってるから、今から始めて一時間は掛からないかな」
「じゃあ、出来上がる迄ここで待たせてもらうよ」
予想の範囲内だったメイヴィスは、待つ事にして室内を色々と見始める。
ギガはそんな彼を微笑ましく見つつ返事をする。
「分かった、俺は作業に入るけど、お前は好きにしててくれ」
ギガは小さな引き出しが沢山ついたキャビネットの中から、必要な材料を幾つか選んで出すと、直ぐに作業に入った。
「それで、この試作品はどうだった?」
作業をする間、ギガはメイヴィスに魔導具の使用感を確認する。
「そうだな守護の目的は完遂出来たけど、遠隔魔法陣の繋がる先が分からないのと、盗難や落としたりして持ち主が変わっても、それが分からないのは問題かな」
メイヴィスは部屋の中の魔導具を興味深く見て回っている。
「そうか盗難か、常に身に付ける事を前提にした魔導具だから、それは考えてなかったな、個人の識別まで組込む必要があるかな、他にはあるか?」
腕輪から琥珀石を外し終わったギガは、ペンダントチャームの加工に入る、メイヴィスと会話しながらもその手は早い。
「遠隔魔法陣が繋がっている時間が短い事と、魔法陣から出ると戻れなくなる点かな」
ギガの手はペンダントチャームの金具を調整しているが、頭と口は別に動いている。
「うーん、どちらも魔法陣の起動を自由に操作出来れば解決出来るかも知れないが、この魔導具では無理だな」
メイヴィスは珍しい形の魔導具を見つけて、それを手に取って眺めている。
ギガは作業する手元を見つつ、頭では改良点の考察をしている。
「それを可能にするには新しい魔術式を組込む必要があるが、別の試作品を作って試すか、うーん」
ギガはぶつぶつ独り言を言いながら、作業を進めて琥珀石を金具に取り付けると、チャームを完成させた。
一方のメイヴィスはギガの独り言を無視して、興味を惹かれる魔導具を次々と手に取っては、じっくりと眺めている。
「うーん、魔術式を幾つも組込むならもっと大きな魔石が必要になるな、メイの魔力に耐える大きな石ねえ、うーん」
ギガの独り言も止まらないが、作業も滞りなく進んで、魔石を取り付けたペンダントに、必要な魔術式を組込んでいく。
「よし、出来たぞ」
作業は一時間も掛からずに終了した、ギガは仕上げたばかりのペンダントをメイヴィスに渡す。
「流石はギガだ、早かったな」
ペンダントを受け取ったメイヴィスは早速それを身に付ける。
「それ位は簡単さ、新しく作るのは時間が掛かるが、既にある物をリメイクするだけだからな」」
作業が早く終わり時間に余裕が出来たメイヴィスはギガと雑談を始めた。
1
お気に入りに追加
81
あなたにおすすめの小説
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる