【R18】傲慢な王子

やまたろ

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番外編 深遠な王太子  メイヴィス & 周囲の人々

魔法省の友人ギガ❶

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 メイヴィスは魔法省の中にある研究室の一室で、友人が戻るのを待っていた。


「メイ!、王太子様がこんな所までどうした、何か急用か?」


 部屋の主、ギガマックス・フリーデンが戻ってきた、彼はメイヴィスの事を『メイ』と呼ぶ、数少ない友人の一人だ。


「ギガ、元気そうだな、ちょっと頼みたい事があって来た」


 ギガは隣国アストラルからの留学生として来て、卒業後もこの国に滞在している、メイヴィスとは貴族学校の同級生だ。


「これをペンダントに加工して欲しい」


 メイヴィスはいつも身に付けている腕輪を外すとギガに渡した。


 メイヴィスの魔力に興味を惹かれたギガは、魔法省でメイヴィスの魔力を研究しながら、彼専用の魔導具を製作している。


「これは俺がお前に作ったやつだな、結構石が減ってるけど、上手く作用しなかったのか?」


 メイヴィスから腕輪を受け取ったギガは、不具合が無いか角度を変えて調べている。


「いや、とても役に立ったよ。魔石が残り一つになったから、ペンダントに作り変えて欲しい、腕輪は苦手でね」


 腕輪をざっと見終わるとギガは、メイヴィスの顔に眼を移して聞く。


「分かった。希望のデザインとかあるか?」


「ああ、守護石のペンダントと同じデザインにしてくれ、作るのにどれ位時間がかかる?」


 返答によっては出直す必要もあるかとメイヴィスは確認する、ギガは少し考えてから答えた。


「そうだな、材料も石も揃ってるから、今から始めて一時間は掛からないかな」


「じゃあ、出来上がる迄ここで待たせてもらうよ」


 予想の範囲内だったメイヴィスは、待つ事にして室内を色々と見始める。
 ギガはそんな彼を微笑ましく見つつ返事をする。


「分かった、俺は作業に入るけど、お前は好きにしててくれ」


 ギガは小さな引き出しが沢山ついたキャビネットの中から、必要な材料を幾つか選んで出すと、直ぐに作業に入った。


「それで、この試作品はどうだった?」


 作業をする間、ギガはメイヴィスに魔導具の使用感を確認する。


「そうだな守護の目的は完遂出来たけど、遠隔魔法陣の繋がる先が分からないのと、盗難や落としたりして持ち主が変わっても、それが分からないのは問題かな」


 メイヴィスは部屋の中の魔導具を興味深く見て回っている。


「そうか盗難か、常に身に付ける事を前提にした魔導具だから、それは考えてなかったな、個人の識別まで組込む必要があるかな、他にはあるか?」


 腕輪から琥珀石を外し終わったギガは、ペンダントチャームの加工に入る、メイヴィスと会話しながらもその手は早い。


「遠隔魔法陣が繋がっている時間が短い事と、魔法陣から出ると戻れなくなる点かな」


 ギガの手はペンダントチャームの金具を調整しているが、頭と口は別に動いている。


「うーん、どちらも魔法陣の起動を自由に操作出来れば解決出来るかも知れないが、この魔導具では無理だな」


 メイヴィスは珍しい形の魔導具を見つけて、それを手に取って眺めている。
 ギガは作業する手元を見つつ、頭では改良点の考察をしている。


「それを可能にするには新しい魔術式を組込む必要があるが、別の試作品を作って試すか、うーん」


 ギガはぶつぶつ独り言を言いながら、作業を進めて琥珀石を金具に取り付けると、チャームを完成させた。


 一方のメイヴィスはギガの独り言を無視して、興味を惹かれる魔導具を次々と手に取っては、じっくりと眺めている。


「うーん、魔術式を幾つも組込むならもっと大きな魔石が必要になるな、メイの魔力に耐える大きな石ねえ、うーん」


 ギガの独り言も止まらないが、作業も滞りなく進んで、魔石を取り付けたペンダントに、必要な魔術式を組込んでいく。


「よし、出来たぞ」


 作業は一時間も掛からずに終了した、ギガは仕上げたばかりのペンダントをメイヴィスに渡す。


「流石はギガだ、早かったな」


 ペンダントを受け取ったメイヴィスは早速それを身に付ける。


「それ位は簡単さ、新しく作るのは時間が掛かるが、既にある物をリメイクするだけだからな」」


 作業が早く終わり時間に余裕が出来たメイヴィスはギガと雑談を始めた。








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