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番外編 深遠な王太子 メイヴィス & 周囲の人々
王都の人々の話題
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ここ、王都の一角にある大衆酒場では、仕事を終えた人々が、日々の楽しみを求めて集まっていた。
ある者は食事、ある者は酒、ある者はお喋り、それぞれ皆んな楽しそうに過ごしている。
ガヤガヤと話す内容の殆どは、間近に迫った御前試合の事だ。酒場の中央辺りにいる若い男三人も、酒を片手に大声で話している。
「おい、知ってるか?、どうやら御前試合の予選が始まったらしいぞ」
「ああ、知ってる、本戦が楽しみだな」
「観戦の申し込みはいつからだ?」
「本戦に出る騎士が決まってからだったかな?」
「そうだな、予選が終わった後かな?」
「今年は誰が本戦まで勝ち上がるかな?」
「やっぱりあの二人は勿論だけど『水の貴公子』も勝ち上がるだろ?」
「後は誰だろうな、本戦で戦うのは四人だからな、もう一人いるよな?」
若い男三人が酒を飲んで御前試合の話題で盛り上がる中、他国民が話に入ってくる。
「さっきから楽しそうな話をしてますね、私達もお仲間に入れて下さいよ」
「ああ、良いぜ」
「御前試合とは何ですか?」
「この国の騎士団員が年に一度、実力を競い合う模擬戦だよ、準決勝からは俺達も観戦出来るんだ」
「魔法剣士の戦いが生で見れて面白いぜ」
「あの人達が俺達を守ってくれているとか、頼もしいよな」
「お前の贔屓は誰だよ、俺はやっぱり『炎の剛剣』だな、最高だよ」
「俺は『氷の疾風』だよ、痺れるぜ」
「待て待て、今年こそは『水の貴公子』がいいセン行くんじゃないか?」
他国民を放ったらかしで男三人は盛り上がる。
「炎とか、氷とか、皆さんが話されているのは誰の事ですか?」
王国の内実に疎い他国民が聞いてくる。
「ああ、この国では有名人は二つ名で呼ばれる事が多いんだ、逆を言えば実力不足の奴らは二つ名が無い、二つ名がついたら一角の人物って事だ」
「そうさ、王族にも二つ名があるしな」
「御前試合では俺達が普段見る事が出来ない王家の方々を生で見られるんだ、凄いぜ」
「ああ、そこも楽しみだよな」
男三人の話題が騎士から逸れたので、他国民が話を戻した。
「それで、炎の人と、氷の人の名前は何ですか?」
「ああ『炎の剛剣』はチャーリー・ベアード、『氷の疾風』はジョン・スカルティ、我がラグランド王国騎士団が誇る双璧だよ」
「では、水の何とかは誰ですか?」
「それは、フィリップ・ショーネシー副団長だ『水の貴公子』と呼ばれてる」
「去年もこの三人が本戦に出たよな」
「ああ『炎の剛剣』チャーリーと『氷の疾風』ジョンの決勝戦は凄かったぜ、もう興奮しまくりだ!」
「そうそう、見応えがあったなぁ会場は大盛り上がりだったよ。最後まで決着がつかなくて時間切れで引き分けになったんだっけ?」
「両者とも優勝って事になったんだ、賞金も折半じゃなくて一人づつ貰えたらしい」
「そうゆう所、王家は太っ腹だよな」
「情報通によると一人分の賞金は、王太子様が出したらしいぞ」
「ああ、あの顔だけの王太子様な」
「顔は派手なのに他は色々と地味だよな」
三人は王太子の話しになると、面白く無さそうに スンッ となった、そして話題を御前試合に戻して熱くなる。
「それより、誰が優勝すると思うよ?」
「俺はチャーリー推しだぜ!」
「俺は副団長に頑張って欲しいな」
「おいおい、ジョン・スカルティが負けるわけ無いだろ」
「でもさ、最後の一人が可哀想だよな」
「ああ、誰が出るか分からないが、あの三人の誰かと勝負するんだろ?」
男三人はまだ見ぬ四人目に同情する。
「それも人生経験さ、揉まれて強くなるんだ、四人目が誰になるのかも楽しみの一つだよ」
若い男三人の声が大きかったのか、年配の男達も会話に混ざってきた。
「グリード団長が若い頃に参加してたけど、あの人も凄く強かったな」
「ああ、あの人は本当に凄かった。またあの人の試合を見たいよな」
「団長になってから出なくなったんだ、特別試合とかやらねぇかな」
年配の男達が昔話しで盛り上がり始めた、酒場の夜は御前試合の話しで連日賑わっている。
人々のお祭り騒ぎに釣り込まれた他国の商人達も、その話を熱心に聞いていた。
ある者は食事、ある者は酒、ある者はお喋り、それぞれ皆んな楽しそうに過ごしている。
ガヤガヤと話す内容の殆どは、間近に迫った御前試合の事だ。酒場の中央辺りにいる若い男三人も、酒を片手に大声で話している。
「おい、知ってるか?、どうやら御前試合の予選が始まったらしいぞ」
「ああ、知ってる、本戦が楽しみだな」
「観戦の申し込みはいつからだ?」
「本戦に出る騎士が決まってからだったかな?」
「そうだな、予選が終わった後かな?」
「今年は誰が本戦まで勝ち上がるかな?」
「やっぱりあの二人は勿論だけど『水の貴公子』も勝ち上がるだろ?」
「後は誰だろうな、本戦で戦うのは四人だからな、もう一人いるよな?」
若い男三人が酒を飲んで御前試合の話題で盛り上がる中、他国民が話に入ってくる。
「さっきから楽しそうな話をしてますね、私達もお仲間に入れて下さいよ」
「ああ、良いぜ」
「御前試合とは何ですか?」
「この国の騎士団員が年に一度、実力を競い合う模擬戦だよ、準決勝からは俺達も観戦出来るんだ」
「魔法剣士の戦いが生で見れて面白いぜ」
「あの人達が俺達を守ってくれているとか、頼もしいよな」
「お前の贔屓は誰だよ、俺はやっぱり『炎の剛剣』だな、最高だよ」
「俺は『氷の疾風』だよ、痺れるぜ」
「待て待て、今年こそは『水の貴公子』がいいセン行くんじゃないか?」
他国民を放ったらかしで男三人は盛り上がる。
「炎とか、氷とか、皆さんが話されているのは誰の事ですか?」
王国の内実に疎い他国民が聞いてくる。
「ああ、この国では有名人は二つ名で呼ばれる事が多いんだ、逆を言えば実力不足の奴らは二つ名が無い、二つ名がついたら一角の人物って事だ」
「そうさ、王族にも二つ名があるしな」
「御前試合では俺達が普段見る事が出来ない王家の方々を生で見られるんだ、凄いぜ」
「ああ、そこも楽しみだよな」
男三人の話題が騎士から逸れたので、他国民が話を戻した。
「それで、炎の人と、氷の人の名前は何ですか?」
「ああ『炎の剛剣』はチャーリー・ベアード、『氷の疾風』はジョン・スカルティ、我がラグランド王国騎士団が誇る双璧だよ」
「では、水の何とかは誰ですか?」
「それは、フィリップ・ショーネシー副団長だ『水の貴公子』と呼ばれてる」
「去年もこの三人が本戦に出たよな」
「ああ『炎の剛剣』チャーリーと『氷の疾風』ジョンの決勝戦は凄かったぜ、もう興奮しまくりだ!」
「そうそう、見応えがあったなぁ会場は大盛り上がりだったよ。最後まで決着がつかなくて時間切れで引き分けになったんだっけ?」
「両者とも優勝って事になったんだ、賞金も折半じゃなくて一人づつ貰えたらしい」
「そうゆう所、王家は太っ腹だよな」
「情報通によると一人分の賞金は、王太子様が出したらしいぞ」
「ああ、あの顔だけの王太子様な」
「顔は派手なのに他は色々と地味だよな」
三人は王太子の話しになると、面白く無さそうに スンッ となった、そして話題を御前試合に戻して熱くなる。
「それより、誰が優勝すると思うよ?」
「俺はチャーリー推しだぜ!」
「俺は副団長に頑張って欲しいな」
「おいおい、ジョン・スカルティが負けるわけ無いだろ」
「でもさ、最後の一人が可哀想だよな」
「ああ、誰が出るか分からないが、あの三人の誰かと勝負するんだろ?」
男三人はまだ見ぬ四人目に同情する。
「それも人生経験さ、揉まれて強くなるんだ、四人目が誰になるのかも楽しみの一つだよ」
若い男三人の声が大きかったのか、年配の男達も会話に混ざってきた。
「グリード団長が若い頃に参加してたけど、あの人も凄く強かったな」
「ああ、あの人は本当に凄かった。またあの人の試合を見たいよな」
「団長になってから出なくなったんだ、特別試合とかやらねぇかな」
年配の男達が昔話しで盛り上がり始めた、酒場の夜は御前試合の話しで連日賑わっている。
人々のお祭り騒ぎに釣り込まれた他国の商人達も、その話を熱心に聞いていた。
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