【R18】傲慢な王子

やまたろう

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第五章 王太子の愛情 メイヴィス×シャーロット❷

9・真夜中の彼と甘い罠

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 ザカリーの情婦、プリシラは苛ついていた。突然、邸に現れた監査官がザカリーのこれまでの不正を暴いて彼が処罰される事になったからだ。


 これまで贅沢三昧で男遊びもして好き放題に出来たのにザカリーが居なくなれば、また別の場所へ行く事になる。
 新しい場所が何処になるにしても、此処と同じ様には過ごせないだろう。


 聖女の巡回治癒に急遽王太子が同行すると聞いた時はこんな事になるとは思わなかった。
 ザカリーやガラムも特に焦った様子も無くて、一泊したら一行は直ぐに王都へ戻る筈だった。


 それが騙し討ちみたいに、あれよあれよと言う間にザカリーもガラムも軟禁されてしまった。
 プリシラがイライラと自室の中を歩き回って自身の今後の身の振り方を考えていると、マオが手紙を届けに来た。


「プリシラ様、旦那様からのお手紙です」


「あらマオ、有難う。旦那様の様子はどうだったかしら?」


「はい、普段と変わらずどっしりと落ち着いておられました」


 ・・・・軟禁中なのに普段通り?、どういう事かしら何か打つ手でもあるのかしら・・・・


 プリシラはマオを下がらせて、ザカリーからの手紙を読み始めた。


 ・・・・ふふふふ、何だそう云う事ね。上手く行けば今迄通りの暮らしが出来るじゃない、ザカリーも考えたわね・・・・


 夜までに準備をしなくては、プリシラは飾り棚の奥に保管していた小瓶を取り出した、それは娼婦をしていた頃に乱暴な客相手に使っていた睡眠薬で、即効性が高くて盛られた事を決して気付かせない特殊な薬だった。


 王太子の一行は明日には王都へ向けて出発する、ザカリーやガラムもその時一緒に王都へ連行される。
 ザカリーの計画を実行する機会は今夜しかない、プリシラは入念に湯浴みをして身体を磨きあげた。




 ◆◇◆◇◆◇




 騎士団長グリードは部下のチャーリーを呼び出すと特別任務の内容を説明して、彼から従事する旨の了解を得ると準備の為に下がらせた。
 その後でメイヴィスの部屋へ向かい今夜の計画を事細かく説明し始める。


「睡眠薬を盛られたら一口だけ飲んで、あとはハンカチに吸わせて下さい、証拠として魔法省で薬物検査にかけます」


「一口飲むのか?、飲む振りだけをすれば実際は飲まなくても良いだろう」


 メイヴィスは胡乱げな表情でグリードを見ている。

「いえ殿下が一口でも飲めば王族に薬物を投与した罪状も追加出来ますから、ここは一口だけお願いします」

 グリードはまるで美味しいワインを一口薦めるみたいな軽い口調で言ってくる。


「待てグリード、効果が高い薬なら一口でも危険だ、私は気が進まない」


 得体の知れない薬を体内に入れる事に抵抗感があるメイヴィスは、グリードに食い下がる


「そこはご心配なく、事前にマーリオに薬の濃度を薄めさせます」


 どうでも薬を飲ませたいやり手の商人みたいなグリードに、メイヴィスは諦めてため息を付くと薬を一口だけ飲む覚悟を決めた。





 ◆◇◆◇◆◇




 邸の主人が軟禁中のため晩餐会などは無く、一行は食堂で簡単な夕食を済ませると、それぞれ与えられた部屋へと下がった。
 疲れを感じたメイヴィスは早めに寝支度を整え始める。


 部屋の扉をノックする音が聞こえて、水差しを持ってきたメイドに就寝前に何か用事があるか確認されたが、頭が上手く働かない。


 ・・・・何だか体調が悪いな体がふらつく。長時間の移動やザカリーの件で疲れが出たのか?、・・・・思考も鈍って来たようだ・・・・変だな、睡眠薬はまだ服用していない筈だが、もう眠くて目が開けられない・・・・


 プリシラは夜が更けるの待っていた、もうメイヴィスは完全に眠りに落ちている筈だ。
 プリシラが薬の効き具合を確認する為に、水差しを持って部屋に入った時には、もう睡眠薬の効果が出ていた。


 そろそろ良い頃合いだと判断したプリシラは合鍵を持って部屋を出ると特別貴賓室へ向かった。
 部屋の前に護衛がいたら諦めようと思っていたが、何故か誰も居らず物音一つせずに寝静まっている。

 カチャッ


 静寂に包まれた廊下に部屋の鍵を開ける音が響く。
 プリシラはそっと部屋に入るとガウンを脱いで、露出が多くて肌が透けてみえる夜着だけになった。


 彼はよく眠っているようだ


 ザカリーの計画ではメイヴィスに睡眠薬を盛って眠った所をプリシラが性技で興奮させて体を繋ぐ、その後に襲われたと悲鳴をあげて騒ぎ、ザカリーを呼んで王太子に嘘の弱みを作る。
 そして嘘の弱みで王太子を脅してザカリーの罪を不問にさせるのだ。


 その計画に露出過多の透けた夜着は違和感があるが、あの神々しい王太子に抱かれるのだ、少しでも綺麗に見られたくて野暮な服は着られなかった。
 プリシラには王都の娼館で一番人気だったプライドがある。


 プリシラは眠っている彼の上掛けを捲って、全身を露わにするとそっと下半身に手を伸ばした。







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* 関連話 *

ベアード尋問官のある日【騎士団の危ない二人】
かなりエッチなコメディです、お嫌いな方はご遠慮下さい。











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