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番外編 王太子は濃密 メイヴィス×周囲の人々
騎士団長のグリード
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この王国には、四つの侯爵家がある。
智略の青)シーリー家、友愛の金)ランバート家、
武力の赤)ベルクマン家、そしてもう一つ・・・
グリード・ベルクマンは夕日色の髪と瞳を持つ男性で、騎士団長を務めている。彼は今、騎士団の所有する別棟の一室で敬愛する上司を迎えていた。
メイヴィス 王太子殿下
二つの王家の血を引く高貴な血統を持ち、神々しいまでの美貌と、伝説の魔力を受け継いだ、生まれながらに他者を平伏せるカリスマオーラの持ち主である。
そんな彼と同じ時代を生き、同じ場所で過ごすことが出来、尚且つ部下として仕える事が出来る幸せを、グリードは日々噛み締めてる。
彼の弱点は愛情。
まるで庶民が読む娯楽本の英雄だ、だが笑えない、二年近く前の魔獣討伐に同行した時にそれを実感させられた、殿下は女性を庇って重症を負った。
殿下の魔力ならどんな魔獣でも脅威にはならない、簡単に討伐できる筈だが魔獣の姿が見えない位置で先に女性を助けた為、その隙に一撃を食らってしまったのだ。
深傷を負いながら、直後に魔獣を討伐したのは流石だったが、一人の女性の為に王太子が生命を落とす等有ってはならない、生命の重さが違うのだ。
・・・・・・しかし、助けた女性がたまたま聖女で傷を治癒してくれて、後に婚約者になっているのは、まあ、流石は殿下の運命の恋人としか言えないが・・・・・・
自分よりも弱い人間を助ける、強者の理りを常に持っている愛情深い人だ。
だが、その深過ぎる愛情を一身に受けた者や、彼を崇め過ぎた者はどこか壊れていくように見える、ダルトン殿下然り、婚約者然り、そして銀色を有するあの男も・・・
しかし、このカリスマに魅了されない人物など居ないのかも知れない、多かれ少なかれ彼には惹かれてしまうだろう、斯くいう私自身も魅了されているのだから、そして魅了されている状態をも幸せだと感じてしまう、厄介な人だ。
「殿下、お話しがあるなら伺いましたものを」
グリードの前に腰掛けた殿下が気にするなと手を振る。
「ああ、いいんだ。御婦人方に嘘を付くわけには行かないから、例の事件の進捗状況を聞きに来ただけだよ」
「今回把握している誘拐事件の被害者は五人です。内一人は保護したトーマス・ダナン卿、一人は既に死亡が確認された令息、もう一人はウィリアム・シーリー卿が巻き込まれた時に一緒に攫われていて保護された令息。残り二人は消息不明です」
「ダナンみたいに、国内で監禁の可能性もまだあるが、国外に連れ出されている可能性が高いかな、他国での被害者の情報はあるか?」
「我国での被害者は令息だけですが、他国では令嬢の被害者もいるようです・・・それと、管理人がまだ獲物を探している様子です」
メイヴィス殿下が目を細める、管理人とは様々な色彩の人間を買い集めている好事家で、綺麗な水色の色彩をしたジャスティン・シーリーもかつて狙われていた。
それを聞いたメイヴィスは、やはり自らが隣国へ赴く必要があると判断を下し、グリードに指示を出す。
「グリード、私は近々隣国へ赴く予定だ、同行する護衛や警備については、また連絡する。」
「はい」
グリードの返事を待たずに、メイヴィスは立ち上がり、魔法省に向かった。
智略の青)シーリー家、友愛の金)ランバート家、
武力の赤)ベルクマン家、そしてもう一つ・・・
グリード・ベルクマンは夕日色の髪と瞳を持つ男性で、騎士団長を務めている。彼は今、騎士団の所有する別棟の一室で敬愛する上司を迎えていた。
メイヴィス 王太子殿下
二つの王家の血を引く高貴な血統を持ち、神々しいまでの美貌と、伝説の魔力を受け継いだ、生まれながらに他者を平伏せるカリスマオーラの持ち主である。
そんな彼と同じ時代を生き、同じ場所で過ごすことが出来、尚且つ部下として仕える事が出来る幸せを、グリードは日々噛み締めてる。
彼の弱点は愛情。
まるで庶民が読む娯楽本の英雄だ、だが笑えない、二年近く前の魔獣討伐に同行した時にそれを実感させられた、殿下は女性を庇って重症を負った。
殿下の魔力ならどんな魔獣でも脅威にはならない、簡単に討伐できる筈だが魔獣の姿が見えない位置で先に女性を助けた為、その隙に一撃を食らってしまったのだ。
深傷を負いながら、直後に魔獣を討伐したのは流石だったが、一人の女性の為に王太子が生命を落とす等有ってはならない、生命の重さが違うのだ。
・・・・・・しかし、助けた女性がたまたま聖女で傷を治癒してくれて、後に婚約者になっているのは、まあ、流石は殿下の運命の恋人としか言えないが・・・・・・
自分よりも弱い人間を助ける、強者の理りを常に持っている愛情深い人だ。
だが、その深過ぎる愛情を一身に受けた者や、彼を崇め過ぎた者はどこか壊れていくように見える、ダルトン殿下然り、婚約者然り、そして銀色を有するあの男も・・・
しかし、このカリスマに魅了されない人物など居ないのかも知れない、多かれ少なかれ彼には惹かれてしまうだろう、斯くいう私自身も魅了されているのだから、そして魅了されている状態をも幸せだと感じてしまう、厄介な人だ。
「殿下、お話しがあるなら伺いましたものを」
グリードの前に腰掛けた殿下が気にするなと手を振る。
「ああ、いいんだ。御婦人方に嘘を付くわけには行かないから、例の事件の進捗状況を聞きに来ただけだよ」
「今回把握している誘拐事件の被害者は五人です。内一人は保護したトーマス・ダナン卿、一人は既に死亡が確認された令息、もう一人はウィリアム・シーリー卿が巻き込まれた時に一緒に攫われていて保護された令息。残り二人は消息不明です」
「ダナンみたいに、国内で監禁の可能性もまだあるが、国外に連れ出されている可能性が高いかな、他国での被害者の情報はあるか?」
「我国での被害者は令息だけですが、他国では令嬢の被害者もいるようです・・・それと、管理人がまだ獲物を探している様子です」
メイヴィス殿下が目を細める、管理人とは様々な色彩の人間を買い集めている好事家で、綺麗な水色の色彩をしたジャスティン・シーリーもかつて狙われていた。
それを聞いたメイヴィスは、やはり自らが隣国へ赴く必要があると判断を下し、グリードに指示を出す。
「グリード、私は近々隣国へ赴く予定だ、同行する護衛や警備については、また連絡する。」
「はい」
グリードの返事を待たずに、メイヴィスは立ち上がり、魔法省に向かった。
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