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番外編 王太子は濃密 メイヴィス×周囲の人々
私が護るべき存在
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黄金色に輝く金髪に、琥珀色の瞳をもつ美しい顔の子供が、金の粒子をまとって微笑んでいた。
それは人間ではなく、何か別の神々しい存在を思わせた。
そいつと初めて会った時は怖かった。何かされた訳でもないのに、そいつから出ている得体の知れない重苦しい何かに押し潰されそうに感じた。
幼い頃に両親を亡くした俺は、生きる為に強力な風魔法を使って、金を稼いでいたら、騎士団に捕まって王宮に連れて行かれた。なんか研修を受けさせるだの、体を鍛えるだの、面倒くさい事になりそうだったので、牢から逃げた。
逃げた先にそいつが居た、たった一人で護衛も付けずに、王宮の広場に立っていた。
「君、強いんだってね。僕に見せてよ君の力」
こんな綺麗な子供は見た事がない、多分貴族の子供だろうと当たりを付けたが、俺は逃げる為に躊躇なく、そいつに風の攻撃魔法を使った。
が、しかし、攻撃魔法はそいつに届く前に消えてなくなった。子供は面白そうに微笑んでいる。
「凄いね、こんなの普通の人に使っちゃダメだよ」
そして ビリッ と体が痺れたかと思うと俺は動けなくなっていた。
「君良いね、ねぇ、名前を教えてよ」
「・・・・・・」
俺は無言の抗議をしてやったが、また、ビリッと体が痺れたので教えてやった。
「・・・マーリオ」
「マーリオ、君今日から僕の従者ね」
研修や鍛錬よりマシか、それにコイツには逆らえない何かがある。俺はその日から、第一王子の従者になった。
◆◇◆◇◆◇
メイヴィスは幼い頃ずっと不思議に思っていた事が有る、何故、弟と仲良くしてはいけないのか?
私はダルトンが生まれた時、本当に嬉しくて、空き時間に異母弟に会うために離宮に通った。小さい頃のダルトンはいつもニコニコ笑っていて、まるで天使のように可愛くて、私はそんな異母弟が大好きだった。
だが私の周りの大人達は、私が異母弟と仲良くする事をよく思っておらず、私の気持ちとは反対の事を言う。血筋が卑しいだの、後見人がいないだの、高貴な第一王子が気にかける存在では無い等と、私につまらない事を吹き込む。
ダルトンの母親は父が気に入って召し上げた東方の踊り子で、ダルトンを産んで二年後に親権を放棄して出奔した、王宮の生活が合わなかったようだ。
後ろ盾になるような大人がいない、離宮で暮らす小さな子供。私は周りの大人に邪魔されて、中々ダルトンに会えずにいた。
そんな時、5才のダルトンがメイドに悪戯をされている事を知った、私は8才、あんなに笑顔が可愛かった異母弟が笑わなくなっていた。
「今日から僕と一緒に寝よう」
その日から僕はダルトンを王子宮に連れてきて、一緒に過ごすようになった、誰もダルトンを護らないのなら僕が護る、誰にも文句は言わせない。
何故なら、僕は雷帝。
父王も恐る存在なのだから。
◆◇◆◇◆◇
ここ、ラグランド王国では魔法を使える人間はそれなりにいる。
何百年も前には、沢山の人が魔法を使えていたが、今は使える人はごく少数でほぼ貴族に偏っており、使える魔法の規模も小さく、平民は殆ど使えない。
治癒魔法や回復魔法の使い手は国の規定で20歳迄は神殿に所属して、教会で聖女として働く事となる、それ以降も本人が希望がすれば、そのまま働く事も可能だ。その他の多くは魔法省に所属して、様々な仕事に従事している。
攻撃魔法が使える者が居れば、その者は王国が召し抱え、一定期間の研修を終えた後、騎士団や辺境防衛に配属される。
王家の歴史上では時々、最強の攻撃力をもつ雷魔法の使い手が生まれ、使い手は雷帝と呼ばれる。
先代の雷帝は私の曽祖父で今代は私だ。この魔法を使う事は殆ど無いが、畏怖されているので、それを利用して必要な要求は通している。
マーリオを従者にする時もこれを使った。マーリオには私が直接指導して、ダルトンを護らせた。
イオニスが5才になる頃には、ダルトンも離宮に戻り、イオニスと一緒に暮らしていた。マーリオを付けていたが離宮の警護は甘く、二人は内部犯に誘拐されてしまった。
マーリオの働きで相手の動きを掴んでいた私は、二人とも無事に救出する事が出来たが、怒りに任せて破落戸どもに軽く電撃をお見舞いしてやった。
髪がふわりと舞い、瞳がバチバチに輝き、光の粒子が纏わりつく私を見て、二人はちょっと驚いたようだが、幸い怖がられたりはしなかった。
その日私は、連れ帰った二人を私の寝室に連れて行き、不安を取り除くために抱き締めて、三人で寄り添って寝た。二人の体温を感じて、この温もりを失わなくて済んだ事に感謝した。
私は護るべき存在を護れたのだ。
それは人間ではなく、何か別の神々しい存在を思わせた。
そいつと初めて会った時は怖かった。何かされた訳でもないのに、そいつから出ている得体の知れない重苦しい何かに押し潰されそうに感じた。
幼い頃に両親を亡くした俺は、生きる為に強力な風魔法を使って、金を稼いでいたら、騎士団に捕まって王宮に連れて行かれた。なんか研修を受けさせるだの、体を鍛えるだの、面倒くさい事になりそうだったので、牢から逃げた。
逃げた先にそいつが居た、たった一人で護衛も付けずに、王宮の広場に立っていた。
「君、強いんだってね。僕に見せてよ君の力」
こんな綺麗な子供は見た事がない、多分貴族の子供だろうと当たりを付けたが、俺は逃げる為に躊躇なく、そいつに風の攻撃魔法を使った。
が、しかし、攻撃魔法はそいつに届く前に消えてなくなった。子供は面白そうに微笑んでいる。
「凄いね、こんなの普通の人に使っちゃダメだよ」
そして ビリッ と体が痺れたかと思うと俺は動けなくなっていた。
「君良いね、ねぇ、名前を教えてよ」
「・・・・・・」
俺は無言の抗議をしてやったが、また、ビリッと体が痺れたので教えてやった。
「・・・マーリオ」
「マーリオ、君今日から僕の従者ね」
研修や鍛錬よりマシか、それにコイツには逆らえない何かがある。俺はその日から、第一王子の従者になった。
◆◇◆◇◆◇
メイヴィスは幼い頃ずっと不思議に思っていた事が有る、何故、弟と仲良くしてはいけないのか?
私はダルトンが生まれた時、本当に嬉しくて、空き時間に異母弟に会うために離宮に通った。小さい頃のダルトンはいつもニコニコ笑っていて、まるで天使のように可愛くて、私はそんな異母弟が大好きだった。
だが私の周りの大人達は、私が異母弟と仲良くする事をよく思っておらず、私の気持ちとは反対の事を言う。血筋が卑しいだの、後見人がいないだの、高貴な第一王子が気にかける存在では無い等と、私につまらない事を吹き込む。
ダルトンの母親は父が気に入って召し上げた東方の踊り子で、ダルトンを産んで二年後に親権を放棄して出奔した、王宮の生活が合わなかったようだ。
後ろ盾になるような大人がいない、離宮で暮らす小さな子供。私は周りの大人に邪魔されて、中々ダルトンに会えずにいた。
そんな時、5才のダルトンがメイドに悪戯をされている事を知った、私は8才、あんなに笑顔が可愛かった異母弟が笑わなくなっていた。
「今日から僕と一緒に寝よう」
その日から僕はダルトンを王子宮に連れてきて、一緒に過ごすようになった、誰もダルトンを護らないのなら僕が護る、誰にも文句は言わせない。
何故なら、僕は雷帝。
父王も恐る存在なのだから。
◆◇◆◇◆◇
ここ、ラグランド王国では魔法を使える人間はそれなりにいる。
何百年も前には、沢山の人が魔法を使えていたが、今は使える人はごく少数でほぼ貴族に偏っており、使える魔法の規模も小さく、平民は殆ど使えない。
治癒魔法や回復魔法の使い手は国の規定で20歳迄は神殿に所属して、教会で聖女として働く事となる、それ以降も本人が希望がすれば、そのまま働く事も可能だ。その他の多くは魔法省に所属して、様々な仕事に従事している。
攻撃魔法が使える者が居れば、その者は王国が召し抱え、一定期間の研修を終えた後、騎士団や辺境防衛に配属される。
王家の歴史上では時々、最強の攻撃力をもつ雷魔法の使い手が生まれ、使い手は雷帝と呼ばれる。
先代の雷帝は私の曽祖父で今代は私だ。この魔法を使う事は殆ど無いが、畏怖されているので、それを利用して必要な要求は通している。
マーリオを従者にする時もこれを使った。マーリオには私が直接指導して、ダルトンを護らせた。
イオニスが5才になる頃には、ダルトンも離宮に戻り、イオニスと一緒に暮らしていた。マーリオを付けていたが離宮の警護は甘く、二人は内部犯に誘拐されてしまった。
マーリオの働きで相手の動きを掴んでいた私は、二人とも無事に救出する事が出来たが、怒りに任せて破落戸どもに軽く電撃をお見舞いしてやった。
髪がふわりと舞い、瞳がバチバチに輝き、光の粒子が纏わりつく私を見て、二人はちょっと驚いたようだが、幸い怖がられたりはしなかった。
その日私は、連れ帰った二人を私の寝室に連れて行き、不安を取り除くために抱き締めて、三人で寄り添って寝た。二人の体温を感じて、この温もりを失わなくて済んだ事に感謝した。
私は護るべき存在を護れたのだ。
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