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第三章 王太子の恋人 メイヴィス×シャーロット
仮面舞踏会 シャーロット
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仮面舞踏会の会場で、シャーロットは人の多さや煌びやかさに圧倒され、仮面の下で怯んでいた。
普段、神殿で聖女として活動している為、煌びやかな場所には縁がなく、知人もいない、仮面舞踏会のルールも知らない、気分は迷子の子供だ。
今日のシャーロットは婚約者であるメイヴィス殿下が贈ってくれた飾りや刺繍が美しい黄色のドレスを着ていて、仮面は丸眼鏡の形に小さな蝶や小花が付いていて可愛い物だ。今回メイヴィス殿下から贈られたのはドレスと仮面だけで、アクセサリーは自前で用意した。
シャーロットは大切にしている母の形見の耳飾りを着けている。高価なものではないが、一点物のハンドメイドで、二つと同じ物はない。数年前に片方を無くして、今は一つしか無いが、仮面舞踏会なら片耳だけでもおかしくは無いだろうと着けてきた。もう片方は下ろした髪で、隠している。
手には給仕から渡されたウェルカムドリンクを持っていて、お酒に弱いシャーロットは飲もうか、飲むまいか迷う。誰かの会話に割り込むのも難しく、居た堪れずにテラスへ出た。
「どうしよう」
寄る辺ない子供のような気持ちで呟くと背後から急に声を掛けられて驚く。
「レディ、どうかされましたか?」
振り向くと漆黒の長髪に、藍色に金のラメ入りマスクの男性が立っていた、私は彼の瞳を見て直ぐに、メイヴィス殿下だと気付く。深い琥珀色は珍しくて彼しか居ないからだ。
私が気付いた事に彼も気づき、口止めしてくる、そして困っている私を連れ出してくれた。アクシデントが有ったけど、休憩用の部屋へ案内されて、少しお喋りも出来た。
メイヴィス殿下は、何故か私の耳飾りがお気に召した様子で隣りに座られて、じっくり見られた時はドギマギしてしまい持っていた赤ワインを一気飲みして、その後気分が悪くなった。
何が悪かったのか、どんどん体が熱くなり息が乱れて、心配されたメイヴィス殿下が軽く触れただけで、ビリビリ痺れた。自分の体を抱き締めて、体の変調に耐えていると、殿下が遠慮がちに話してくる。
そしてとんでもない事になる。
殿下から恥ずかしい治療を施され、羞恥と快感で意識を失った、目が覚めると一人だった。昨日色々と恥ずかしい事をされたような、でもお酒も入っていたので、記憶が曖昧なのが救いだ。
目覚めたシャーロットは王太子宮に案内されてメイドに湯浴みと新しいドレスの着替えや身支度をされて、メイヴィス殿下の元へ連れて行かれた。
「ブリガン伯爵令嬢、よく来てくれたね、体の調子はどうかな?」
メイヴィス殿下に爽やかに問われて顔が真っ赤になり、冷や汗が出てくる。
「え、ええ、昨日はとんでもない姿をお見せして申し訳ごさいません」
「やっぱり、私だと気付いていたんだね」
「殿下の瞳は唯一無二ですから」
「今日は昨日案内出来なかった、庭園を一緒に散策出来ればと思っているのだが、君の都合はどうだろうか?」
「はい、喜んで」
それだけしか答えられない。
昨日からの展開に全くついて行けてないシャーロットは、頭の中も心も一杯一杯で、殿下の爽やかな笑顔に頬を染めて見惚れるだけで、気の利いた事は何も言えなかった。
◆◇◆◇◆◇
王宮の庭園は流石に美しく手入れされていて、色とりどりの美しい花が咲き乱れている。シャーロットはメイヴィス殿下にエスコートされて散策していたが、ふと立ち止まった。
『ここは、あの時の・・・』
「ブリガン伯爵令嬢?」
急に立ち止まったシャーロットに、メイヴィス殿下が問いかける。
「実は私、この場所でメイヴィス殿下にお会いした事が有ります、7才の時迷子になっていた私を殿下が助けてくれたのです」
「そんな事が有りましたか、そう言われると可愛い女の子に会ったような・・・」
メイヴィス殿下はうろ覚えのようだ。
「その時に私は殿下に恋をして、今も変わらずお慕いしております」
シャーロットは恥ずかしかったが、ここで伝えなくてはと、メイヴィスの目を見つめ勇気を振り絞って、恋心を明かした。
するとメイヴィス殿下の雰囲気が変わり、服の下からペンダントを取り出し、ペンダントトップを見せてきた。
「これを見て頂けますか?、二年前に私の生命の恩人が落とした物です。これは貴女の物ですよね?」
それは確かにシャーロットが無くした母の形見の耳飾りで、何処で無くした分からなくて諦めていた物だ、それを殿下が大切に持っていてくれた事にジワっとくる。
「貴女が私を慕ってくれていた様に、私も貴女をずっと想っていました、ようやく逢えた。今からこれを貴女へ返します」
メイヴィス殿下がそう言って、私の空いていた左耳に耳飾りをつけてくれる。耳朶を優しくこすり、つけた耳飾りにそっと触れる。
「ブリガン伯爵令嬢、シャーロットと呼んでもいいかな、私の事はメイヴィスと」
わたしは、こくんと頷く
「シャーロット、ずっと貴女を探していました。まさか出逢う前に婚約者になっていたとは、貴女とは運命を感じます」
「わたしも十年以上前からずっと、殿下が好きです。まるで夢のようで母が導いてくれたみたい。」
「シャーロット接吻したい、良いかな?」
私が頷くと、優しく唇が重ねられた、すぐ離れて見つめられ、もう一度、今度は深く。そして肩に手を置かれ、左右の耳にも口付けられる。
「ずっと貴女を抱き締めたかった、ようやく出逢えた私の想い人、君を愛してる、もう離さない」
メイヴィスが口にしたのは、奇しくも夢で想いを告げた時と同じ言葉だった、シャーロットを情熱的に抱き締めて、何度も何度も口付けをする。
シャーロットは抱き締めてくるメイヴィスの体温と口付けにドキドキして、メイヴィスは記憶の中と同じシャーロットの花の香りにクラクラしている。
恋愛に鈍い王太子と俗世に疎い聖女。
二人の恋はようやく始まったばかり。
普段、神殿で聖女として活動している為、煌びやかな場所には縁がなく、知人もいない、仮面舞踏会のルールも知らない、気分は迷子の子供だ。
今日のシャーロットは婚約者であるメイヴィス殿下が贈ってくれた飾りや刺繍が美しい黄色のドレスを着ていて、仮面は丸眼鏡の形に小さな蝶や小花が付いていて可愛い物だ。今回メイヴィス殿下から贈られたのはドレスと仮面だけで、アクセサリーは自前で用意した。
シャーロットは大切にしている母の形見の耳飾りを着けている。高価なものではないが、一点物のハンドメイドで、二つと同じ物はない。数年前に片方を無くして、今は一つしか無いが、仮面舞踏会なら片耳だけでもおかしくは無いだろうと着けてきた。もう片方は下ろした髪で、隠している。
手には給仕から渡されたウェルカムドリンクを持っていて、お酒に弱いシャーロットは飲もうか、飲むまいか迷う。誰かの会話に割り込むのも難しく、居た堪れずにテラスへ出た。
「どうしよう」
寄る辺ない子供のような気持ちで呟くと背後から急に声を掛けられて驚く。
「レディ、どうかされましたか?」
振り向くと漆黒の長髪に、藍色に金のラメ入りマスクの男性が立っていた、私は彼の瞳を見て直ぐに、メイヴィス殿下だと気付く。深い琥珀色は珍しくて彼しか居ないからだ。
私が気付いた事に彼も気づき、口止めしてくる、そして困っている私を連れ出してくれた。アクシデントが有ったけど、休憩用の部屋へ案内されて、少しお喋りも出来た。
メイヴィス殿下は、何故か私の耳飾りがお気に召した様子で隣りに座られて、じっくり見られた時はドギマギしてしまい持っていた赤ワインを一気飲みして、その後気分が悪くなった。
何が悪かったのか、どんどん体が熱くなり息が乱れて、心配されたメイヴィス殿下が軽く触れただけで、ビリビリ痺れた。自分の体を抱き締めて、体の変調に耐えていると、殿下が遠慮がちに話してくる。
そしてとんでもない事になる。
殿下から恥ずかしい治療を施され、羞恥と快感で意識を失った、目が覚めると一人だった。昨日色々と恥ずかしい事をされたような、でもお酒も入っていたので、記憶が曖昧なのが救いだ。
目覚めたシャーロットは王太子宮に案内されてメイドに湯浴みと新しいドレスの着替えや身支度をされて、メイヴィス殿下の元へ連れて行かれた。
「ブリガン伯爵令嬢、よく来てくれたね、体の調子はどうかな?」
メイヴィス殿下に爽やかに問われて顔が真っ赤になり、冷や汗が出てくる。
「え、ええ、昨日はとんでもない姿をお見せして申し訳ごさいません」
「やっぱり、私だと気付いていたんだね」
「殿下の瞳は唯一無二ですから」
「今日は昨日案内出来なかった、庭園を一緒に散策出来ればと思っているのだが、君の都合はどうだろうか?」
「はい、喜んで」
それだけしか答えられない。
昨日からの展開に全くついて行けてないシャーロットは、頭の中も心も一杯一杯で、殿下の爽やかな笑顔に頬を染めて見惚れるだけで、気の利いた事は何も言えなかった。
◆◇◆◇◆◇
王宮の庭園は流石に美しく手入れされていて、色とりどりの美しい花が咲き乱れている。シャーロットはメイヴィス殿下にエスコートされて散策していたが、ふと立ち止まった。
『ここは、あの時の・・・』
「ブリガン伯爵令嬢?」
急に立ち止まったシャーロットに、メイヴィス殿下が問いかける。
「実は私、この場所でメイヴィス殿下にお会いした事が有ります、7才の時迷子になっていた私を殿下が助けてくれたのです」
「そんな事が有りましたか、そう言われると可愛い女の子に会ったような・・・」
メイヴィス殿下はうろ覚えのようだ。
「その時に私は殿下に恋をして、今も変わらずお慕いしております」
シャーロットは恥ずかしかったが、ここで伝えなくてはと、メイヴィスの目を見つめ勇気を振り絞って、恋心を明かした。
するとメイヴィス殿下の雰囲気が変わり、服の下からペンダントを取り出し、ペンダントトップを見せてきた。
「これを見て頂けますか?、二年前に私の生命の恩人が落とした物です。これは貴女の物ですよね?」
それは確かにシャーロットが無くした母の形見の耳飾りで、何処で無くした分からなくて諦めていた物だ、それを殿下が大切に持っていてくれた事にジワっとくる。
「貴女が私を慕ってくれていた様に、私も貴女をずっと想っていました、ようやく逢えた。今からこれを貴女へ返します」
メイヴィス殿下がそう言って、私の空いていた左耳に耳飾りをつけてくれる。耳朶を優しくこすり、つけた耳飾りにそっと触れる。
「ブリガン伯爵令嬢、シャーロットと呼んでもいいかな、私の事はメイヴィスと」
わたしは、こくんと頷く
「シャーロット、ずっと貴女を探していました。まさか出逢う前に婚約者になっていたとは、貴女とは運命を感じます」
「わたしも十年以上前からずっと、殿下が好きです。まるで夢のようで母が導いてくれたみたい。」
「シャーロット接吻したい、良いかな?」
私が頷くと、優しく唇が重ねられた、すぐ離れて見つめられ、もう一度、今度は深く。そして肩に手を置かれ、左右の耳にも口付けられる。
「ずっと貴女を抱き締めたかった、ようやく出逢えた私の想い人、君を愛してる、もう離さない」
メイヴィスが口にしたのは、奇しくも夢で想いを告げた時と同じ言葉だった、シャーロットを情熱的に抱き締めて、何度も何度も口付けをする。
シャーロットは抱き締めてくるメイヴィスの体温と口付けにドキドキして、メイヴィスは記憶の中と同じシャーロットの花の香りにクラクラしている。
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二人の恋はようやく始まったばかり。
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