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第三章 王太子の恋人 メイヴィス×シャーロット
イオニス殿下の趣味
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「ウィリー、ちょっと良いか?」
ご婦人方とのお茶会から戻られたメイヴィス殿下から、声を掛けられた。
「はい、如何なさいましたか?」
「婚約者に仮面舞踏会用のドレスを贈りたい。いま王宮に出仕しているデザイナーに、シャーロット嬢に合うサイズのドレスを見繕って届けるように伝えて貰いたい」
「今からですと、舞踏会には間に合わないのでは?」
「今回は既製品でいいよ、色は私の瞳に合わせて黄色にしよう。実は、ご婦人方から私の色のドレスを贈るように厳しく指導されたのだよ、彼女達に逆らうと私の身に被害が及ぶ、今日も執務時間が潰された」
メイヴィス殿下は眉を顰め深刻そうな顔で言う。
「そうですね。殿下の執務時間が削られるのは、僕も困ります」
ウィリーは眼鏡のブリッジを指で押し上げながら、表面上は同意をした。
・・・・ふふふ、分かってますよ殿下。そんな深刻な顔をして困った風を装っても、僕に仕事を押し付ける事が出来て、内心笑いが止まらない事を・・・・・・
メイヴィスは腹黒さを隠し切れていないウィリーに問いかけた。
「所で、イオニスから何か連絡はないか?」
「まだ何も有りません、例の件ですか?」
「ああ、仮面舞踏会の間に秘密裏に片付けたいが、私は最重要かつ最優先事項が発生して、舞踏会に足留めされる事になり、身動きが取れなくなった」
ウィリーは訝しく思い確認する。
「その最重要かつ最優先事項とは、一体どんなものでしょうか?」
メイヴィスの顔には緊張感があり、その内容を告げるか逡巡する様子が見られる。国家に絡む何らかの重要問題かと、ウィリーはごくりと唾を呑んだ。
メイヴィスが悄然として告げる。
「婚約者との親交を深め関係を発展させるよう王妃から命を受けた」
・・・えっ、今更?・・・恋愛に関しては本当に全く駄目な殿下だなと呆れる、執務をこなしている時との落差が酷い、がともかく、それなりの重要性を認めてウィリーは先を促す。
「僕で何かお役に立てる事がありますか?」
その時、ノックの音がして、見掛けないメイドが入室して来た。
「失礼します、お茶をお持ちしました」
茶色の髪を後ろで纏めて、可愛い顔をしている。紅茶をサーブする姿はどこか気品さえ感じさせる。
『こんなメイドが王太子付きに居ただろうか?』
ウィリーがまじまじとメイドを観察していると、メイヴィスが疑問を解消した。
「今日の遊びは何かな?、イオニス」
「もうバレちゃったの?、ウィリーは気付かなかったのに、兄上はすぐ分かるんだから、もー」
イオニスと呼ばれたメイドは、不貞腐れて文句を言う。が、その不貞腐れ顔も可愛い女性にしか見えない。
イオニス殿下の趣味が女装である事は一部の人間以外には秘匿されている。しかし、これ程完成度が高いものだとは、ウィリーは思ってもいなかった。
「今日はねー、メイドごっこだよ。ほら貴族とか好きそうでしょ、可愛いメイド。この格好なら邸を内偵しても気付かれないよ」
今度の仮面舞踏会の裏で、悪い噂のある一部の貴族の邸を密かに捜査をする予定だ。
「ウィリーなんか、僕に見惚れてたでしょ?」
イオニス殿下に話を振られ図星をつかれた私は、眼鏡のブリッジを指で押し上げることで動揺を隠し、冗談で答える。
「ええ、デートに誘おうと思いました」
「ウィリーとならデートしても良いよ、その時は僕がウィリーの服をコーディネートしてあげる」
「そうだな、ウィリーは仕事は出来るがそっちは疎いからな」
イオニス殿下の言葉にメイヴィス殿下まで賛同して三人で笑いあう。
そのあと、私達は内偵調査の打合せをし始めた・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・邸の捜査は騎士団に・・・・・・指揮はグリードで・・・・・・お前には舞踏会で対象者の動向を探って欲しい、ドレスを着て出席すれば怪しまれずに監視できるからな・・・・・・それから、マーリオには・・・・・・・・・・・・
ご婦人方とのお茶会から戻られたメイヴィス殿下から、声を掛けられた。
「はい、如何なさいましたか?」
「婚約者に仮面舞踏会用のドレスを贈りたい。いま王宮に出仕しているデザイナーに、シャーロット嬢に合うサイズのドレスを見繕って届けるように伝えて貰いたい」
「今からですと、舞踏会には間に合わないのでは?」
「今回は既製品でいいよ、色は私の瞳に合わせて黄色にしよう。実は、ご婦人方から私の色のドレスを贈るように厳しく指導されたのだよ、彼女達に逆らうと私の身に被害が及ぶ、今日も執務時間が潰された」
メイヴィス殿下は眉を顰め深刻そうな顔で言う。
「そうですね。殿下の執務時間が削られるのは、僕も困ります」
ウィリーは眼鏡のブリッジを指で押し上げながら、表面上は同意をした。
・・・・ふふふ、分かってますよ殿下。そんな深刻な顔をして困った風を装っても、僕に仕事を押し付ける事が出来て、内心笑いが止まらない事を・・・・・・
メイヴィスは腹黒さを隠し切れていないウィリーに問いかけた。
「所で、イオニスから何か連絡はないか?」
「まだ何も有りません、例の件ですか?」
「ああ、仮面舞踏会の間に秘密裏に片付けたいが、私は最重要かつ最優先事項が発生して、舞踏会に足留めされる事になり、身動きが取れなくなった」
ウィリーは訝しく思い確認する。
「その最重要かつ最優先事項とは、一体どんなものでしょうか?」
メイヴィスの顔には緊張感があり、その内容を告げるか逡巡する様子が見られる。国家に絡む何らかの重要問題かと、ウィリーはごくりと唾を呑んだ。
メイヴィスが悄然として告げる。
「婚約者との親交を深め関係を発展させるよう王妃から命を受けた」
・・・えっ、今更?・・・恋愛に関しては本当に全く駄目な殿下だなと呆れる、執務をこなしている時との落差が酷い、がともかく、それなりの重要性を認めてウィリーは先を促す。
「僕で何かお役に立てる事がありますか?」
その時、ノックの音がして、見掛けないメイドが入室して来た。
「失礼します、お茶をお持ちしました」
茶色の髪を後ろで纏めて、可愛い顔をしている。紅茶をサーブする姿はどこか気品さえ感じさせる。
『こんなメイドが王太子付きに居ただろうか?』
ウィリーがまじまじとメイドを観察していると、メイヴィスが疑問を解消した。
「今日の遊びは何かな?、イオニス」
「もうバレちゃったの?、ウィリーは気付かなかったのに、兄上はすぐ分かるんだから、もー」
イオニスと呼ばれたメイドは、不貞腐れて文句を言う。が、その不貞腐れ顔も可愛い女性にしか見えない。
イオニス殿下の趣味が女装である事は一部の人間以外には秘匿されている。しかし、これ程完成度が高いものだとは、ウィリーは思ってもいなかった。
「今日はねー、メイドごっこだよ。ほら貴族とか好きそうでしょ、可愛いメイド。この格好なら邸を内偵しても気付かれないよ」
今度の仮面舞踏会の裏で、悪い噂のある一部の貴族の邸を密かに捜査をする予定だ。
「ウィリーなんか、僕に見惚れてたでしょ?」
イオニス殿下に話を振られ図星をつかれた私は、眼鏡のブリッジを指で押し上げることで動揺を隠し、冗談で答える。
「ええ、デートに誘おうと思いました」
「ウィリーとならデートしても良いよ、その時は僕がウィリーの服をコーディネートしてあげる」
「そうだな、ウィリーは仕事は出来るがそっちは疎いからな」
イオニス殿下の言葉にメイヴィス殿下まで賛同して三人で笑いあう。
そのあと、私達は内偵調査の打合せをし始めた・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・邸の捜査は騎士団に・・・・・・指揮はグリードで・・・・・・お前には舞踏会で対象者の動向を探って欲しい、ドレスを着て出席すれば怪しまれずに監視できるからな・・・・・・それから、マーリオには・・・・・・・・・・・・
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