【R18】傲慢な王子

やまたろう

文字の大きさ
上 下
16 / 88
第三章 王太子の恋人  メイヴィス×シャーロット

王太子殿下は悩ましい

しおりを挟む
「母上、叔母上、ご機嫌は如何でしょうか、お待たせして居ないと良いのですが・・・」

 私は、御婦人方との茶会に予定よりに合流した。

「メイヴィス、もう少し遅くても良い位ですよ、女性は話し好きですからね」


 母上は優しく微笑み、叔母上は相変わらずの元気さで迎えてくれた。


「メイヴィス!、相変わらず美男子ね、きらめく太陽だと囁かれているのも頷けるわ」


「叔母上、何ですか、きらめく太陽とは?」


 聞いた事のない形容詞に、つい質問してしまう。


「知らないのかしら、貴方の黄金色の髪と琥珀色の瞳が太陽の輝きを思わせるから、貴族女性達からそう呼ばれているのよ。因みにダルトンは、夜を思わせる色を持っているから、夜の天使と呼ばれているわ」


 ・・・夜の天使・・・恐らく堕天使と言いたいのだろうが、王族にそんな事を言えば不敬罪を問われかねないから、言えないのだろうなとメイヴィスは思い、ふともう一人の弟王子を思い出す。

「イオニスにはそう言った二つ名は無いのですか?」

 母上は苦笑し、叔母上は面白そうな顔をした。


「勿論あるわよ、イオニスは虹の妖精よ」


 ・・・虹の妖精・・・イオニスは乳白色の珍しい髪色をしており、それで白猫とも呼ばれているが、普段は好きな色をメッシュで入れているので、カラフルな髪色からの連想だろう。


「所で叔母上、私に何かお話しが有ると伺ったのですが、どう言ったお話しでしょうか?」


 問い掛けると叔母上は母上と目配せし、表情を引き締めて話出した。


「以前貴方の依頼でグレーシー王子妃に薄めた媚薬を手配した事があったでしょう?、最近、グレーシーから又あれが欲しいとお願いされたのよ。あれを使ったときの事が忘れられなくて、もう一度試したいそうよ」


「でも、薄めていたのよね?もう一度試したい程、効果が有ったのかしら?」


 母上が不思議そうに言う、もっともだ。叔母上の媚薬は効かないが、実際にグレーシーが服用したのは強力な媚薬だからかなり気持ち良かったのだろう。問題は誰にそれを使うつもりなのかだ。


 まさか、私か?


 最近やたらとグレーシーが私に近づいて来て、体が触れそうになる事がある、狙われているのか?
 一応、気を付けておく事にしよう。


「叔母上、あれはほとんど害のない物なので、渡してやっても良いですよ。別の誰かから強い媚薬を手に入れる方が問題ですから」


「分かったわ。所で貴方、新しい婚約者と交流してるのかしら?、社交界でサッパリ噂を聞かないのだけれど、どうなっているの?」


「彼女は普段、神殿に居ますからね、中々交流は持てて居ません。まあ焦らなくてもどうせ結婚するのだから、結婚後にお互いを知れば、自然と距離が縮まるかと」

 そう言って、私はお茶を一口飲む。 


「メイヴィス!」
「貴方、なんて事を!」


 叔母上と母上が同時に私を咎めた。


 そこから私は、女性へのアプローチの方法で有るとか、女性が心地良く感じるエスコートの仕方だとか、女性が喜ぶ贈り物の選び方だとか、二人から色々と享受され、執務の時間を潰された。




 ◆◇◆◇◆◇




 グレーシーはあの時の夢のような時間が忘れられずに、何度も思い返していた。思い返す度に胸も体も熱くなり、じんわりと秘所が潤う。


『あの時のメイヴィス様は、凄かった』


 もう一度だけでも良いから、メイヴィス様に抱かれたい。その思いは日々強まり、遂には友人に媚薬を頼んだ。


 そして、それを使う事を夢想する。 


『今度の仮面舞踏会が、絶好の機会だわ、仮装するから誰だか分からないし、休憩の為の部屋もある。給仕にお小遣いを握らせて服を濡らさせて、部屋へ誘導するのよ。メイヴィス様は私のものよ』


 その時の事を想像して、堪らなくなったグレーシーは、メイヴィスの悩ましい姿を思い描きながら、自分を愛撫しはじめた・・・・・・・・・









しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

処理中です...