【R18】傲慢な王子

やまたろう

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侯爵家当主の憂鬱は止まらない

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 この王国には、四つの侯爵家がある。

 その中でも、ランバート家とシーリー家は歴史が古く家格が高い、当主仲も良く両家は非嫡子の間で婚約を結んでいる。


 カーク・ランバート侯爵
 ジャック・シーリー侯爵


 今、侯爵家当主の二人は密談をしていた。
 カークが、重い口を開く。


「グレースから相談されたのだが、どうやらジャスティンの眠り病に、王家の秘薬が関与している様だ」


「・・・やはりそうか、元々貴族しか罹らない奇妙な病だったからな。王家に敵対する貴族の粛清や警告として使われているのだろう。ジャスティンが発症した時の状況も変だったし、症状の重さが違うのは、服薬した薬量の違いかもな」


 ジャックが、腑に落ちた表情になる。
 それを受けて、カークが続ける。


「だが、王家も証拠を残すヘマはしていないだろうし、断罪する事は難しいだろうな。それより、ジャスティンの身を護る方を優先しよう、グレースは婚約を解消する気がないから、下手をすると命を狙われるぞ」


「そうだな、多分ジャスティンが服薬した量は少なくて、いずれ目覚めると思う。婚約を解消させる期間が欲しかっただけで、友人を殺す気まではなかったろうからな、ただ婚約を継続するとなると今度は生命を狙われるだろうな・・・」


 ジャスティンの父ジャックは悩ましげな顔で話を続ける。


「実は今回の事件が起こる前に、王家から何度も別の婚約を結び直すように勧められていてな、ジャスティンはグレースを愛しているから断っていたんだが、まさかこんな事になるとは・・・」


「このままではグレースも危ない、王子の執着が酷いからな、婚約出来なければ最悪拐われてどこかへ監禁でもされかねない。二人の未来を何とか護らねば」


 愛する娘の平穏無事な幸せを願うカークの顔も暗く翳っている。カークもジャックも自分の子供だけでは無く、それぞれを本当の娘や息子として、家族のような親愛の情を持っていた。


「カーク」
「ジャック」


 カークとジャックは同年代で幼少期からの友人でもある。
 秘密裏とは言え王家の意向に逆い欺くのだ。
 二人は相手の心を探る様に、互いの顔を見つめ合うと、その瞳にある覚悟を正しく理解した。


 そして、父親達は愛する子供達の幸せな未来の為に計画を立て始めた、慎重に事を行わなければならない。





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