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追加エピソード
壊れたシャーロット
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お読み頂き有難うございます、現在【傲慢な王子】の方で続編にあたる【王太子の愛情】を連載中です、そちらが終了したら関連話を加筆修正して、こちらへUPする予定です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
シャーロットは今、神殿内に与えられた自身の部屋の中で寝台に枕を、ぽん、ぽん、ぶつけていた。
あ、あ、あ、あ、あ、ああー
シャーロットは心の中で叫んでいた。
ここ最近の彼女の人生が驚くべき速さで動き出し、予測不可能な事態に次々と見舞われたからだ。
その事について行けないシャーロットは身も心も壊れていた。
「ちょっとロッテ、何やってるのよ、枕が破れちゃうわよ」
友人兼同僚のアリッサ・ドートリー男爵令嬢が扉から覗いている。
「アリー、いつから居たのよ、もーっ」
壊れた自分を見られたシャーロットは、真っ赤な顔で枕を抱きしめて問う。
「んー少し前、なんかメイヴィス殿下の事でぶつぶつ独り言を言ってた」
ロッテの顔は更に赤くなる。仮面舞踏会の夜メイヴィス様に色々致されてしまった恥ずかしい事を思い出して、悶えていたのをアリーに見られたらしい。
あの夜の事はアリーには秘密にしていた、と言うより誰にも言えない。
「それより、荷物の整理は進んでいるの?、もう直ぐ王太子宮に移るんでしょ」
「うん特に荷物も無いし、必要な物は王太子宮に揃えてくれているし、移っても毎日神殿には来るから、その時々に持ち出しするつもりなの」
仮面舞踏会の翌日からシャーロットは急に王太子宮に移る事が決まり、今は転居のために部屋を片付けていたのだった。
「それにしても急な話だよね、ここ最近ロッテの人生は予測不可能な驚きの連続だわ、聖女の仕事はどうするの?」
「任期の二十歳までは王太子宮から神殿に通って、任期満了後はまだ決めていないの。アリーはどうするの?」
シャーロットとアリッサは同い年なので、任期も同じだ。
「私はずっとここで働くつもり、聖女は数があまり増えないし、辞めても良い婚姻相手もいないしね」
「私も出来れば続けたい、多分メイヴィス殿下は認めて下さると思う。でも王太子妃の職務と聖女の仕事を兼務するのは無理かも」
不安そうな私にアリーが明るく声を掛けてくれる。
「まあ先の事はどう変わるか分からないから、自分の今の気持ちを大事にしましょ」
アリーの明るい笑顔を見て、友人の有り難みを感じると共に、こんな素敵な女の子は居ないと思う。
「そうだよ!、だからアリーも結婚を諦めちゃ駄目!、未来は分からないんだから!」
「ふふ、なに急に元気になってるのよ、さあ、今日のお祈りをしましょ」
二人は笑い合い、揃って神殿の祈りの場へ向かった。
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シャーロットは今、神殿内に与えられた自身の部屋の中で寝台に枕を、ぽん、ぽん、ぶつけていた。
あ、あ、あ、あ、あ、ああー
シャーロットは心の中で叫んでいた。
ここ最近の彼女の人生が驚くべき速さで動き出し、予測不可能な事態に次々と見舞われたからだ。
その事について行けないシャーロットは身も心も壊れていた。
「ちょっとロッテ、何やってるのよ、枕が破れちゃうわよ」
友人兼同僚のアリッサ・ドートリー男爵令嬢が扉から覗いている。
「アリー、いつから居たのよ、もーっ」
壊れた自分を見られたシャーロットは、真っ赤な顔で枕を抱きしめて問う。
「んー少し前、なんかメイヴィス殿下の事でぶつぶつ独り言を言ってた」
ロッテの顔は更に赤くなる。仮面舞踏会の夜メイヴィス様に色々致されてしまった恥ずかしい事を思い出して、悶えていたのをアリーに見られたらしい。
あの夜の事はアリーには秘密にしていた、と言うより誰にも言えない。
「それより、荷物の整理は進んでいるの?、もう直ぐ王太子宮に移るんでしょ」
「うん特に荷物も無いし、必要な物は王太子宮に揃えてくれているし、移っても毎日神殿には来るから、その時々に持ち出しするつもりなの」
仮面舞踏会の翌日からシャーロットは急に王太子宮に移る事が決まり、今は転居のために部屋を片付けていたのだった。
「それにしても急な話だよね、ここ最近ロッテの人生は予測不可能な驚きの連続だわ、聖女の仕事はどうするの?」
「任期の二十歳までは王太子宮から神殿に通って、任期満了後はまだ決めていないの。アリーはどうするの?」
シャーロットとアリッサは同い年なので、任期も同じだ。
「私はずっとここで働くつもり、聖女は数があまり増えないし、辞めても良い婚姻相手もいないしね」
「私も出来れば続けたい、多分メイヴィス殿下は認めて下さると思う。でも王太子妃の職務と聖女の仕事を兼務するのは無理かも」
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「まあ先の事はどう変わるか分からないから、自分の今の気持ちを大事にしましょ」
アリーの明るい笑顔を見て、友人の有り難みを感じると共に、こんな素敵な女の子は居ないと思う。
「そうだよ!、だからアリーも結婚を諦めちゃ駄目!、未来は分からないんだから!」
「ふふ、なに急に元気になってるのよ、さあ、今日のお祈りをしましょ」
二人は笑い合い、揃って神殿の祈りの場へ向かった。
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