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ある伯爵令嬢の初恋
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「仮面舞踏会?」
私こと、シャーロット・ブリガン伯爵令嬢は戸惑っていた。
「そうよ、ロッテ!、だって貴方、全然貴族令嬢らしく無いでしょ、王太子様の婚約者なんだから、今更だけど貴族の振る舞い方を身につけて置くべきよ!」
同じ神殿で働く同僚で、仲の良い友人でもある、アリッサ・ドートリー男爵令嬢が舞踏会の招待状を振り回して鼻息も荒く、私に迫って来た。
「アリー、仮面舞踏会に出席したからって貴族令嬢らしくならないわよ?」
アリーの主張は色々と納得いかない点が多かったが一番の疑問点を聞いてみた。
「いや、だからさ、私もロッテも何年も聖女として活動しているから貴族社会と疎遠じゃない?、そこで仮面舞踏会なのよ。面と向かって会話するとかは怯むけど、仮面越しなら雰囲気を楽しみつつ会話出来そうだと思わない?」
「・・・そう言われれば、そうかもね。ここ最近は舞踏会に出席していないわね」
そもそも最近は、ドレスで着飾る事自体ほとんどしていない、確かに私と分からず、社交の場を経験出来る機会は貴重だった。
「そうよ、貴族令嬢に戻る為の軽い訓練だと思えば良いのよ。それに今度の仮面舞踏会は王家の主催だから、出席者の身元も確かで安心出来るから、打ってつけだわ」
アリーの話を聞くと、確かにそうだと思わされる、アリーは口が上手いのだ。そして、何となく仮面舞踏会に出席する事になった。
「そうと決まったら、ドレスやアクセサリー、色々準備しなくちゃ!!」
「アリー、伯爵位以上の貴族しか招待されないから、男爵位の貴方にそれは不必要ではないかしら?」
「もちろんロッテの準備の話よ。貴方ののんびりした性格は大好きだけど、舞踏会まで余り日数がないから、もうちょっと焦って!、さっ、やるわよ」
アリーが一人で張り切り出した姿を横目で見ながら、シャーロットは溜息を付く。どうしてこんな事になったのかと・・・・・・
事の始まりはメイヴィス王太子と隣国の姫の婚約が解消された事だった、その後、国内から王太子の新たな婚約者を探す事になり、行き遅れのシャーロットが選ばれてしまったのだ。
決めては伯爵令嬢だった為、伯爵家で一定の妃教育を履修済みだった事。他の釣り合いの取れる令嬢は、全員、婚姻又は婚約済みでシャーロットしか残っていなかった事だ。
自分が王太子妃でいずれ王妃になるとか、もう悪い夢を見ているとしか思えない、でも王命には背けない。だが実はシャーロットはメイヴィス王太子を密かに慕っていたので、悪い夢だと思いながらも、嬉しさも感じていた。
彼の方に初めてお会いしたのは、初めて王宮のお茶会に呼ばれた、私が7才、彼の方が10才の時で、王宮の庭園で迷子になっていた私を助けてくれたメイヴィス様に恋をしたのだ。
初恋だった。
輝く黄金色の金髪、深みのある琥珀色の瞳、優しい微笑み、天使を思わせる美少年だった。
当時、天使だった彼は成長して今は、金獅子とか煌く太陽とか呼ばれているらしい。どちらの呼び名もピッタリだと、ロッテは思う。
そして、17才の時にまた出逢う。
アリーの家の領地に遊びに行った時の事だ、たまたま訪れていた森で、魔獣が発生して騎士団と戦闘になった。
逃げる時にアリーと逸れて一人でいたロッテに巨大な魔獣が襲いかかる、生命の危険を感じて死を覚悟した時、その人が来た。
その人は咄嗟に私を庇ったらしく、その時に傷を負いながら巨大な魔獣を一人で倒し、力尽きて昏倒した。私は暫く恐怖で震えて動けなかったが、気を落ち着けて助けてくれた人の元へ行って声を掛けた。
「だ、大丈夫ですか?」
心が震えた。
メイヴィス殿下だ。
輝く黄金色の髪は汚れて、美しい顔には血が飛び散り、血の気が失せた肌は病的な白さで、倒れたまま動かない。
私は頭の中が真っ白になり、彼を助けるために夢中で動き出した。
治癒魔法をかけるため、彼の鎧を剥ぎ取り、傷口に触れ易くするため服を脱がし、彼の傷を治す、彼の生命を助ける、ただその事だけを考えてひたすら治癒を続けた。
普段の自分の限界以上の力を使ったようで、彼の治癒をほぼ終えた頃に、私を探しに来たアリーと合流すると私は倒れて、そして二日程眠っていたらしい。その後、私が眠っている間に討伐隊が全員無事に王都に戻ったと聞き、安堵した。
メイヴィス殿下に助けられたのは、これで二度目。彼はいつも困った私を助けてくれる、ロッテは運命の導きを感じた。
輝く黄金の髪を持つ私の王子様。
彼は今、私の婚約者だ。
私こと、シャーロット・ブリガン伯爵令嬢は戸惑っていた。
「そうよ、ロッテ!、だって貴方、全然貴族令嬢らしく無いでしょ、王太子様の婚約者なんだから、今更だけど貴族の振る舞い方を身につけて置くべきよ!」
同じ神殿で働く同僚で、仲の良い友人でもある、アリッサ・ドートリー男爵令嬢が舞踏会の招待状を振り回して鼻息も荒く、私に迫って来た。
「アリー、仮面舞踏会に出席したからって貴族令嬢らしくならないわよ?」
アリーの主張は色々と納得いかない点が多かったが一番の疑問点を聞いてみた。
「いや、だからさ、私もロッテも何年も聖女として活動しているから貴族社会と疎遠じゃない?、そこで仮面舞踏会なのよ。面と向かって会話するとかは怯むけど、仮面越しなら雰囲気を楽しみつつ会話出来そうだと思わない?」
「・・・そう言われれば、そうかもね。ここ最近は舞踏会に出席していないわね」
そもそも最近は、ドレスで着飾る事自体ほとんどしていない、確かに私と分からず、社交の場を経験出来る機会は貴重だった。
「そうよ、貴族令嬢に戻る為の軽い訓練だと思えば良いのよ。それに今度の仮面舞踏会は王家の主催だから、出席者の身元も確かで安心出来るから、打ってつけだわ」
アリーの話を聞くと、確かにそうだと思わされる、アリーは口が上手いのだ。そして、何となく仮面舞踏会に出席する事になった。
「そうと決まったら、ドレスやアクセサリー、色々準備しなくちゃ!!」
「アリー、伯爵位以上の貴族しか招待されないから、男爵位の貴方にそれは不必要ではないかしら?」
「もちろんロッテの準備の話よ。貴方ののんびりした性格は大好きだけど、舞踏会まで余り日数がないから、もうちょっと焦って!、さっ、やるわよ」
アリーが一人で張り切り出した姿を横目で見ながら、シャーロットは溜息を付く。どうしてこんな事になったのかと・・・・・・
事の始まりはメイヴィス王太子と隣国の姫の婚約が解消された事だった、その後、国内から王太子の新たな婚約者を探す事になり、行き遅れのシャーロットが選ばれてしまったのだ。
決めては伯爵令嬢だった為、伯爵家で一定の妃教育を履修済みだった事。他の釣り合いの取れる令嬢は、全員、婚姻又は婚約済みでシャーロットしか残っていなかった事だ。
自分が王太子妃でいずれ王妃になるとか、もう悪い夢を見ているとしか思えない、でも王命には背けない。だが実はシャーロットはメイヴィス王太子を密かに慕っていたので、悪い夢だと思いながらも、嬉しさも感じていた。
彼の方に初めてお会いしたのは、初めて王宮のお茶会に呼ばれた、私が7才、彼の方が10才の時で、王宮の庭園で迷子になっていた私を助けてくれたメイヴィス様に恋をしたのだ。
初恋だった。
輝く黄金色の金髪、深みのある琥珀色の瞳、優しい微笑み、天使を思わせる美少年だった。
当時、天使だった彼は成長して今は、金獅子とか煌く太陽とか呼ばれているらしい。どちらの呼び名もピッタリだと、ロッテは思う。
そして、17才の時にまた出逢う。
アリーの家の領地に遊びに行った時の事だ、たまたま訪れていた森で、魔獣が発生して騎士団と戦闘になった。
逃げる時にアリーと逸れて一人でいたロッテに巨大な魔獣が襲いかかる、生命の危険を感じて死を覚悟した時、その人が来た。
その人は咄嗟に私を庇ったらしく、その時に傷を負いながら巨大な魔獣を一人で倒し、力尽きて昏倒した。私は暫く恐怖で震えて動けなかったが、気を落ち着けて助けてくれた人の元へ行って声を掛けた。
「だ、大丈夫ですか?」
心が震えた。
メイヴィス殿下だ。
輝く黄金色の髪は汚れて、美しい顔には血が飛び散り、血の気が失せた肌は病的な白さで、倒れたまま動かない。
私は頭の中が真っ白になり、彼を助けるために夢中で動き出した。
治癒魔法をかけるため、彼の鎧を剥ぎ取り、傷口に触れ易くするため服を脱がし、彼の傷を治す、彼の生命を助ける、ただその事だけを考えてひたすら治癒を続けた。
普段の自分の限界以上の力を使ったようで、彼の治癒をほぼ終えた頃に、私を探しに来たアリーと合流すると私は倒れて、そして二日程眠っていたらしい。その後、私が眠っている間に討伐隊が全員無事に王都に戻ったと聞き、安堵した。
メイヴィス殿下に助けられたのは、これで二度目。彼はいつも困った私を助けてくれる、ロッテは運命の導きを感じた。
輝く黄金の髪を持つ私の王子様。
彼は今、私の婚約者だ。
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