【R18】王子の盲愛 〜 ブラコンを拗らせた王子が欲望のままに幸せになっちゃいます〜

やまたろう

文字の大きさ
上 下
3 / 9

第一王子の想い人*

しおりを挟む
「兄上、好きな女性とかいないの?」

 イオニスにそう問われた時に、ある事を思い出した。いや、忘れている訳では無いので思い返すと言うべきか、それは絶対に忘れられない出来事なのだから。


 恋人とか、愛しい人とか、そんなのとは違う、顔も名前も知らない記憶の中の女性。【想い人】と言う言葉が、一番しっくりくるのかも知れない。 


 メイヴィスは服の下からペンダントを取り出し、どこか嬉しそうな顔でそれを眺めた。


 あれは二年前の事だ、王都から西の辺境手前付近にある森で、魔獣の被害報告が数件有り、視察と魔獣の討伐も兼ねて、自分と騎士団長、騎士数名で現地へ赴いた。
 前日迄の調査では何事もなかった森に突然、魔獣が発生した。調査を終えて引き上げようとしていた所を不意につかれた。


 何とか魔獣は制圧出来たようだが、戦う内に仲間と逸れ、深傷を負った私は動けなくなり、その場で教会から派遣される聖女を待つ事にした。
 発熱し多くの血が失われた体は、徐々に衰弱して意識が混濁し始めた頃、優しい空気を纏った何かが近づいてきて、私の体に触れた。


 私は力無く目を閉じたまま、されるがままに身を委ねた、鎧が外されたのか体が少し楽になる。
 素肌に人の手が当たる感触があり、そこから優しい光が体を包む。気持ちの良い力を感じて、次第に痛みがうすれ、動かなかった体が少しづつ動くようになった。


「もう、大丈夫です、殿下」


 女性らしき声が聞こえ、優しい存在が離れる気配がしたため、咄嗟に相手の手を掴み引き寄せた。抱き寄せたその存在は、華奢で柔らかくて花のような香りがした。


 意識を失う寸前だった私は、この存在を逃さない様に、本能的に左手を腰に巻き付け、後頭部に右手を回して彼女の体を拘束し引き寄せる。
 服を脱がされていたらしい裸の胸に相手の頬が当たるのを感じたあたりで意識が途絶えた。


 目が覚めると、体の傷は完治していたが抱きしめていたはずの存在は見当たらず、女性物のアクセサリーが落ちていた。恐らく治癒魔法を掛けてくれたのだろう、教会の聖女では無かったらしく、誰も彼女の事を知らなかった。
 顔も名前も分からない生命の恩人。


 会いたくても、多分、もう会えない。
 花の香りがする、記憶の中だけの人。


 それが私の想い人。


 ペンダントを見ると、いつもメイヴィスの胸の中は穏やかで温かい気持ちになる。それは、ダルトンやイオニスを思う時の気持ちと同じだ。


 多分その感情の名は、【愛しさ】


 例えその気持ちを受け止める相手とこのままずっと出会えないとしても、この想いは一生途切れないだろうと彼は思う。


 メイヴィスは大切そうに、ペンダントを服の中へしまった。
 
 そしてその夜、メイヴィスは奇妙な夢を見た。



◆◇◆◇◆◇



 今、私の腕の中に最愛の人がいる、ようやく見つけた、私の想い人。白い肌はどこまでも柔らかく、花のような甘い香りがして、私を魅了する。


 これから毎日ずっと、肌と肌を合わせて、体を重ねて繋ぎ、二人で一つになる。今日は彼女と私の最初の日、彼女の全てを堪能し尽くすには、一晩では足りないだろう。


 既に一度熱を放っても、彼女の中でまだ硬さを保っている逸物をゆるゆると動かし、彼女の反応を見る。
 私の動きに気づいた彼女が、上目遣いで軽く睨んでくるが、目元がピンク色に染まった顔では、挑発している様にしか見えない。逆効果で硬度が増したソレが胎内を圧迫した。


「あっ!、やっ!、殿下!!」


「陛下だ、覚えられない子には、お仕置きをしなくてはいけないね」


 彼女の顔にキスの雨を降らせながら、そう言って私は中を突き上げる、彼女の様子を見ながら、初めは緩く、徐々に動きを速めて強烈に、最後は彼女の尻が浮くくらい激しく貫ぬく。絶頂を迎えた彼女の体がブルブル震えた。


「ごめんね、気持ちよすぎて、我慢出来ない。」


 まだ余韻に浸る彼女の頬を優しく撫でながら、再び腰を動かし始める。
 今度は最初から容赦なく胎内を突き上げ、抉り、穿つと、彼女の媚肉が畝り、楔に吸い付き、私に射精を促す、気持ちが良過ぎて堪え切れずに射精し、彼女の胎内を私の子種で満たしてゆく。


 私は彼女の体を優しく抱きしめ、感じ過ぎてぼんやりしている最愛の人にキスを贈り、想いを告げる。


「ようやく出逢えた私の想い人、君を愛してる。」



 メイヴィスが見た夢。
 それはもしかしたら、そう遠くない未来に起きる出来事かも知れない、でも今はまだ、誰も知らない。



 



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

王子の片思いに気付いたので、悪役令嬢になって婚約破棄に協力しようとしてるのに、なぜ執着するんですか?

いりん
恋愛
婚約者の王子が好きだったが、 たまたま付き人と、 「婚約者のことが好きなわけじゃないー 王族なんて恋愛して結婚なんてできないだろう」 と話ながら切なそうに聖女を見つめている王子を見て、王子の片思いに気付いた。 私が悪役令嬢になれば、聖女と王子は結婚できるはず!と婚約破棄を目指してたのに…、 「僕と婚約破棄して、あいつと結婚するつもり?許さないよ」 なんで執着するんてすか?? 策略家王子×天然令嬢の両片思いストーリー 基本的に悪い人が出てこないほのぼのした話です。

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。

石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。 自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。 そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。 好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。 この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!

楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。 (リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……) 遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──! (かわいい、好きです、愛してます) (誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?) 二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない! ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。 (まさか。もしかして、心の声が聞こえている?) リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる? 二人の恋の結末はどうなっちゃうの?! 心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。 ✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。 ✳︎小説家になろうにも投稿しています♪

君への気持ちが冷めたと夫から言われたので家出をしたら、知らぬ間に懸賞金が掛けられていました

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【え? これってまさか私のこと?】 ソフィア・ヴァイロンは貧しい子爵家の令嬢だった。町の小さな雑貨店で働き、常連の男性客に密かに恋心を抱いていたある日のこと。父親から借金返済の為に結婚話を持ち掛けられる。断ることが出来ず、諦めて見合いをしようとした矢先、別の相手から結婚を申し込まれた。その相手こそ彼女が密かに思いを寄せていた青年だった。そこでソフィアは喜んで受け入れたのだが、望んでいたような結婚生活では無かった。そんなある日、「君への気持ちが冷めたと」と夫から告げられる。ショックを受けたソフィアは家出をして行方をくらませたのだが、夫から懸賞金を掛けられていたことを知る―― ※他サイトでも投稿中

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

サレ妻の一念発起〜嘘つき旦那と離縁して、私は会社を興します。お陰でステキなご縁に恵まれました〜

衿乃 光希(恋愛小説大賞参加しています)
恋愛
突然夫から離縁状を突きつけられた主人公リアーナ。共に白髪が生えても一緒に暮らしていくのだと思っていたのに――。放心状態で街を歩き、馬車と衝突してしまう。 リアーナは夢をみた。きれいなドレスを着た新婦や着物姿の家族たちから感謝されている姿。前世はウェディングプランナーをしていた。 夫と離縁後、結婚式を行う会社を立ち上げる。人生の門出を一緒に祝いたくて。 頑張るリアーナを応援して支えてくれる貴族がいた。接触事故の相手、フランツにいつしか愛情が芽生えるのを自覚しながら、リアーナは気づかないフリをする。平民と貴族。フランツとは身分差がありすぎるから――。*不定期更新となります。待っていて頂けるとありがたいです。第18回恋愛小説大賞エントリー中

処理中です...