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4章
33話「エルフが知りうるこの暗黒期の真実」
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ガイアとフェランドはジェイドの案内でルプス達と共にエルフの長老の住む家に訪れていた。エルフの長老はガイアとフェランドの訪れに深く顔に刻まれた皺のある顔に微笑みを浮かべては、静かに2人を自分の前に座る様に促してきたので2人は大人しく長老の前に腰を下ろした。
ルプスとヴォルグは入り口横に座り、ジェイドはガイアとフェランドの真横に腰を下ろしていた。長老は2人とジェイド達を見て小さく頷くと2人の前に座り頭を下げる。
「まずは遠路遥々、このエルフの里に来てくれた事を感謝する。運命の子達、お前さん達の事は精霊達が教えてくれた。そして神々もな」
「俺達の事を知っているのであればお伺いしたい。魔神アガルダの真なる目的とこの暗黒期になってしまった真実を」
「それを話す前に……、そちらの騎士はアガルダにまだ”手”を付けられていはいないとお見受けするが」
「どういう意味ですか? 俺は別にアガルダに狙われる様な存在ではありませんけれど……」
「それは大きな勘違いというものじゃ。お前さんは魔神アガルダの目的の最後の鍵となる”マナの御子”としての力を秘めている。もしも、それを魔神アガルダが知っているのであればお前さんはこの暗黒期を左右する、貴重な存在と言える事になる。その事も含めて色々とエルフが知る事実を話していこう」
長老は静かにそう告げて、部屋の背後に書かれている壁画を持っている杖で示す。その壁画には巨大な生物が人々を襲い、そして、人々はその生物に向かって武器を構えている姿が描かれている。
その壁画を見ていたガイアとフェランドは不意に人々の姿に既視感を覚えてしまう。恐らくそれは前世のガラハッドとコーネルドの記憶に関連するものだろうと思って。長老に視線を向ける。
「さて、お前さん達の前世について知る限りの情報を私に教えてくれぬか?」
「俺とフェランドは、魔神アガルダの手によって転生させられた転生者だ。前世はコーネルドという若者と、ガラハッドという若者だ」
「俺とガイアはまだ騎士としてのレジェースに仕える前に、白の神殿の巫女だったカーネル様によって転生者である事が分かったんです。でも、レジェースで俺達の魂は闇に染まった魔神アガルダの手により転生した魂だと分かりました」
「そうであったか。だが、今のお前さん達から闇の力は感じない。何者かに闇を払われたのだろう。今は世界樹の加護を受けた綺麗な魂をしているのが分かる」
「俺達の上司でもあった団長と、その相棒でもあった方がスジエル国王女のルーベルト様がマナの解読っていう儀式で自我を闇に侵食されて、その自我をお助けする儀式をする事になった時に自我を取り戻す為にご自身達の身体にマナを宿して命を断たれました……」
「そして、その命が尽きる前に俺とフェランドの魂に染み付いていた闇を世界樹の加護を使って払ってから亡くなられたんだ。俺達が世界樹の加護を受けていられるのも、そのお2人の存在と命があったからだ」
ガイアとフェランドの言葉に長老はしっかり聞いて、そして、深く頷く。今までの出来事が昨日の様に感じられる2人はまだ癒えてない心の傷と向き合っては。心がまだ泣く事を覚えている事に気付く。
長老はその話を聞いてから2人に視線を合わせてハッキリと語り始める。それはエルフの長老だから知り得る話ではなく、代々のエルフの長老達が語り継いできたある前兆の内容であった。
「この世界が暗黒に包まれる時、必ず世界樹から加護を受けた運命の子達が産まれると言われている。その子供達が産まれる前に必ず起こる出来事がある……魔神アガルダの手に寄りオルガスタン大陸のマナは流れを変えて急速に大地を巡り、命を活性化させる事が代々のエルフ達の記録によって残されている」
「マナの流れが変わって、大地を巡り、命を活性化させる……。それが結果的に何に繋がるのですか?」
「大体の流れから、何か特別なものが産まれるって流れだろうよ」
「その通り。オルガスタン大陸が暗黒に包まれると必ずマナは流れを変えて、命を活性化させて、ある目的を持った生命を生み出す。その生命こそが魔神アガルダの真なる目的でもあると私達は考えているよ」
「ある生命……魔神アガルダがその生命を求めているって事かな」
「それと同時にこのオルガスタン大陸のマナを求めている理由がそれであるなら、普通に考えてもロクな生命ではないだろう」
ガイアは少し嫌な予感がしているのだろうか、頭を横に振りながら考えている事を追い払う。対してフェランドはエルフの長老の話を最後まで聞きたいと、エルフの長老に視線を向ける。
視線を受けたエルフの長老は静かに瞳を伏せてそっと話を再開させる。あくまで代々のエルフの長老達が伝え残してきた情報ではあるのだが。
「遥か古の時代、このオルガスタン大陸を二分していた神々がおった。その神々は互いの事を対だと認識しており、時に力を比べ合い、時に協力し合って、この大陸を発展させてきた。だが、その神々はある時を境にお互いを敵視し合って力の続く限り戦い続けて始めた」
「神々の戦い……」
「オルガスタン大陸を二分していた神々……」
「その片方の神がある日、自分の血肉を分け与えて産み落とした生命がある。それが後にこのオルガスタン大陸の秩序を守護する事となる秩序神「ディゼッグ」である」
「!!」
「その時に生れたのが秩序神だって事ならば……もう片方の神が生んだのはまさか……」
「そう、破壊神「バシルス」である。この2神が生まれてからはオルガスタン大陸を暗黒が覆う事は無かった。それはこの2神が秩序と混沌を司っていたからだ」
エルフの長老は少しずつ真実を明らかにしていく。だが、それ以上の真実をまだ語ってはいなかった。
ある程度の理解が済んだのを確認してから長老は更に話を進めて行く。その真実はこの先2人だけではない、共に戦うジェイドやルプス達にも大事な事だからだ。
「さて、ここまではいいだろう。アガルダはこの破壊神「バルシス」の繭をオジナル城の何処かに誕生させていると聞く。それが誠であるならばオルガスタン大陸のマナを集めている理由はその繭を孵化させる目的だと考えるのが打倒ではある」
「それが本当であれば、アガルダの行動をどうにか止めないと破壊神の存在が目覚める事になる……って事ですよね?」
「如何にも。そして……その繭に対を成す秩序神「ディゼッグ」の繭もまたこのオルガスタン大陸の何処かに誕生しているのだ」
「それならどうしても探し出して孵化させないといけないって事だよな。長老様はその場所にご存知ではないのか?」
「生憎、あくまで語り継がれているだけの情報に照らし合わせた話であるからな。だが……ここにマナの御子がいるのであれば繭の存在もあながち否定は出来ないと言えるだろう」
長老はそこまで言ってフェランドの瞳を見つめる。見つめられたフェランドは戸惑いながらも見つめ返している。
ジェイドとルプス達は長老から事前に聞いているので、これから話される御子の運命については心構えが出来ている状態ではあった。そして、ガイアの心に波紋が生まれ始める。
「マナの御子であり、運命の子であり、そして、世界樹の加護を受けた人間は……その命を代価に秩序神「ディゼッグ」を孵化させる運命なのだ」
「っ……それじゃ、俺の命は……」
「秩序神孵化の為に捨てろって話か? そんな冗談はキツイぜ長老様」
「そ、そうですよ……俺が秩序神の孵化に関わるなんて、おかしいですよ……」
「それが事実なのだ。お前さんの命は魔神アガルダの目的には邪魔な存在。だからこそ、アガルダはどんな手を使ってもお前の命を奪いに掛かるだろう。そして、お前が死ねばこのオルガスタン大陸の暗黒期は晴れる事は永遠に叶わないと言える」
長老の言葉1つ1つに重みがあり、そして、それはガイアとフェランドにとてつもないプレッシャーとなってその身に振り掛かる。フェランドの命が消えた瞬間、それがこのオルガスタン大陸の最後だと言えると言われては迂闊に言葉は出せない。
そして、その事実にいち早く立ち直ったのはフェランドの方だった。フェランドは何かを迷いながら少しだけ自信無さげに言葉を口にする。
「あの、もし……この先の魔神アガルダとの戦いの際に俺が捕まったりしたらどうなるんでしょうか……?」
「考えられるのは、その身に闇を注がれて破壊神「バルシス」復活の儀式にて生贄にされて、魂は闇に堕ちて永遠に地獄を彷徨う事になるだろう。2度とお前の魂は光の元には還っては来れないと考えていい」
「結局、生きていても秩序神「ディゼッグ」の孵化の犠牲に。捕まれば破壊神「バルシス」の復活の生贄にされる。そんな話が……運命があっていいのかよ!!」
「が、ガイア……」
「怒りに震えるのは分からない訳ではない。だがな、この事実を知った上で取るべき行動も自然と見えてくる事もあるのだ。そう、お前達はまだ運命に抗う事が出来る。その運命と戦う事を諦めなければ希望は見出せる筈だ」
長老の言葉に怒りに満ちていたガイアも、ガイアを宥めていたフェランドも冷静さを取り戻していく。確かに抗う事を続けていれば未来は変えて行く事が出来るだろうという事実が2人を落ち着かせる。
ジェイドとルプス、ヴォルグは立ち上がりガイアとフェランドの周囲に集まる。そう、ガイアもフェランドも1人だけではないのだとここで思い出す。
ルプスがフェランドの右肩を、ジェイドが2人の前に立ち、ヴォルグがガイアの肩に腕を乗せて顔を覗かせて。仲間という存在が2人を強く支えてくれる。
「お前達が迷ったとしても、この仲間達がいればきっと答えは見つけ出せる事になるだろう。そして、どんな運命も仲間とならば乗り越えて変えて行ける事を忘れないでほしい」
「ありがとうございます。ガイア、俺達はきっと大丈夫だよ。だって……俺達は1人じゃないんだから」
「あぁ……、俺達の運命は1人じゃ変えれないのであれば大勢の力で変えて行けばいいだけの話だな」
「僕達の力が必要になるんだから、頼ってよ」
「俺や姉さんもいるんだ。大船に乗っている気分で任せな」
「私も精一杯2人を支える。だから、共に前に進もう」
仲間と共に運命へと立ち向かう事を決めたガイアはまだ知らない。フェランドが既にアガルダの魔の手に捕まり始めている事に――――。
ルプスとヴォルグは入り口横に座り、ジェイドはガイアとフェランドの真横に腰を下ろしていた。長老は2人とジェイド達を見て小さく頷くと2人の前に座り頭を下げる。
「まずは遠路遥々、このエルフの里に来てくれた事を感謝する。運命の子達、お前さん達の事は精霊達が教えてくれた。そして神々もな」
「俺達の事を知っているのであればお伺いしたい。魔神アガルダの真なる目的とこの暗黒期になってしまった真実を」
「それを話す前に……、そちらの騎士はアガルダにまだ”手”を付けられていはいないとお見受けするが」
「どういう意味ですか? 俺は別にアガルダに狙われる様な存在ではありませんけれど……」
「それは大きな勘違いというものじゃ。お前さんは魔神アガルダの目的の最後の鍵となる”マナの御子”としての力を秘めている。もしも、それを魔神アガルダが知っているのであればお前さんはこの暗黒期を左右する、貴重な存在と言える事になる。その事も含めて色々とエルフが知る事実を話していこう」
長老は静かにそう告げて、部屋の背後に書かれている壁画を持っている杖で示す。その壁画には巨大な生物が人々を襲い、そして、人々はその生物に向かって武器を構えている姿が描かれている。
その壁画を見ていたガイアとフェランドは不意に人々の姿に既視感を覚えてしまう。恐らくそれは前世のガラハッドとコーネルドの記憶に関連するものだろうと思って。長老に視線を向ける。
「さて、お前さん達の前世について知る限りの情報を私に教えてくれぬか?」
「俺とフェランドは、魔神アガルダの手によって転生させられた転生者だ。前世はコーネルドという若者と、ガラハッドという若者だ」
「俺とガイアはまだ騎士としてのレジェースに仕える前に、白の神殿の巫女だったカーネル様によって転生者である事が分かったんです。でも、レジェースで俺達の魂は闇に染まった魔神アガルダの手により転生した魂だと分かりました」
「そうであったか。だが、今のお前さん達から闇の力は感じない。何者かに闇を払われたのだろう。今は世界樹の加護を受けた綺麗な魂をしているのが分かる」
「俺達の上司でもあった団長と、その相棒でもあった方がスジエル国王女のルーベルト様がマナの解読っていう儀式で自我を闇に侵食されて、その自我をお助けする儀式をする事になった時に自我を取り戻す為にご自身達の身体にマナを宿して命を断たれました……」
「そして、その命が尽きる前に俺とフェランドの魂に染み付いていた闇を世界樹の加護を使って払ってから亡くなられたんだ。俺達が世界樹の加護を受けていられるのも、そのお2人の存在と命があったからだ」
ガイアとフェランドの言葉に長老はしっかり聞いて、そして、深く頷く。今までの出来事が昨日の様に感じられる2人はまだ癒えてない心の傷と向き合っては。心がまだ泣く事を覚えている事に気付く。
長老はその話を聞いてから2人に視線を合わせてハッキリと語り始める。それはエルフの長老だから知り得る話ではなく、代々のエルフの長老達が語り継いできたある前兆の内容であった。
「この世界が暗黒に包まれる時、必ず世界樹から加護を受けた運命の子達が産まれると言われている。その子供達が産まれる前に必ず起こる出来事がある……魔神アガルダの手に寄りオルガスタン大陸のマナは流れを変えて急速に大地を巡り、命を活性化させる事が代々のエルフ達の記録によって残されている」
「マナの流れが変わって、大地を巡り、命を活性化させる……。それが結果的に何に繋がるのですか?」
「大体の流れから、何か特別なものが産まれるって流れだろうよ」
「その通り。オルガスタン大陸が暗黒に包まれると必ずマナは流れを変えて、命を活性化させて、ある目的を持った生命を生み出す。その生命こそが魔神アガルダの真なる目的でもあると私達は考えているよ」
「ある生命……魔神アガルダがその生命を求めているって事かな」
「それと同時にこのオルガスタン大陸のマナを求めている理由がそれであるなら、普通に考えてもロクな生命ではないだろう」
ガイアは少し嫌な予感がしているのだろうか、頭を横に振りながら考えている事を追い払う。対してフェランドはエルフの長老の話を最後まで聞きたいと、エルフの長老に視線を向ける。
視線を受けたエルフの長老は静かに瞳を伏せてそっと話を再開させる。あくまで代々のエルフの長老達が伝え残してきた情報ではあるのだが。
「遥か古の時代、このオルガスタン大陸を二分していた神々がおった。その神々は互いの事を対だと認識しており、時に力を比べ合い、時に協力し合って、この大陸を発展させてきた。だが、その神々はある時を境にお互いを敵視し合って力の続く限り戦い続けて始めた」
「神々の戦い……」
「オルガスタン大陸を二分していた神々……」
「その片方の神がある日、自分の血肉を分け与えて産み落とした生命がある。それが後にこのオルガスタン大陸の秩序を守護する事となる秩序神「ディゼッグ」である」
「!!」
「その時に生れたのが秩序神だって事ならば……もう片方の神が生んだのはまさか……」
「そう、破壊神「バシルス」である。この2神が生まれてからはオルガスタン大陸を暗黒が覆う事は無かった。それはこの2神が秩序と混沌を司っていたからだ」
エルフの長老は少しずつ真実を明らかにしていく。だが、それ以上の真実をまだ語ってはいなかった。
ある程度の理解が済んだのを確認してから長老は更に話を進めて行く。その真実はこの先2人だけではない、共に戦うジェイドやルプス達にも大事な事だからだ。
「さて、ここまではいいだろう。アガルダはこの破壊神「バルシス」の繭をオジナル城の何処かに誕生させていると聞く。それが誠であるならばオルガスタン大陸のマナを集めている理由はその繭を孵化させる目的だと考えるのが打倒ではある」
「それが本当であれば、アガルダの行動をどうにか止めないと破壊神の存在が目覚める事になる……って事ですよね?」
「如何にも。そして……その繭に対を成す秩序神「ディゼッグ」の繭もまたこのオルガスタン大陸の何処かに誕生しているのだ」
「それならどうしても探し出して孵化させないといけないって事だよな。長老様はその場所にご存知ではないのか?」
「生憎、あくまで語り継がれているだけの情報に照らし合わせた話であるからな。だが……ここにマナの御子がいるのであれば繭の存在もあながち否定は出来ないと言えるだろう」
長老はそこまで言ってフェランドの瞳を見つめる。見つめられたフェランドは戸惑いながらも見つめ返している。
ジェイドとルプス達は長老から事前に聞いているので、これから話される御子の運命については心構えが出来ている状態ではあった。そして、ガイアの心に波紋が生まれ始める。
「マナの御子であり、運命の子であり、そして、世界樹の加護を受けた人間は……その命を代価に秩序神「ディゼッグ」を孵化させる運命なのだ」
「っ……それじゃ、俺の命は……」
「秩序神孵化の為に捨てろって話か? そんな冗談はキツイぜ長老様」
「そ、そうですよ……俺が秩序神の孵化に関わるなんて、おかしいですよ……」
「それが事実なのだ。お前さんの命は魔神アガルダの目的には邪魔な存在。だからこそ、アガルダはどんな手を使ってもお前の命を奪いに掛かるだろう。そして、お前が死ねばこのオルガスタン大陸の暗黒期は晴れる事は永遠に叶わないと言える」
長老の言葉1つ1つに重みがあり、そして、それはガイアとフェランドにとてつもないプレッシャーとなってその身に振り掛かる。フェランドの命が消えた瞬間、それがこのオルガスタン大陸の最後だと言えると言われては迂闊に言葉は出せない。
そして、その事実にいち早く立ち直ったのはフェランドの方だった。フェランドは何かを迷いながら少しだけ自信無さげに言葉を口にする。
「あの、もし……この先の魔神アガルダとの戦いの際に俺が捕まったりしたらどうなるんでしょうか……?」
「考えられるのは、その身に闇を注がれて破壊神「バルシス」復活の儀式にて生贄にされて、魂は闇に堕ちて永遠に地獄を彷徨う事になるだろう。2度とお前の魂は光の元には還っては来れないと考えていい」
「結局、生きていても秩序神「ディゼッグ」の孵化の犠牲に。捕まれば破壊神「バルシス」の復活の生贄にされる。そんな話が……運命があっていいのかよ!!」
「が、ガイア……」
「怒りに震えるのは分からない訳ではない。だがな、この事実を知った上で取るべき行動も自然と見えてくる事もあるのだ。そう、お前達はまだ運命に抗う事が出来る。その運命と戦う事を諦めなければ希望は見出せる筈だ」
長老の言葉に怒りに満ちていたガイアも、ガイアを宥めていたフェランドも冷静さを取り戻していく。確かに抗う事を続けていれば未来は変えて行く事が出来るだろうという事実が2人を落ち着かせる。
ジェイドとルプス、ヴォルグは立ち上がりガイアとフェランドの周囲に集まる。そう、ガイアもフェランドも1人だけではないのだとここで思い出す。
ルプスがフェランドの右肩を、ジェイドが2人の前に立ち、ヴォルグがガイアの肩に腕を乗せて顔を覗かせて。仲間という存在が2人を強く支えてくれる。
「お前達が迷ったとしても、この仲間達がいればきっと答えは見つけ出せる事になるだろう。そして、どんな運命も仲間とならば乗り越えて変えて行ける事を忘れないでほしい」
「ありがとうございます。ガイア、俺達はきっと大丈夫だよ。だって……俺達は1人じゃないんだから」
「あぁ……、俺達の運命は1人じゃ変えれないのであれば大勢の力で変えて行けばいいだけの話だな」
「僕達の力が必要になるんだから、頼ってよ」
「俺や姉さんもいるんだ。大船に乗っている気分で任せな」
「私も精一杯2人を支える。だから、共に前に進もう」
仲間と共に運命へと立ち向かう事を決めたガイアはまだ知らない。フェランドが既にアガルダの魔の手に捕まり始めている事に――――。
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