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3章
26話「行くしかないと覚悟を決めて」
しおりを挟む 仲間を探しに行け、そうアベルゾから言われたフェランドとガイアは色々と下準備を着々と進めて旅立つ数日前に一通りの準備を済ませるまでには至っていた。だが、フェランドの心には大きな不安が生まれており、その結果朝の鍛錬が終わってから数時間は風呂の中でぼんやりし過ぎて逆上せてしまった。
部屋でガイアの看病を受けて伸びきっていたフェランドの額には冷たいタオルが置かれている。ガイアは本を読みながら気長にフェランドが回復するのを待ち続けていたが、フェランドは意識を取り戻して少ししてもガイアの事が頭に、視界には入らない状態であった。
ガイアもその状態が不安から来ているとは察してやれなくて、瞳を開けているフェランドに気付き声を掛けてみたがフェランドの反応はない。流石に何かあるなと察してガイアの右手がフェランドの頬に触れて存在を知らせてみると少し反応が返される。
「ん……」
「フェランド、分かるか」
「……が、いあ……?」
「一応分かっているな。大丈夫か?」
「俺……」
「長湯し過ぎて逆上せて倒れたんだって。お前が長湯する時は何かあった時だろう。何があった?」
「……」
「俺にも言えない事か? それとも俺関係の話か?」
「……なんというか……怖い、って思ったんだ……」
「怖い?」
ガイアの言葉にフェランドは小さく頷く。何が怖いのかとガイアが問おうとした矢先フェランドは苦笑を浮かべてこう小さな言葉で紡ぐ。
その言葉を口にしたのもガイアだから、との理由だと言えるだろうとフェランドは不意に思った。ガイアだから分かってくれる、そう信じている部分もあるのだが。
「スジエルを……この国からかなり離れてしまうのが怖いんだ」
「……」
「俺とガイアが運命の騎士であるのは間違えようのない事実だし、その騎士である俺達が仲間を探さないといけない事も分かってはいる。分かってはいるんだけれども、俺達が離れている間にこのスジエルに魔神アガルダの魔の手が近付いてきたら守れないんじゃないかって不安で……それが怖さに繋がってて……弱いとは分かっている。分かっているんだけれど、乗り越えるにはまだ俺には経験も知識も無いから……」
フェランドが心を吐露した事でガイアも改めて色々と考えるべき事もあったが、今はフェランドに向き合うのが優先だと判断する。そして、ガイアはフェランドの握り締められている左手にそっと触れて解す様に指先を握り拳の中に差し込んでいった。
フワリと嫌な力じゃない強さで握り拳を解放させられたフェランドは、首をゆっくりとガイアの方に向けて視線を合わせる。ガイアは自分に視線を向けてくれたフェランドにしか見せない柔らかく優しい微笑みを浮かべてこう伝えた。
「その不安は大事にしておけよ」
「……なんで?」
「その不安を乗り越えれたらお前はもっと強くなれる。それは俺も同じ不安も持っていたからお前の不安が分からない訳じゃないし分かってやれると思う。でも、乗り越えるのに必要な経験も知識もお前は充分に持ち合わせている。あとは理解するだけでいいと思うぞ」
「理解……するだけ……」
「俺達に旅立ってこいと言ったアベルゾさんの言葉の真意をお前が知っている言葉の中で当てはめればいい。そこに自然と知識も経験も含まれて理解出来る筈だ。いつまでもお前は俺におんぶされているのは嫌だろうしな」
ガイアの言葉に従って自分の中にある言葉をアベルゾに言われた話に当てはめていこうと考えてみる。最初から上手く行く訳もなく混乱に苛まれながらうんうん唸っていると、不意にある言葉が当て嵌まった。
アベルゾは運命の騎士である自分とガイアの事を支えると断言した。それの言葉に含まれているのは強い信頼ではないだろうか? そう考えた時に色々と絡まっていた糸が解かれていくかの様にスルスルと心の中にアベルゾの言葉の真意が見えてきた気がした。
「もしかして……俺見えなくなっていたのかな」
「少しでも本当の言葉の意味に気付けたならあとは簡単だ。お前が本当にアベルゾさん達を信頼しているのであれば言葉に隠された気持ちを理解出来る筈だからな」
「ガイアも……同じ?」
「あぁ。俺はお前と未来を生きる為にもこの仲間を探しに行く旅の中でもっとお前との絆を強めたいと考えている。それがどんな形であれ俺とお前を強く結ぶのには必要な行為だと考えている。……嫌か?」
「ううん。嫌じゃないよ……むしろ、ごめん。また迷惑掛けちゃったな」
「そんな事気にする暇があるなら俺だけの事でも考えて、俺だけに見せる笑顔の練習でもしててくれ。真面目にお前が俺だけの為に見せる笑顔、最近見れてないんだけれど?」
「ふふっ、本当にガイアは俺の事が大好きだよね。嬉しいけれどさ」
「誰よりもお前と未来を生きたい、そう考えるだけの魅力をお前が持っているからだ。俺はコーネルドの器だからって想いまでも引き継いだとは思ってないからな」
「……気付いていたんだ?」
「何年一緒に過ごしてきたと思っているんだ。お前が自分の想いはガラハッドの引き継ぎなんじゃないか? って不安になっているのが見抜けない男だと思われていたのか俺は」
「ごめん。……でも、ガイアの言葉を聞いて安心した。やっぱり俺もガイアの事好きだよ」
ガイアの右手を握り締めて微笑みを浮かべているフェランドにガイアも安心感からの笑みを浮かべる。2人としてはこの想いすらも記憶の受け継ぎで同じ様に相手を想っているだけの気持ちなんじゃないか? そう疑う事もあった。
だが、2人の想いは正真正銘自分達の中で育まれてきた愛情である事に確信を持てている。相手を想うだけなら幼馴染みでも出来る、だが、愛おしい・大事だと思う心はいくら魂の受け継ぎをしたとしても同じになるとは限らないとガイアもフェランドも考えていたからだ。
身体を起こして背伸びをするフェランドにガイアも安心した表情で見守る。この先いくら不安な事があったとしてもこうして2人で話し合ってお互いの心を、気持ちを確認し合っていけばきっと不安も少なくなっていけると信じているのだから。
フェランドの肩にまで伸びた髪の毛が揺れる。椅子に座っていたガイアの身体にフェランドが正面から抱き着いたのである。
「フェランド……?」
「少しだけ……少しだけガイアの温もりを感じさせて……」
「ん、いくらでも感じてくれ」
「ありがとう……」
ガイアもフェランドの背に腕を回して優しく抱き締める。触れ合う身体から感じる相手の温もりを感じてフェランドは心から安心したように微笑みを浮かべて瞳を伏せる。
こんなにも相手を、ガイアを求めてしまうのは愛しているから。そうガラハッドの想いじゃない、自分自身の想いでガイアを求めている。
それが分かるだけでも成長したんじゃないか? そうフェランドは考えていた。暫く抱き合っていた2人の耳に小さな声が聞こえてくる。
「ガイア~、フェランド~」
「この声は……」
「ミリーアだ。どうしたんだろう? 招き入れてもいいかい?」
「あぁ、ドアの外にいるだろうから開けてやれ」
ベッドから立ち上がってドアに向かったフェランドがドアを開けるとそこには羽根を動かして浮いているミリーアが困惑顔を浮かべて待っていた。フェランドが右手を差し出して乗る様に促すと大人しく右手に乗って座ったミリーアはフェランドを見上げてこう言いにくそうに話をし始める。
「あの……とてもいいにくいお願いをするのだけれど……」
「一体どんなお願い? 聞ける事なら聞くよ」
「私も……一緒に行きたいの。きっと回復とか必要になると思うから。でも、足手まといだと言うのであれば無理は言わない……」
「それはありがたい申し出だな。フェランド、ミリーアのお願いを聞いてやろうじゃないか」
「あぁ、俺達回復はアイテム頼りであまり効率がいいとは言えなくて。ミリーアさえ良ければ一緒に来てくれると助かるよ」
「本当に? 私も一緒に行ってもいいの?」
「俺達は大歓迎だ。なぁ?」
「うん。よろしくねミリーア」
「ありがとう!」
こうしてミリーアも旅に同行する事が決まり、いよいよ3人はスジエルを旅立つまでの数日間をしっかり堪能する事にした。まず情報の整理もしておきたいとガイアの考えでアベルゾから分かる範囲の情報をガイアは引き取りに行き、その間にミリーアとフェランドはスジエルの王族墓地に出向いていた。
今は亡き世界樹の騎士であったアルフォードとエヴァに旅立ちの報告をする為に訪れていたのである。墓地には今でも何組かの家族と思われる姿があったがアルフォードとエヴァの墓の前には沢山の華が添えられていた。
「ちゃんと来るのは初めてだ」
「アルフォードもエヴァも立派な世界樹の騎士だった。世界樹の願いを最後まで叶えてくれたんだもの」
「俺達の闇を払ってくれて、命を落としてでもスジエルを希望に繋げた方々の志を俺とガイアも受け継ぎたい。アルフォード団長、エヴァ様、俺とガイア、ミリーアは数日後にスジエルを発って仲間を求めてオルガスタン大陸を旅してきます。まだまだ不安な事も多いですけれどきっといいご報告が出来る事をお約束します」
「どうか2人を見守っててねアルフォード、エヴァ」
ミリーアが持っていた小さな花束が墓の中央に添えられる。2人は祈りを捧げてから少し添えられている華達を整えてから立ち上がりレジェース本部へと戻って行く。
本部ではアベルゾから情報を貰ってきたガイアが地図を広げて旅の移動方法の検討をしていた。長くなれば2か月の時間を擁する可能性もある為に、最短で目的の場所に着くにはこうした事前の調査が必要である。
「間違いさえなければこの順路を通れば目的地には半月で到着出来る筈だ……。ハイクとディークなら1日に移動出来る距離もある程度稼げるだろうし……」
「ガイア、ただいま」
「お帰り。ミリーアは?」
「アベルゾさんの所で休むって。何をしていたの?」
「順路の確認だ。予定通りの順路を通れば半月で目的地に着ける見込みだ」
「それじゃ間違いをしなければ大丈夫だそうだね」
「あぁ、旅立つ前日にはハイクとディークの調子を確認しておくぞ」
「了解」
2人は最後の最後まで準備の確認を怠らないでいた。いくら運命とは言えそれだけの時間をスジエルから離れる不安もあるからだ。
だが行くしかない、そう2人も覚悟を決めている。そう、この先の旅において2人が出逢い者達こそが2人の運命を大きく動かす出逢いになるのは間違いないのだから――――。
部屋でガイアの看病を受けて伸びきっていたフェランドの額には冷たいタオルが置かれている。ガイアは本を読みながら気長にフェランドが回復するのを待ち続けていたが、フェランドは意識を取り戻して少ししてもガイアの事が頭に、視界には入らない状態であった。
ガイアもその状態が不安から来ているとは察してやれなくて、瞳を開けているフェランドに気付き声を掛けてみたがフェランドの反応はない。流石に何かあるなと察してガイアの右手がフェランドの頬に触れて存在を知らせてみると少し反応が返される。
「ん……」
「フェランド、分かるか」
「……が、いあ……?」
「一応分かっているな。大丈夫か?」
「俺……」
「長湯し過ぎて逆上せて倒れたんだって。お前が長湯する時は何かあった時だろう。何があった?」
「……」
「俺にも言えない事か? それとも俺関係の話か?」
「……なんというか……怖い、って思ったんだ……」
「怖い?」
ガイアの言葉にフェランドは小さく頷く。何が怖いのかとガイアが問おうとした矢先フェランドは苦笑を浮かべてこう小さな言葉で紡ぐ。
その言葉を口にしたのもガイアだから、との理由だと言えるだろうとフェランドは不意に思った。ガイアだから分かってくれる、そう信じている部分もあるのだが。
「スジエルを……この国からかなり離れてしまうのが怖いんだ」
「……」
「俺とガイアが運命の騎士であるのは間違えようのない事実だし、その騎士である俺達が仲間を探さないといけない事も分かってはいる。分かってはいるんだけれども、俺達が離れている間にこのスジエルに魔神アガルダの魔の手が近付いてきたら守れないんじゃないかって不安で……それが怖さに繋がってて……弱いとは分かっている。分かっているんだけれど、乗り越えるにはまだ俺には経験も知識も無いから……」
フェランドが心を吐露した事でガイアも改めて色々と考えるべき事もあったが、今はフェランドに向き合うのが優先だと判断する。そして、ガイアはフェランドの握り締められている左手にそっと触れて解す様に指先を握り拳の中に差し込んでいった。
フワリと嫌な力じゃない強さで握り拳を解放させられたフェランドは、首をゆっくりとガイアの方に向けて視線を合わせる。ガイアは自分に視線を向けてくれたフェランドにしか見せない柔らかく優しい微笑みを浮かべてこう伝えた。
「その不安は大事にしておけよ」
「……なんで?」
「その不安を乗り越えれたらお前はもっと強くなれる。それは俺も同じ不安も持っていたからお前の不安が分からない訳じゃないし分かってやれると思う。でも、乗り越えるのに必要な経験も知識もお前は充分に持ち合わせている。あとは理解するだけでいいと思うぞ」
「理解……するだけ……」
「俺達に旅立ってこいと言ったアベルゾさんの言葉の真意をお前が知っている言葉の中で当てはめればいい。そこに自然と知識も経験も含まれて理解出来る筈だ。いつまでもお前は俺におんぶされているのは嫌だろうしな」
ガイアの言葉に従って自分の中にある言葉をアベルゾに言われた話に当てはめていこうと考えてみる。最初から上手く行く訳もなく混乱に苛まれながらうんうん唸っていると、不意にある言葉が当て嵌まった。
アベルゾは運命の騎士である自分とガイアの事を支えると断言した。それの言葉に含まれているのは強い信頼ではないだろうか? そう考えた時に色々と絡まっていた糸が解かれていくかの様にスルスルと心の中にアベルゾの言葉の真意が見えてきた気がした。
「もしかして……俺見えなくなっていたのかな」
「少しでも本当の言葉の意味に気付けたならあとは簡単だ。お前が本当にアベルゾさん達を信頼しているのであれば言葉に隠された気持ちを理解出来る筈だからな」
「ガイアも……同じ?」
「あぁ。俺はお前と未来を生きる為にもこの仲間を探しに行く旅の中でもっとお前との絆を強めたいと考えている。それがどんな形であれ俺とお前を強く結ぶのには必要な行為だと考えている。……嫌か?」
「ううん。嫌じゃないよ……むしろ、ごめん。また迷惑掛けちゃったな」
「そんな事気にする暇があるなら俺だけの事でも考えて、俺だけに見せる笑顔の練習でもしててくれ。真面目にお前が俺だけの為に見せる笑顔、最近見れてないんだけれど?」
「ふふっ、本当にガイアは俺の事が大好きだよね。嬉しいけれどさ」
「誰よりもお前と未来を生きたい、そう考えるだけの魅力をお前が持っているからだ。俺はコーネルドの器だからって想いまでも引き継いだとは思ってないからな」
「……気付いていたんだ?」
「何年一緒に過ごしてきたと思っているんだ。お前が自分の想いはガラハッドの引き継ぎなんじゃないか? って不安になっているのが見抜けない男だと思われていたのか俺は」
「ごめん。……でも、ガイアの言葉を聞いて安心した。やっぱり俺もガイアの事好きだよ」
ガイアの右手を握り締めて微笑みを浮かべているフェランドにガイアも安心感からの笑みを浮かべる。2人としてはこの想いすらも記憶の受け継ぎで同じ様に相手を想っているだけの気持ちなんじゃないか? そう疑う事もあった。
だが、2人の想いは正真正銘自分達の中で育まれてきた愛情である事に確信を持てている。相手を想うだけなら幼馴染みでも出来る、だが、愛おしい・大事だと思う心はいくら魂の受け継ぎをしたとしても同じになるとは限らないとガイアもフェランドも考えていたからだ。
身体を起こして背伸びをするフェランドにガイアも安心した表情で見守る。この先いくら不安な事があったとしてもこうして2人で話し合ってお互いの心を、気持ちを確認し合っていけばきっと不安も少なくなっていけると信じているのだから。
フェランドの肩にまで伸びた髪の毛が揺れる。椅子に座っていたガイアの身体にフェランドが正面から抱き着いたのである。
「フェランド……?」
「少しだけ……少しだけガイアの温もりを感じさせて……」
「ん、いくらでも感じてくれ」
「ありがとう……」
ガイアもフェランドの背に腕を回して優しく抱き締める。触れ合う身体から感じる相手の温もりを感じてフェランドは心から安心したように微笑みを浮かべて瞳を伏せる。
こんなにも相手を、ガイアを求めてしまうのは愛しているから。そうガラハッドの想いじゃない、自分自身の想いでガイアを求めている。
それが分かるだけでも成長したんじゃないか? そうフェランドは考えていた。暫く抱き合っていた2人の耳に小さな声が聞こえてくる。
「ガイア~、フェランド~」
「この声は……」
「ミリーアだ。どうしたんだろう? 招き入れてもいいかい?」
「あぁ、ドアの外にいるだろうから開けてやれ」
ベッドから立ち上がってドアに向かったフェランドがドアを開けるとそこには羽根を動かして浮いているミリーアが困惑顔を浮かべて待っていた。フェランドが右手を差し出して乗る様に促すと大人しく右手に乗って座ったミリーアはフェランドを見上げてこう言いにくそうに話をし始める。
「あの……とてもいいにくいお願いをするのだけれど……」
「一体どんなお願い? 聞ける事なら聞くよ」
「私も……一緒に行きたいの。きっと回復とか必要になると思うから。でも、足手まといだと言うのであれば無理は言わない……」
「それはありがたい申し出だな。フェランド、ミリーアのお願いを聞いてやろうじゃないか」
「あぁ、俺達回復はアイテム頼りであまり効率がいいとは言えなくて。ミリーアさえ良ければ一緒に来てくれると助かるよ」
「本当に? 私も一緒に行ってもいいの?」
「俺達は大歓迎だ。なぁ?」
「うん。よろしくねミリーア」
「ありがとう!」
こうしてミリーアも旅に同行する事が決まり、いよいよ3人はスジエルを旅立つまでの数日間をしっかり堪能する事にした。まず情報の整理もしておきたいとガイアの考えでアベルゾから分かる範囲の情報をガイアは引き取りに行き、その間にミリーアとフェランドはスジエルの王族墓地に出向いていた。
今は亡き世界樹の騎士であったアルフォードとエヴァに旅立ちの報告をする為に訪れていたのである。墓地には今でも何組かの家族と思われる姿があったがアルフォードとエヴァの墓の前には沢山の華が添えられていた。
「ちゃんと来るのは初めてだ」
「アルフォードもエヴァも立派な世界樹の騎士だった。世界樹の願いを最後まで叶えてくれたんだもの」
「俺達の闇を払ってくれて、命を落としてでもスジエルを希望に繋げた方々の志を俺とガイアも受け継ぎたい。アルフォード団長、エヴァ様、俺とガイア、ミリーアは数日後にスジエルを発って仲間を求めてオルガスタン大陸を旅してきます。まだまだ不安な事も多いですけれどきっといいご報告が出来る事をお約束します」
「どうか2人を見守っててねアルフォード、エヴァ」
ミリーアが持っていた小さな花束が墓の中央に添えられる。2人は祈りを捧げてから少し添えられている華達を整えてから立ち上がりレジェース本部へと戻って行く。
本部ではアベルゾから情報を貰ってきたガイアが地図を広げて旅の移動方法の検討をしていた。長くなれば2か月の時間を擁する可能性もある為に、最短で目的の場所に着くにはこうした事前の調査が必要である。
「間違いさえなければこの順路を通れば目的地には半月で到着出来る筈だ……。ハイクとディークなら1日に移動出来る距離もある程度稼げるだろうし……」
「ガイア、ただいま」
「お帰り。ミリーアは?」
「アベルゾさんの所で休むって。何をしていたの?」
「順路の確認だ。予定通りの順路を通れば半月で目的地に着ける見込みだ」
「それじゃ間違いをしなければ大丈夫だそうだね」
「あぁ、旅立つ前日にはハイクとディークの調子を確認しておくぞ」
「了解」
2人は最後の最後まで準備の確認を怠らないでいた。いくら運命とは言えそれだけの時間をスジエルから離れる不安もあるからだ。
だが行くしかない、そう2人も覚悟を決めている。そう、この先の旅において2人が出逢い者達こそが2人の運命を大きく動かす出逢いになるのは間違いないのだから――――。
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