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3章
25話「運命の騎士達に知らせられる事実」
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スジエルは新しい体制に移行する、そうアベルゾから聞かされたガイアとフェランド。王女であるルーベリドが国を維持する為にも新しい王政をするべきだと大臣達に宣言したと言うのでレジェースも同時にその体制変更に乗ると言うのがアベルゾの発言で分かった。
そもそも現在のレジェースを導く事が出来る人物の任命もまだされてないが、実質アベルゾが今レジェースの指揮権を得ているのを考えてこのままアベルゾが総団長になるべきだとの声も上がっている。だが、正式に任命がルーベリド王女からされるまではアベルゾは仮の司令官として動いているだけだと告げている。
「さて、君達にはある事実をお知らせしなくてはいけません」
「何でしょうか?」
「いい知らせだとありがたいんですけれどね」
アベルゾが取り出したのは白の騎士団から取り寄せた白の神殿が保管していた転生者の予言書。これはアガルダが転生者として転生させた者達以外の転生者達の情報も書かれていると聞いたアベルゾが白の騎士団に掛け合って手に入れた物であった。
その予言書を開いてあるページを開くと右手の人差し指である文面を指し示す。そこをガイアとフェランドも覗き込んで読み始める。
「君達以外にも運命の者達がいるという事が書かれています。君達にはその仲間を探しにスジエルから旅立ってもらいたいのです」
「仲間……俺達以外にも転生者がいる……」
「確かに魔神アガルダに対抗するには手数があった方がいい。でも、この広いオルガスタン大陸を探すのは骨が折れますよ?」
「そこは安心していいです。この予言書にエルフと人狼だと書かれている事から大体の場所をチェックしていますので、そこに向かい情報を集めて貰う事をしてもらえば自ずと情報が集まるかと思います」
アベルゾが地図を取り出してチェックしている箇所に記号を書き込んでいく。ハイエルフとエルフ、人狼の3組種族が住む場所はスジエルから北上する事、馬での移動で1か月が掛かる場所の巨大な古代林であった。
ガイアもフェランドも場所の確認を終えると身体を真っ直ぐに伸ばしてアベルゾと向き合う。アベルゾは2人の瞳を見つめて柔らかな微笑みを浮かべる。
「君達の運命を私は支えていくしか出来ません。しかし、これだけはハッキリと言えます……私達レジェース騎士団は運命に抗おうとする君達の味方である事を宣言しましょう」
「アベルゾさん……ありがとうございます!」
「その言葉だけ貰えれば頑張ってアガルダを撃破してやろうって気持ちになります」
「旅立ちはすぐにでも、と言いたいですが準備もあるでしょうから準備が整い次第向かって下さい。最悪な事に今は兵力を割く事は出来兼ねますから2人だけの旅になりますが……無事に戻ってくるのですよ」
「「はいっ!」」
こうしてガイアとフェランドは同じ運命の元に集う仲間を得る為にスジエルを旅立つ事となる。その為の準備を行う為に一度指令室から出た2人は城下町にアイテムの買い込みをしに訪れていた。
城下町は先日のエヴァ・アルフォードの死去の悲しみから徐々に普段通りの生活が送られてきて普段の賑わいを取り戻しつつあった。ガイアとフェランドはそんな城下町を歩きながら不意に思った事を話し合っていく。
「エヴァ様と団長、この事を見越して俺達の闇を払ってくれたのかな?」
「だと思うぞ。俺達の闇がどれだけ侵食していたのか見極めていたから命と引き換えに払ってくれた、と俺は考えている」
「だとしたら俺達負けられないね?」
「負けるなんて考えてねぇだろ」
「それもそっか!」
「フェランド、俺達は色々な人達の信頼・絆・命に支えられて今を生きている。それがどれだけ俺達の力になっているかは俺達は知らないとダメなんだ。そうだろう?」
「うんっ! 俺達には色々な人達が背後にいて支えてくれている。村の皆の願いもある……俺達はこのオルガスタンに光を、平和を取り戻す運命を果たすんだよな!」
「ここでの弱音は負けちまった時に吐き出すもんだ。今はまだ負けてない」
「俺達は勝って見せるんだ。俺達が俺達である為に!」
ガイアの右手をフェランドはそっと左手で握る。その控え目な行動にガイアも微笑みを浮かべながら優しく握り返す。
まだ2人にはやるべき事が沢山あると言っても過言じゃないし現実2人には希望を担う責任を持たないといけないのが現状だ。そう、世界樹の加護を引き継いだガイアとフェランドは運命と希望の騎士としての役目がある。
アイテムショップに向かって歩く2人は軍資金としてもらったルピア(通貨)が入った革袋を手にして必要な物のリストアップをしていく。そんな2人を見つめる暗黒の魔鳥がスジエルの上空にいた。
『……』
魔鳥が見つめている先にフェランドの姿が集中的に映されている。魔鳥の視線を通して水晶玉でフェランドを見つめるは魔神アガルダ。
アガルダはフェランドの姿を凝視してニヤリと口元を歪める。その笑みを見たヴェレネットも小さく微笑む。
「やはりこの若者がかの強大な魔力保持をしていたガラハッドの転生者か。ここまで明確にマナの濃さを見れば美味そうに見えて仕方ないな」
「やはり何が何でも手に入れたいところではございますね。手を打ちますか?」
「まずは揺さぶるのも面白そうではないか? 徐々に揺さぶり、そして絶望に染まって行く心はそこら辺の生娘達より美味い」
「ではまずはこの共にいる男に仕掛けますか?」
「それも一興だ。この男はコーネルドの転生者だろう。中々に頭の切れる男だったと覚えている……いっそ国を犠牲にさせて動揺を絶望に染めるのも悪くはない」
「アガルダ様の食事に最高の状態でご提供出来る様に、手を万全に尽くして参りたいなと思いますわ」
「ふふっ、そうでなくては面白くない。ヴェレネット……脱げ」
「……仰せのままに」
ブロンズの髪を纏めていたリボンをそのままに着ているドレスを脱いでいくヴェレネット。その露わになる裸体にアガルダは喉の奥を鳴らし右手を伸ばし豊満な乳房を摑む。
力など入っていないのに柔らかな乳房は指の形に歪み、プルンと揺れてアガルダの情欲を誘う。そのまま2人は大きなキングサイズのベッドの上で乱れていった。
――――
「えっと……これはいるだろ、これはいらない……」
アイテムショップから帰ってきたガイアとフェランドは旅立ちの為の準備を始めていた。1か月の2人だけの旅だと言われているが新人騎士になるまで2人で旅していた事もあって慣れてはいた。
ガイアはテキパキと旅の支度を済ませると自室で最後の休暇になるだろう半日を読書に費やすつもりで休んでいたし、フェランドは最後の時間だとしても荷物の再点検を忘れないで終わらせてから鍛錬へと時間を使っていた。それぞれが時間の許す限り日常を過ごしている時だった。
「失礼します」
「これはこれは。どうかされましたか大臣殿」
「先日王女からお話をされたかと思いますが、運命の騎士達が旅立つ前にどうしても行うべき儀式をお伝えに参りました」
「やはり王女は本気のお考えなのですか?」
「はい。ご自身の事よりも国を第一にお考えの王女ならではのお考えだと思います。だからこそユリウス様もご同意されたのでしょう」
「彼らにはどう映るのか……些か不安ではありますが」
アベルゾの元に訪れたのはスジエル城の大臣。彼の口から話される儀式についてはアベルゾも聞き及んでいるのでそれに合わせての会話になっていく。
王女であるルーベリド王女が何かを考えた上で儀式を行う事を大臣経由でアベルゾに知らせてきた、それは別におかしい事ではない。一国の王女と騎士団の騎士ともなれば通常のやり取りは家臣を通して行われるのが通常だと言える。
王女だから単独で城を出て騎士団に来る、との行為が出来たのはアルフォードやエヴァがいたからだ。だが、今2人はもういないので単独で城を出るのは出来ない。
「分かりました。彼らにも儀式には立ち会ってもらえる様連絡を致します。それで日時は?」
「助かります。それでは日時でございますが……」
アベルゾは大臣が城へと帰ってから側近の騎士にガイアとフェランドに儀式の立ち合いを命じる内容の指令書を発行する。それが届いたガイアとフェランドはなんの儀式か分からないままで立ち合いをする事となった。
儀式当日の朝。城下町にはレジェース騎士団と白の騎士団の騎士達による厳重な警護の中でパレードが始まる。
主役は王女ルーベリドとオルターナ国王子のユリウスの両名。ガイアとフェランドは2人の乗る馬車の両脇をハイクとディークに乗って警護していた。
馬車は先導する騎士達に引かれて城下町を練り歩くと城内の玉座の間に向かう様に城への道へと入って行く。ガイアとフェランドは城門まででいいのだろうかと迷っていると城門前でユリウスとルーベリドから従者伝いに玉座まで来る様にと伝えられる。
「一体何が行われているんだ?」
「俺達の立ち合いが必要だ、そう聞いているけれど何だろうね?」
ガイアとフェランドはハイクとディークを騎士達に預ければ玉座の間に向かって城の通路をゆっくりと歩いて向かう。途中でルーデリッシュとアベルゾ、数名の騎士達と合流すると全員で玉座の間に向かった。
「失礼致します。レジェース騎士団の一同参りました」
アベルゾの言葉に玉座の間の扉が静かに開かれて全員で中に足を踏み入れる。そして、玉座に座るルーベリドと隣に立つユリウスが出迎えると騎士達は2人の前に片膝を付いて礼儀を果たす。
ガイアとフェランドもアベルゾ達の後方で同じ様に礼儀を尽くしているとユリウスとルーベリドが顔を上げる様に言葉を掛ける。2人を久々に見たガイアとフェランドはその凛々しく成長した2人の姿に瞳を驚いて大きく開かせる。
「よくぞパレードの間の警護ありがとうございました」
「国民の方々に俺達の姿を見せれてこれで心置きなく儀式を行えます」
「我々は騎士としての勤めを果たしたまでの事でございます。それで、彼らにはお話するのでございますか?」
「そうですね。そろそろこの儀式の事を話でもいいかと思います。ガイア様、フェランド様」
「「はい」」
「私、ルーベリド・スジエル2世は……このスジエルを強固にし、そして、最後の希望国としての存在を高める為にオルターナ国の王子あられるユリウス様と婚姻します。それがどの様な意味を持つかは貴方方はお分かりになりますね?」
ルーベリドがそう告げてガイアとフェランドを優しく見つめる。2人は王女の言葉に理解が追い付かないのか驚いたまま固まっている。
王女の決意と婚姻の意味にガイアとフェランドは困惑のまま受け入れるしかない。だが、この決断の真意を知った時、2人は心からこのスジエルを護りたいと願うのだろう――――。
そもそも現在のレジェースを導く事が出来る人物の任命もまだされてないが、実質アベルゾが今レジェースの指揮権を得ているのを考えてこのままアベルゾが総団長になるべきだとの声も上がっている。だが、正式に任命がルーベリド王女からされるまではアベルゾは仮の司令官として動いているだけだと告げている。
「さて、君達にはある事実をお知らせしなくてはいけません」
「何でしょうか?」
「いい知らせだとありがたいんですけれどね」
アベルゾが取り出したのは白の騎士団から取り寄せた白の神殿が保管していた転生者の予言書。これはアガルダが転生者として転生させた者達以外の転生者達の情報も書かれていると聞いたアベルゾが白の騎士団に掛け合って手に入れた物であった。
その予言書を開いてあるページを開くと右手の人差し指である文面を指し示す。そこをガイアとフェランドも覗き込んで読み始める。
「君達以外にも運命の者達がいるという事が書かれています。君達にはその仲間を探しにスジエルから旅立ってもらいたいのです」
「仲間……俺達以外にも転生者がいる……」
「確かに魔神アガルダに対抗するには手数があった方がいい。でも、この広いオルガスタン大陸を探すのは骨が折れますよ?」
「そこは安心していいです。この予言書にエルフと人狼だと書かれている事から大体の場所をチェックしていますので、そこに向かい情報を集めて貰う事をしてもらえば自ずと情報が集まるかと思います」
アベルゾが地図を取り出してチェックしている箇所に記号を書き込んでいく。ハイエルフとエルフ、人狼の3組種族が住む場所はスジエルから北上する事、馬での移動で1か月が掛かる場所の巨大な古代林であった。
ガイアもフェランドも場所の確認を終えると身体を真っ直ぐに伸ばしてアベルゾと向き合う。アベルゾは2人の瞳を見つめて柔らかな微笑みを浮かべる。
「君達の運命を私は支えていくしか出来ません。しかし、これだけはハッキリと言えます……私達レジェース騎士団は運命に抗おうとする君達の味方である事を宣言しましょう」
「アベルゾさん……ありがとうございます!」
「その言葉だけ貰えれば頑張ってアガルダを撃破してやろうって気持ちになります」
「旅立ちはすぐにでも、と言いたいですが準備もあるでしょうから準備が整い次第向かって下さい。最悪な事に今は兵力を割く事は出来兼ねますから2人だけの旅になりますが……無事に戻ってくるのですよ」
「「はいっ!」」
こうしてガイアとフェランドは同じ運命の元に集う仲間を得る為にスジエルを旅立つ事となる。その為の準備を行う為に一度指令室から出た2人は城下町にアイテムの買い込みをしに訪れていた。
城下町は先日のエヴァ・アルフォードの死去の悲しみから徐々に普段通りの生活が送られてきて普段の賑わいを取り戻しつつあった。ガイアとフェランドはそんな城下町を歩きながら不意に思った事を話し合っていく。
「エヴァ様と団長、この事を見越して俺達の闇を払ってくれたのかな?」
「だと思うぞ。俺達の闇がどれだけ侵食していたのか見極めていたから命と引き換えに払ってくれた、と俺は考えている」
「だとしたら俺達負けられないね?」
「負けるなんて考えてねぇだろ」
「それもそっか!」
「フェランド、俺達は色々な人達の信頼・絆・命に支えられて今を生きている。それがどれだけ俺達の力になっているかは俺達は知らないとダメなんだ。そうだろう?」
「うんっ! 俺達には色々な人達が背後にいて支えてくれている。村の皆の願いもある……俺達はこのオルガスタンに光を、平和を取り戻す運命を果たすんだよな!」
「ここでの弱音は負けちまった時に吐き出すもんだ。今はまだ負けてない」
「俺達は勝って見せるんだ。俺達が俺達である為に!」
ガイアの右手をフェランドはそっと左手で握る。その控え目な行動にガイアも微笑みを浮かべながら優しく握り返す。
まだ2人にはやるべき事が沢山あると言っても過言じゃないし現実2人には希望を担う責任を持たないといけないのが現状だ。そう、世界樹の加護を引き継いだガイアとフェランドは運命と希望の騎士としての役目がある。
アイテムショップに向かって歩く2人は軍資金としてもらったルピア(通貨)が入った革袋を手にして必要な物のリストアップをしていく。そんな2人を見つめる暗黒の魔鳥がスジエルの上空にいた。
『……』
魔鳥が見つめている先にフェランドの姿が集中的に映されている。魔鳥の視線を通して水晶玉でフェランドを見つめるは魔神アガルダ。
アガルダはフェランドの姿を凝視してニヤリと口元を歪める。その笑みを見たヴェレネットも小さく微笑む。
「やはりこの若者がかの強大な魔力保持をしていたガラハッドの転生者か。ここまで明確にマナの濃さを見れば美味そうに見えて仕方ないな」
「やはり何が何でも手に入れたいところではございますね。手を打ちますか?」
「まずは揺さぶるのも面白そうではないか? 徐々に揺さぶり、そして絶望に染まって行く心はそこら辺の生娘達より美味い」
「ではまずはこの共にいる男に仕掛けますか?」
「それも一興だ。この男はコーネルドの転生者だろう。中々に頭の切れる男だったと覚えている……いっそ国を犠牲にさせて動揺を絶望に染めるのも悪くはない」
「アガルダ様の食事に最高の状態でご提供出来る様に、手を万全に尽くして参りたいなと思いますわ」
「ふふっ、そうでなくては面白くない。ヴェレネット……脱げ」
「……仰せのままに」
ブロンズの髪を纏めていたリボンをそのままに着ているドレスを脱いでいくヴェレネット。その露わになる裸体にアガルダは喉の奥を鳴らし右手を伸ばし豊満な乳房を摑む。
力など入っていないのに柔らかな乳房は指の形に歪み、プルンと揺れてアガルダの情欲を誘う。そのまま2人は大きなキングサイズのベッドの上で乱れていった。
――――
「えっと……これはいるだろ、これはいらない……」
アイテムショップから帰ってきたガイアとフェランドは旅立ちの為の準備を始めていた。1か月の2人だけの旅だと言われているが新人騎士になるまで2人で旅していた事もあって慣れてはいた。
ガイアはテキパキと旅の支度を済ませると自室で最後の休暇になるだろう半日を読書に費やすつもりで休んでいたし、フェランドは最後の時間だとしても荷物の再点検を忘れないで終わらせてから鍛錬へと時間を使っていた。それぞれが時間の許す限り日常を過ごしている時だった。
「失礼します」
「これはこれは。どうかされましたか大臣殿」
「先日王女からお話をされたかと思いますが、運命の騎士達が旅立つ前にどうしても行うべき儀式をお伝えに参りました」
「やはり王女は本気のお考えなのですか?」
「はい。ご自身の事よりも国を第一にお考えの王女ならではのお考えだと思います。だからこそユリウス様もご同意されたのでしょう」
「彼らにはどう映るのか……些か不安ではありますが」
アベルゾの元に訪れたのはスジエル城の大臣。彼の口から話される儀式についてはアベルゾも聞き及んでいるのでそれに合わせての会話になっていく。
王女であるルーベリド王女が何かを考えた上で儀式を行う事を大臣経由でアベルゾに知らせてきた、それは別におかしい事ではない。一国の王女と騎士団の騎士ともなれば通常のやり取りは家臣を通して行われるのが通常だと言える。
王女だから単独で城を出て騎士団に来る、との行為が出来たのはアルフォードやエヴァがいたからだ。だが、今2人はもういないので単独で城を出るのは出来ない。
「分かりました。彼らにも儀式には立ち会ってもらえる様連絡を致します。それで日時は?」
「助かります。それでは日時でございますが……」
アベルゾは大臣が城へと帰ってから側近の騎士にガイアとフェランドに儀式の立ち合いを命じる内容の指令書を発行する。それが届いたガイアとフェランドはなんの儀式か分からないままで立ち合いをする事となった。
儀式当日の朝。城下町にはレジェース騎士団と白の騎士団の騎士達による厳重な警護の中でパレードが始まる。
主役は王女ルーベリドとオルターナ国王子のユリウスの両名。ガイアとフェランドは2人の乗る馬車の両脇をハイクとディークに乗って警護していた。
馬車は先導する騎士達に引かれて城下町を練り歩くと城内の玉座の間に向かう様に城への道へと入って行く。ガイアとフェランドは城門まででいいのだろうかと迷っていると城門前でユリウスとルーベリドから従者伝いに玉座まで来る様にと伝えられる。
「一体何が行われているんだ?」
「俺達の立ち合いが必要だ、そう聞いているけれど何だろうね?」
ガイアとフェランドはハイクとディークを騎士達に預ければ玉座の間に向かって城の通路をゆっくりと歩いて向かう。途中でルーデリッシュとアベルゾ、数名の騎士達と合流すると全員で玉座の間に向かった。
「失礼致します。レジェース騎士団の一同参りました」
アベルゾの言葉に玉座の間の扉が静かに開かれて全員で中に足を踏み入れる。そして、玉座に座るルーベリドと隣に立つユリウスが出迎えると騎士達は2人の前に片膝を付いて礼儀を果たす。
ガイアとフェランドもアベルゾ達の後方で同じ様に礼儀を尽くしているとユリウスとルーベリドが顔を上げる様に言葉を掛ける。2人を久々に見たガイアとフェランドはその凛々しく成長した2人の姿に瞳を驚いて大きく開かせる。
「よくぞパレードの間の警護ありがとうございました」
「国民の方々に俺達の姿を見せれてこれで心置きなく儀式を行えます」
「我々は騎士としての勤めを果たしたまでの事でございます。それで、彼らにはお話するのでございますか?」
「そうですね。そろそろこの儀式の事を話でもいいかと思います。ガイア様、フェランド様」
「「はい」」
「私、ルーベリド・スジエル2世は……このスジエルを強固にし、そして、最後の希望国としての存在を高める為にオルターナ国の王子あられるユリウス様と婚姻します。それがどの様な意味を持つかは貴方方はお分かりになりますね?」
ルーベリドがそう告げてガイアとフェランドを優しく見つめる。2人は王女の言葉に理解が追い付かないのか驚いたまま固まっている。
王女の決意と婚姻の意味にガイアとフェランドは困惑のまま受け入れるしかない。だが、この決断の真意を知った時、2人は心からこのスジエルを護りたいと願うのだろう――――。
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