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2章
19話「運命と約束の涙」
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世界樹で生まれた妖精ミリーアは転生者であるガイア・フェランドの両名を始めとする騎士達に世界樹から伝えられた言葉を語り始める。その内容はガイアとフェランドだけではない、このオルガスタン大陸を巻き込んだ全ての生命を巻き込んだ大きな運命の始まりでもあった。
背中の羽根を休ませてアルフォードの肩に乗ったままで騎士達に話をし始めるミリーアは静かに小さな瞳を伏せる。それはこれから話す世界樹の言葉があまりにも大きな運命が迫っているからである。
「世界樹はこのオルガスタン大陸に秘められた運命を動かそうとしているアガルダを許す事は出来ないと話している。だけれども、それがアガルダの本当の目的であるある存在を復活させようとする事を止めて欲しい、そう願っているの」
「ある存在を復活させようとしている……? その存在については何か情報はあるのかい?」
「そもそも、世界樹はこのオルガスタン大陸に秘められた運命ってのを知っているって事になるが……それと俺達転生者になんの関係があるんだ?」
フェランドとガイアの言葉にアルフォードとアベルゾとルーデリッシュはミリーアがまるで何かの言葉を話す事を怖がっていると感じ取っていた。実際ミリーアはガイアとフェランドの2人が魔神アガルダの手により転生している者達だと知っているからこそ、この話をする事がどれだけ2人の運命を狂わせる事は間違いではないと知っているからだ。
そもそも、世界樹はこのオルガスタン大陸の全ての命を加護する力を持っている存在でもあるが、だからこそ世界樹は運命を変えてしまい兼ねないこの運命をガイアもフェランドも受け入れる覚悟は出来ている。
1人だけの問題ならきっとどうにも出来ない事かも知れないが、ガイアもフェランドもしっかりお互いの実力も心も魂も繋がり合っているからこそ、ミリーアの言葉を正面から聞く覚悟をしていた。
「それで、ミリーアは世界樹の言葉を聞いて俺達転生者に関わる事があるから話しにくいんだろうとは思うけれど、お願いだから話をしてくれるかい? 俺達はそんな簡単に負けたりはしないから安心してほしい」
「そうだな。俺やフェランドは確かに魔神アガルダの手によって転生させられたって言うのは聞いているし知っている。だからこそ、この先に待ち受ける運命を変えて世界を平和にする為に剣を握るんだ」
「……世界樹はこう告げていた。「運命の歯車を動かそうとする魔神アガルダはオルガスタン大陸の始まりの始祖であり、終わりを告げる破壊神バルシスを目覚めさせようとさせている。その破壊神バルシスはこのオルガスタン大陸の地下深くのある封印の地に封じられているの。その封印の地への入口はこのスジエルの地下湖の中にあると言われているわ」
「破壊神バルシスって……創世期に存在していたとされる秩序神ディゼッグの対として生み出された混沌の神じゃないか。それは本来おとぎ話の一部として伝えられてきた存在でもあるんじゃないか?」
ミリーアの言葉にガイアが首を傾げながら静かに問い掛ける。そう、ガイアを始めとする騎士達にとって破壊神バルシスと言う存在がどれだけの実態を持っているのかを実感出来ていないのが現状ではあった。
だが、ミリーアの言葉を聞いていたアルフォードは静かに考えていた言葉を口にする。その言葉はアルフォードが世界樹の加護を受けた騎士でもあるからこそ出た言葉である。
「破壊神バルシスは元々秩序神ディゼッグの力を近郊に保つ為に生み出された存在でもある。だからこそ、破壊神バルシスが存在していた時代の者達は知力と命を削って封印したと残された書物も残されていると聞く。下手に封印が解かれでもすればそれはこのオルガスタン大陸は破滅に向かう事は避けれないだろうな」
「その破壊神バルシスが転生者とどういう関係があるかは不透明ですが、団長……あくまで自分の主観ではありますけれども、破壊神バルシスは本来秩序神ディゼッグが蘇る前の前兆ではありませんか?」
「それだけ聞けばある意味破壊神バルシス復活は意味が深いんじゃないですか?」
「世界樹は破壊神バルシスは復活する時にどうしても必要な儀式があると言っていたわ。その儀式を魔神アガルダは既に終えていると言うの。このままだと魔神アガルダはオジナルの戦力を全投与してスジエルを掌握するだろうと思う。このままだと魔神アガルダは破壊神バルシスを復活させてオルガスタン大陸の消滅は免れないでしょうね」
ミリーアはそこまで話をして伏せていた瞳を開けてガイアとフェランドを見つめる。それは2人の魂は魔神アガルダの手に染まっている可能性は否定できない。
だからこそ、ミリーアはガイアとフェランドに視線を真っ直ぐに向けて小さな声である言葉を口にする。その言葉を耳に入れたガイアとフェランドの意識に強い衝撃を与えて2人は床に膝を着いて頭を抱え込んだ。
「ガイア君! フェランド君!」
「運命の鍵は転生者の魂に深く絡み合っている。その絡みは解く事も出来ない、それは同時にこの2人の命に関わる大きな剣が貫こうとする様に魂を拘束しているの」
「アベルゾ、ルーデリッシュ、君達も知るべきだろう……魔神アガルダの手によって転生させられた者達の魂に刻まれている本来の「呪い」について」
アルフォードは静かにガイアとフェランドの様子を見ながらアベルゾとルーデリッシュに話をし始める。それは転生者であるガイアとフェランドの運命を明白にする話でもあった。
魔神アガルダは生み落とされた瞬間からある野心を持ってこの世界に落とされた。神々の中で野心溢れるアガルダは他の神々に引けを取らない実力を身に宿す為に数多の神々の力と命をその身体に飲み込み糧にしてきていた。
だが、そのアガルダに危機を覚えた創造神ディゼッグと宇宙の始まりの神とも呼ばれる存在がある力をその世界に生きる者達に託したのである。その力を与えられた者達はその力を持って魔神アガルダへ戦いを挑む。
魔神アガルダを倒そうとしても、その身に宿る力と神々の魂が魔神アガルダの身体を守り、そして……強力な力を持って戦いを挑んできた者達を葬ってきたのである。だが、魔神アガルダの本来の目的は破壊神バルシスの力とその身に流れる神の血を取り込み、完全不可欠なる存在へと成り果てる事で完全なる不滅神になろうとしていたのであった。
その為に破壊神バルシスを復活させる為の封印を解く為にも力を高める為の「贄」が必要としていた。その「贄」というのが世界樹と秩序神ディゼッグに認められた人間達を殺し、魂を魔神アガルダの血を沁み込ませた魂を転生者の身体に宿させて力を高め、「贄」として質のいい状態になった瞬間に破壊神バルシスへの封印を解く為の「犠牲」として殺す事を計画していたのである。
そして、その世界樹は破壊神バルシスの復活はオルガスタン大陸だけの問題じゃない、「贄」である転生者の魂の救済も不可能になると確信を持ったのである。世界樹は世界を生み出した創造神ディゼッグと真なる創世神の声を聞く存在であり、同時に破壊神バルシスの心を安らぎへと導き癒しを与え、静かに眠らせる事が出来る存在でもあるのだ。
「全ての始まりは創造神ディゼッグと真なる創造神が破壊神バルシスの存在にある意味を持たせていたの。それは世界に混沌と秩序を乱す存在が覚醒し始めた時、秩序神ディゼッグ、そして、破壊神バルシスの2神が力を解放し世界の均衡を保つ事が出来れば全ては落ち着くと言われている。でも、今秩序神ディゼッグは深く長い眠りに着いていて目覚めさせる事だけは出来ない。結果、破壊神バルシスの目覚めと覚醒は世界の均衡を乱れさせるだけの結果になる。だからこそ、今「贄」であるこの転生者達に本当の意味で真実を、運命を知らないといけない」
ミリーアの話を聞いていたアベルゾとルーデリッシュ、アルフォードは静かにガイアとフェランドの運命に想いを寄せる。だからこそ、ガイアとフェランドには届いていた。
運命に飲み込まんとする強い衝撃は2人の魂を深いかき乱し、そして、深い位置にまで刃を組み込ませていく。その激痛は身体を引き裂き、魂を切り刻み、心を粉々に粉砕する程の激痛を与えて行く。
それでも、アルフォードとアベルゾとルーデリッシュは信じるしか出来ない。この2人の魂こそが本当の意味で長い時間を掛けて高められてきた力の鎖を断ち切る事が出来る事が出来るのは2人だけだと。
「ガイア、フェランド、お前達はこの先に待ち受けている本当の意味での戦いを勝ち抜く為にもここで負けてはならない。勝たねばお前達はこの先の未来を生き抜いて本当の希望を得る事は出来ない」
アルフォードの言葉はアベルゾとルーデリッシュの心にも深く刻まれる。それは転生者が代々宿してきた魂の自由を奪っていく。
ガイアもフェランドもその自由を奪われ苦しみ、痛み、自由になる為に抵抗をしている状態だ。だが、2人は決して屈する事はなかった……どれだけの激痛も、どれだけの闇であろうとも2人の心の中には決して消えない光があった。
「お、れは……おれ、たちは……」
「あきら、……めない……お、れ……たち……が……おれた……ちが……」
「負けるなガイア! フェランド!」
「貴方達はこんな場所で負ける様な騎士ではないでしょう! しっかり自分を保って下さい!」
アベルゾとルーデリッシュが声を掛けながらガイアとフェランドの身体を撫でて痛みを和らげようと務める。その身体に感じる温かさと優しさを感じて2人は必死に激痛に抗っていく。
そして、ガイアとフェランドの2人の双眸から透明な雫が流れ落ちる。それは痛みからの雫ではない、優しさに触れたからこそ、孤独じゃないからこそ、希望があるからこそ、負けたくないとの強い意思を感じるからこそ流れた涙であった。
2人の頬に流れる涙は約束を結ばせる。その約束はここにいる騎士達だけじゃない、世界樹の元で生まれた妖精であるミリーアにも強い決意と覚悟と意思を刻み込んだ。
全ては運命を歪ませるだけの問題ではない。だが、それを正せるのはその歪みを生み出した人間でもあるのであった――――。
背中の羽根を休ませてアルフォードの肩に乗ったままで騎士達に話をし始めるミリーアは静かに小さな瞳を伏せる。それはこれから話す世界樹の言葉があまりにも大きな運命が迫っているからである。
「世界樹はこのオルガスタン大陸に秘められた運命を動かそうとしているアガルダを許す事は出来ないと話している。だけれども、それがアガルダの本当の目的であるある存在を復活させようとする事を止めて欲しい、そう願っているの」
「ある存在を復活させようとしている……? その存在については何か情報はあるのかい?」
「そもそも、世界樹はこのオルガスタン大陸に秘められた運命ってのを知っているって事になるが……それと俺達転生者になんの関係があるんだ?」
フェランドとガイアの言葉にアルフォードとアベルゾとルーデリッシュはミリーアがまるで何かの言葉を話す事を怖がっていると感じ取っていた。実際ミリーアはガイアとフェランドの2人が魔神アガルダの手により転生している者達だと知っているからこそ、この話をする事がどれだけ2人の運命を狂わせる事は間違いではないと知っているからだ。
そもそも、世界樹はこのオルガスタン大陸の全ての命を加護する力を持っている存在でもあるが、だからこそ世界樹は運命を変えてしまい兼ねないこの運命をガイアもフェランドも受け入れる覚悟は出来ている。
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「それで、ミリーアは世界樹の言葉を聞いて俺達転生者に関わる事があるから話しにくいんだろうとは思うけれど、お願いだから話をしてくれるかい? 俺達はそんな簡単に負けたりはしないから安心してほしい」
「そうだな。俺やフェランドは確かに魔神アガルダの手によって転生させられたって言うのは聞いているし知っている。だからこそ、この先に待ち受ける運命を変えて世界を平和にする為に剣を握るんだ」
「……世界樹はこう告げていた。「運命の歯車を動かそうとする魔神アガルダはオルガスタン大陸の始まりの始祖であり、終わりを告げる破壊神バルシスを目覚めさせようとさせている。その破壊神バルシスはこのオルガスタン大陸の地下深くのある封印の地に封じられているの。その封印の地への入口はこのスジエルの地下湖の中にあると言われているわ」
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ミリーアの言葉にガイアが首を傾げながら静かに問い掛ける。そう、ガイアを始めとする騎士達にとって破壊神バルシスと言う存在がどれだけの実態を持っているのかを実感出来ていないのが現状ではあった。
だが、ミリーアの言葉を聞いていたアルフォードは静かに考えていた言葉を口にする。その言葉はアルフォードが世界樹の加護を受けた騎士でもあるからこそ出た言葉である。
「破壊神バルシスは元々秩序神ディゼッグの力を近郊に保つ為に生み出された存在でもある。だからこそ、破壊神バルシスが存在していた時代の者達は知力と命を削って封印したと残された書物も残されていると聞く。下手に封印が解かれでもすればそれはこのオルガスタン大陸は破滅に向かう事は避けれないだろうな」
「その破壊神バルシスが転生者とどういう関係があるかは不透明ですが、団長……あくまで自分の主観ではありますけれども、破壊神バルシスは本来秩序神ディゼッグが蘇る前の前兆ではありませんか?」
「それだけ聞けばある意味破壊神バルシス復活は意味が深いんじゃないですか?」
「世界樹は破壊神バルシスは復活する時にどうしても必要な儀式があると言っていたわ。その儀式を魔神アガルダは既に終えていると言うの。このままだと魔神アガルダはオジナルの戦力を全投与してスジエルを掌握するだろうと思う。このままだと魔神アガルダは破壊神バルシスを復活させてオルガスタン大陸の消滅は免れないでしょうね」
ミリーアはそこまで話をして伏せていた瞳を開けてガイアとフェランドを見つめる。それは2人の魂は魔神アガルダの手に染まっている可能性は否定できない。
だからこそ、ミリーアはガイアとフェランドに視線を真っ直ぐに向けて小さな声である言葉を口にする。その言葉を耳に入れたガイアとフェランドの意識に強い衝撃を与えて2人は床に膝を着いて頭を抱え込んだ。
「ガイア君! フェランド君!」
「運命の鍵は転生者の魂に深く絡み合っている。その絡みは解く事も出来ない、それは同時にこの2人の命に関わる大きな剣が貫こうとする様に魂を拘束しているの」
「アベルゾ、ルーデリッシュ、君達も知るべきだろう……魔神アガルダの手によって転生させられた者達の魂に刻まれている本来の「呪い」について」
アルフォードは静かにガイアとフェランドの様子を見ながらアベルゾとルーデリッシュに話をし始める。それは転生者であるガイアとフェランドの運命を明白にする話でもあった。
魔神アガルダは生み落とされた瞬間からある野心を持ってこの世界に落とされた。神々の中で野心溢れるアガルダは他の神々に引けを取らない実力を身に宿す為に数多の神々の力と命をその身体に飲み込み糧にしてきていた。
だが、そのアガルダに危機を覚えた創造神ディゼッグと宇宙の始まりの神とも呼ばれる存在がある力をその世界に生きる者達に託したのである。その力を与えられた者達はその力を持って魔神アガルダへ戦いを挑む。
魔神アガルダを倒そうとしても、その身に宿る力と神々の魂が魔神アガルダの身体を守り、そして……強力な力を持って戦いを挑んできた者達を葬ってきたのである。だが、魔神アガルダの本来の目的は破壊神バルシスの力とその身に流れる神の血を取り込み、完全不可欠なる存在へと成り果てる事で完全なる不滅神になろうとしていたのであった。
その為に破壊神バルシスを復活させる為の封印を解く為にも力を高める為の「贄」が必要としていた。その「贄」というのが世界樹と秩序神ディゼッグに認められた人間達を殺し、魂を魔神アガルダの血を沁み込ませた魂を転生者の身体に宿させて力を高め、「贄」として質のいい状態になった瞬間に破壊神バルシスへの封印を解く為の「犠牲」として殺す事を計画していたのである。
そして、その世界樹は破壊神バルシスの復活はオルガスタン大陸だけの問題じゃない、「贄」である転生者の魂の救済も不可能になると確信を持ったのである。世界樹は世界を生み出した創造神ディゼッグと真なる創世神の声を聞く存在であり、同時に破壊神バルシスの心を安らぎへと導き癒しを与え、静かに眠らせる事が出来る存在でもあるのだ。
「全ての始まりは創造神ディゼッグと真なる創造神が破壊神バルシスの存在にある意味を持たせていたの。それは世界に混沌と秩序を乱す存在が覚醒し始めた時、秩序神ディゼッグ、そして、破壊神バルシスの2神が力を解放し世界の均衡を保つ事が出来れば全ては落ち着くと言われている。でも、今秩序神ディゼッグは深く長い眠りに着いていて目覚めさせる事だけは出来ない。結果、破壊神バルシスの目覚めと覚醒は世界の均衡を乱れさせるだけの結果になる。だからこそ、今「贄」であるこの転生者達に本当の意味で真実を、運命を知らないといけない」
ミリーアの話を聞いていたアベルゾとルーデリッシュ、アルフォードは静かにガイアとフェランドの運命に想いを寄せる。だからこそ、ガイアとフェランドには届いていた。
運命に飲み込まんとする強い衝撃は2人の魂を深いかき乱し、そして、深い位置にまで刃を組み込ませていく。その激痛は身体を引き裂き、魂を切り刻み、心を粉々に粉砕する程の激痛を与えて行く。
それでも、アルフォードとアベルゾとルーデリッシュは信じるしか出来ない。この2人の魂こそが本当の意味で長い時間を掛けて高められてきた力の鎖を断ち切る事が出来る事が出来るのは2人だけだと。
「ガイア、フェランド、お前達はこの先に待ち受けている本当の意味での戦いを勝ち抜く為にもここで負けてはならない。勝たねばお前達はこの先の未来を生き抜いて本当の希望を得る事は出来ない」
アルフォードの言葉はアベルゾとルーデリッシュの心にも深く刻まれる。それは転生者が代々宿してきた魂の自由を奪っていく。
ガイアもフェランドもその自由を奪われ苦しみ、痛み、自由になる為に抵抗をしている状態だ。だが、2人は決して屈する事はなかった……どれだけの激痛も、どれだけの闇であろうとも2人の心の中には決して消えない光があった。
「お、れは……おれ、たちは……」
「あきら、……めない……お、れ……たち……が……おれた……ちが……」
「負けるなガイア! フェランド!」
「貴方達はこんな場所で負ける様な騎士ではないでしょう! しっかり自分を保って下さい!」
アベルゾとルーデリッシュが声を掛けながらガイアとフェランドの身体を撫でて痛みを和らげようと務める。その身体に感じる温かさと優しさを感じて2人は必死に激痛に抗っていく。
そして、ガイアとフェランドの2人の双眸から透明な雫が流れ落ちる。それは痛みからの雫ではない、優しさに触れたからこそ、孤独じゃないからこそ、希望があるからこそ、負けたくないとの強い意思を感じるからこそ流れた涙であった。
2人の頬に流れる涙は約束を結ばせる。その約束はここにいる騎士達だけじゃない、世界樹の元で生まれた妖精であるミリーアにも強い決意と覚悟と意思を刻み込んだ。
全ては運命を歪ませるだけの問題ではない。だが、それを正せるのはその歪みを生み出した人間でもあるのであった――――。
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