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1章
3話「希望を宿す転生者の騎士達」
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スジエルまで第4期騎士団はルーベリド王女の身を守りながら戻ってくる。オルガ国の復興にも人手は必要であるのでその人員を選別する為にも現地に赴いた第4期団の軍師騎士であるアベルゾとルーベリド王女の護衛をしているガイアとフェランドの話をアルフォード総団長は待っていた。
しかし、スジエルに戻ってきたガイアとフェランドはルーベリド王女の護衛を引き継ぐと少しの間騎士団本部から姿を消してしまう。行き先は伝えられていた事もあって総団長とアベルゾはその行き先に首を傾げていた。
「スジエル国内の僻地にあるガラの村と聞いているのか?」
「彼らの行き先を残した記録帳と馬小屋の人間からはそう聞いております。彼らの故郷……ではないでしょうか?」
「そうかも知れないな。今回のオルガ国救出では初陣の中で見事ルーベリド王女の護衛を務めた事もあったが、ゾンビのモンスターが元々は国民であった事に心を痛めている可能性もある。少し様子を見てもいいだろう」
「失礼します。ルーベリド王女がお見えでございます」
「どうされましたか王女」
「あの、私の護衛をして下さっていた騎士様達を知りませんか? お話をしたいと思って探しているのですが見当たらなくて……」
「彼らでしたら本部から少し離れております。行き先は判明しているので数日内には戻ると思われます」
「彼ら……本当に新人なのですか?」
「と、申しますと?」
「私には彼らが希望を担っている本当の騎士の様に見えて仕方ないのです。まるで運命を受け入れて希望を切り開く為だけに産まれてきたかのような……、そんな希望を抱かせるのです」
ルーベリド王女は両手を胸の前で重ねて握り締めながらオルガ国での彼らの勇姿を思い出す。アベルゾは王女の言葉と新人選抜でのガイア達の成績を照らし合わせて色々と可能性を考えて行く。
だが、総団長のアルフォードには全てが分かっているのか優しく微笑むとその場にいるアベルゾと王女の前でこう話を切り出す。そう、ガイア達は騎士団本部を離れる前に極秘にアルフォード総団長の元に来て事実を話す為にある本を置いて行ったのだ。
「彼らは希望を切り開いたある者達の転生者だと言っていいかと」
「転生者……?」
「総団長、それは一体どういう事なのですか? ガイアとフェランドの両名はまるで神の使いでもあるかの様なお話しぶりではありますが」
「この本を彼らは置いて行った。この本は世界樹の巫女であるカーネル巫女の身に下されし神託を書き残した神託の書だ。そこに残されていた神託にはこう書かれている。「神々の選択で産まれし希望を持つ者達、その者達は遥か古に人々の争いを鎮め、世界に秩序と調和をもたらし、そして神々の祝福を受けた者達の魂を宿す者達。その者達によってこのオルガスタンの世界はまた光に包まれて、神々の祝福を受けて光溢れる世界へと導く事になるだろう。そして、その者達は神に下されし使命と共に剣を握り、人々を救う騎士として魔人アガルダを討つ事を叶えるだろう」と書かれている」
「もしかして……神々の祝福を受けた者達の魂とは、内乱で苦しんでいた時代のオルガスタン大陸を種族調和を唱え、武力ではなく対話で平和に導いた2人の若者である「コーネルド」と「ガラハッド」ですか?」
「それが本当であるならガイアとフェランドの両名はそのコーネルドとガラハッドの転生者……。そうであるなら新人選抜の成績や此度のオルガ国救出時の功績を考えると辻褄が合いますね」
アベルゾは腕を組んで顎に指を添えて何かを考え込む。ルーベリド王女は神託の書を今一度確認する様に読み込むと信じられるのか小さく息を吐き出す。
総団長アルフォードは2人に向かってある事を提案した。アベルゾもルーベリド王女もそれに同意を示してガラの村へと迎えの者を送る事を決定するのであった。
「この村もあの日から何も変わってないな」
「本当にそう思う。小さいからここに住んでいる皆が家族で、皆が大事な存在だった。だから俺達が神託を受けた日も皆が盛大に祝って送り出してくれたんだ」
「ここから全てが始まった……あの日の祝いの記憶も、転生者としての記憶も、そして……絶望の始まりも」
「ここに戻るって時は何かが大きく動く時に自分達の決意を戒める為でもある。ガイア、俺達は戻ったのはいよいよなんだろ?」
「あぁ、総団長アルフォード様には神託の書を手渡して事実の一部分を知らせている。迎えが来たら俺達はもう新人騎士としてではなく、希望の騎士としてスジエルを導く騎士になってしまうだろう。だが、そこからが計画の始まりでもある。魔神アガルダを倒してこのオルガスタン世界に秩序と調和を取り戻し、神々の光に溢れた世界に戻す事が俺達に与えられた神々も計画だ」
黒い肩までの長さを持つ髪を風に揺らすフェランド、腰にまで伸ばした茶色の髪を肩から前に流してサイドで結んでいるガイア。2人の視線の先にはもう今は誰も住んでいない廃村になっているガラの村があった。
ガイア16歳、フェランド15歳、彼らがまだ騎士を目指す事も考えておらず同時に世界が絶望に飲まれているこのオルガスタン大陸で産まれて来た事に喜びを感じていた幼少期を過ごしていた村がガラの村。2人が真実を知って騎士を目指すキッカケになったのはガイア9歳、フェランド8歳の頃だった。
朝からモンスターの襲撃に怯えながら近くの畑を耕して生活する村人達と一緒に農業をしながら暮らしていた2人の元にある日訪れた巫女がいた。世界樹の巫女と呼ばれて騎士の国スジエルでは絶大な信用と人望を持つカーネルと呼ばれる巫女と護衛の騎士達がガラの村に訪れたのである。
「ここに子供はいますか? 男の子の2人を探しているのですが……」
「この村にいる子供は数人で殆どが女ですが、男は2人だけならいます。ですが、その子達が何かしたのですか? 大人しくていい子な子供達ですが……」
「会わせて下さい。もしかしたらその子供達はこの絶望に染まったオルガスタン大陸を救う希望の子供達かも知れないんです」
「希望の子供……、ガイアとフェランドを呼んできてくれー」
カーネルの言葉に村に戻ってきたばかりのガイアとフェランドが呼ばれる。2人は物心着く前に両親が他界し、お互いに身を寄せ合って村で生きていた。
そのガイア達に引き合わせてもらったカーネルは、地毛であるオレンジの髪で隠れた顔を出す様に耳に髪の毛を掛けてやってきたガイアとフェランドに微笑みを向ける。2人はカーネルの微笑みに首を傾げながら見上げた瞬間、背中に電気が走った様な衝撃を受けた。
「やはり。貴方達は遥か昔にこの内乱が続いていた時代にオルガスタン大陸を秩序と調和に導き、種族調和を成し遂げた2人の若き騎士のコーネルドとガラハッドの生まれ変わりですね。私のこの紋章を見て何か思い出しませんか?」
「あっ……」
「頭が……痛い……」
「巫女様、ガイア達は一体? 生まれ変わりって?」
カーネルは村人達にガイアとフェランドは神々に選ばれしコーネルドとガラハッドの転生者で、この大陸を支配する魔神アガルダを倒せる希望の者達である事を話す。それは同時に神々により神託が下されており、カーネルはガイア達を探していた事も告げるのであった。
神託に刻まれている内容は置いておいて、ガイアとフェランドは選ばれし子供だと知った村人達はそれは大いに喜び、困惑しているガイアとフェランドを祝った。カーネルは時が来たらスジエルに来て騎士となり大陸を救う為に戦って欲しい、そう残してガラの村を去って行った。
その夜、ガイアとフェランドは村中で祝わってもらい騎士としてスジエルに行く為の勉強や剣術の練習を始める。それが数年続いたある雨が降りしきる季節の朝だった。
「逃げろ! 皆! 逃げるんだー!」
「魔神軍が攻めてきた! 逃げないと殺されるぞ!」
「いやぁぁぁぁ!」
ガラの村に突如魔神アガルダの軍勢が攻め込んできたのである。村人達は女子供を優先的に逃がしはするもののモンスターに襲われ絶命していく。長老と慕われていた老人は自分の自宅の地下倉庫に連れてこられたガイアとフェランドを押し込めた。
当然ガイアもフェランドも抵抗するが老人の言葉に全てを悟ってしまった2人は言葉を失くして、聞こえてくる残虐な断末魔を聞きながら隠れているしかなかった。老人の残した言葉、それは……。
『オルガスタンに光を』
断末魔と闇のモンスター達の気配や他の気配も感じなくなったのは襲撃から半日が経過した頃。死体が重りになっているのか地下倉庫の扉をガイアとフェランドが協力して持ち上げて脱出した時、周囲は見る事も辛い程の血の海と化していた。
恐らく魔神アガルダは自分を倒す事が出来る運命の転生者であるガイアとフェランドの存在に気付いて消しに掛かったのだと、その時のガイアとフェランドは気付いてしまう。自分達がこの惨状を招いた原因である事に言葉も何も出なかった。
だが、フェランドがある事に気付く。ガイアも同じ様に気付いた……殺された村人達の顔は皆が安らかな死に顔をしているのである。
「死が救済だって言う事か……」
「それか俺達に希望を託したって事なのかな……」
「どちらにせよ、俺達はこのガラの村を滅ぼした魔神アガルダを倒さないといけないんだ。スジエルに行こう。俺達はまだこんな場所で死ぬ訳にはいかない」
「希望の騎士になってガラの村の皆が天国で誇れる騎士になってやるんだ」
ここに希望を宿す転生者の騎士を目指す青年達が立ち上がる。スジエルに向かう途中でも剣術の技術を上げる訓練を忘れたりしない上に、知識としての情報を勉強する事も忘れなかった2人はスジエルに到着後すぐに騎士団に入団。
見習い騎士として新人選抜が受けれるまでの技術と体力を鍛えて行った。そして、運命の新人選抜で見事2人揃ってトップ通過を果たし、世界樹の巫女であるカーネルの元に向かって自分達の役目を改めて知る事になる。
コーネルドとガラハッドの転生者としてガイアとフェランドはこのオルガスタン世界を救う騎士となる。それはどんなに絶望を与えられても希望を信じ続けた者達の未来を導く神々に愛された2人の若者の記録でもあった――――。
しかし、スジエルに戻ってきたガイアとフェランドはルーベリド王女の護衛を引き継ぐと少しの間騎士団本部から姿を消してしまう。行き先は伝えられていた事もあって総団長とアベルゾはその行き先に首を傾げていた。
「スジエル国内の僻地にあるガラの村と聞いているのか?」
「彼らの行き先を残した記録帳と馬小屋の人間からはそう聞いております。彼らの故郷……ではないでしょうか?」
「そうかも知れないな。今回のオルガ国救出では初陣の中で見事ルーベリド王女の護衛を務めた事もあったが、ゾンビのモンスターが元々は国民であった事に心を痛めている可能性もある。少し様子を見てもいいだろう」
「失礼します。ルーベリド王女がお見えでございます」
「どうされましたか王女」
「あの、私の護衛をして下さっていた騎士様達を知りませんか? お話をしたいと思って探しているのですが見当たらなくて……」
「彼らでしたら本部から少し離れております。行き先は判明しているので数日内には戻ると思われます」
「彼ら……本当に新人なのですか?」
「と、申しますと?」
「私には彼らが希望を担っている本当の騎士の様に見えて仕方ないのです。まるで運命を受け入れて希望を切り開く為だけに産まれてきたかのような……、そんな希望を抱かせるのです」
ルーベリド王女は両手を胸の前で重ねて握り締めながらオルガ国での彼らの勇姿を思い出す。アベルゾは王女の言葉と新人選抜でのガイア達の成績を照らし合わせて色々と可能性を考えて行く。
だが、総団長のアルフォードには全てが分かっているのか優しく微笑むとその場にいるアベルゾと王女の前でこう話を切り出す。そう、ガイア達は騎士団本部を離れる前に極秘にアルフォード総団長の元に来て事実を話す為にある本を置いて行ったのだ。
「彼らは希望を切り開いたある者達の転生者だと言っていいかと」
「転生者……?」
「総団長、それは一体どういう事なのですか? ガイアとフェランドの両名はまるで神の使いでもあるかの様なお話しぶりではありますが」
「この本を彼らは置いて行った。この本は世界樹の巫女であるカーネル巫女の身に下されし神託を書き残した神託の書だ。そこに残されていた神託にはこう書かれている。「神々の選択で産まれし希望を持つ者達、その者達は遥か古に人々の争いを鎮め、世界に秩序と調和をもたらし、そして神々の祝福を受けた者達の魂を宿す者達。その者達によってこのオルガスタンの世界はまた光に包まれて、神々の祝福を受けて光溢れる世界へと導く事になるだろう。そして、その者達は神に下されし使命と共に剣を握り、人々を救う騎士として魔人アガルダを討つ事を叶えるだろう」と書かれている」
「もしかして……神々の祝福を受けた者達の魂とは、内乱で苦しんでいた時代のオルガスタン大陸を種族調和を唱え、武力ではなく対話で平和に導いた2人の若者である「コーネルド」と「ガラハッド」ですか?」
「それが本当であるならガイアとフェランドの両名はそのコーネルドとガラハッドの転生者……。そうであるなら新人選抜の成績や此度のオルガ国救出時の功績を考えると辻褄が合いますね」
アベルゾは腕を組んで顎に指を添えて何かを考え込む。ルーベリド王女は神託の書を今一度確認する様に読み込むと信じられるのか小さく息を吐き出す。
総団長アルフォードは2人に向かってある事を提案した。アベルゾもルーベリド王女もそれに同意を示してガラの村へと迎えの者を送る事を決定するのであった。
「この村もあの日から何も変わってないな」
「本当にそう思う。小さいからここに住んでいる皆が家族で、皆が大事な存在だった。だから俺達が神託を受けた日も皆が盛大に祝って送り出してくれたんだ」
「ここから全てが始まった……あの日の祝いの記憶も、転生者としての記憶も、そして……絶望の始まりも」
「ここに戻るって時は何かが大きく動く時に自分達の決意を戒める為でもある。ガイア、俺達は戻ったのはいよいよなんだろ?」
「あぁ、総団長アルフォード様には神託の書を手渡して事実の一部分を知らせている。迎えが来たら俺達はもう新人騎士としてではなく、希望の騎士としてスジエルを導く騎士になってしまうだろう。だが、そこからが計画の始まりでもある。魔神アガルダを倒してこのオルガスタン世界に秩序と調和を取り戻し、神々の光に溢れた世界に戻す事が俺達に与えられた神々も計画だ」
黒い肩までの長さを持つ髪を風に揺らすフェランド、腰にまで伸ばした茶色の髪を肩から前に流してサイドで結んでいるガイア。2人の視線の先にはもう今は誰も住んでいない廃村になっているガラの村があった。
ガイア16歳、フェランド15歳、彼らがまだ騎士を目指す事も考えておらず同時に世界が絶望に飲まれているこのオルガスタン大陸で産まれて来た事に喜びを感じていた幼少期を過ごしていた村がガラの村。2人が真実を知って騎士を目指すキッカケになったのはガイア9歳、フェランド8歳の頃だった。
朝からモンスターの襲撃に怯えながら近くの畑を耕して生活する村人達と一緒に農業をしながら暮らしていた2人の元にある日訪れた巫女がいた。世界樹の巫女と呼ばれて騎士の国スジエルでは絶大な信用と人望を持つカーネルと呼ばれる巫女と護衛の騎士達がガラの村に訪れたのである。
「ここに子供はいますか? 男の子の2人を探しているのですが……」
「この村にいる子供は数人で殆どが女ですが、男は2人だけならいます。ですが、その子達が何かしたのですか? 大人しくていい子な子供達ですが……」
「会わせて下さい。もしかしたらその子供達はこの絶望に染まったオルガスタン大陸を救う希望の子供達かも知れないんです」
「希望の子供……、ガイアとフェランドを呼んできてくれー」
カーネルの言葉に村に戻ってきたばかりのガイアとフェランドが呼ばれる。2人は物心着く前に両親が他界し、お互いに身を寄せ合って村で生きていた。
そのガイア達に引き合わせてもらったカーネルは、地毛であるオレンジの髪で隠れた顔を出す様に耳に髪の毛を掛けてやってきたガイアとフェランドに微笑みを向ける。2人はカーネルの微笑みに首を傾げながら見上げた瞬間、背中に電気が走った様な衝撃を受けた。
「やはり。貴方達は遥か昔にこの内乱が続いていた時代にオルガスタン大陸を秩序と調和に導き、種族調和を成し遂げた2人の若き騎士のコーネルドとガラハッドの生まれ変わりですね。私のこの紋章を見て何か思い出しませんか?」
「あっ……」
「頭が……痛い……」
「巫女様、ガイア達は一体? 生まれ変わりって?」
カーネルは村人達にガイアとフェランドは神々に選ばれしコーネルドとガラハッドの転生者で、この大陸を支配する魔神アガルダを倒せる希望の者達である事を話す。それは同時に神々により神託が下されており、カーネルはガイア達を探していた事も告げるのであった。
神託に刻まれている内容は置いておいて、ガイアとフェランドは選ばれし子供だと知った村人達はそれは大いに喜び、困惑しているガイアとフェランドを祝った。カーネルは時が来たらスジエルに来て騎士となり大陸を救う為に戦って欲しい、そう残してガラの村を去って行った。
その夜、ガイアとフェランドは村中で祝わってもらい騎士としてスジエルに行く為の勉強や剣術の練習を始める。それが数年続いたある雨が降りしきる季節の朝だった。
「逃げろ! 皆! 逃げるんだー!」
「魔神軍が攻めてきた! 逃げないと殺されるぞ!」
「いやぁぁぁぁ!」
ガラの村に突如魔神アガルダの軍勢が攻め込んできたのである。村人達は女子供を優先的に逃がしはするもののモンスターに襲われ絶命していく。長老と慕われていた老人は自分の自宅の地下倉庫に連れてこられたガイアとフェランドを押し込めた。
当然ガイアもフェランドも抵抗するが老人の言葉に全てを悟ってしまった2人は言葉を失くして、聞こえてくる残虐な断末魔を聞きながら隠れているしかなかった。老人の残した言葉、それは……。
『オルガスタンに光を』
断末魔と闇のモンスター達の気配や他の気配も感じなくなったのは襲撃から半日が経過した頃。死体が重りになっているのか地下倉庫の扉をガイアとフェランドが協力して持ち上げて脱出した時、周囲は見る事も辛い程の血の海と化していた。
恐らく魔神アガルダは自分を倒す事が出来る運命の転生者であるガイアとフェランドの存在に気付いて消しに掛かったのだと、その時のガイアとフェランドは気付いてしまう。自分達がこの惨状を招いた原因である事に言葉も何も出なかった。
だが、フェランドがある事に気付く。ガイアも同じ様に気付いた……殺された村人達の顔は皆が安らかな死に顔をしているのである。
「死が救済だって言う事か……」
「それか俺達に希望を託したって事なのかな……」
「どちらにせよ、俺達はこのガラの村を滅ぼした魔神アガルダを倒さないといけないんだ。スジエルに行こう。俺達はまだこんな場所で死ぬ訳にはいかない」
「希望の騎士になってガラの村の皆が天国で誇れる騎士になってやるんだ」
ここに希望を宿す転生者の騎士を目指す青年達が立ち上がる。スジエルに向かう途中でも剣術の技術を上げる訓練を忘れたりしない上に、知識としての情報を勉強する事も忘れなかった2人はスジエルに到着後すぐに騎士団に入団。
見習い騎士として新人選抜が受けれるまでの技術と体力を鍛えて行った。そして、運命の新人選抜で見事2人揃ってトップ通過を果たし、世界樹の巫女であるカーネルの元に向かって自分達の役目を改めて知る事になる。
コーネルドとガラハッドの転生者としてガイアとフェランドはこのオルガスタン世界を救う騎士となる。それはどんなに絶望を与えられても希望を信じ続けた者達の未来を導く神々に愛された2人の若者の記録でもあった――――。
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