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2:貴方の大事なもの
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私の恋人はいつも真っ直ぐで素直で隠し事が出来ない素敵な人。
だから、私に隠れてこそこそと何かをしているのには気付かなかった。
恋人の楓君、彼の部屋を掃除していた時に見付けた小箱、それが気になって開けようかなと思っていたけれど、そこに楓君の声が聞こえてくる。
「ただいま~」
「!、あ、お帰りなさい」
「あっ……弥生さん、見た?」
「中身?」
「う、うん……」
「見てないよ。でも見たいな?」
「だ、ダメ! 気にしないでいいから!」
「楓君?」
「掃除は自分でするから出て行って!」
「!?」
部屋から追い出された私は唖然としながら、疑ってしまう。
彼が私に隠し事をしている、それが酷く心に疑いが浮かんでしまう。
その日は会話はあまりなくて、一緒に寝る部屋に私は行かなかった。
疑いたくない、でもあの態度はどう考えても私に隠し事をしている、それを教えてくれない……誰かにプレゼントする為に用意したんじゃ? と考えてリビングのソファーで寝てしまっていた。
翌朝、私は楓君が起きてくる前に朝食とお弁当を準備してからメモを残して、家を飛び出した……今は顔を見るのも辛いから。
公園に来てポカポカの陽気に包まれて騒めく心がそっと落ち着いていくのを感じていたけれど、楓君の事を考えると心が重くなってしまう。
ベンチに座って色々と考えてしまう、でも、涙がポロリと膝に落ちてズボンにシミを作る。
1回落ちたら溢れ始めて誰もいない公園で声を殺して泣いていた、2時間くらい公園にいただろうか……泣き疲れた私はもう楓君も家を出ただろうと帰宅する事にした。
「ただいま……っていないか……」
「弥生さん!」
「!、あ……っ」
「弥生!」
「離して!」
「落ち着いて! ちゃんと話すから!」
「やだ! 聞きたくない!」
「弥生! 信じて!」
「っ……うわぁぁぁ!」
いないと思っていた楓君が玄関に入った私に不安そうな顔でリビングから飛び出て来て、顔を見た私は逃げようと玄関を開けようとした、でも、瞬時に楓君が背後から腕を掴んで引き留めてきて胸元に抱き寄せて逃がさないという様に腰と後頭部に手を置かれると、私はたまらず大泣きして胸元に顔を埋めてしまう。
リビングのソファーで抱き合いながら泣き止むまで背中を撫でてくれている楓君は、私が落ち着いた頃に顔を覗き込んで瞳を見つめてくると、そっと微笑んでくれた。
「弥生さん……昨日はごめん。でも、あれは弥生さんに渡す為に用意していたんだ」
「ならどうして見せてくれなかったの……?」
「今日、何の日か覚えている?」
「今日……?」
楓君の言葉に日付を確認する様に壁掛けのカレンダーへ視線を向けると、そこには花丸が書き込まれている、何かの記念日だっただろうか? と考えていると楓君がクスクスと笑いながら優しく私の頬に手を添えて教えてくれた。
「今日は同棲し始めて半年目の記念日だよ」
「もう半年も経つの?」
「うん。だから、そろそろ未来を考えてもいいんじゃないかなって」
「?」
「……左手出して?」
楓君の右手に左手を乗せると、昨日見た小箱が取り出されて箱を開けられて取り出されたのは、シルバーリング。
そのリングを私の左手の薬指に通して付けると楓君はそっとリングに口付けて、ハッキリと告げてくる。
「弥生さん、俺と結婚して下さい」
「!!」
「今日、ちゃんとプロポーズしたくて……だから昨日見られたらって焦っちゃって」
「それじゃ……」
「この指輪が大事な物にお互いがなる様にしたかったから。……弥生、愛している」
「楓ぇ……」
また泣き出す私を抱き締めて涙を吸い取ってくれてそのまま私達は婚約する事になる。
貴方の大事なもの、それは私の大事なものにもなりました。
この日を私はずっと忘れないでしょう――――。
だから、私に隠れてこそこそと何かをしているのには気付かなかった。
恋人の楓君、彼の部屋を掃除していた時に見付けた小箱、それが気になって開けようかなと思っていたけれど、そこに楓君の声が聞こえてくる。
「ただいま~」
「!、あ、お帰りなさい」
「あっ……弥生さん、見た?」
「中身?」
「う、うん……」
「見てないよ。でも見たいな?」
「だ、ダメ! 気にしないでいいから!」
「楓君?」
「掃除は自分でするから出て行って!」
「!?」
部屋から追い出された私は唖然としながら、疑ってしまう。
彼が私に隠し事をしている、それが酷く心に疑いが浮かんでしまう。
その日は会話はあまりなくて、一緒に寝る部屋に私は行かなかった。
疑いたくない、でもあの態度はどう考えても私に隠し事をしている、それを教えてくれない……誰かにプレゼントする為に用意したんじゃ? と考えてリビングのソファーで寝てしまっていた。
翌朝、私は楓君が起きてくる前に朝食とお弁当を準備してからメモを残して、家を飛び出した……今は顔を見るのも辛いから。
公園に来てポカポカの陽気に包まれて騒めく心がそっと落ち着いていくのを感じていたけれど、楓君の事を考えると心が重くなってしまう。
ベンチに座って色々と考えてしまう、でも、涙がポロリと膝に落ちてズボンにシミを作る。
1回落ちたら溢れ始めて誰もいない公園で声を殺して泣いていた、2時間くらい公園にいただろうか……泣き疲れた私はもう楓君も家を出ただろうと帰宅する事にした。
「ただいま……っていないか……」
「弥生さん!」
「!、あ……っ」
「弥生!」
「離して!」
「落ち着いて! ちゃんと話すから!」
「やだ! 聞きたくない!」
「弥生! 信じて!」
「っ……うわぁぁぁ!」
いないと思っていた楓君が玄関に入った私に不安そうな顔でリビングから飛び出て来て、顔を見た私は逃げようと玄関を開けようとした、でも、瞬時に楓君が背後から腕を掴んで引き留めてきて胸元に抱き寄せて逃がさないという様に腰と後頭部に手を置かれると、私はたまらず大泣きして胸元に顔を埋めてしまう。
リビングのソファーで抱き合いながら泣き止むまで背中を撫でてくれている楓君は、私が落ち着いた頃に顔を覗き込んで瞳を見つめてくると、そっと微笑んでくれた。
「弥生さん……昨日はごめん。でも、あれは弥生さんに渡す為に用意していたんだ」
「ならどうして見せてくれなかったの……?」
「今日、何の日か覚えている?」
「今日……?」
楓君の言葉に日付を確認する様に壁掛けのカレンダーへ視線を向けると、そこには花丸が書き込まれている、何かの記念日だっただろうか? と考えていると楓君がクスクスと笑いながら優しく私の頬に手を添えて教えてくれた。
「今日は同棲し始めて半年目の記念日だよ」
「もう半年も経つの?」
「うん。だから、そろそろ未来を考えてもいいんじゃないかなって」
「?」
「……左手出して?」
楓君の右手に左手を乗せると、昨日見た小箱が取り出されて箱を開けられて取り出されたのは、シルバーリング。
そのリングを私の左手の薬指に通して付けると楓君はそっとリングに口付けて、ハッキリと告げてくる。
「弥生さん、俺と結婚して下さい」
「!!」
「今日、ちゃんとプロポーズしたくて……だから昨日見られたらって焦っちゃって」
「それじゃ……」
「この指輪が大事な物にお互いがなる様にしたかったから。……弥生、愛している」
「楓ぇ……」
また泣き出す私を抱き締めて涙を吸い取ってくれてそのまま私達は婚約する事になる。
貴方の大事なもの、それは私の大事なものにもなりました。
この日を私はずっと忘れないでしょう――――。
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