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第三十三話〜思いがけない告白②〜※
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「絃ちゃんがこれから他の男と付き合うとか、他の男とヤるとか考えるだけで吐き気がする」
「そんな……どうして……?」
何故彼はこんな事を言うのだろう?
私を好き?
そんな訳ない。
高校時代に彼が失恋した相手は、私とは全く違うタイプの可愛らしい人だった。
ふわふわの甘ったるい雰囲気を纏った、見るからに男子が好みそうな〝女の子〟ぽい女性ひと。
だから、彼が私を好きになる要素なんてどこにもない。
困惑のあまり顔が歪む。
「何で分からないかなぁ。あんなに何度も深いところで繋がったのに」
「だってそれは……」
最初のきっかけを作ったのは私で。
再会した時のは半分冗談で。
その次は……?
もう何が何だか分からない。
「確かに高校の時は誘いに乗っただけだったよ。でも今は好きだから。絃ちゃんと付き合いたいから、あんなに何度も求めてるんだよ。……ここまで言っても分からない?」
「だ、ダメなの。ほっしーとは付き合えないの」
言葉に詰まり震える声を、どうにか残された勇気と共に絞り出す。
この短期間で何度も身体を繋げた結果、彼が私に情のようなものを抱いたとして、じゃあ私は……?
嫌。
また誰かを好きになって、また別れる事になったら。
焦がれて、その人だけを求めて、その人しか見えなくなって、でもまた浮気されたら?
もう二度と笑顔で会えないような関係になったら?
それが彼だと思うと、それだけで胸が押しつぶされそうなほど苦しい。
「あ、そ。じゃあ、セフレならいい? 絃ちゃん俺とするの気持ち良さそうだし、これからもしようよ?」
「なん、そん……」
何でそんな事言うの?
言葉セフレの意味が理解出来ない。
空模様と同じ仄暗さを孕んだ笑顔に、背筋が凍りつき舌が回らなくなる。
「絃ちゃんの元気が出るようにこれからもこうして会って、セックスして、どこまでも優しくしてあげる」
「んむぅ!」
力任せに顎を掴まれ唇を塞がれる。
と同時に、一雫の涙が頬を伝った。
これは何の涙なのか、何故次から次へと瞳に膜が張るのか、自分でも説明が出来そうにない。
ただ一つだけ言えるのは、サラッとした唇の感触に思考まで簡単に奪われてしまうという事だけ。
「泣き顔初めて見た。他の男ヤツにはこんな可愛い顔見せないで。全部俺だけ。今度こそ誰にも渡さないから」
息つく間もなく唇を塞がれ、吐く息さえも飲み込んでしまいそうなほど激しいキスの嵐。
自分に向けられる劣情に戸惑いを隠せない。
「ま、待って……んっ、ダメぇ……まっ……」
手元にあった筈のバッグはいつの間にか姿を消し、背後のソファへ押し倒される。
右手を掴まれ左手を掴まれ一纏めにされた手首は、到底叶わない力によって座面に押さえつけられた。
「そんな……どうして……?」
何故彼はこんな事を言うのだろう?
私を好き?
そんな訳ない。
高校時代に彼が失恋した相手は、私とは全く違うタイプの可愛らしい人だった。
ふわふわの甘ったるい雰囲気を纏った、見るからに男子が好みそうな〝女の子〟ぽい女性ひと。
だから、彼が私を好きになる要素なんてどこにもない。
困惑のあまり顔が歪む。
「何で分からないかなぁ。あんなに何度も深いところで繋がったのに」
「だってそれは……」
最初のきっかけを作ったのは私で。
再会した時のは半分冗談で。
その次は……?
もう何が何だか分からない。
「確かに高校の時は誘いに乗っただけだったよ。でも今は好きだから。絃ちゃんと付き合いたいから、あんなに何度も求めてるんだよ。……ここまで言っても分からない?」
「だ、ダメなの。ほっしーとは付き合えないの」
言葉に詰まり震える声を、どうにか残された勇気と共に絞り出す。
この短期間で何度も身体を繋げた結果、彼が私に情のようなものを抱いたとして、じゃあ私は……?
嫌。
また誰かを好きになって、また別れる事になったら。
焦がれて、その人だけを求めて、その人しか見えなくなって、でもまた浮気されたら?
もう二度と笑顔で会えないような関係になったら?
それが彼だと思うと、それだけで胸が押しつぶされそうなほど苦しい。
「あ、そ。じゃあ、セフレならいい? 絃ちゃん俺とするの気持ち良さそうだし、これからもしようよ?」
「なん、そん……」
何でそんな事言うの?
言葉セフレの意味が理解出来ない。
空模様と同じ仄暗さを孕んだ笑顔に、背筋が凍りつき舌が回らなくなる。
「絃ちゃんの元気が出るようにこれからもこうして会って、セックスして、どこまでも優しくしてあげる」
「んむぅ!」
力任せに顎を掴まれ唇を塞がれる。
と同時に、一雫の涙が頬を伝った。
これは何の涙なのか、何故次から次へと瞳に膜が張るのか、自分でも説明が出来そうにない。
ただ一つだけ言えるのは、サラッとした唇の感触に思考まで簡単に奪われてしまうという事だけ。
「泣き顔初めて見た。他の男ヤツにはこんな可愛い顔見せないで。全部俺だけ。今度こそ誰にも渡さないから」
息つく間もなく唇を塞がれ、吐く息さえも飲み込んでしまいそうなほど激しいキスの嵐。
自分に向けられる劣情に戸惑いを隠せない。
「ま、待って……んっ、ダメぇ……まっ……」
手元にあった筈のバッグはいつの間にか姿を消し、背後のソファへ押し倒される。
右手を掴まれ左手を掴まれ一纏めにされた手首は、到底叶わない力によって座面に押さえつけられた。
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