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第十九話〜初めての夜⑧〜※

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「ハァッ……ハァッ……はぁ……」

「絃ちゃんイッたの?」

「わか、んなぃ……の。わたし……あんまり、イクってよくしらない……」

「そうなんだ。じゃあ、今からもっと二人で気持ちよくなろうか?」

 ふわふわする中耳朶をはむっと啄まれ、耳元で囁く心地良い掠れ声に、身体がゾクゾクっと震えた。

 履いてるものを下ろす音、避妊具のパッケージを開ける音、ほっしーが響かせる一つ一つの音がこの後の事を充分に期待させる。

 その期待に応えるように、クチュクチュと入口を刺激した熱い塊が、ぬぷっと蜜口に侵入してくる。

「あぁ……んっ……」

 まず先端を少しずつ飲み込み、彼の全てを、私の身体全体で受け入れていく。

 彼の形を馴染ませるように、あの頃よりもずっと逞しくなった背中に腕を回した。
 温かくて、私よりもずっと大きくて、包み込まれるような安心感に涙が出そうになる。
 このままずっと、お互いの温もりを感じて一つに溶け合いたい。

「絃ちゃん、こうしているのもいいんだけど……そろそろ動いてもいい?」

 黙って頷き、もう一度ギュッと背中にしがみつく。

「俺の事ギュウギュウに締め付けてる」

「きもちいいの? わたしの、なか……きもちいい?」

 下から見上げて言うと、ほっしーは目を細めてふっ、と笑った。

「絃ちゃんって……何気に煽るのが上手だよね」

 ほっしーは私の瞼に優しいキスを落とし、ゆるゆると律動を始める。

「あっ……ぁん♡」

 膣内をぐるっと何度もかき混ぜるような腰つきに、足先にビリビリと電気のような痺れが走った。

「ひっ――あっ――それダメ……なんか……なんか、へんになる……」

「あーヤバい。最高に気持ちいいかも……」

 耳元で囁く低い声がくすぐったくて、身体の一番奥深いところが、何度もきゅんきゅん彼を締め付ける。
 どれだけ奥で繋がっていても、まだ足りないのか、熱い塊は益々質量を増していき――

「くっ……あ、締め付け過ぎだって」

「ん……あっ! そんなにおくはダメぇ! ぁっ! あんっ!」

 更に一層奥深くまで何度も激しく突かれた時、全身を心地良い痺れが駆け巡った。

「ほっしー! ひっ……あっっ…………」

「いと、ちゃん……っっ……うっ――」


「あ~~~~~~!!」

 薄い皮膜越しに熱い飛沫が脈打つ。

 荒々しく短い息を吐き出したほっしーは、呼吸を整えるようにフーっと深呼吸を繰り返す。
 そして、糸の切れた操り人形のごとく、グニャリと力を失い私の肩口に顔を埋めた。

 ドクドクドクドク。
 
 激しく脈打つ鼓動に、何故かまた胸がきゅっとする。
 こんな感情は間違っているのかもしれない。
 そう、きっと間違ってる。
 彼はただ、可哀想な私を慰めてくれただけ。
 手触りの良い彼の柔らかな髪をゆっくりと撫で、湧き上がる感情にそっと蓋をした。
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