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...好きな人と婚約できて、愛し合っていた。
幸せ絶頂の時だと思っていた...私が馬鹿だったのでしょうか?

私は今日、知ってしまいました。
貴方が私に婚約を申し込んだのは、本命の人に振られてしまったからだと。
それを聞いて、私はとてつもなく、怒りが沸きました。


「じゃあ、貴方の『愛してる』という言葉は、嘘だったのですか?」
私は聞いた。
それで、『私だけを愛している』とでも言ってくれれば許してあげるつもりだった。

「嘘...じゃないけど。
社交辞令?」
...は?
社交辞令...だったの?
じゃあ、私が今まで貴方を愛していたのも全部無駄だったってこと??

もう、いいや。
貴方とこれからやっていける自信がない。
「...。
...そんなに言うなら婚約破棄しましょう。」

そうすると、貴方は黙って頷いた。
(...本当になんなのかしら。)
「それじゃ、
さようなら。」

私は、家を出て行った。
(...だけれど、これからどうしようかしら?)
生憎、私の両親はもう他界してしまっていて、頼れる人もいない。
(...!
頼れる人、いるじゃない。)
私はダメ元でその人の元に行ってみることにした。

「ごめん下さい。
久しぶり、覚えてる?」
それは、私の昔の親友で、隣国の王太子。
今はこの国に留学中で、「自然が好きだから」と質素な家に住んでいる。

「あぁ、久しぶり!
どうしたの?こんな急に。」
...私は自然と涙が出ていた。
「わぁ!?泣かないで、大丈夫だよ?」

......あの後、私は全部を話した。
悲しくて、傷付いたとかも、全て。
あまりこういうことは他人に話すべきではないのかもしれないけれど...。
でも不思議と、親友には話せた。

「...そっか、そんなことがあったんだね。
もちろん、僕の家に泊まってって大丈夫だからね。」
「...ありがとう。
...だけど、この先が不安で...。
私にこれから婚約者なんて、出来るのかな、?」
不安で、つい余計なことを言った。

「絶対、君を好きって言ってくれる人、いるよ。
...例えば、目の前に居るじゃん、ね?」
「…え?」
「好きだよ。
今は考えられなくてもいいから、少しずつ考えてみてくれない?
よければ、結婚してほしい。」

...えぇ~~~!?!?
......私の事を好きってこと?


...あの時、私は困惑してしまったけれど、少しずつ意識していき、婚約をした。
彼は、元婚約者とは違って誠実な方だった。
悲しい別れの後は、とっても幸せになれました!
あの時婚約破棄していて、本当に良かった~!!
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