悪役令嬢は自分の従者と恋をしたい。

久遠りも

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俺の独白【ツリパー視点】

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※今回はツリパー視点となります~!!ほとんど独白ですが、ぜひご覧あれっ!!
________


部屋の窓を見ながら、俺はぼーっと考え事をしている。
…もう真夜中の二時だけど。

…久しぶりに、夢を見た。
俺たちが、純粋な、主従関係なんて知らなかった、小さい頃。

夢の中では、俺たちが楽しそうに遊んでいた。

「ねぇ、ツリパー!
こっちに来てだるまさんが転んだしましょ!」
…クルル様の、無邪気な目。

「え…俺はいいよ。」
「そんなこと言わないでっ!ほらほら!」
強引にクルル様に引きずられて、結局は、一緒に遊んでたっけ。


「ほら、案外やってみると楽しいでしょ?」
「…うん、楽しい。
ありがとう、クルル。」

…あぁ、そうだ。
昔は、クルル様って、言ってなかったな。

俺たちを探す大人から、必死に逃げて、笑いあって、。
とっても楽しかった。



「ねぇ、クルル。」
「なぁに?」

____
「俺たち、大人になっても、ずっと遊んでいられるかな、?」

今になって気づいた。クルル様の悲しそうに、笑う声。
「もちろん。
きっとそうだよ、?」

クルル様は、小さい頃から頭が良かった。
学力があるとか、そんなものではなく、聡明なのだ。

…だからきっと、俺が従者の家系で生まれた以上、自分の従者になることは分かっていたのだろう。

クルル様は震えた声で。
「…ねえ、ツリパー?
大人になったら、私と、結婚して。
この運命から、一緒に逃げよ、?」

この時の俺は、まだ何も知っていなかった。
こんなにも、未熟で、純粋過ぎる俺は、
「うん!
もちろんっ!結婚しようね!」
…なんて、言ったんだよな。

ねえ、クルル様、俺も、好きで、大好きで。堪らないんですよ。
でも、二人がどんなに好き同士でも、運命はそれを許してはくれない。
あぁ、神様、俺たちをどれだけ苦しめたら、気が済むのですか。

…神に縋る、午前三時。








「_一緒に逃げれたのなら、それはどんなに幸せだっただろうか。」
そんなことを呟いた。俺の独白。






目が覚めると、時計の針が8を指していた。
つまり、8時!!大寝坊だ!

もういっそ諦めて寝るか…。そんなことを考えていた時、クルル様が部屋を訪ねてきた。
「ツリパー!
いつまで寝てるの?もう八時よ~!」

母親かな??
そう思いつつ、扉を開けた。

「…おはようございます。クルル様。」
「…身支度もしてないじゃない。
貴方がそんなに寝坊なんて、珍しいわね。」
俺自身もびっくりした。

クルル様が少しだけ呆れながら、
「…なんか、あった?
やっぱり、私の事で悩んでる、?」

「そうですよ、」なんて、簡単に言えない。嘘つきの俺。
…クルル様と一緒だなぁ。

「やだなぁ、そんなわけないじゃないですか。
何にもありませんよ~!!自意識過剰なんじゃないですかぁ~~~??」
と俺が冗談気味に言うと、意外と引かれた。

「うわ、元気そうで良かった。
じゃあ、私先行くからね。」
「えぇ~?酷い~~!!
少しくらい話聞いてくれてもいいじゃないですかぁ~!!!」
と俺が言うと。

「…少し休んでから来ても大丈夫だからね?」
クルル様はそう言い、戻っていった。


誰も居なくなった、その部屋で。

「はは、全部お見通しなんじゃん。」


やっぱり好きだな。クルル様。
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