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第38話
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コース料理が、デザートとコーヒーにたどり着くころには、もうお腹がぱんぱんになった。
正直ちょっとつらいくらいだ。
楽しくて、美味しい時間に感謝。
「腹ごなしに、うちのペットをみに行かない?」
銀子の提案で、屋外へぞろぞろとみんなで銀子についていく。
ペットと言うからには犬か猫だろうと思っていたら…。
なんと…アルパカだった!
しかも専用の牧場まであり、飼育員さんもいらっしゃる。
ここはテーマパークなのかな?
すごすぎて、今日何度目かの遠い目になった。
ペットの概念がぐらつくよ?
アルパカは正宗くんと同じくらいの背丈だった。意外と大きくてびっくりする。
白い毛並みの子や、茶色い毛並みの子がわらわらといる。
名前はチョコ、きなこ、バニラ、カスタードと毛の色に合わせた食べ物の名前がついていた。
ふわふわの毛並みがめちゃんこかわいい!!!
ずっと口をモグモグしている。
どの子ものんびり屋さんみたいだ。
ときたま、「メェー」って鳴いている。
見ているだけで癒されるなぁ。
どの子も大きなぱっちりとしたおめめがウルウルしている。
そんな瞳で見つめられたら、心のよどみが浄化されていくようだ。
正宗くんとアルパカがきゃっきゃっとたわむれている。
うん、「かわいい×かわいい」で眼福だな!
「山根君、うさぎもいたよ。」
陣さんがそう言って、俺に真っ白なうさぎを差し出す。
俺はこわごわとその温もりを腕に抱いた。
つぶらな瞳が俺をじっとみつめる。
ドキュン!
かわいいが、胸を打ち抜く!
うさぎはふわふわでモコモコで、まるでぬいぐるみみたいだ。鼻が小刻みにひくひくしている。
恐る恐るそっとなでたら、うさぎは安心したように瞳を閉じた。そして、気持ちようさそうに俺の手に体をすりつけてきた。
かわいすぎる!
俺にとって動物はいつも遠くから見つめるもので、実際に触れ合うのは初めてだった。
あ、陣さんが真っ黒なウサギを抱いている!
「陣さん×黒うさぎ」とな!?
なんと素晴らしい奇跡のコラボレーションなんだ!
俺はみんなの写真をとるついでとばかりに、ばっちりと陣さんのお宝写真をスマホに納めた!
そして本山の為に、本山と銀子とのツーショットをとってあげる。
本山のニヤ下がった顔にちょっと引いてしまったのは内緒だ。
うん。今日の俺、マジでいい仕事をした!
謎の達成感で胸がいっぱいだ。
きゃっきゃっと正宗くんが芝生を裸足で元気に走り回っている。
流石、小学生。元気の塊だ。
テンションの上がった俺も走り回る正宗くんを追いかけた。
俺だってまだまだ高校生。元気の塊だ!
全力でかけまわった後、俺はうさぎに餌をやるというミッションも無事にクリア。
そんな感じで楽しい時間はあっという間に過ぎていく。
「ユキピロ!また遊びに来てね!」
別れ際に正宗くんが俺に抱き着いてきた。
いつの間にかすごく懐かれて、戸惑いつつも嬉しい。
弟がいたらこんな感じなのかな。
いや…、我が家の環境ではこの仕上がりには絶対になり得ない…。
山田家だからこその奇跡の産物だな。
帰りも駅まで車で送っていただくことになり、現在洋館の玄関先で銀子と正宗くんと村上さんに見送られているところだ。
このタイミングで、血染めだったTシャツがクリーニングされて本山の元に返された。
山田家のおもてなしが行き届きすぎていて…。
今日はプロフェッショナルなお仕事の見学会でもあったと思う。
正宗くんが僕に耳打ちしてきた。
「お姉さまに恋心を抱かない男性のご友人は初めてなの。
ユキピロは信用できるから好き。」
俺は、きょとんとしてしまった。
そんな俺の反応に対して正宗くんはますます嬉しそうに笑った。
正宗くん…。
容姿端麗で性格もかわいくて天才で完璧なのに。
まさかのシスコン発言…。
誰しも欠点ってあるもんなんだな。
「人間だもの。」
俺は心の中でつぶやいた。
そうして、決して忘れられない1日は幕を閉じたのだった。
正直ちょっとつらいくらいだ。
楽しくて、美味しい時間に感謝。
「腹ごなしに、うちのペットをみに行かない?」
銀子の提案で、屋外へぞろぞろとみんなで銀子についていく。
ペットと言うからには犬か猫だろうと思っていたら…。
なんと…アルパカだった!
しかも専用の牧場まであり、飼育員さんもいらっしゃる。
ここはテーマパークなのかな?
すごすぎて、今日何度目かの遠い目になった。
ペットの概念がぐらつくよ?
アルパカは正宗くんと同じくらいの背丈だった。意外と大きくてびっくりする。
白い毛並みの子や、茶色い毛並みの子がわらわらといる。
名前はチョコ、きなこ、バニラ、カスタードと毛の色に合わせた食べ物の名前がついていた。
ふわふわの毛並みがめちゃんこかわいい!!!
ずっと口をモグモグしている。
どの子ものんびり屋さんみたいだ。
ときたま、「メェー」って鳴いている。
見ているだけで癒されるなぁ。
どの子も大きなぱっちりとしたおめめがウルウルしている。
そんな瞳で見つめられたら、心のよどみが浄化されていくようだ。
正宗くんとアルパカがきゃっきゃっとたわむれている。
うん、「かわいい×かわいい」で眼福だな!
「山根君、うさぎもいたよ。」
陣さんがそう言って、俺に真っ白なうさぎを差し出す。
俺はこわごわとその温もりを腕に抱いた。
つぶらな瞳が俺をじっとみつめる。
ドキュン!
かわいいが、胸を打ち抜く!
うさぎはふわふわでモコモコで、まるでぬいぐるみみたいだ。鼻が小刻みにひくひくしている。
恐る恐るそっとなでたら、うさぎは安心したように瞳を閉じた。そして、気持ちようさそうに俺の手に体をすりつけてきた。
かわいすぎる!
俺にとって動物はいつも遠くから見つめるもので、実際に触れ合うのは初めてだった。
あ、陣さんが真っ黒なウサギを抱いている!
「陣さん×黒うさぎ」とな!?
なんと素晴らしい奇跡のコラボレーションなんだ!
俺はみんなの写真をとるついでとばかりに、ばっちりと陣さんのお宝写真をスマホに納めた!
そして本山の為に、本山と銀子とのツーショットをとってあげる。
本山のニヤ下がった顔にちょっと引いてしまったのは内緒だ。
うん。今日の俺、マジでいい仕事をした!
謎の達成感で胸がいっぱいだ。
きゃっきゃっと正宗くんが芝生を裸足で元気に走り回っている。
流石、小学生。元気の塊だ。
テンションの上がった俺も走り回る正宗くんを追いかけた。
俺だってまだまだ高校生。元気の塊だ!
全力でかけまわった後、俺はうさぎに餌をやるというミッションも無事にクリア。
そんな感じで楽しい時間はあっという間に過ぎていく。
「ユキピロ!また遊びに来てね!」
別れ際に正宗くんが俺に抱き着いてきた。
いつの間にかすごく懐かれて、戸惑いつつも嬉しい。
弟がいたらこんな感じなのかな。
いや…、我が家の環境ではこの仕上がりには絶対になり得ない…。
山田家だからこその奇跡の産物だな。
帰りも駅まで車で送っていただくことになり、現在洋館の玄関先で銀子と正宗くんと村上さんに見送られているところだ。
このタイミングで、血染めだったTシャツがクリーニングされて本山の元に返された。
山田家のおもてなしが行き届きすぎていて…。
今日はプロフェッショナルなお仕事の見学会でもあったと思う。
正宗くんが僕に耳打ちしてきた。
「お姉さまに恋心を抱かない男性のご友人は初めてなの。
ユキピロは信用できるから好き。」
俺は、きょとんとしてしまった。
そんな俺の反応に対して正宗くんはますます嬉しそうに笑った。
正宗くん…。
容姿端麗で性格もかわいくて天才で完璧なのに。
まさかのシスコン発言…。
誰しも欠点ってあるもんなんだな。
「人間だもの。」
俺は心の中でつぶやいた。
そうして、決して忘れられない1日は幕を閉じたのだった。
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