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第25話
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「私、過去の部活紹介記事を読んできたんだけどー。どれもうまくまとめられていて、特にこれといって面白くないんだよねー。」
白石が不満げに話した。
「そ…そういうものじゃないのかな?」
遠峰の返事に俺は同調して首を縦に大きく振る。
「えー。そんなんだからせっかく記事を書いてもHPのアクセスが延びないんだよー。読んでもらえないんじゃ、やる意味ないじゃん。」
いや…。意味はあるよ。あるから…。逆に部活紹介記事でバズりたくはないぞ。炎上怖い。
楽しいことを見つけたとでも言うように瞳があらわれ3人の周りをパタパタと飛び回る。やめれ。
「じゃ、白石はどうしたいの?」
あ、遠峯…聞いちゃった。なんでだよ…。聞くなよー。俺、聞きたくないよー。コワイ…。
白石は満面の笑みで、
「今回、スポットを小林先生に当てるのはどうかな。『ドイツ語離せない疑惑』を絡めて、おもしろ可笑しく書いたら絶対バズると思うんだよね。」
「えー。それ小林先生を敵に回すじゃん。俺、嫌だよ。ただでさえ出席数が少ないのに。」
遠峯が自らの体を抱きしめ、おののきながら反対する。
「大丈夫。大丈夫。要は書き方だってば。うまいこと書けば大丈夫だよー。おちょくってるのがばれなければいいんだよー。絶対、ばれないってー。」
「えー。俺には無理。文才ないもん。」
遠峯は両手を顔の前でクロスさせた。
遠峯…さっきから、ジェスチャー激しいな。ってか、教師をなめすぎだろ。絶対にばれるから。やめれ…。やめてくれ…。
俺が心の声を口にだせないまま二人の話は進んでいく。
瞳が「やったれー」って身振りで後押ししてくるけど…。どうやって二人の話に割り込めばいいんだ?タイミングが難しい…。
白石がカラカラと笑いながら遠峯の肩をたたく。
「遠峯、文才ないとか言ってよく新聞部にはいったよねー。うけるー。」
「ほっとけ。ここは幽霊部員でもオッケーの部だから入ったの。ゴルフ主体で活動するためには、ここに入るしかなかったんだってば。」
「確かに。幽霊部員でもオッケーなとこって他にないよねー。人気がないからって、部員の人数を集めるのにそこまで必死かーっていう。あれ?私も入部の動機はいっしょだ。あはは。でも活動にちょっとだけ興味がわいたから今回は参加しているわけなんだけど。
じゃ、役割分担を決めようかー。
見て、見てー。私、今日のためにスマホに便利なアプリをインストールしたんだ。
これ、録音した会話を自動で文字起こししてくれる、すごくかしこいやつなんだー。私、いい仕事するっしょー!」
「白石、ナイス!でかした!俺、タッチタイプできないんだよ。」
「えー。ゴルフばっかりやってないで、できるように練習しなよ。」
「ぐはっ。山根―。白石にはツンの要素しかない。俺、優しさ成分が欲しい。補ってー!」
両腕を広げて俺に抱き着こうとしてきた遠峯をなんとかとっさに避ける。遠峯に悲し気な恨みがましい目をむけられた。
いや…無理だから。手のひらをにぎにぎするのをやめれ。
「3つに役割を決めよう。インタビュアーと、文字起こししてもバグる箇所があるからバグを修正する人と、記事にまとめる人。どれがいい?」
白石の提案に、遠峯が即座に手をあげる。
「はい!俺、バグの修正をやりますー。小林先生のドイツ語が絶対バグるから、それ消してくー。」
「修正はデリートだけじゃないんだけど…。タッチタイプできないのに大丈夫かな?まぁ、作業はPCじゃなくて、スマホでやってもいいしね。オッケー、遠峯が修正担当ねー。じゃ、山根君はインタビュアーと記事にまとめるのと、どっちがやりたい?」
3つのうち、明らかに記事にまとめる役割が仕事の負荷大きいよな?おかしな役割分担だと声を大にしていいたい。だが、しかし!この流れで今更言い出せない。それに一応選択をこちらにゆだねてくれているわけだし…。
インタビュアーと記事のまとめの2択か。悩ましい。インタビュアーを白石にふったら、小林先生にぶっこんだ質問しそうで怖い。でも、記事のまとめを白石にやってもらった場合は…最悪炎上するかもしれないな…。恐ろしい。
「じゃ、記事のまとめやります。」
俺は泣く泣く選択した。最後の防波堤になる決死の覚悟だった。
「オッケー。じゃ、私がインタビュアーをするねー。
遠峯は文字起こしする時のために、一応インタビューのメモをとりながら、話を聞いててね。山根君はHPにアップする写真を適当に何枚かとってねー。」
白石はさくさく決めていく。
知らないうちに、俺の仕事増えてないか?いいけど。
リーダーシップをとる白石を遠峯がキラキラした目でみている。おや?これはもしかして…ラブなやつかな?楽しそうで何よりだ。
気づけば本日の現場に到着していた。
俺、そういえば先週は一人で挑んだんだよな。ちょっと不安だけど今日は仲間がいる。気合を入れて大きく息を吸い込んだ。
白石が不満げに話した。
「そ…そういうものじゃないのかな?」
遠峰の返事に俺は同調して首を縦に大きく振る。
「えー。そんなんだからせっかく記事を書いてもHPのアクセスが延びないんだよー。読んでもらえないんじゃ、やる意味ないじゃん。」
いや…。意味はあるよ。あるから…。逆に部活紹介記事でバズりたくはないぞ。炎上怖い。
楽しいことを見つけたとでも言うように瞳があらわれ3人の周りをパタパタと飛び回る。やめれ。
「じゃ、白石はどうしたいの?」
あ、遠峯…聞いちゃった。なんでだよ…。聞くなよー。俺、聞きたくないよー。コワイ…。
白石は満面の笑みで、
「今回、スポットを小林先生に当てるのはどうかな。『ドイツ語離せない疑惑』を絡めて、おもしろ可笑しく書いたら絶対バズると思うんだよね。」
「えー。それ小林先生を敵に回すじゃん。俺、嫌だよ。ただでさえ出席数が少ないのに。」
遠峯が自らの体を抱きしめ、おののきながら反対する。
「大丈夫。大丈夫。要は書き方だってば。うまいこと書けば大丈夫だよー。おちょくってるのがばれなければいいんだよー。絶対、ばれないってー。」
「えー。俺には無理。文才ないもん。」
遠峯は両手を顔の前でクロスさせた。
遠峯…さっきから、ジェスチャー激しいな。ってか、教師をなめすぎだろ。絶対にばれるから。やめれ…。やめてくれ…。
俺が心の声を口にだせないまま二人の話は進んでいく。
瞳が「やったれー」って身振りで後押ししてくるけど…。どうやって二人の話に割り込めばいいんだ?タイミングが難しい…。
白石がカラカラと笑いながら遠峯の肩をたたく。
「遠峯、文才ないとか言ってよく新聞部にはいったよねー。うけるー。」
「ほっとけ。ここは幽霊部員でもオッケーの部だから入ったの。ゴルフ主体で活動するためには、ここに入るしかなかったんだってば。」
「確かに。幽霊部員でもオッケーなとこって他にないよねー。人気がないからって、部員の人数を集めるのにそこまで必死かーっていう。あれ?私も入部の動機はいっしょだ。あはは。でも活動にちょっとだけ興味がわいたから今回は参加しているわけなんだけど。
じゃ、役割分担を決めようかー。
見て、見てー。私、今日のためにスマホに便利なアプリをインストールしたんだ。
これ、録音した会話を自動で文字起こししてくれる、すごくかしこいやつなんだー。私、いい仕事するっしょー!」
「白石、ナイス!でかした!俺、タッチタイプできないんだよ。」
「えー。ゴルフばっかりやってないで、できるように練習しなよ。」
「ぐはっ。山根―。白石にはツンの要素しかない。俺、優しさ成分が欲しい。補ってー!」
両腕を広げて俺に抱き着こうとしてきた遠峯をなんとかとっさに避ける。遠峯に悲し気な恨みがましい目をむけられた。
いや…無理だから。手のひらをにぎにぎするのをやめれ。
「3つに役割を決めよう。インタビュアーと、文字起こししてもバグる箇所があるからバグを修正する人と、記事にまとめる人。どれがいい?」
白石の提案に、遠峯が即座に手をあげる。
「はい!俺、バグの修正をやりますー。小林先生のドイツ語が絶対バグるから、それ消してくー。」
「修正はデリートだけじゃないんだけど…。タッチタイプできないのに大丈夫かな?まぁ、作業はPCじゃなくて、スマホでやってもいいしね。オッケー、遠峯が修正担当ねー。じゃ、山根君はインタビュアーと記事にまとめるのと、どっちがやりたい?」
3つのうち、明らかに記事にまとめる役割が仕事の負荷大きいよな?おかしな役割分担だと声を大にしていいたい。だが、しかし!この流れで今更言い出せない。それに一応選択をこちらにゆだねてくれているわけだし…。
インタビュアーと記事のまとめの2択か。悩ましい。インタビュアーを白石にふったら、小林先生にぶっこんだ質問しそうで怖い。でも、記事のまとめを白石にやってもらった場合は…最悪炎上するかもしれないな…。恐ろしい。
「じゃ、記事のまとめやります。」
俺は泣く泣く選択した。最後の防波堤になる決死の覚悟だった。
「オッケー。じゃ、私がインタビュアーをするねー。
遠峯は文字起こしする時のために、一応インタビューのメモをとりながら、話を聞いててね。山根君はHPにアップする写真を適当に何枚かとってねー。」
白石はさくさく決めていく。
知らないうちに、俺の仕事増えてないか?いいけど。
リーダーシップをとる白石を遠峯がキラキラした目でみている。おや?これはもしかして…ラブなやつかな?楽しそうで何よりだ。
気づけば本日の現場に到着していた。
俺、そういえば先週は一人で挑んだんだよな。ちょっと不安だけど今日は仲間がいる。気合を入れて大きく息を吸い込んだ。
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