25 / 48
第25話
しおりを挟む
「私、過去の部活紹介記事を読んできたんだけどー。どれもうまくまとめられていて、特にこれといって面白くないんだよねー。」
白石が不満げに話した。
「そ…そういうものじゃないのかな?」
遠峰の返事に俺は同調して首を縦に大きく振る。
「えー。そんなんだからせっかく記事を書いてもHPのアクセスが延びないんだよー。読んでもらえないんじゃ、やる意味ないじゃん。」
いや…。意味はあるよ。あるから…。逆に部活紹介記事でバズりたくはないぞ。炎上怖い。
楽しいことを見つけたとでも言うように瞳があらわれ3人の周りをパタパタと飛び回る。やめれ。
「じゃ、白石はどうしたいの?」
あ、遠峯…聞いちゃった。なんでだよ…。聞くなよー。俺、聞きたくないよー。コワイ…。
白石は満面の笑みで、
「今回、スポットを小林先生に当てるのはどうかな。『ドイツ語離せない疑惑』を絡めて、おもしろ可笑しく書いたら絶対バズると思うんだよね。」
「えー。それ小林先生を敵に回すじゃん。俺、嫌だよ。ただでさえ出席数が少ないのに。」
遠峯が自らの体を抱きしめ、おののきながら反対する。
「大丈夫。大丈夫。要は書き方だってば。うまいこと書けば大丈夫だよー。おちょくってるのがばれなければいいんだよー。絶対、ばれないってー。」
「えー。俺には無理。文才ないもん。」
遠峯は両手を顔の前でクロスさせた。
遠峯…さっきから、ジェスチャー激しいな。ってか、教師をなめすぎだろ。絶対にばれるから。やめれ…。やめてくれ…。
俺が心の声を口にだせないまま二人の話は進んでいく。
瞳が「やったれー」って身振りで後押ししてくるけど…。どうやって二人の話に割り込めばいいんだ?タイミングが難しい…。
白石がカラカラと笑いながら遠峯の肩をたたく。
「遠峯、文才ないとか言ってよく新聞部にはいったよねー。うけるー。」
「ほっとけ。ここは幽霊部員でもオッケーの部だから入ったの。ゴルフ主体で活動するためには、ここに入るしかなかったんだってば。」
「確かに。幽霊部員でもオッケーなとこって他にないよねー。人気がないからって、部員の人数を集めるのにそこまで必死かーっていう。あれ?私も入部の動機はいっしょだ。あはは。でも活動にちょっとだけ興味がわいたから今回は参加しているわけなんだけど。
じゃ、役割分担を決めようかー。
見て、見てー。私、今日のためにスマホに便利なアプリをインストールしたんだ。
これ、録音した会話を自動で文字起こししてくれる、すごくかしこいやつなんだー。私、いい仕事するっしょー!」
「白石、ナイス!でかした!俺、タッチタイプできないんだよ。」
「えー。ゴルフばっかりやってないで、できるように練習しなよ。」
「ぐはっ。山根―。白石にはツンの要素しかない。俺、優しさ成分が欲しい。補ってー!」
両腕を広げて俺に抱き着こうとしてきた遠峯をなんとかとっさに避ける。遠峯に悲し気な恨みがましい目をむけられた。
いや…無理だから。手のひらをにぎにぎするのをやめれ。
「3つに役割を決めよう。インタビュアーと、文字起こししてもバグる箇所があるからバグを修正する人と、記事にまとめる人。どれがいい?」
白石の提案に、遠峯が即座に手をあげる。
「はい!俺、バグの修正をやりますー。小林先生のドイツ語が絶対バグるから、それ消してくー。」
「修正はデリートだけじゃないんだけど…。タッチタイプできないのに大丈夫かな?まぁ、作業はPCじゃなくて、スマホでやってもいいしね。オッケー、遠峯が修正担当ねー。じゃ、山根君はインタビュアーと記事にまとめるのと、どっちがやりたい?」
3つのうち、明らかに記事にまとめる役割が仕事の負荷大きいよな?おかしな役割分担だと声を大にしていいたい。だが、しかし!この流れで今更言い出せない。それに一応選択をこちらにゆだねてくれているわけだし…。
インタビュアーと記事のまとめの2択か。悩ましい。インタビュアーを白石にふったら、小林先生にぶっこんだ質問しそうで怖い。でも、記事のまとめを白石にやってもらった場合は…最悪炎上するかもしれないな…。恐ろしい。
「じゃ、記事のまとめやります。」
俺は泣く泣く選択した。最後の防波堤になる決死の覚悟だった。
「オッケー。じゃ、私がインタビュアーをするねー。
遠峯は文字起こしする時のために、一応インタビューのメモをとりながら、話を聞いててね。山根君はHPにアップする写真を適当に何枚かとってねー。」
白石はさくさく決めていく。
知らないうちに、俺の仕事増えてないか?いいけど。
リーダーシップをとる白石を遠峯がキラキラした目でみている。おや?これはもしかして…ラブなやつかな?楽しそうで何よりだ。
気づけば本日の現場に到着していた。
俺、そういえば先週は一人で挑んだんだよな。ちょっと不安だけど今日は仲間がいる。気合を入れて大きく息を吸い込んだ。
白石が不満げに話した。
「そ…そういうものじゃないのかな?」
遠峰の返事に俺は同調して首を縦に大きく振る。
「えー。そんなんだからせっかく記事を書いてもHPのアクセスが延びないんだよー。読んでもらえないんじゃ、やる意味ないじゃん。」
いや…。意味はあるよ。あるから…。逆に部活紹介記事でバズりたくはないぞ。炎上怖い。
楽しいことを見つけたとでも言うように瞳があらわれ3人の周りをパタパタと飛び回る。やめれ。
「じゃ、白石はどうしたいの?」
あ、遠峯…聞いちゃった。なんでだよ…。聞くなよー。俺、聞きたくないよー。コワイ…。
白石は満面の笑みで、
「今回、スポットを小林先生に当てるのはどうかな。『ドイツ語離せない疑惑』を絡めて、おもしろ可笑しく書いたら絶対バズると思うんだよね。」
「えー。それ小林先生を敵に回すじゃん。俺、嫌だよ。ただでさえ出席数が少ないのに。」
遠峯が自らの体を抱きしめ、おののきながら反対する。
「大丈夫。大丈夫。要は書き方だってば。うまいこと書けば大丈夫だよー。おちょくってるのがばれなければいいんだよー。絶対、ばれないってー。」
「えー。俺には無理。文才ないもん。」
遠峯は両手を顔の前でクロスさせた。
遠峯…さっきから、ジェスチャー激しいな。ってか、教師をなめすぎだろ。絶対にばれるから。やめれ…。やめてくれ…。
俺が心の声を口にだせないまま二人の話は進んでいく。
瞳が「やったれー」って身振りで後押ししてくるけど…。どうやって二人の話に割り込めばいいんだ?タイミングが難しい…。
白石がカラカラと笑いながら遠峯の肩をたたく。
「遠峯、文才ないとか言ってよく新聞部にはいったよねー。うけるー。」
「ほっとけ。ここは幽霊部員でもオッケーの部だから入ったの。ゴルフ主体で活動するためには、ここに入るしかなかったんだってば。」
「確かに。幽霊部員でもオッケーなとこって他にないよねー。人気がないからって、部員の人数を集めるのにそこまで必死かーっていう。あれ?私も入部の動機はいっしょだ。あはは。でも活動にちょっとだけ興味がわいたから今回は参加しているわけなんだけど。
じゃ、役割分担を決めようかー。
見て、見てー。私、今日のためにスマホに便利なアプリをインストールしたんだ。
これ、録音した会話を自動で文字起こししてくれる、すごくかしこいやつなんだー。私、いい仕事するっしょー!」
「白石、ナイス!でかした!俺、タッチタイプできないんだよ。」
「えー。ゴルフばっかりやってないで、できるように練習しなよ。」
「ぐはっ。山根―。白石にはツンの要素しかない。俺、優しさ成分が欲しい。補ってー!」
両腕を広げて俺に抱き着こうとしてきた遠峯をなんとかとっさに避ける。遠峯に悲し気な恨みがましい目をむけられた。
いや…無理だから。手のひらをにぎにぎするのをやめれ。
「3つに役割を決めよう。インタビュアーと、文字起こししてもバグる箇所があるからバグを修正する人と、記事にまとめる人。どれがいい?」
白石の提案に、遠峯が即座に手をあげる。
「はい!俺、バグの修正をやりますー。小林先生のドイツ語が絶対バグるから、それ消してくー。」
「修正はデリートだけじゃないんだけど…。タッチタイプできないのに大丈夫かな?まぁ、作業はPCじゃなくて、スマホでやってもいいしね。オッケー、遠峯が修正担当ねー。じゃ、山根君はインタビュアーと記事にまとめるのと、どっちがやりたい?」
3つのうち、明らかに記事にまとめる役割が仕事の負荷大きいよな?おかしな役割分担だと声を大にしていいたい。だが、しかし!この流れで今更言い出せない。それに一応選択をこちらにゆだねてくれているわけだし…。
インタビュアーと記事のまとめの2択か。悩ましい。インタビュアーを白石にふったら、小林先生にぶっこんだ質問しそうで怖い。でも、記事のまとめを白石にやってもらった場合は…最悪炎上するかもしれないな…。恐ろしい。
「じゃ、記事のまとめやります。」
俺は泣く泣く選択した。最後の防波堤になる決死の覚悟だった。
「オッケー。じゃ、私がインタビュアーをするねー。
遠峯は文字起こしする時のために、一応インタビューのメモをとりながら、話を聞いててね。山根君はHPにアップする写真を適当に何枚かとってねー。」
白石はさくさく決めていく。
知らないうちに、俺の仕事増えてないか?いいけど。
リーダーシップをとる白石を遠峯がキラキラした目でみている。おや?これはもしかして…ラブなやつかな?楽しそうで何よりだ。
気づけば本日の現場に到着していた。
俺、そういえば先週は一人で挑んだんだよな。ちょっと不安だけど今日は仲間がいる。気合を入れて大きく息を吸い込んだ。
0
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説
ザ・青春バンド!
モカ☆まった〜り
青春
北海道・札幌に住む「悪ガキ4人組」は、高校一年生になっても悪さばかり・・・ある日たまたまタンスの隙間に挟まっていた父親のレコード「レッド・ツエッペリン」を見つけた。ハードロックに魅せられた4人はバンドを組もうとするのだが・・・。
Hand in Hand - 二人で進むフィギュアスケート青春小説
宮 都
青春
幼なじみへの気持ちの変化を自覚できずにいた中2の夏。ライバルとの出会いが、少年を未知のスポーツへと向わせた。
美少女と手に手をとって進むその競技の名は、アイスダンス!!
【2022/6/11完結】
その日僕たちの教室は、朝から転校生が来るという噂に落ち着きをなくしていた。帰国子女らしいという情報も入り、誰もがますます転校生への期待を募らせていた。
そんな中でただ一人、果歩(かほ)だけは違っていた。
「制覇、今日は五時からだから。来てね」
隣の席に座る彼女は大きな瞳を輝かせて、にっこりこちらを覗きこんだ。
担任が一人の生徒とともに教室に入ってきた。みんなの目が一斉にそちらに向かった。それでも果歩だけはずっと僕の方を見ていた。
◇
こんな二人の居場所に現れたアメリカ帰りの転校生。少年はアイスダンスをするという彼に強い焦りを感じ、彼と同じ道に飛び込んでいく……
――小説家になろう、カクヨム(別タイトル)にも掲載――

善意一〇〇%の金髪ギャル~彼女を交通事故から救ったら感謝とか同情とか罪悪感を抱えられ俺にかまってくるようになりました~
みずがめ
青春
高校入学前、俺は車に撥ねられそうになっている女性を助けた。そこまではよかったけど、代わりに俺が交通事故に遭ってしまい入院するはめになった。
入学式当日。未だに入院中の俺は高校生活のスタートダッシュに失敗したと落ち込む。
そこへ現れたのは縁もゆかりもないと思っていた金髪ギャルであった。しかし彼女こそ俺が事故から助けた少女だったのだ。
「助けてくれた、お礼……したいし」
苦手な金髪ギャルだろうが、恥じらう乙女の前に健全な男子が逆らえるわけがなかった。
こうして始まった俺と金髪ギャルの関係は、なんやかんやあって(本編にて)ハッピーエンドへと向かっていくのであった。
表紙絵は、あっきコタロウさんのフリーイラストです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ヤマネ姫の幸福論
ふくろう
青春
秋の長野行き中央本線、特急あずさの座席に座る一組の男女。
一見、恋人同士に見えるが、これが最初で最後の二人の旅行になるかもしれない。
彼らは霧ヶ峰高原に、「森の妖精」と呼ばれる小動物の棲み家を訪ね、夢のように楽しい二日間を過ごす。
しかし、運命の時は、刻一刻と迫っていた。
主人公達の恋の行方、霧ヶ峰の生き物のお話に添えて、世界中で愛されてきた好編「幸福論」を交え、お読みいただける方に、少しでも清々しく、優しい気持ちになっていただけますよう、精一杯、書いてます!
どうぞ、よろしくお願いいたします!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる