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第11話
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今日も楽しい授業が続く。
俺は特に数学が好きだ。国語と違って明快な答えが導かれるところが気に入っている。
数学の時間に、銀子が話しかけてきた。
「ゆきぴろ。
今日の、宿題どこだったっけ?」
こいつ、またか。
昨日から見ているんだが、銀子はどの授業の宿題もやっていない。
「ここの、問1から問4と、ここと、ここ。」
教えてやると、銀子はいつものごとくその項目に目を通す。その最中に、数学の先生が黒ぶち眼鏡のずれを中指で上げながら回答者を指名した。
「じゃ、問4を山田。」
そして、銀子の凄いところは突然当てられても、問題ないところだ。
なんでもないようにすらすら黒板に完璧な解答を書いていく。俺が昨日、悩んでトイレにこもってやっと導き出した解答よりもずっとすっきりとした解答をだ。
関係ないが、俺はトイレで考え事をするのが好きだ。妹に不潔とののしられるが。
銀子は観察する限り勉強した形跡が全くみられない。全く、ないのだ。
ノートは白い。いや、漫画しか描かれていない。
俺は、天才ってこういうやつのことを言うのだと思う。
あいつはぱっと教科書を見れば、それでいいんだ。どの教科でもそうなんだ。
段々、競うのがばからしくなってきた。
だって立っている場所がそもそも違うんだからな。
それに、俺は勉強するのが好きなんだ。努力したことが身になって行くプロセスも好きだ。
自分で言うのもなんだが、それが俺の才能だと思う。だから、銀子と比べて悔しがる必要なんてないんだ。
つまり俺は俺だし。銀子は銀子ってこと。
「えらい!ゆきぴろ!」
俺は、またも神聖な授業中に出てきた瞳に痛烈な一瞥をおみまいしてやった。
でも、心のどこかでは瞳がいつもの様に、好き勝手に出てきたことにほっとしていたんだ。だって、瞳がそうであることに慣れてしまっていたから。別に、依存しているとか、そんなんじゃないぞ!
そうだ、昨日のこと俺はまだ怒っているんだ!
っていうか、さっさと消えろ!
「最近、なんか、ゆきぴろかわいくなーーいー。
ぷーーんだ、ぷん!」
そう言いつつも瞳は退散してくれる。段々お互いに、互いの扱いが分かってきたって感じだ。
「何を~!」
思考を読まれるのって面倒だな。
はい、無視。
俺は数学のわくわくする世界へと没頭していくのだった。
「ゆきぴろ、CD返して!」
休み時間に銀子がにこやかに話しかけてきた。
「そうだった。
ありがとうって、あんまり言いたくないような?
はい。」
「素直じゃないな~。本当は、ちょっといいって思ったでしょ?」
俺は静かに笑うにとどめる。
「まぁ、いいや。次はね。」
「え。…次があるの?」
「そうだよ。だって、いっぱいお勧めなのがあるんだもん!」
そう言って渡されたのは、玉塚歌劇団のDVDと韓流のCD。
「なんか、いちいち濃いんだな。」
「ふふ。ゆきぴろ、食わず嫌いは良くないんだからね。」
いや、そう言う問題じゃないと思うぞ。
「…もしかして、コレ陣さんにも?」
「うん。ひととおり貸したよ。」
「へえ。」
陣さんも気の毒に。
いや、それとも案外気に入っている感じなのか。
「じゃ、一応借りとく。」
そう言って手をさし出すと、銀子はいつものおたふくスマイルで手渡してくれた。
「このDVDの玉塚歌劇団のトップスターはね、すっごいリョーコに似ているの!」
へえ。なんか、興味湧いてきた。
「どうやって、陣さんと仲良くなったの?」
「それはね。私が、リョーコに一目惚れしたから!」
分かったぞ。こいつの言動が問題なんだ。
あらゆる意味で誤解を招く。
俺は特に数学が好きだ。国語と違って明快な答えが導かれるところが気に入っている。
数学の時間に、銀子が話しかけてきた。
「ゆきぴろ。
今日の、宿題どこだったっけ?」
こいつ、またか。
昨日から見ているんだが、銀子はどの授業の宿題もやっていない。
「ここの、問1から問4と、ここと、ここ。」
教えてやると、銀子はいつものごとくその項目に目を通す。その最中に、数学の先生が黒ぶち眼鏡のずれを中指で上げながら回答者を指名した。
「じゃ、問4を山田。」
そして、銀子の凄いところは突然当てられても、問題ないところだ。
なんでもないようにすらすら黒板に完璧な解答を書いていく。俺が昨日、悩んでトイレにこもってやっと導き出した解答よりもずっとすっきりとした解答をだ。
関係ないが、俺はトイレで考え事をするのが好きだ。妹に不潔とののしられるが。
銀子は観察する限り勉強した形跡が全くみられない。全く、ないのだ。
ノートは白い。いや、漫画しか描かれていない。
俺は、天才ってこういうやつのことを言うのだと思う。
あいつはぱっと教科書を見れば、それでいいんだ。どの教科でもそうなんだ。
段々、競うのがばからしくなってきた。
だって立っている場所がそもそも違うんだからな。
それに、俺は勉強するのが好きなんだ。努力したことが身になって行くプロセスも好きだ。
自分で言うのもなんだが、それが俺の才能だと思う。だから、銀子と比べて悔しがる必要なんてないんだ。
つまり俺は俺だし。銀子は銀子ってこと。
「えらい!ゆきぴろ!」
俺は、またも神聖な授業中に出てきた瞳に痛烈な一瞥をおみまいしてやった。
でも、心のどこかでは瞳がいつもの様に、好き勝手に出てきたことにほっとしていたんだ。だって、瞳がそうであることに慣れてしまっていたから。別に、依存しているとか、そんなんじゃないぞ!
そうだ、昨日のこと俺はまだ怒っているんだ!
っていうか、さっさと消えろ!
「最近、なんか、ゆきぴろかわいくなーーいー。
ぷーーんだ、ぷん!」
そう言いつつも瞳は退散してくれる。段々お互いに、互いの扱いが分かってきたって感じだ。
「何を~!」
思考を読まれるのって面倒だな。
はい、無視。
俺は数学のわくわくする世界へと没頭していくのだった。
「ゆきぴろ、CD返して!」
休み時間に銀子がにこやかに話しかけてきた。
「そうだった。
ありがとうって、あんまり言いたくないような?
はい。」
「素直じゃないな~。本当は、ちょっといいって思ったでしょ?」
俺は静かに笑うにとどめる。
「まぁ、いいや。次はね。」
「え。…次があるの?」
「そうだよ。だって、いっぱいお勧めなのがあるんだもん!」
そう言って渡されたのは、玉塚歌劇団のDVDと韓流のCD。
「なんか、いちいち濃いんだな。」
「ふふ。ゆきぴろ、食わず嫌いは良くないんだからね。」
いや、そう言う問題じゃないと思うぞ。
「…もしかして、コレ陣さんにも?」
「うん。ひととおり貸したよ。」
「へえ。」
陣さんも気の毒に。
いや、それとも案外気に入っている感じなのか。
「じゃ、一応借りとく。」
そう言って手をさし出すと、銀子はいつものおたふくスマイルで手渡してくれた。
「このDVDの玉塚歌劇団のトップスターはね、すっごいリョーコに似ているの!」
へえ。なんか、興味湧いてきた。
「どうやって、陣さんと仲良くなったの?」
「それはね。私が、リョーコに一目惚れしたから!」
分かったぞ。こいつの言動が問題なんだ。
あらゆる意味で誤解を招く。
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