5 / 33
第5話
しおりを挟む
夢だからだろうか、やつの心が手に取るように分かってしまう。
獲物を前にした興奮、高揚感。
そして、どういたぶろうかとほそくえむ思い。
こちらの恐怖を煽って楽しむ様がひしひしと伝わってきて、それが身の毛もよだつ恐怖となる。
恐ろしさのあまり目が覚めても、しばらくどちらが現実なのか分からない。
どちらも同じ私の寝室で、夢があまりにもリアルだから。
自分の荒い息遣いだけが静かな部屋で音をたてていた。
やっと、恐怖の元凶を理解することができた。どういうわけか敵の正体を知った今、そのことにすこしほっとしている自分がいるのに驚く。
度重なる睡眠不足で、我ながらやつれているなと自嘲する。
だけど、問題は今夜だ!
ついに、姿を現した化け物。
私はやつにどうされるんだろうか。
やっぱり、最終的には食われるんだろうか。
ぞくっと寒気がして、私は両腕を交差して自分を抱きしめる。
「ほら、何ぼーっとしているの。
時間、ぎりぎりなんだから、そろそろ教室に行きましょう。」
はっと我に返ると、美しすぎる親友がほほえんでいた。
私は自分のことでいっぱいいっぱいだったので、つかのま観察するような冷たい視線を送っていたミキの姿を知ることはなかった。
獲物を前にした興奮、高揚感。
そして、どういたぶろうかとほそくえむ思い。
こちらの恐怖を煽って楽しむ様がひしひしと伝わってきて、それが身の毛もよだつ恐怖となる。
恐ろしさのあまり目が覚めても、しばらくどちらが現実なのか分からない。
どちらも同じ私の寝室で、夢があまりにもリアルだから。
自分の荒い息遣いだけが静かな部屋で音をたてていた。
やっと、恐怖の元凶を理解することができた。どういうわけか敵の正体を知った今、そのことにすこしほっとしている自分がいるのに驚く。
度重なる睡眠不足で、我ながらやつれているなと自嘲する。
だけど、問題は今夜だ!
ついに、姿を現した化け物。
私はやつにどうされるんだろうか。
やっぱり、最終的には食われるんだろうか。
ぞくっと寒気がして、私は両腕を交差して自分を抱きしめる。
「ほら、何ぼーっとしているの。
時間、ぎりぎりなんだから、そろそろ教室に行きましょう。」
はっと我に返ると、美しすぎる親友がほほえんでいた。
私は自分のことでいっぱいいっぱいだったので、つかのま観察するような冷たい視線を送っていたミキの姿を知ることはなかった。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説

扉の向こうは黒い影
小野 夜
ホラー
古い校舎の3階、突き当たりの隅にある扉。それは「開かずの扉」と呼ばれ、生徒たちの間で恐れられていた。扉の向こう側には、かつて理科室として使われていた部屋があるはずだったが、今は誰も足を踏み入れない禁断の場所となっていた。
夏休みのある日、ユキは友達のケンジとタケシを誘って、学校に忍び込む。目的は、開かずの扉を開けること。好奇心と恐怖心が入り混じる中、3人はついに扉を開ける。
【完結】人の目嫌い/人嫌い
木月 くろい
ホラー
ひと気の無くなった放課後の学校で、三谷藤若菜(みやふじわかな)は声を掛けられる。若菜は驚いた。自分の名を呼ばれるなど、有り得ないことだったからだ。
◆2020年4月に小説家になろう様にて玄乃光名義で掲載したホラー短編『Scopophobia』を修正し、続きを書いたものになります。
◆やや残酷描写があります。
◆小説家になろう様に同名の作品を同時掲載しています。

逢魔ヶ刻の迷い子3
naomikoryo
ホラー
——それは、閉ざされた異世界からのSOS。
夏休みのある夜、中学3年生になった陽介・隼人・大輝・美咲・紗奈・由香の6人は、受験勉強のために訪れた図書館で再び“恐怖”に巻き込まれる。
「図書館に大事な物を忘れたから取りに行ってくる。」
陽介の何気ないメッセージから始まった異変。
深夜の図書館に響く正体不明の足音、消えていくメッセージ、そして——
「ここから出られない」と助けを求める陽介の声。
彼は、次元の違う同じ場所にいる。
現実世界と並行して存在する“もう一つの図書館”。
六人は、陽介を救うためにその謎を解き明かしていくが、やがてこの場所が“異世界と繋がる境界”であることに気付く。
七不思議の夜を乗り越えた彼らが挑む、シリーズ第3作目。
恐怖と謎が交錯する、戦慄のホラー・ミステリー。
「境界が開かれた時、もう戻れない——。」

不労の家
千年砂漠
ホラー
高校を卒業したばかりの隆志は母を急な病で亡くした数日後、訳も分からず母に連れられて夜逃げして以来八年間全く会わなかった父も亡くし、父の実家の世久家を継ぐことになった。
世久家はかなりの資産家で、古くから続く名家だったが、当主には絶対守らなければならない奇妙なしきたりがあった。
それは「一生働かないこと」。
世久の家には富をもたらす神が住んでおり、その神との約束で代々の世久家の当主は働かずに暮らしていた。
初めは戸惑っていた隆志も裕福に暮らせる楽しさを覚え、昔一年だけこの土地に住んでいたときの同級生と遊び回っていたが、やがて恐ろしい出来事が隆志の周りで起こり始める。
経済的に豊かであっても、心まで満たされるとは限らない。
望んでもいないのに生まれたときから背負わされた宿命に、流されるか。抗うか。
彼の最後の選択を見て欲しい。
The Last Night
泉 沙羅
ホラー
モントリオールの夜に生きる孤独な少女と、美しい吸血鬼の物語。
15歳の少女・サマンサは、家庭にも学校にも居場所を持てず、ただひとり孤独を抱えて生きていた。
そんな彼女が出会ったのは、金髪碧眼の美少年・ネル。
彼はどこか時代錯誤な振る舞いをしながらも、サマンサに優しく接し、二人は次第に心を通わせていく。
交換日記を交わしながら、ネルはサマンサの苦しみを知り、サマンサはネルの秘密に気づいていく。
しかし、ネルには決して覆せない宿命があった。
吸血鬼は、恋をすると、その者の血でしか生きられなくなる――。
この恋は、救いか、それとも破滅か。
美しくも切ない、吸血鬼と少女のラブストーリー。
※以前"Let Me In"として公開した作品を大幅リニューアルしたものです。
※「吸血鬼は恋をするとその者の血液でしか生きられなくなる」という設定はX(旧Twitter)アカウント、「創作のネタ提供(雑学多め)さん@sousakubott」からお借りしました。
※AI(chatgpt)アシストあり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる