大地魔法使いの産業革命~S級クラス魔法使いの俺だが、彼女が強すぎる上にカリスマすぎる!

倉紙たかみ

文字の大きさ
上 下
39 / 55

第38話 舌戦

しおりを挟む

「しかし、素面だというのなら、ちょうどいい。常々気になっていたのですが、イシュフォルト図書館の件……あれはどういったおつもりで? 魔法での移転ですよね? まさか、テスラ様がその豪腕で運んできたというわけではありませんよね?」

 虚言で取り繕ったところでいずればれるだろう。リークの名は伏せ、真実を語るほかあるまい。

「図書館の移転を考えていた時に、少し揉め事がありましてな。処理しているうちに、あのような結果になっただけです」

「揉め事? 学院の生徒たちがクーデターを起こした件ですか?」

 ――それを言うか! スピネイル!

 立てこもり事件のことは、ファンサらの名誉のために伏せておきたいところだった。それをこの場で口にするとは、どうやらわざと怒らせようとしているらしい。

「そのようなことはありません。生徒たちと方針の違いで口論になっただけです」

 あくまで冷静に答えるテスラ。しかし、語気が強くなってしまう。気がつけば、スピネイルを睨みつけている自分がいた。

「そうでしたか……。『噂』とは随分違いますなぁ。ちなみに、移転方法は魔法というのは事実ですか? 『はい』か『いいえ』でお答えいただきたい」

「……魔法である」

 会場内が騒然とした。嬉しそうに笑みを浮かべるスピネイル。

「しかし――」

 弁明をしようとしたところで、かぶせるようにスピネイルが言い放つ。

「移転も、魔法産業禁止法に抵触していることは御存じですか?」

「法律全書は暗記していますが『移転』に関しては細かく記載されていないハズです。だが、限りなくアウトに近い自覚はあります。ゆえに、陛下に確認を取っている最中なのです。いや、正確にはとっているつもりだったのだが、何者かの妨害があったのか、書状が陛下に届いていないらしいのです」

 多少の嫌味も入ったが、テスラはそう弁明する。もっとも、誰も信じてはくれないだろうが。

「それは大変だ。届いていないのなら、なにもしていないのと同じ。陛下も卿にはガッカリされているでしょう。――それで、誰がどんな魔法を使って、図書館を移転させたので? テスラ様ではないですよねぇ? たしか、魔法が使えないのですから」

 使えないんじゃないやい。苦手なだけなんだい。

「私が、責任者に指示しました」

「その責任者の名前を聞かせてもらえますか?」

 ラーズイッド卿を一瞥するテスラ。ほのかに表情を青くさせている。まあ、あの規模の魔法となれば、リーク以外にできる者などいるわけがなく、要するに心当たりがありすぎるのだろう。自分の息子がやらかしたのではないかと危惧しているようだ。

「…………」

「あれだけの移転となると、凄まじい魔力なのでしょうな。シルバリオル家は、相当な戦力をお持ちで」

 テスラは、威嚇するかのように周囲を睥睨する。気がつけば、言葉遣いも変わるほど語気を強めていた。

「……これは裁判か? あの件に関しては、こちらも動いている。後日改めて国王陛下に説明し、然るべき指示をいただく。開示請求があれば、貴殿にも説明させていただく。――これはあくまで世間話であろう」

「世間話……ではありますが、今宵はクランバルジュの301年目のめでたき日でもあります。いい機会ですので、後顧の憂いはなくしておきたいのです。昨今のテスラ様には不穏な動きが多い。それは、近隣の領主の方々も気づいております。これを機にハッキリとさせていただきたいのです」

「何を、だ?」

「――テスラ様が、国王陛下に謀反を起こそうとしている噂ですよ」

 ざわ、と、周囲が湧いた。

「国王陛下に弓を引くなど、我が身命に懸けて絶対にありえん。撤回してもらおうかスピネイル」

 奥歯を噛みしめるテスラ。さすがに我慢ならない発言だ。テスラ個人が誹謗中傷されることはどれだけでも容認できる。だが、その発言は民の生活を脅かす。

「撤回もなにも、噂をお伝えしただけであります。イシュフォルト図書館の件だけではない。城郭都市化計画も、きたるべき戦にそなえているからではありませんか?」

「シルバリオル家に戦をする理由はない!」

「それにしては、急ぐようにして財を蓄えているようですが?」

「蓄えてなどおらん。むしろ財は民に投資している。町を豊かにすることは、領主の務めであろう」

「民は、テスラ様の領地以外にも大勢いるのです。あなたが移民を容認しているせいで、困っておられる領主もおられるのですが?」

 それは、貴様ら領主が不甲斐ないだけだ。民が離れるのを止めたければ、努力すればいいだけである。――などと、口にすれば、大顰蹙を浴びせられるだろう。

「図書館移転も、褒められますまい。城郭都市化計画は白紙に戻した方がよろしかろう。近隣領主との足並みを揃えなければ、国王陛下も不安に思うでしょう」

「そうだな、テスラ殿は、いささか自由が過ぎる」「我らのメンツも考えていただきたい」「国王陛下に気に入られているのは女だからか?」「スピネイル殿の言うとおりだ」

 ずいぶんな言い草だ。ならば、おとなげないが、チクリと差し込んでやろう。少し反撃だ。

「周囲に誤解を招くような施策をしてしまっていたようだな。――しかし、スピネイル殿。貴殿の領地では、魔物を使った産業をしているようだが……あれは許されるのか?」

「魔物が働いているのであって、魔法産業禁止法には抵触していないでしょう?」

「飼育した魔物ならな。しかし、魔法で操った魔物に労働をさせるのは、魔法産業禁止法に抵触しているのでは?」

「し、失礼な!」

 町を見て回ったが、明らかに飼育不可能な魔物を労働に使っている。習性にない活動をしている魔物がいる。世間的には、魔物を手懐けていると謳っているようだが、裏ではスピネイルの魔法で操っている部分もある。バレにくいし、上手いとは思った。

「……めでたき日に、無粋なことを言わないでいただきたい。そもそも、どこに証拠があるというのです?」

「港にトルネードシャークがウヨウヨといました。アレは群れをつくりませんし、そもそも手懐けることはできません。しかし、漁師に話を聞いたところ、それらを使った追い込み漁をしているそうで。他にも、知能の低いはずのジャイアントワームが畑を耕しているとか――?」

「魔法による産業は禁止されてはいますが、魔物による産業は禁止されてはいないはず。事実、ドラゴンを利用した運搬は認可されている」

「魔物の産業はな。問題は『魔法を使った魔物産業』である」

「詭弁ですね。妄想も甚だしいです」

 取り繕うスピネイル。だが、灼眼の奥に怒りが見える。どうやら図星のようだ。

「失敬。聡明なるスピネイル殿であれば、国王陛下の認可はとっておられるのでしょう」

「失礼であるぞ! テスラ殿!」「スピネイル様の話をしているのではない!」「貴殿の話をしているのだ」「これだから女は」

 好きに吠えていろ。と、鼻息を荒くしたところで、バルトランド公爵が声を上げる。

「やめよやめよ。今宵は宴だろう。わしは、諍いを見にきたのではないぞ」

「バ、バルトランド様……」

 狼狽するスピネイル。

「問題がないわけではないが、テスラはようやっておる。話を聞く限り、報告がないのは、なんらかの事故があったからなのだろう。――そして、スピネイルが魔物を操って、コソコソやっていたことぐらいわかっておる。我ら王都の人間も黙認しておったが、そろそろはっきりさせておいた方がいいかもしれんな。ちょうど300年という節目でもある」

「バ、バルトランド様! 我らクランバルジュの民は、国王陛下のために――」

「黙っていろ。酒のまずくなる話はとっとと終わらせたい。――ふたりとも、近々王都に顔を出すが良い。そこで沙汰を知らせる。あと、テスラの謀反に関しては清廉潔白である。城郭都市化はかねてからの計画で、陛下も認めておる。そもそも、いかなる城壁を持っていたとしても、ワシや陛下の魔法にかかれば、一瞬で消し飛ぶ。あんなものは守るためではなく、民を安心させるためだ。――で、あろう、テスラ?」

「おっしゃるとおりでございます」

「以上だ。文句のある奴はいるか?」

 バルトランドが一眼をくれると、貴族たちは俯いて黙ってしまった。

「……どうやら、私がいると場がしらけてしまうようでありますな。早いですが、これにて失礼させてもらいます」

 義理は果たした。ここにとどまる必要もないとテスラは思った

「……テスラ様、逃げるおつもりで?」

 悔しそうに一瞥するスピネイル。

「この場には、私のことを快く思っていない方が多くいらっしゃるようなので」

「宴の場ですよ。酒も飲まずに、帰られるつもりですか? このスピネイル・クラージュを愚弄する気ですか?」

「ふむ……」

 気がつけば、スピネイルが用意させたワインを持ってウェイターが待っていた。トレイに乗せられたワインの液面が、ほんのわずかに震えている。テスラは、そのグラスを手に取って、そのまま勢いよく飲み干した。

「これで、問題はありませんな? では」

 そう言うと、グラスを戻しテスラは踵を返す。大衆の視線を浴びながら、宴の会場から颯爽と去るのであった。

「お、おのれ……シルバンティアの女狐が……」

 苦虫をかみつぶしたかのように奥歯を噛むスピネイル。だが、周囲の視線が向けられる手いることに気づくと、すぐさま表情を取り戻して取り繕った。

「……失礼いたしました。シルバリオル卿のわがままにより、少しばかり空気を悪くしてしまいましたな。では、パーティを続けましょうか。我が領内で取れた山の幸を使った料理を、存分に味わってください――」

 スピネイルが合図をすると、会場の奥から次々と料理が運ばれてくる。来賓は、それら豪華絢爛な料理を楽しむ。テスラという招きたくない客のことを忘れ、クランバルジュ領の歴史を噛みしめるのであった。

          ☆

「うう……頭がガンガンする……」

 ――さてはスピネイル、私に嫌がらせをするため、強い酒を用意したな。

 ふらふらになりながら部屋にたどり着き、着替える間もなくベッドへと仰向けになる。

「しかし……スピネイルも必死だな……」

 現状、シルバンティア領のバルティアは、王都に次ぐ第二の都市になる可能性がある。それがここまで貴族たちの反感を買うとは思わなかった。明らかに、連中はスピネイルと共謀して、テスラを責め立てている。バルトランドが聡明ゆえに良かったが、あの人まで根回しがされていたら、テスラの立場も危うかったかもしれない。

 もっとも、現状では安心できない。図書館の件はいったいどうなるのか。スピネイルの魔物産業の件も突いてしまったので、さらに諸国の風当たりが強くなるだろう。

「明日は二日酔いだな……」

 テスラは、なぜワインとかいう飲み物がみんな美味しいと思えるのか、不思議で仕方がなかった。そもそもアルコールというのは『マズい』ものである。身体に有害な、いわゆる毒でしかないのだ。それを穀物やフルーツによって、ワインやウイスキーにわざわざ加工するのである。完全な謎飲み物である。理論的にジュースの方が美味しいはずなのだ。

 なのに、なぜ人間が酒に魅了されるかというと、酔うという感覚が気持ちいいからなのだろう。要するに、煙草やいけないお薬のようなものと同じ。そして、テスラにとって酔うという感覚は気持ちよくもなんともないので……なぜ、アルコールが好まれるのかわからない。

「ぶどうジュースの方が美味しいのに……」

 着替えもせず、テスラはそのままベッドで眠りにつくのだった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ
ファンタジー
現実世界で普通の高校生として過ごしていた「白崎レナ」は謎の空間の亀裂に飲み込まれ、狭間の世界と呼ばれる空間に移動していた。彼はそこで世界の「管理者」と名乗る女性と出会い、彼女と何時でも交信できる能力を授かり、異世界に転生される。 次に彼が意識を取り戻した時には見知らぬ女性と男性が激しく口論しており、会話の内容から自分達から誕生した赤子は呪われた子供であり、王位を継ぐ権利はないと男性が怒鳴り散らしている事を知る。そして子供というのが自分自身である事にレナは気付き、彼は母親と供に追い出された。 時は流れ、成長したレナは自分がこの世界では不遇職として扱われている「支援魔術師」と「錬金術師」の職業を習得している事が判明し、更に彼は一般的には扱われていないスキルばかり習得してしまう。多くの人間から見下され、実の姉弟からも馬鹿にされてしまうが、彼は決して挫けずに自分の能力を信じて生き抜く―― ――後にレナは自分の得た職業とスキルの真の力を「世界の管理者」を名乗る女性のアイリスに伝えられ、自分を見下していた人間から逆に見上げられる立場になる事を彼は知らない。 ※タイトルを変更しました。(旧題:不遇職に役立たずスキルと馬鹿にされましたが、実際はそれほど悪くはありません)。書籍化に伴い、一部の話を取り下げました。また、近い内に大幅な取り下げが行われます。 ※11月22日に第一巻が発売されます!!また、書籍版では主人公の名前が「レナ」→「レイト」に変更しています。

神々の間では異世界転移がブームらしいです。

はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》 楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。 理由は『最近流行ってるから』 数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。 優しくて単純な少女の異世界冒険譚。 第2部 《精霊の紋章》 ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。 それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。 第3部 《交錯する戦場》 各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。 人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。 第4部 《新たなる神話》 戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。 連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。 それは、この世界で最も新しい神話。

神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜

シュガーコクーン
ファンタジー
 女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。  その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!  「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。  素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯ 旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」  現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。

記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした 

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公 じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい …この世界でも生きていける術は用意している 責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう という訳で異世界暮らし始めちゃいます? ※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです ※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

ボッチになった僕がうっかり寄り道してダンジョンに入った結果

安佐ゆう
ファンタジー
第一の人生で心残りがあった者は、異世界に転生して未練を解消する。 そこは「第二の人生」と呼ばれる世界。 煩わしい人間関係から遠ざかり、のんびり過ごしたいと願う少年コイル。 学校を卒業したのち、とりあえず幼馴染たちとパーティーを組んで冒険者になる。だが、コイルのもつギフトが原因で、幼馴染たちのパーティーから追い出されてしまう。 ボッチになったコイルだったが、これ幸いと本来の目的「のんびり自給自足」を果たすため、町を出るのだった。 ロバのポックルとのんびり二人旅。ゴールと決めた森の傍まで来て、何気なくフラっとダンジョンに立ち寄った。そこでコイルを待つ運命は…… 基本的には、ほのぼのです。 設定を間違えなければ、毎日12時、18時、22時に更新の予定です。

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~

緋色優希
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

処理中です...