4 / 55
第4話 プロポーズプロローグ
しおりを挟む
「そんなにお強かったのですか、テスラ様は」
バトルという名の訓練を終え、昼前には屋敷へと戻ってきた俺。L字型のソファに腰掛け、ククルの淹れてくれた珈琲を飲む。砂糖が強め。戦いの疲れを癒やしてくれる。さすがは俺専属の召使い。気分や体調に合わせたブレンドをしてくれている。
「さっぱりした性格だし、悪い人じゃなさそうだ」
「それはなによりです。――して、御役目などは仰せつかったのですか?」
「明日までに用意するってさ。それまでは自由に過ごしていいって」
俺と手合わせをしたのは、実力を知りたかったというのもあったようだ。強さに合わせて、相応の仕事を用意してくれるとのこと。正直、ちょっとがんばりすぎたのかもしれない。なんだか、凄く大変そうな仕事を頼まれる気がする。まあ、いいんだけどさ。
「では、本日はどうなさいますか? せっかくですから、町を見て回りましょうか?」
「もうすぐ昼だし、ランチを兼ねて一緒に町に出てみるか?」
「ふふ、デートですね。実を言うと、屋敷の人たちから美味しいレストランを聞いておいたんですよ。美味しいスイーツのお店も調べておきましたから、行きましょう――」
なんて、穏やかに世間話をしていると、ノックがあった。ククルが「はい」と。応対してくれる。
――扉を開けると、女性が佇んでいた。
腰にまで流れる髪は、秋を彷彿させる栗毛色。穏やかな瞳に、ちっちゃな鼻。ぷるんとした唇に豊満な胸。詰め襟なのに、胸元がやや開いた独特な服。どちらさまでしょう?
「あ、あの……リークさん……の、お部屋ですよね?」
「ええ、こちらにおられる方はリーク・ラーズイッドですが……御用件は――」
栗毛の彼女は、そろりと部屋の中を覗き込み、俺を見つけるや否や、飛び込むように部屋へと侵入してきた。
「あ、ちょっと!」
無礼な行為を咎めるククル。それを気にすることなく栗毛の彼女が詰め寄ってきて、俺のことをじろじろと眺める。眺めて――俺の手を掴んで、豊満な胸元へと押しつけた。
「ああっ、あのっ、リ、リークさんッ! おおお願いです! 私とッ! 結婚してください!」
「はい?」
突然のプロポーズに困惑する俺。
「はーいー?」
突然のプロポーズに顔を引きつらせるククル。
おい、栗毛の女。おまえの背後に鬼がいるぞ。
バトルという名の訓練を終え、昼前には屋敷へと戻ってきた俺。L字型のソファに腰掛け、ククルの淹れてくれた珈琲を飲む。砂糖が強め。戦いの疲れを癒やしてくれる。さすがは俺専属の召使い。気分や体調に合わせたブレンドをしてくれている。
「さっぱりした性格だし、悪い人じゃなさそうだ」
「それはなによりです。――して、御役目などは仰せつかったのですか?」
「明日までに用意するってさ。それまでは自由に過ごしていいって」
俺と手合わせをしたのは、実力を知りたかったというのもあったようだ。強さに合わせて、相応の仕事を用意してくれるとのこと。正直、ちょっとがんばりすぎたのかもしれない。なんだか、凄く大変そうな仕事を頼まれる気がする。まあ、いいんだけどさ。
「では、本日はどうなさいますか? せっかくですから、町を見て回りましょうか?」
「もうすぐ昼だし、ランチを兼ねて一緒に町に出てみるか?」
「ふふ、デートですね。実を言うと、屋敷の人たちから美味しいレストランを聞いておいたんですよ。美味しいスイーツのお店も調べておきましたから、行きましょう――」
なんて、穏やかに世間話をしていると、ノックがあった。ククルが「はい」と。応対してくれる。
――扉を開けると、女性が佇んでいた。
腰にまで流れる髪は、秋を彷彿させる栗毛色。穏やかな瞳に、ちっちゃな鼻。ぷるんとした唇に豊満な胸。詰め襟なのに、胸元がやや開いた独特な服。どちらさまでしょう?
「あ、あの……リークさん……の、お部屋ですよね?」
「ええ、こちらにおられる方はリーク・ラーズイッドですが……御用件は――」
栗毛の彼女は、そろりと部屋の中を覗き込み、俺を見つけるや否や、飛び込むように部屋へと侵入してきた。
「あ、ちょっと!」
無礼な行為を咎めるククル。それを気にすることなく栗毛の彼女が詰め寄ってきて、俺のことをじろじろと眺める。眺めて――俺の手を掴んで、豊満な胸元へと押しつけた。
「ああっ、あのっ、リ、リークさんッ! おおお願いです! 私とッ! 結婚してください!」
「はい?」
突然のプロポーズに困惑する俺。
「はーいー?」
突然のプロポーズに顔を引きつらせるククル。
おい、栗毛の女。おまえの背後に鬼がいるぞ。
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?
カタナヅキ
ファンタジー
現実世界で普通の高校生として過ごしていた「白崎レナ」は謎の空間の亀裂に飲み込まれ、狭間の世界と呼ばれる空間に移動していた。彼はそこで世界の「管理者」と名乗る女性と出会い、彼女と何時でも交信できる能力を授かり、異世界に転生される。
次に彼が意識を取り戻した時には見知らぬ女性と男性が激しく口論しており、会話の内容から自分達から誕生した赤子は呪われた子供であり、王位を継ぐ権利はないと男性が怒鳴り散らしている事を知る。そして子供というのが自分自身である事にレナは気付き、彼は母親と供に追い出された。
時は流れ、成長したレナは自分がこの世界では不遇職として扱われている「支援魔術師」と「錬金術師」の職業を習得している事が判明し、更に彼は一般的には扱われていないスキルばかり習得してしまう。多くの人間から見下され、実の姉弟からも馬鹿にされてしまうが、彼は決して挫けずに自分の能力を信じて生き抜く――
――後にレナは自分の得た職業とスキルの真の力を「世界の管理者」を名乗る女性のアイリスに伝えられ、自分を見下していた人間から逆に見上げられる立場になる事を彼は知らない。
※タイトルを変更しました。(旧題:不遇職に役立たずスキルと馬鹿にされましたが、実際はそれほど悪くはありません)。書籍化に伴い、一部の話を取り下げました。また、近い内に大幅な取り下げが行われます。
※11月22日に第一巻が発売されます!!また、書籍版では主人公の名前が「レナ」→「レイト」に変更しています。
はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~
さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。
キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。
弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。
偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。
二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。
現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。
はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!
神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜
シュガーコクーン
ファンタジー
女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。
その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!
「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。
素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯
旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」
現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
神々の間では異世界転移がブームらしいです。
はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》
楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。
理由は『最近流行ってるから』
数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。
優しくて単純な少女の異世界冒険譚。
第2部 《精霊の紋章》
ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。
それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。
第3部 《交錯する戦場》
各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。
人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。
第4部 《新たなる神話》
戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。
連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。
それは、この世界で最も新しい神話。
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる