パーティからリストラされた俺が愛されすぎている件。心配だからと戻ってくるけど、このままだと魔王を倒しに行かないので全力で追い返そうと思います

倉紙たかみ

文字の大きさ
上 下
24 / 35

第24話 魔王ヘルデウス

しおりを挟む
 魔物も魔族も阿鼻叫喚。臆病な魔物は逃げていった。向かってくる奴は容赦なく倒した。完全なワンサイドゲームである。そして――。

「御頭。どうやら、この扉の向こうに魔王がいるようですぜ」

「ご苦労サマ。……あなたたちは下がってなさい。ここからはあたしがやる」

「は、ご武運をッ!」

「リーシェ様ッ!」「御頭ッ! がんばってくださいッ!」「死なないでください!」「もし、リーシェ様に何かあったら、この城ごと破壊しますッ!」「リーシェ! リーシェッ!」

 未だ元気な配下の連中。こちらの死人は一切出ていない。そして士気も高い。この大陸の人間のポテンシャル半端ないな。大勢の配下に見送られながら、リーシェは巨大な扉を開いた。

 リーシェが足を踏み入れると、不思議な空間が広がっていた。星空のような特殊な世界。それを貫くように階段が伸びていた。さっきまであった扉が消えた。仲間たちの声も消えた。

 上っていくと、玉座の間のような空間があった。荘厳な椅子があって、ひとりの男が座っている。ボサボサ頭のロングヘアは、まるで獅子のたてがみのようだった。筋骨隆々の肉体。煌びやかな貴族服を、胸元を開けさせるように羽織っている。表情は若い。だが、瞳は鋭く邪悪。悪魔のような笑みを見せると、その男は言った。

「――貴様が勇者リーシェか」
「あなたが魔王ヘルデウスね――」

 対峙した瞬間、お互いが宿敵であると理解。魔剣も聖剣も共鳴している。殺せと、訴えているかのようであった。

「勇者が小娘だとは思わなかった。アークルードは、こんな奴に殺されたのか」

「魔王が人の形をしているとは思わなかったわ。人間は、こんな奴に苦しめられていたのね」

 魔王がふわりと手を伸ばす。すると、肘から先が消えた。そして、時空を越えてリーシェの右肩を掴んだ。 

 「ふっ……。脆そうな肉体だな。少し触れば崩れてしまいそうだぞ?」

 リーシェは、その魔王の腕を掴んだ。そのまま力の限りひねる。殺られる前に殺る。メキメキメキャリと変な音を立てて、魔王の右腕が大骨折を起こす。

「おぎゃぁあぁあぁぁぁッ!」

 時空を越えた腕を、すぐさま引き抜く魔王。

「う、ぐぐ――く、ククッ! ほう、少しはやるようだな。だが、俺にとっては、こんなものはダメージのうちに入らない」

 魔王は腕を回復しようとする。だが、無駄だ。へし折った時に再生を阻害する魔力を流し込んだ。腕が回復することはない。

「な、なぜッ? な? え? フ、フハハハ……? ……まあ、この程度なら、回復せずともよいか」

 予想外と不可解を話術でごまかす魔王。

「しかし、勇者リーシェよ。俺は感心したぞ」

 勇者じゃないやい。賢者だい。もう、訂正するのも面倒だから放っておくけど。

「感心?」

「人間如きが、俺のもとへとたどり着けるとは思わなかった。おまえの前では四天王も歯が立たなかったのだろう。希有な人間である」

「どーも」

「おまえは、選ばれた人間だ。評価に値する。ゆえに、どうだ――」

 ヘルデウスは、折れた右腕を押さえながら提案する。

「この俺の部下にならんか? もし、従えば、この世界の半分をくれてやろう」

「半分? はッ! 冗談じゃないわ。全部寄越しなさいよ」

「くくッ、強欲だな。――しかし、いずれならくれてやっても構わん」

 ヘルデウスが玉座の背後を見やる。

 そこには、巨大な漆黒の渦があった。

「この渦は魔界へのゲートだ。間もなく、人間界と魔界が繋がろうとしている。俺は、人間界だけでなく、魔界も支配したい。もし、俺が魔界をも支配した暁には、貴様に人間界の支配を任せてやってもいい」

「結構。私は、あんたを倒して、この世界を平和にする。そして、魔界とのゲートは塞ぐ。世界に混沌など必要はない。あんたの存在も必要ない」

「協力できぬと?」

「当然でしょ? そもそもアークルードが言ってたわよ。あんたは人間を支配したいんじゃない。皆殺しにしたいんだって」

「くくっ、俺を信用できぬか。ならば、殺し合うとしよう。差し伸べた手を払い落とすとは馬鹿な奴め。後悔するがいい!」

「かかってきなさいよ。このリーシェ・ラインフォルト様が相手してあげるわ」

 そう言って、魔剣と聖剣を抜いて構えるのであった。

          ☆

 クレアドールにきてから、どれだけの月日が流れただろうか。だが、姉ちゃんとイシュタリオンさんのとんでもない企画に振り回されたのもこれでお仕舞いだ。

 ――俺たちは、ついに旅を再開することになった。

「このクレアドールとも、お別れですね。ちょっと寂しいです」

「ああ、感慨深いものがあるな……」

 しみじみと頷くフェミル姉ちゃんとイシュタリオンさん。

「皆様の無事をお待ちしております。どうかご無事で……。お役に立てなくて申し訳ございませんでした」

 狐耳をペタンとさせ、無念そうに頭を下げるフォルカス。この人、元魔王軍なのによくやってくれてるよ。俺たちがいない間は、彼女がクレアドールを守ってくれるだろう。

「ああッ! イシュタリオン様ッ! せっかくお会いできたというのに、再び別れの時がくるとはッ! このフレア、胸が引き裂かれる思いでございますッ!」

「なに、しばしの別れだ。魔王を倒してすぐに戻ってくる」

「どうか、このバラをお持ちくださいッ! 儚い御守りでございますが、きっとイシュタリオン様に幸運をもたらしてくれましょう!」

 イケメン姫騎士と、男装の麗人がバラの花を交わす。その煌びやかな光景に、見送りにきてくれた町の人たちは、恍惚とした溜息をこぼしていた。

「みなさん、お世話になりました。必ずや、このフェミルが魔王を倒してみせます。どうかそれまでお元気で」

 姉ちゃんが挨拶をする。俺も続いて――。

「みんな、ありがとう。必ず、戻ってくるよ」

 そして、俺たちは次の町へと向かうため、乗り込むのであった。

 ――機関車とかいう謎の乗り物に。

「いやぁ、便利な時代になりましたね」

 いや、姉ちゃん。……サラッと言ってるけど、気にならんのかッ? 機関車だぞ、機関車! っていうか、なにこの乗り物? 見たことも聞いたこともないんですけど!

「……す、凄いっすね……」

「うむ。カルトナの学者が予てから考えていたのだがな、予算や法律、安全上の問題から開発に踏み切れなかったのだ。しかし、クレアドールなら可能だと思ってな。許可を与えたら喜び勇んで一晩でつくってくれたのだよ。石炭と魔法で進むらしいぞ」

 クレアドールから、次のバーニッシュ村までレールが敷かれているらしい。カルトナからの移住者たちがつくってくれたそうだ。おかげで、二時間ぐらいで到着することができる。しかも超快適に。

 今回はテスト走行も兼ねているので、五両編成の車両はすべて貸し切り。俺たちがいるのは特等車両。ソファや家具。魔法で冷やせる冷蔵庫。書斎や会議テーブルなど。まるで宮殿にいるかの如く過ごすことができる。

「おお! カルマくん! バーニッシュ村はリゾート地みたいですよ! 海で泳ぐことができるみたいです」

 ソファに腰掛けていた姉ちゃんが、パンフレットを開いていた。

 ――うん、パフレットってなんだ? そんなの大都会のギルドとか、旅行会社にしか置いてないだろう。なんで、機関車にそんなものがあるんだよ。っていうか、バーニッシュは漁村だったはずだ。まあ、どうせ、線路や道路を開発しているうちに、現地のスタッフがリゾート施設を建築しまくったのだろうけど。

「泊まりたいホテルに印を付けておくと、到着次第現地スタッフが手配してくれる仕組みだ。水着やおやつなども、備考欄に書いておくとホテルに届けてくれる。ああ、遠慮することはないぞ。ホテルは、我々が経営しているからな」

 しれっと説明するイシュタリオンさん。漁村にホテル建築して、リゾート化したのね。現地の人たちは、給料の良い仕事が増えて大喜びらしい。

「皆様、お食事のご用意が整いました」

 カートを引きながら、ルリが入室してくる。

「なんで、ルリがここに……?」

「皆様のお世話をするためですっ。あ、ご安心ください。ホテルにお送りしたら、すぐにクレアドールへと戻らせていただきますので」

「ひ、日帰りか……大変だな」

「いえいえ、カルマ様と一緒にいられるのなら、喜んで同行しますよ! あ、もし、気遣ってくださるのなら……ふふっ、そうですねぇ……。私も、バーニッシュ村に一泊するよう命じてくださると嬉しいのですが――」

 魔王討伐の旅が、魔王討伐ツアーに変わったような気がした。

          ☆

「はあ……はあ……そんなバカな! なぜ、時の止まった世界で、貴様は動けるッ!」

「これでも、賢者なもんでね。だいたいの魔法は、体験するとコピーできるのよ」

 ――時を止める――。時間系の魔法は最上級の難易度を誇る。実現するのも難しいが、持続させるのも難しい。どんな大魔法使いでも、ほんの数秒時間を止めれば、魔力が枯渇するものだ。

 魔王は、それを幾度と繰り返すだけの魔力があった。はっきりいって、勇者クラスでも為す術がなかっただろう。

 だが、リーシェにはこれまで戦ってきた強敵たちの魔力を吸収してきた。無尽蔵のエネルギーを生み出す聖剣ライフバーンもある。おかげで時の止まった世界に介入できる。結果――。

「俺は世界最強の生物ッ! こ、この世界の王ッ! 人間如きにッ――」

 ――魔王ヘルデウスが膝を突いた。

 魔王城にて、賢者リーシェと魔王ヘルデウスの両雄がぶつかり合った。だが、数多の敵を葬り去り、経験を積んでレベルもアップしたリーシェの前では、いかに魔王ヘルデウスといっても相手にならなかった。

 魔王の魔力は枯渇。ダメージも深刻。片やリーシェはというと、魔王城に入った時のまま。服には焦げひとつなかった。

「なにが世界最強よ。なにが人間如きよ。それはあなたの妄想。想像。空想。自分の欲望に溺れたあんたが、この賢者リーシェ様に勝てると思ったのかしら?」

「なにが貴様を強くさせるッ?」

「――愛――」

 恥ずかしげもなく、臆することもなく、リーシェはその一言を落とす。

「愛……?」

「あたしはね、命を懸けてるのよ。大好きな人と、大好きな人が存在する世界のためにね。それに比べれば世界の支配なんてものは、ゴミみたいな思想だわ」

「俺の存在意義を否定するかッ!」

 魔王がヘルデウスが火炎魔法を撃ち放つ。業火が襲いかかるも、それを魔剣デッドハートで軽く打ち消す。

「あたしの目的が世界征服だったら、とっくに負けてた。そんなものに興味はないから。希望もないから……とっくに心が折れてた。けど、愛する人がいるから――あたしは無限に強くなれる。どれだけでも戦える」

「く……くくくッ……愛……か」

「ええ、もっとも合理的ではない感情よ」

「最後に聞かせてくれ。その愛を捧げる人物の名を」

「カルマ。……カルマ・グレンバート」

 淡々と告げるリーシェ。

 昔の自分なら、例え本人のいない場所でも、恥ずかしくて口になんてできなかった。けど、今は違う。積み上げられた自信があった。カルマに誇れるだけの女性になったと、リーシェは思っていた。

「カルマか……。その名、覚えておこう……」

「どーも。じゃ、決着――ね」

「ああ、決着だッ――ッ」

 魔王が魔力を練り始める。おそらく、これが奴の最後の一撃となるだろう。ならば、リーシェも全身全霊を駆けた魔法をお見舞いする。

 ――だが、その時。魔王城を凄まじい揺れが襲った。

 ふらついて、その場に膝を突くリーシェ。

「ッ!? ヘルデウスッ! なにをしたのッ?」

「こ、これは――ッ?」

 ヘルデウスは、背後を振り返って――魔界へのゲートを見やった。

「ま、まさかゲートがッ? バカなッ! まだ完成しておらんぞ!」

「どういうこッ――?」

 次の瞬間、ゲートから数多の触手が伸びてきた。それらは蛇のようにうねり、ヘルデウスとリーシェに絡みつく。

「きゃっ、気持ち悪ッ!」

 魔剣と聖剣の二刀で切り刻む。だが、触手の勢いは衰えることがない。

 必死に抵抗するヘルデウスとリーシェ。

「こ、こんちきしょッ――」

 しかし抵抗空しく、ふたりは触手に捕まり、ゲートへと吸い込まれていくのであった――。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

【後日談完結】10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~

ばいむ
ファンタジー
剣と魔法の世界であるライハンドリア・・・。魔獣と言われるモンスターがおり、剣と魔法でそれを倒す冒険者と言われる人達がいる世界。 高校の休み時間に突然その世界に行くことになってしまった。この世界での生活は10日間と言われ、混乱しながらも楽しむことにしたが、なぜか戻ることができなかった。 特殊な能力を授かるわけでもなく、生きるための力をつけるには自ら鍛錬しなければならなかった。魔獣を狩り、いろいろな遺跡を訪ね、いろいろな人と出会った。何度か死にそうになったこともあったが、多くの人に助けられながらも少しずつ成長していった。 冒険をともにするのは同じく異世界に転移してきた女性・ジェニファー。彼女と出会い、そして・・・。 初投稿というか、初作品というか、まともな初執筆品です。 今までこういうものをまともに書いたこともなかったのでいろいろと変なところがあるかもしれませんがご了承ください。 誤字脱字等あれば連絡をお願いします。 感想やレビューをいただけるととてもうれしいです。書くときの参考にさせていただきます。 おもしろかっただけでも励みになります。 2021/6/27 無事に完結しました。 2021/9/10 後日談の追加開始 2022/2/18 後日談完結

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

魔喰のゴブリン~最弱から始まる復讐譚~

岡本剛也
ファンタジー
駆け出しの冒険者であるシルヴァ・ベルハイスは、ダンジョン都市フェルミでダンジョン攻略を生業としていた。 順風満帆とはいかないものの、着実に力をつけてシルバーランク昇格。 そしてついに一つの壁とも言われる十階層の突破を成し遂げた。 仲間との絆も深まり、ここから冒険者としての明るい未来が待っていると確信した矢先——とある依頼が舞い込んできた。 その依頼とは勇者パーティの荷物持ちの依頼。 勇者の戦闘を近くで見られることができ、高い報酬ということもあって引き受けたのだが、この一回の依頼がシルヴァを地獄の底に叩き落されることとなった。 ダンジョン内で勇者達からゴミのような扱いを受け、信頼していた仲間にからも見放され……ダンジョンの奥地に放置されたシルヴァは、匂いに釣られてやってきた魔物に襲われた。 魔物に食われながら、シルヴァが心の底から願ったのは勇者への復讐。 そんな願いが叶ったのか、それとも叶わなかったのか。 事実のほどは神のみぞ知るが、シルヴァは記憶を持ったままとある魔物に転生した。 その魔物とは、最弱と名高いゴブリン。 追い打ちをかけるような最悪な状況に常人なら心が折れてもおかしくない中、シルヴァは折れることなく勇者への復讐を掲げた。 これは最弱のゴブリンに転生したシルヴァが、最強である勇者への復讐を果たす物語。

【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~

みやま たつむ
ファンタジー
【本編完結しました(812話)/後日譚を書くために連載中にしています。ご承知おきください】 事故死したところを別の世界に連れてかれた陽キャグループと、巻き込まれて事故死した事なかれ主義の静人。 神様から強力な加護をもらって魔物をちぎっては投げ~、ちぎっては投げ~―――なんて事をせずに、勢いで作ってしまったホムンクルスにお店を開かせて面倒な事を押し付けて自由に生きる事にした。 作った魔道具はどんな使われ方をしているのか知らないまま「のんびり気ままに好きなように生きるんだ」と魔物なんてほっといて好き勝手生きていきたい静人の物語。 「まあ、そんな平穏な生活は転移した時点で無理じゃけどな」と最高神は思うのだが―――。 ※「小説家になろう」と「カクヨム」で同時掲載しております。

処理中です...