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第71話 とある精霊と厄介な人-別視点-
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「上級精霊、通称ディーネお呼びに与り参上しました」
召喚に応じてやってきた私の目の前にいるのは、氷のように冷たい凜とした美貌を持つ人物。
厳かな輝きを放つその髪は、持つ者が限られた蒼銀髪。鋭い眼光が光る瞳は吸い込まれそうな深い青色で、長いまつげに縁取られたそれは人が言うところの美術品のようである。
そこに端正な面持ちと無表情さが合わさることで、生き物らしくない作り物めいた雰囲気を醸し出していた。
人というものに興味が薄い精霊の私でさえ、見とれるような美しい容姿を持つ彼に私は深々と頭を下げる。
「御用はなんでしょうか、アークスティード様」
そんな私に彼は短く告げる。
「妹を見張って欲しい」
「リリアーナ様をですか……?」
つい聞き返してしまったが、そもそもアークスティード様にはリリアーナ様以外の兄弟はいない。
「そうだ」
だからアークスティード様も当然頷く。まぁそれ自体はいいのだけど、問題は指示の内容だ。
「その、見張るというのは……」
「本人に気付かれないように影から様子を見つつ、危険がないように守ってくれ」
ああ、本人に気付かれないように……影からですか……。
「……非常に申し訳づらいのですが、それは難しいかと」
私が正直にそう答えた瞬間、アークスティード様は露骨に不機嫌そうな空気を出し始めた。
こ、これはお怒りですね……。
「なぜだ」
元々もの言いが冷たくキツいお方だが、その言葉にはいつも以上の険がある。
かなり居心地が悪いものの、ここは正直な意見を言うしかないだろう……。
「恐れながらリリアーナ様はただでさえ勘がいいうえに、私より高い実力を持っておられます。なので下手に尾行しても見破られる可能性が高く…………って待って下さい、あそこで気絶しているのはリリアーナ様では!?」
つらつらと説明を並べている途中で、私はちょうど話題にも上がっていたリリアーナ様を見つけて思わず声を上げた。
どうやら彼女は少し離れた場所で、木に寄りかかるような形で意識を失っているようだ。
「ど、どうしてこんなことに……!?」
さっき私も説明した通り、リリアーナ様は実力者だ。だからそう易々と気絶させられるようなことは有り得ない。
そんなリリアーナ様が敵わない相手がこんなところにいるなんて……!?
「私がやった、だから問題ない」
私が完全に混乱していたところ、アークスティード様が平然とそんなことを言った。
…………え?
待ってくださいそれってつまり、アークスティード様がリリアーナ様を気絶させたってことですよね。
確かにアークスティード様なら実力的には納得なのですが……。
私の記憶が正しければ、リリアーナ様を気絶させるには、少しばかり過激な手段を取る必要があった気がするのですが……それを実行したと?
まぁ、何があったかは知りませんが本人がそう言っているのだからしたんでしょうね……。
さっきまではすっかり忘れていたけど、よく考えるとそういう方だから納得です。
「話しを戻すが、リリアーナにバレなければ問題ないのだな?」
「……はい、そこが一番の問題ですから」
と言いつつ正直な話をするなら、リリアーナ様自身が私よりも強いので守る必要性自体を感じない。
そして気絶させている件もそうだけれど、現状リリアーナ様に一番危害を加えているのは彼自身である気がするので、正直そちらをどうにかした方がいいのではないかという気が……。
しかしリリアーナ様が絡んだ時のアークスティード様は、ほとんど話を聞いてくれないのでわざわざ口にするのは止めておきますね。下手にややこしくなるのはごめんですし。
「それでは私がお前に完全隠蔽の術を掛けておこう……効力は念のために二日間にするが一日見ててくれればいい」
「確かに、それならどうにかなりますが……」
でもさっきも思ったとおり、私がリリアーナ様を守る必要性を感じないんですよね……。
「気を付けろ、近くには危険なケモノもいるからな」
「き、危険なケモノ?」
意外な単語が飛び出したので思わず繰り返してしまったが……アークスティード様がわざわざ危険というくらいだ、それはかなり危険な存在に違いない。
「ちなみにあれだ」
「え!?」
こ、こんな側にそんな危険な存在が!?
そう思いながら私は、アークスティード様が指した先を慌てて振り返った。
場合によっては対処が必要かも知れないと身構えていたが……。
「……危険なケモノというか、獣人のように見えますが」
そこにいたのは地面に突っ伏して、リリアーナ様と同様に意識のなさそうな獣人だった。
……これもアークスティード様がやったのだろうか? まぁ、これなら当面の危険はなさそうではありますが。
「ああ、だが獣人のようで獣人ではない。そして不確定要素を孕んでいる危険な存在なのだ」
「そうなのですか……」
もはや彼が何を言っているのか分からないが、私はとりあえず頷いておいた。
しかし危険という割に、そんなに危険そうな感じはしないんですよね……なんか弱そうだし。
……まさか実力を隠しているのでしょうか、気絶してるけれども。
「具体的に言うと、大地の大精霊が呪いを掛けたという要観察対象の危険人物だ」
「え、あの大地の大精霊様が!?」
私は思わず大きな声を上げてしまった。
だって、そんな大物が関わっているなんて想像もしなかったのですもの……。
「しかしあの方が、そんなことをするのはおかしい気がします……」
それというのも大地の大精霊様は、四大精霊の中で唯一明確に人を嫌っていて、まず関わることを避けるようなお方だった。
そんな性格だからこそ、わざわざ人に関わりを持ち呪いを掛けるという行為自体が不自然極まりない。仮に何かするにしても、手間も面倒もつきまとう呪いではなくそれ以外の手段を取るはずだ……。
「ああ、不自然だ……だからこそ、それを生かしておいて観察する」
「承知いたしました」
確かにそれだけの話になると、わざわざ生かして様子を見るという話も納得できる。そしてリリアーナ様をただ単に見守るというものから、私の役割の重さも変わってくる。
大地の大精霊様に万が一があったら極端な話、この世界の全ての土地が草木も生えない不毛の地になる可能性すらあるのだから。
「それではこの度の大役、不肖の身ながら私が……」
「いや、違う」
「え……?」
何が違うのだろうか、ここまで異常事態だという話をしてまさか放置するつもりなのだろうか……。
「お前は基本リリアーナを見ていてくれればよい。そちらについては、その片手間で構わん」
「か、片手間!?」
え、は!? なんかアークスティード様がおかしなことを言い出したのですが……!! いや、リリアーナが関わると大体おかしいですけども……。
「い、いいのですかそれで……!?」
「ああ、お前は片手間で構わない。メインで対応するのは、リリアーナの役割らしいからな……」
自分でそう口にしつつも、アークスティード様の言葉はどこか苦々しい。まるで納得出来ていないような様子だ……。
「あの、らしいというのは……」
「上からの指示だ」
「そうしますと、グレイオス様の?」
「違う、父上ではない」
「え、それでは……もしかして……」
私が言葉を続けるのを躊躇っていると、アークスティード様は私からすっと視線をそらして例の獣人を見ながらこう言った。
「そう言うわけで、あの危険生物がリリアーナに危害を加えそうになったら迷わず殺せ」
「あの、話の流れが急に分からなくなったのですが……観察すると仰っていたのに殺すおつもりで?」
「当然だ、リリアーナの身の安全より優先されるものはない……!!」
先程まで一応は喋るうえでは淡々としてたのに、ここに来て唐突に感情的になるアークスティード様。
それもこれもリリアーナ様が直接絡んだ話になったからだろう。非常に面倒だ……。
「そうですか……」
私はたまに、この方の情緒が心配になる……。
あまり言いたくないが重要な案件では、アークスティード様とリリアーナ様を一緒に絡ませてはダメなのではないだろうか……。
「あ、しかしそうなると私が隠れて影からリリアーナ様を見守るより、最初から分かりやすく側にいた方がいいのでは?」
まぁ、リリアーナ様関連でアークスティード様がおかしな行動を取るのは止めようがないとしても、自分へのリスクは少しでも減らしたい。隠れてつけてるなんてことが後からバレれば、それこそ面倒極まりないので正直できれば避けたい。
「いや、リリアーナは謙虚な子だからハッキリ言ってもきっと遠慮するだろう……。そして一撃で仕留めるのなら影に潜んでおいて、不意打ちを狙う方がいい」
「…………」
リリアーナ様が謙虚かどうかはともかく、正面から言っても断られそうなのは確かかも知れませんね……。
そして不意打ち発言に関してはもう何も言いませんよ。もう色々諦めているのでね……。
「そういうことで、何かあれば確実に息の根を止めるように」
「はい……」
と一応は頷いたものの、基本的な生命活動をするにも生き物を殺さず、マナを糧にする精霊としては極力余計な殺生はしたくないんですよね。
しかしアークスティード様がそこまで仰るのでは仕方ありません。
リリアーナ様が大切な存在であることは、我々にとってもそうですし、いざと言うときの覚悟もしておきましょう……。
もちろん何もないに越したことはないので、余計なことがないようには願っておきますけども……!!
「では後は任せた、私も追々そちらに向かう」
ああ、なるほど……召喚した私がリリアーナ様の側にいれば、自動的に居場所も分かるからそういう意味でも私がいるのは好都合だということですね。
その辺りの采配は、流石と言わざるを得ませんが……なんでしょうか、この微妙な気持ちは。
そんなことを考えている間に、アークスティード様は紙を取り出して何か書き出したかと思うと折りたたんでリリアーナ様の横に置いていた。
「それは?」
「不安にさせないように言伝を残して置こうと思ってな」
「左様でございますか……」
改めてこのお方の気遣いの方向性が、つくづく謎だと感じた。人のことには詳しくないが、流石にそれより先にもっとするべきことがあるのではないかという気が…………いや、とても言えませんがね?
「くれぐれも頼んだぞ」
「かしこまりました……」
そうして完全隠蔽の術も掛けて頂き、立ち去るアークスティード様をお見送りしながらふと思う。
最後まではっきり聞くことができなかったけど、アークスティード様が言った上というのは恐らくあの方ですよね……。
それならば、今回の一件にはより気を引き締めて掛からなくてはなりませんね。
召喚に応じてやってきた私の目の前にいるのは、氷のように冷たい凜とした美貌を持つ人物。
厳かな輝きを放つその髪は、持つ者が限られた蒼銀髪。鋭い眼光が光る瞳は吸い込まれそうな深い青色で、長いまつげに縁取られたそれは人が言うところの美術品のようである。
そこに端正な面持ちと無表情さが合わさることで、生き物らしくない作り物めいた雰囲気を醸し出していた。
人というものに興味が薄い精霊の私でさえ、見とれるような美しい容姿を持つ彼に私は深々と頭を下げる。
「御用はなんでしょうか、アークスティード様」
そんな私に彼は短く告げる。
「妹を見張って欲しい」
「リリアーナ様をですか……?」
つい聞き返してしまったが、そもそもアークスティード様にはリリアーナ様以外の兄弟はいない。
「そうだ」
だからアークスティード様も当然頷く。まぁそれ自体はいいのだけど、問題は指示の内容だ。
「その、見張るというのは……」
「本人に気付かれないように影から様子を見つつ、危険がないように守ってくれ」
ああ、本人に気付かれないように……影からですか……。
「……非常に申し訳づらいのですが、それは難しいかと」
私が正直にそう答えた瞬間、アークスティード様は露骨に不機嫌そうな空気を出し始めた。
こ、これはお怒りですね……。
「なぜだ」
元々もの言いが冷たくキツいお方だが、その言葉にはいつも以上の険がある。
かなり居心地が悪いものの、ここは正直な意見を言うしかないだろう……。
「恐れながらリリアーナ様はただでさえ勘がいいうえに、私より高い実力を持っておられます。なので下手に尾行しても見破られる可能性が高く…………って待って下さい、あそこで気絶しているのはリリアーナ様では!?」
つらつらと説明を並べている途中で、私はちょうど話題にも上がっていたリリアーナ様を見つけて思わず声を上げた。
どうやら彼女は少し離れた場所で、木に寄りかかるような形で意識を失っているようだ。
「ど、どうしてこんなことに……!?」
さっき私も説明した通り、リリアーナ様は実力者だ。だからそう易々と気絶させられるようなことは有り得ない。
そんなリリアーナ様が敵わない相手がこんなところにいるなんて……!?
「私がやった、だから問題ない」
私が完全に混乱していたところ、アークスティード様が平然とそんなことを言った。
…………え?
待ってくださいそれってつまり、アークスティード様がリリアーナ様を気絶させたってことですよね。
確かにアークスティード様なら実力的には納得なのですが……。
私の記憶が正しければ、リリアーナ様を気絶させるには、少しばかり過激な手段を取る必要があった気がするのですが……それを実行したと?
まぁ、何があったかは知りませんが本人がそう言っているのだからしたんでしょうね……。
さっきまではすっかり忘れていたけど、よく考えるとそういう方だから納得です。
「話しを戻すが、リリアーナにバレなければ問題ないのだな?」
「……はい、そこが一番の問題ですから」
と言いつつ正直な話をするなら、リリアーナ様自身が私よりも強いので守る必要性自体を感じない。
そして気絶させている件もそうだけれど、現状リリアーナ様に一番危害を加えているのは彼自身である気がするので、正直そちらをどうにかした方がいいのではないかという気が……。
しかしリリアーナ様が絡んだ時のアークスティード様は、ほとんど話を聞いてくれないのでわざわざ口にするのは止めておきますね。下手にややこしくなるのはごめんですし。
「それでは私がお前に完全隠蔽の術を掛けておこう……効力は念のために二日間にするが一日見ててくれればいい」
「確かに、それならどうにかなりますが……」
でもさっきも思ったとおり、私がリリアーナ様を守る必要性を感じないんですよね……。
「気を付けろ、近くには危険なケモノもいるからな」
「き、危険なケモノ?」
意外な単語が飛び出したので思わず繰り返してしまったが……アークスティード様がわざわざ危険というくらいだ、それはかなり危険な存在に違いない。
「ちなみにあれだ」
「え!?」
こ、こんな側にそんな危険な存在が!?
そう思いながら私は、アークスティード様が指した先を慌てて振り返った。
場合によっては対処が必要かも知れないと身構えていたが……。
「……危険なケモノというか、獣人のように見えますが」
そこにいたのは地面に突っ伏して、リリアーナ様と同様に意識のなさそうな獣人だった。
……これもアークスティード様がやったのだろうか? まぁ、これなら当面の危険はなさそうではありますが。
「ああ、だが獣人のようで獣人ではない。そして不確定要素を孕んでいる危険な存在なのだ」
「そうなのですか……」
もはや彼が何を言っているのか分からないが、私はとりあえず頷いておいた。
しかし危険という割に、そんなに危険そうな感じはしないんですよね……なんか弱そうだし。
……まさか実力を隠しているのでしょうか、気絶してるけれども。
「具体的に言うと、大地の大精霊が呪いを掛けたという要観察対象の危険人物だ」
「え、あの大地の大精霊様が!?」
私は思わず大きな声を上げてしまった。
だって、そんな大物が関わっているなんて想像もしなかったのですもの……。
「しかしあの方が、そんなことをするのはおかしい気がします……」
それというのも大地の大精霊様は、四大精霊の中で唯一明確に人を嫌っていて、まず関わることを避けるようなお方だった。
そんな性格だからこそ、わざわざ人に関わりを持ち呪いを掛けるという行為自体が不自然極まりない。仮に何かするにしても、手間も面倒もつきまとう呪いではなくそれ以外の手段を取るはずだ……。
「ああ、不自然だ……だからこそ、それを生かしておいて観察する」
「承知いたしました」
確かにそれだけの話になると、わざわざ生かして様子を見るという話も納得できる。そしてリリアーナ様をただ単に見守るというものから、私の役割の重さも変わってくる。
大地の大精霊様に万が一があったら極端な話、この世界の全ての土地が草木も生えない不毛の地になる可能性すらあるのだから。
「それではこの度の大役、不肖の身ながら私が……」
「いや、違う」
「え……?」
何が違うのだろうか、ここまで異常事態だという話をしてまさか放置するつもりなのだろうか……。
「お前は基本リリアーナを見ていてくれればよい。そちらについては、その片手間で構わん」
「か、片手間!?」
え、は!? なんかアークスティード様がおかしなことを言い出したのですが……!! いや、リリアーナが関わると大体おかしいですけども……。
「い、いいのですかそれで……!?」
「ああ、お前は片手間で構わない。メインで対応するのは、リリアーナの役割らしいからな……」
自分でそう口にしつつも、アークスティード様の言葉はどこか苦々しい。まるで納得出来ていないような様子だ……。
「あの、らしいというのは……」
「上からの指示だ」
「そうしますと、グレイオス様の?」
「違う、父上ではない」
「え、それでは……もしかして……」
私が言葉を続けるのを躊躇っていると、アークスティード様は私からすっと視線をそらして例の獣人を見ながらこう言った。
「そう言うわけで、あの危険生物がリリアーナに危害を加えそうになったら迷わず殺せ」
「あの、話の流れが急に分からなくなったのですが……観察すると仰っていたのに殺すおつもりで?」
「当然だ、リリアーナの身の安全より優先されるものはない……!!」
先程まで一応は喋るうえでは淡々としてたのに、ここに来て唐突に感情的になるアークスティード様。
それもこれもリリアーナ様が直接絡んだ話になったからだろう。非常に面倒だ……。
「そうですか……」
私はたまに、この方の情緒が心配になる……。
あまり言いたくないが重要な案件では、アークスティード様とリリアーナ様を一緒に絡ませてはダメなのではないだろうか……。
「あ、しかしそうなると私が隠れて影からリリアーナ様を見守るより、最初から分かりやすく側にいた方がいいのでは?」
まぁ、リリアーナ様関連でアークスティード様がおかしな行動を取るのは止めようがないとしても、自分へのリスクは少しでも減らしたい。隠れてつけてるなんてことが後からバレれば、それこそ面倒極まりないので正直できれば避けたい。
「いや、リリアーナは謙虚な子だからハッキリ言ってもきっと遠慮するだろう……。そして一撃で仕留めるのなら影に潜んでおいて、不意打ちを狙う方がいい」
「…………」
リリアーナ様が謙虚かどうかはともかく、正面から言っても断られそうなのは確かかも知れませんね……。
そして不意打ち発言に関してはもう何も言いませんよ。もう色々諦めているのでね……。
「そういうことで、何かあれば確実に息の根を止めるように」
「はい……」
と一応は頷いたものの、基本的な生命活動をするにも生き物を殺さず、マナを糧にする精霊としては極力余計な殺生はしたくないんですよね。
しかしアークスティード様がそこまで仰るのでは仕方ありません。
リリアーナ様が大切な存在であることは、我々にとってもそうですし、いざと言うときの覚悟もしておきましょう……。
もちろん何もないに越したことはないので、余計なことがないようには願っておきますけども……!!
「では後は任せた、私も追々そちらに向かう」
ああ、なるほど……召喚した私がリリアーナ様の側にいれば、自動的に居場所も分かるからそういう意味でも私がいるのは好都合だということですね。
その辺りの采配は、流石と言わざるを得ませんが……なんでしょうか、この微妙な気持ちは。
そんなことを考えている間に、アークスティード様は紙を取り出して何か書き出したかと思うと折りたたんでリリアーナ様の横に置いていた。
「それは?」
「不安にさせないように言伝を残して置こうと思ってな」
「左様でございますか……」
改めてこのお方の気遣いの方向性が、つくづく謎だと感じた。人のことには詳しくないが、流石にそれより先にもっとするべきことがあるのではないかという気が…………いや、とても言えませんがね?
「くれぐれも頼んだぞ」
「かしこまりました……」
そうして完全隠蔽の術も掛けて頂き、立ち去るアークスティード様をお見送りしながらふと思う。
最後まではっきり聞くことができなかったけど、アークスティード様が言った上というのは恐らくあの方ですよね……。
それならば、今回の一件にはより気を引き締めて掛からなくてはなりませんね。
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