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第19話 大精霊と四大英雄(童話風)―世界観説明回―
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今より遙かに古い時代の話。
ある時、どこからともなく世界を蝕む存在が現れました。
それらは清らかな水を穢し、澄んだ空気を澱ませ、恵みの大地を不毛の地へと変え、更には人々から生きる気力すら奪う恐ろしい存在でした。
正体も目的も分からないその存在を人々は闇のモノと呼び怯えました。
闇のモノの猛攻は凄まじいもので、次々に大地も国も人も彼らの手に落ちていきました。
そしてその事態を心配したのは人類だけではなく精霊たちも同様でした。
そのなかでも強大な力を持ちながら世界の秩序を乱さぬために、自ら力を振るうことをしない唯一無二の4柱の大精霊。
火の大精霊、水の大精霊、風の大精霊、大地の大精霊も、ついに協力して闇のモノを倒すことを決めました。
大精霊の圧倒的な力により各地を蝕む闇のモノは次々になぎ払われ倒されてゆき事態は好転したように思えました。
しかし闇のモノたちは一度倒しても再び湧いてきたのです。
同じように倒してもまた増えてを幾度か繰り返したのちに、流石にそれがおかしいことに気づきました。
いくら倒してもまた増えてくる、しかもそれが増えるたびに強くなっていっていることに気づき、大精霊たちはそれ以上迂闊に攻撃を加えられなくなってしまいました。
そして大精霊たちが戦いを重ねるうちに、いつしか地上の半分以上が闇のモノの手に落ちてしまっていたのでした。
闇のモノは元々、形があるのかすらハッキリしない曖昧な存在でした。
それが増殖を重ね地上の半分を支配下に置いたときには、ハッキリとした形を持つようになっただけでなく一種の社会性のようなものまで有していました。
そしてそれが意味するのは、ソレらがより体系的で計画的に侵略を行えるようになったということでした。
元々持っていた圧倒的な能力に加えて計画性を持った敵、世界は更なる窮地に立たされ滅びを待つだけかに思われました。
しかし人類も黙って滅びることをよしとせず、戦える者は武器を取り戦いました。
例えそれが相手を強くする結果になったとしても、ただ黙ってやられることに納得できなかったのです。
そんな人類の戦いの中で微かな希望が生まれました。
ある人物が闇のモノを倒した場所ではソレが増えることがなく、更に不思議なことに新たにやってきた闇のモノもその場所を嫌がるかのような素振りを見せたのです。
調べてみるとその人物は光の魔力という特別な魔力を保持しており、無意識に使ったそれが闇のモノを退ける効果を発揮したことが分かったのです。
その話はすぐに大精霊の耳にも届き、未知の魔力ではあるものの闇のモノを倒すにはそれを使うしかないと即断しました。
そして光の魔力を活用するためにそれについて調べるうちに、光の魔力は大精霊を初めとした精霊には扱えない類いの魔力であることと、人類の中でもごく僅かなものだけが扱える魔力であることが判明しました。
そこで大精霊たちは自らが直接戦えない代わりに、光の魔力を保持するものの中でも特に実力者があるものを選び出し、大精霊の加護を与えることにしたのです。
大精霊の加護というものは、人が受ければあらゆる災厄を受け付けなくなるのではなく、扱える魔力の量が格段に増え、魔力を用いる術の威力も大きくなる効果があります。
本来それはその精霊がつかさどる属性に限ったことですが、光の魔力に限ってどの精霊が加護を与えても精霊の属性にかかわらず同じように力を得ることが出来ることも分かりました。
そうして四柱の大精霊によって選び出されたのが、のちに語り継がれる4人の英雄たちだったのです。
とりわけ最初に光の魔力を発現させた人物であり、英雄たちの代表格と呼び声高い、その人物こそクリスハルト・サン・マーシャル・カストリヤ。
カストリヤ王国の王子でした。
彼は第一王子という身分でありながら自らも前線に身を投じて、戦いの指揮を取っていました。
また剣術の腕も一流であり自ら率先して戦って民を守り、また誰にでも気さくに温かく民に寄り添う彼の姿は多くの国民に愛されていました。
きっとそのような部分が大精霊にも伝わったのでしょう。
クリスハルト殿下は真っ先に大精霊から選ばれました。
そしてその後に選ばれたほか三人を率いていき、瞬く間に戦果を上げていきました。
しかしいくら大精霊から加護がありクリスハルト殿下率いる精鋭といえども、大陸の半分以上を支配下においた、闇のモノを完全に掃討するということは難しいことでした。
しかし戦いの中で、体系的になった闇のモノには全体の核ともいえる弱点があり。そこを突けば残りの全てを一網打尽にすることが出来るということを知ることができました。
その核というのが、弱点であると同時に闇のモノたちの頂点に立つ強大な力な力を持った、闇のモノ達の王ともいえる存在でありました。
クリスハルト殿下一行はそんな存在でも果敢に立ち向かい、そして熾烈な戦いのすえについに敵を討ち果たすことに成功しました。
こうして世界に平和が訪れ、世界中がクリスハルト殿下に感謝したでした。
これを読んでいる皆もこの出来事を深く胸に刻みつけ、クリスハルト殿下に深く感謝するように
おわり
ある時、どこからともなく世界を蝕む存在が現れました。
それらは清らかな水を穢し、澄んだ空気を澱ませ、恵みの大地を不毛の地へと変え、更には人々から生きる気力すら奪う恐ろしい存在でした。
正体も目的も分からないその存在を人々は闇のモノと呼び怯えました。
闇のモノの猛攻は凄まじいもので、次々に大地も国も人も彼らの手に落ちていきました。
そしてその事態を心配したのは人類だけではなく精霊たちも同様でした。
そのなかでも強大な力を持ちながら世界の秩序を乱さぬために、自ら力を振るうことをしない唯一無二の4柱の大精霊。
火の大精霊、水の大精霊、風の大精霊、大地の大精霊も、ついに協力して闇のモノを倒すことを決めました。
大精霊の圧倒的な力により各地を蝕む闇のモノは次々になぎ払われ倒されてゆき事態は好転したように思えました。
しかし闇のモノたちは一度倒しても再び湧いてきたのです。
同じように倒してもまた増えてを幾度か繰り返したのちに、流石にそれがおかしいことに気づきました。
いくら倒してもまた増えてくる、しかもそれが増えるたびに強くなっていっていることに気づき、大精霊たちはそれ以上迂闊に攻撃を加えられなくなってしまいました。
そして大精霊たちが戦いを重ねるうちに、いつしか地上の半分以上が闇のモノの手に落ちてしまっていたのでした。
闇のモノは元々、形があるのかすらハッキリしない曖昧な存在でした。
それが増殖を重ね地上の半分を支配下に置いたときには、ハッキリとした形を持つようになっただけでなく一種の社会性のようなものまで有していました。
そしてそれが意味するのは、ソレらがより体系的で計画的に侵略を行えるようになったということでした。
元々持っていた圧倒的な能力に加えて計画性を持った敵、世界は更なる窮地に立たされ滅びを待つだけかに思われました。
しかし人類も黙って滅びることをよしとせず、戦える者は武器を取り戦いました。
例えそれが相手を強くする結果になったとしても、ただ黙ってやられることに納得できなかったのです。
そんな人類の戦いの中で微かな希望が生まれました。
ある人物が闇のモノを倒した場所ではソレが増えることがなく、更に不思議なことに新たにやってきた闇のモノもその場所を嫌がるかのような素振りを見せたのです。
調べてみるとその人物は光の魔力という特別な魔力を保持しており、無意識に使ったそれが闇のモノを退ける効果を発揮したことが分かったのです。
その話はすぐに大精霊の耳にも届き、未知の魔力ではあるものの闇のモノを倒すにはそれを使うしかないと即断しました。
そして光の魔力を活用するためにそれについて調べるうちに、光の魔力は大精霊を初めとした精霊には扱えない類いの魔力であることと、人類の中でもごく僅かなものだけが扱える魔力であることが判明しました。
そこで大精霊たちは自らが直接戦えない代わりに、光の魔力を保持するものの中でも特に実力者があるものを選び出し、大精霊の加護を与えることにしたのです。
大精霊の加護というものは、人が受ければあらゆる災厄を受け付けなくなるのではなく、扱える魔力の量が格段に増え、魔力を用いる術の威力も大きくなる効果があります。
本来それはその精霊がつかさどる属性に限ったことですが、光の魔力に限ってどの精霊が加護を与えても精霊の属性にかかわらず同じように力を得ることが出来ることも分かりました。
そうして四柱の大精霊によって選び出されたのが、のちに語り継がれる4人の英雄たちだったのです。
とりわけ最初に光の魔力を発現させた人物であり、英雄たちの代表格と呼び声高い、その人物こそクリスハルト・サン・マーシャル・カストリヤ。
カストリヤ王国の王子でした。
彼は第一王子という身分でありながら自らも前線に身を投じて、戦いの指揮を取っていました。
また剣術の腕も一流であり自ら率先して戦って民を守り、また誰にでも気さくに温かく民に寄り添う彼の姿は多くの国民に愛されていました。
きっとそのような部分が大精霊にも伝わったのでしょう。
クリスハルト殿下は真っ先に大精霊から選ばれました。
そしてその後に選ばれたほか三人を率いていき、瞬く間に戦果を上げていきました。
しかしいくら大精霊から加護がありクリスハルト殿下率いる精鋭といえども、大陸の半分以上を支配下においた、闇のモノを完全に掃討するということは難しいことでした。
しかし戦いの中で、体系的になった闇のモノには全体の核ともいえる弱点があり。そこを突けば残りの全てを一網打尽にすることが出来るということを知ることができました。
その核というのが、弱点であると同時に闇のモノたちの頂点に立つ強大な力な力を持った、闇のモノ達の王ともいえる存在でありました。
クリスハルト殿下一行はそんな存在でも果敢に立ち向かい、そして熾烈な戦いのすえについに敵を討ち果たすことに成功しました。
こうして世界に平和が訪れ、世界中がクリスハルト殿下に感謝したでした。
これを読んでいる皆もこの出来事を深く胸に刻みつけ、クリスハルト殿下に深く感謝するように
おわり
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