恐怖耐性を上げ過ぎると、恐怖の対象になるようです

シバトヨ

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王国の恐怖 再び

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 支部長から忠告を受けた俺だが、その五日後には王都への馬車に乗り込んでいた。
「一週間って聞いてたんだがなぁ」
 と、俺の反対側で座るイケメンミミックを見る。
「いやぁ~……知り合いの先生が匙を投げてね」
 続けて、その横で震えている女の子へと視線を移動する。
「探し回ったんでけど……ね」
「ね。じゃねぇよ」
 え。この震えた状態で教会に連れてくの?
「……俺ら、別の罪に問われねぇか?」
「そ、そうだね……うん。そうだね」
 だが、王都に連れてかねぇと反逆が起きる。
 これは、支部長が調べさせた情報だが、数日中に王城へクラネル率いる魔物軍団が攻めいるらしい。
 そして、王城を魔王の城として、大陸中の町村に宣戦布告をするらしい。
 王都に尖鋭が集まっていると聞いているが、それを踏まえた上での魔物軍団を用意しているとか。
 ってか、支部長の調査能力がすげぇな。ついでに反逆を防げばいいのに。
「さてと……マーアとモー子は王城にいるらしいし、俺らも王城に向かうとしようか」
「うん、分かったよ」
「あとはどうやって合流するかだな。そのまま直行して王城に入れるかどうか……」
「僕の箱移動では、不確定要素が多いしね」
「とりあえず正面突破だな。ダメなら一度引き返して作戦を練り直すとしようか」
「うん」
 ガタガタと震え続ける聖女を他所に、俺とミミックの二人は、王城の門へと直行することにした。

 城門では、見張りの兵士が左右に一人ずつ立っているのみ。
 特に持ち物検査のような事をしているわけでもなく、素顔さえさらしていれば、自由に出入りが出来るようだ。
「王城ってのは、こんなに手薄で大丈夫なのか?」
「……いつもがいつもって訳では無さそうだけどね」
 反逆を企てている人員の出入りを盛んにさせている。ミミックはそう言いたいのだろう。
「なら、俺らも便乗して」
「と言いたいところだけど……さすがにこの状態の聖女を中に連れ込むのは」
 まぁ、そうだよなぁ。
 荷物のように抱えられた、震える聖女を見ては、なにか良い手はないかと考える。
 考えるが……
「無理だな。中にいるマーアと連絡を取ることにしよう」
 体の本当の持ち主なら、多少は扱いに馴れてるだろう。
 という意味の分からない謎理論でどうにかなる。と匙を投げた俺は、
「そんじゃ、まずは俺だけで中に行ってくる」
「気を付けてね」
 二人を置いて、城門の正面に立った。

「確保っ!!」
「え?」
 左右に配置されていた二人の兵士が、俺を目掛けて走ってくる。
 呆気に取られた俺は、逃げ出すのに一歩遅れてしまい……

「大罪人っ! フィル・プリテっ! 確保しましたっ!!」

 呆気なく捕まった。
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