恐怖耐性を上げ過ぎると、恐怖の対象になるようです

シバトヨ

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スキルカードの恐怖

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 一ヶ月とちょっとぶりの我が家へと帰ってきた。
 中は荒らされていたりするわけでもなく、モー子の姿も見当たらない。
 魔力で稼働している保冷箱の中身を確認してみるが、特に腐るものも無く、魔力が切れていても問題はなかった。
 再度、俺の魔力を与え、冷気を充填じゅうてんする。これで、今日から一ヶ月はもつはずだ。
 ついでに箱の中から適当な飲み物を取り出し、買ってあまり座っていないソファーへと腰を埋めていく。
「………………」
 やることねぇ~。
 いや、聖女を王都へ連れていく必要もあるし、モー子が家に居ないことを考えると、マーアと一緒に王都へ向かっている可能性もある。
 まぁ、あの二人が王都に向かったかどうかは別にしても、俺とミミックは王都に向かう必要はある。
 なんせ王国のピンチだからな。あとスキルカードも返して貰わねぇと。
「……そういや」
 スキルカードが盗まれた場合とかは、再発行が可能なんだよな?
 手数料が必要だが、そこまで高くはなかったはず。
 なんでそんな情報を知っているかというと、協会のお姉さんから説明をされているからだ。
 冒険者ではよくある話らしく、例えば、魔物から逃げる際に荷物一式を放置して街まで逃げ戻る。とか、盗賊やスリにあって盗まれる。とか。
 まぁ、俺の場合は刑務所で保管されているんだろうが、失くしました。と、言ってみれば、再発行されるかもしれねぇ。
 もし出来なかったら、王都のイザコザが解決されるまでは保留だな。
「ついでに称号についても確認しておくか」
 することのない俺は、一眠りすることにした。

 翌朝。
「お久しぶりですね。犯罪者のフィルさん」
「犯罪者じゃないですから。冤罪ですから」
「本当ですかぁ~?」
 凄い疑われてるんですけど。俺の記憶が確かなら、……冤罪のはずだ。
「まぁいいですけどね。一ヶ月ほど前も、マーアさんが怪しいとかなんとか言って、王都へ向かいましたよ」
「やっぱ入れ違いになってたか」
 まぁ、仕方がない。
 本当なら、今も刑務所に居たはずだったからな。色々と問題が起きて、戻れなくなっちまったが。
「それで。本日はどのようなご用件でしょうか?」
「あぁ。スキルカードの発行をして欲しいんだ」
「……ちょっと上司に相談してきますね」
「…………頼んだ」
 これはアレかな?
 俺が刑務所を脱獄していることと関係があるのかな?
 いやいやっ! スキルカードを失くした奴は、きっとっ! お偉いさんから叱られるんだよなっ!!
 そうに違いないっ! なんせ、スキルカードに使われている素材は、それなりの手間と加工の技術が必要だと聞いたしなっ!
 うん! ちょっと怒られて、再発行っ! これで間違いなしだっ!
「フィルさん」
「……はい」
「私の上司がお呼びですので、私についてきてください」
「はい?」
 別室で叱られるのかな? 講習の面前よりは断然いいんだが……。
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