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刑務所の恐怖 再び
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モウコ殿と本気の鬼ごっこをしたおかげか、到着予定に遅れるはずだった道程が、到着予定通りになった。
もちろん、その代償は私とモウコ殿の体力を枯渇させるのだったが。
「す、少し、休んで、から、なの、じゃ」
「ど、同感、だ」
二人ともが両膝に手をついて、呼吸を荒げる。
「つい、でに、これ、から、の、予定、を、話、すと、しよう」
「そう、じゃの」
私は王都の門が見える近くの平原を陣取る。
呼吸が落ち着いた私達は、王都に入ってからの予定を話し合う。
「まずは寝床の確保なのじゃ!」
確かに、何日滞在するのか分からない以上、宿屋を確保しておく必要はある。
しかし、私の財布はかなり厳しい状況に追い込まれている。
道中の食事は、狩りをする事でなんとかしのいでいたが……。
それに、王都での宿は需要と供給のバランスが崩れていると聞く。
聖女の体であった時は、聖女という立場から、教会に一室を借りていたのだが……聞いた噂では、今、生活している私の宿屋の十倍。五万ゴールドほどするとか、しないとか。
これが真実かつ、一泊の値段であるとするなら……
「二泊も出来んのだが?」
「宿の次は風呂じゃ! 湯浴みは出来ずとも、せめて水浴びはしたいのじゃ!」
「それは私も同感だ」
「……貴様の鎧、脱げるのかのぉ?」
「いつもは鎧のまま入っている」
「間違いなく我も追い出されるのじゃ」
「心配はいらん。風呂に行くと、大抵無人であるからな」
「……それは、貴様が恐ろしいからじゃろうて」
モウコ殿には半分呆れられてしまっているが、入っても注意を受けないならば、堂々と入ればいいだけの事。
「私はやましいことを一切していないっ!」
「とても聖女とは思えぬ発言じゃのぉ……」
モウコ殿に粘りっ気のある視線で見つめられるが……話を煮詰めた私達は、王都の門を潜る決意を固めた。
フィル殿が連行されてから一ヶ月。
罪状から考えるならば、懲役二年が最低ライン。
もし脱獄をしているとすれば、王都から離れているはすだが。
「………………」
王都の監獄から抜け出せるようなスキルを彼は所持していない。
戦闘系に関しても、剣術スキルの下位レベル。むしろ冒険者と名乗るのも、おこがましい話だ。
彼の一番協力なスキルは、恐怖耐性スキル。三千を越えるレベルは、まさしく超人。
今までの最高レベルは一万五百三十八。
それが、なんの、どんなスキルかまでは知らないが、そこまでレベルが上昇する可能性を秘めている。もっと言えば、さらに最高レベル先も。
「ともかく」
「そうじゃの」
「フィル殿と合流するぞっ!」「最高級の宿屋じゃっ!」
私はモウコ殿の首根っこを掴み上げ、刑務所へと歩いていった。
もちろん、その代償は私とモウコ殿の体力を枯渇させるのだったが。
「す、少し、休んで、から、なの、じゃ」
「ど、同感、だ」
二人ともが両膝に手をついて、呼吸を荒げる。
「つい、でに、これ、から、の、予定、を、話、すと、しよう」
「そう、じゃの」
私は王都の門が見える近くの平原を陣取る。
呼吸が落ち着いた私達は、王都に入ってからの予定を話し合う。
「まずは寝床の確保なのじゃ!」
確かに、何日滞在するのか分からない以上、宿屋を確保しておく必要はある。
しかし、私の財布はかなり厳しい状況に追い込まれている。
道中の食事は、狩りをする事でなんとかしのいでいたが……。
それに、王都での宿は需要と供給のバランスが崩れていると聞く。
聖女の体であった時は、聖女という立場から、教会に一室を借りていたのだが……聞いた噂では、今、生活している私の宿屋の十倍。五万ゴールドほどするとか、しないとか。
これが真実かつ、一泊の値段であるとするなら……
「二泊も出来んのだが?」
「宿の次は風呂じゃ! 湯浴みは出来ずとも、せめて水浴びはしたいのじゃ!」
「それは私も同感だ」
「……貴様の鎧、脱げるのかのぉ?」
「いつもは鎧のまま入っている」
「間違いなく我も追い出されるのじゃ」
「心配はいらん。風呂に行くと、大抵無人であるからな」
「……それは、貴様が恐ろしいからじゃろうて」
モウコ殿には半分呆れられてしまっているが、入っても注意を受けないならば、堂々と入ればいいだけの事。
「私はやましいことを一切していないっ!」
「とても聖女とは思えぬ発言じゃのぉ……」
モウコ殿に粘りっ気のある視線で見つめられるが……話を煮詰めた私達は、王都の門を潜る決意を固めた。
フィル殿が連行されてから一ヶ月。
罪状から考えるならば、懲役二年が最低ライン。
もし脱獄をしているとすれば、王都から離れているはすだが。
「………………」
王都の監獄から抜け出せるようなスキルを彼は所持していない。
戦闘系に関しても、剣術スキルの下位レベル。むしろ冒険者と名乗るのも、おこがましい話だ。
彼の一番協力なスキルは、恐怖耐性スキル。三千を越えるレベルは、まさしく超人。
今までの最高レベルは一万五百三十八。
それが、なんの、どんなスキルかまでは知らないが、そこまでレベルが上昇する可能性を秘めている。もっと言えば、さらに最高レベル先も。
「ともかく」
「そうじゃの」
「フィル殿と合流するぞっ!」「最高級の宿屋じゃっ!」
私はモウコ殿の首根っこを掴み上げ、刑務所へと歩いていった。
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