43 / 66
クラネルさんの恐怖
しおりを挟む
「なるほどな。デュラハンと聖女様が入れ替わっていたと。ほぉ~」
もう一ヶ月も経つというのに、俺への尋問は進展が遅い。遅すぎる。
二日か三日に一回くらい、前回も答えた質問を投げ掛けてくる。
これはなんだ? 俺を刑務所に留めておいて、なにかの工作でもしているのか?
ここから送れる手紙は、一日につき紙一枚分。
そして、俺が牢屋に入れられてから毎日、手紙を書いては届けて貰っているはずだ。
にもかかわらず、マーアもモー子も、返信が一通もない。
これは何かあるのではないだろうか?
「クラネル殿」
「お? もう時間か? そんじゃ、また明日な」
「……お疲れ様でした」
また明日。明日はこちらから仕掛けてみよう。
それはそうと、ミミックの奴は今日も爽やかだった。
「ほんと、お前は外も中も爽やかイケメンだな」
「なに言ってるんだい? フィル君もイケメンじゃないか」
「知ってる」
「言うねぇ~」
そんな冗談を言い合いながらも、手を動かして仕事に励む。
この一ヶ月で、調理スキルがそれなりに上昇したはずだ。
毎日八時間も飯を作っているからな。
手元にスキルカードがないから、レベルアップのアナウンスも聞こえないが、感覚的に十くらいはレベルが上がっている気がする。
確認出来ないのが悔しいなぁ。
こういうときに備えて、かなり割高だが、鑑定スキルを取得するのも良いかもしれない。
ただ、それを育てる労力と、協会でお姉さんに鑑定してもらうのでは、実は後者の方がお得だったりする。
というのも、鑑定スキルを育てるのにかなりの時間がかかるかららしい。
一度鑑定したモノは、経験値の対象にならない。
そんな制約があるらしく、例えば、道に転がっている石ころを鑑定してしまうと、他の石ころでは経験値が入らなくなるとか。
魔物やスキルの鑑定も同じで、石ころを何千回と鑑定してスキルのレベルアップっ! とかが出来ないわけだ。
身の回りのモノを鑑定し尽くすと、自然とスキルポーションによるレベル上げになるが……金が高く付く。
恐怖耐性のポーションで一つ五千ゴールド。
鑑定ポーションは、一つ五万ゴールドだとか。十本も買えるじゃねぇか。
だから、協会で鑑定してもらう方が安上がりなんだ。
確か、一回に付き、三千ゴールドくらいだったはず。地域によって格差はあるだろうが、それくらいの金額で調べて貰えるんだ。
……時折、説明をすっぽかされる場合もあるが。
「そういや、新しい称号についても鑑定して貰わねぇとなぁ」
刑務所を出たら真っ先に協会へ行こう。
なんか凄そうな称号も獲得してたし、効果が気になるところだ。
ーー一方そのころ。
「おい……マジで言ってるのか?」
フィルの尋問を担当していたクラネルは、直属の上司よりある命令を下されていた。
「俺の経験で申し訳ないが……アイツからは手を引いた方が俺らのためですよ? それでも……あぁ! 分かりました! 分かりましたよっ!」
悪態を付ながら、クラネルは翌日の準備を進めるのであった。
「耐性スキルとはいえ、四桁のレベルだってのに……くそっ!」
もう一ヶ月も経つというのに、俺への尋問は進展が遅い。遅すぎる。
二日か三日に一回くらい、前回も答えた質問を投げ掛けてくる。
これはなんだ? 俺を刑務所に留めておいて、なにかの工作でもしているのか?
ここから送れる手紙は、一日につき紙一枚分。
そして、俺が牢屋に入れられてから毎日、手紙を書いては届けて貰っているはずだ。
にもかかわらず、マーアもモー子も、返信が一通もない。
これは何かあるのではないだろうか?
「クラネル殿」
「お? もう時間か? そんじゃ、また明日な」
「……お疲れ様でした」
また明日。明日はこちらから仕掛けてみよう。
それはそうと、ミミックの奴は今日も爽やかだった。
「ほんと、お前は外も中も爽やかイケメンだな」
「なに言ってるんだい? フィル君もイケメンじゃないか」
「知ってる」
「言うねぇ~」
そんな冗談を言い合いながらも、手を動かして仕事に励む。
この一ヶ月で、調理スキルがそれなりに上昇したはずだ。
毎日八時間も飯を作っているからな。
手元にスキルカードがないから、レベルアップのアナウンスも聞こえないが、感覚的に十くらいはレベルが上がっている気がする。
確認出来ないのが悔しいなぁ。
こういうときに備えて、かなり割高だが、鑑定スキルを取得するのも良いかもしれない。
ただ、それを育てる労力と、協会でお姉さんに鑑定してもらうのでは、実は後者の方がお得だったりする。
というのも、鑑定スキルを育てるのにかなりの時間がかかるかららしい。
一度鑑定したモノは、経験値の対象にならない。
そんな制約があるらしく、例えば、道に転がっている石ころを鑑定してしまうと、他の石ころでは経験値が入らなくなるとか。
魔物やスキルの鑑定も同じで、石ころを何千回と鑑定してスキルのレベルアップっ! とかが出来ないわけだ。
身の回りのモノを鑑定し尽くすと、自然とスキルポーションによるレベル上げになるが……金が高く付く。
恐怖耐性のポーションで一つ五千ゴールド。
鑑定ポーションは、一つ五万ゴールドだとか。十本も買えるじゃねぇか。
だから、協会で鑑定してもらう方が安上がりなんだ。
確か、一回に付き、三千ゴールドくらいだったはず。地域によって格差はあるだろうが、それくらいの金額で調べて貰えるんだ。
……時折、説明をすっぽかされる場合もあるが。
「そういや、新しい称号についても鑑定して貰わねぇとなぁ」
刑務所を出たら真っ先に協会へ行こう。
なんか凄そうな称号も獲得してたし、効果が気になるところだ。
ーー一方そのころ。
「おい……マジで言ってるのか?」
フィルの尋問を担当していたクラネルは、直属の上司よりある命令を下されていた。
「俺の経験で申し訳ないが……アイツからは手を引いた方が俺らのためですよ? それでも……あぁ! 分かりました! 分かりましたよっ!」
悪態を付ながら、クラネルは翌日の準備を進めるのであった。
「耐性スキルとはいえ、四桁のレベルだってのに……くそっ!」
0
お気に入りに追加
173
あなたにおすすめの小説

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?

【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?

俺のスキルが無だった件
しょうわな人
ファンタジー
会社から帰宅中に若者に親父狩りされていた俺、神城闘史(かみしろとうじ)。
攻撃してきたのを捌いて、逃れようとしていた時に眩しい光に包まれた。
気がつけば、見知らぬ部屋にいた俺と俺を狩ろうとしていた若者五人。
偉そうな爺さんにステータスオープンと言えと言われて素直に従った。
若者五人はどうやら爺さんを満足させたらしい。が、俺のステータスは爺さんからすればゴミカスと同じだったようだ。
いきなり金貨二枚を持たされて放り出された俺。しかし、スキルの真価を知り人助け(何でも屋)をしながら異世界で生活する事になった。
【お知らせ】
カクヨムで掲載、完結済の当作品を、微修正してこちらで再掲載させて貰います。よろしくお願いします。

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる