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ミミックの恐怖
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俺の仕事は昼の十一時ごろから始まり、夜の八時ごろに終わる。
休憩は三十分単位で二回取れ、実労働時間は八時間。焼き鳥屋での仕事は五時間前後だったから、働いている合間に休憩を取るという事に少しだけ新鮮さを感じていた。
「やぁ、お疲れ様」
「うっす」
爽やかイケメンが気さくに声をかけてくる。
黒髪で肌は焦げ茶色。遠くから見れば、誰かの人影と見間違えそうな色黒さだ。
だが、彼が爽やかでイケメンだと感じられるのは、外見もイケメンだが、中身の方だ。
まず、自分の非を全面的に認めている点。
人は誰しも、自分が犯した失敗を認めたがらない所がある。もちろん、個人によって大小の差はある。
仲間のマーアは、料理の失敗に関しては、プライドが邪魔して素直に認めたがらない。
だが、この爽やかイケメンは、自分の失敗を笑い話に変え、更にバネのように利用して成長しようとしている。
なんとも出来た人じゃないか。俺は感心してしまった。
「そうだね。前回は他人のタンスの中に隠れたのが原因だったね。家主の方が引き出した瞬間を狙ったんだけど、冷静に不法侵入と訴えられてしまったよ。ははっ」
照れたように笑う爽やかイケメン。
なんでタンスに隠れたのかが気になるところだが、爽やかなので水に流すことにした。
「でも、前々回のランダムボックスから出現は、かなり驚かせられたんだよ? スキルもレベルが一つ上がった。ただ、相手が悪かったかな? 物凄く怒って、剣で斬りかかって来たんだから」
若気の至り。みたいな空気間で笑う爽やかイケメン。
ランダムボックスからイケメンが出てきたら……うん。俺も斬りかかりそうだな。
爽やかだし、ランダムボックスなんて高級品を買えるだけの金も持ってし、なにより大富豪にバチが当たったと考えれば胸がスッとするので、気にしない方向でいこう。
「一番最初は張り切りすぎてね。この国の宝物庫にある一番豪華な宝箱にしたんだよ。でも、誰も開けに来ないから、僕がフタを開け閉めしてアピールしたんだ。そしたら、門番の人に見つかってね。ちょっと嬉しかった」
本日一番の笑顔を振り撒く爽やかイケメン。
「いや、爽やかイケメンで片付けるの、もう無理だわ」
今までの話でも限界を向かえていたところだが、噛みきれない肉を無理矢理飲み込んだ気分だ。
今度は良く噛んで飲み込んでやる。
「お前はなにか? どこでも不法侵入出来るが、狭い場所にいないと息絶えるのか?」
タンスの中だとか、宝箱の中だとか、
「お前はミミックか」
ミミックとは、収納箱に入り込み、持ち主を驚かせる魔物の一種だ。
迷宮の中に落ちている宝箱の中に潜んだりして、冒険者を襲う。なんて、迷惑な奴もいるが、基本的にはダメージを与えては来ない。
人を驚かせて終わり。たったそれだけの魔物なのだ。
ちなみに、なんで迷宮の中に宝箱が落ちているのか。俺は知らん。
「うん。そうだよ」
爽やかイケメンは、あっさりと首を縦に振る。
「ミミックなのかっ!?」
まさか過ぎて大声でツッコミを入れてしまった。
「うるせぇぞっ! 五百十二番っ! 五百十三番っ!」
「「すみませっ!」」
一番の怒鳴ると噂の看守を怒らせてしまった。
これは爽やかイケメンのせいだな。俺のせいじゃない。
「いやぁ~怒られてしまったね」
「…………ゴメン」
俺のツッコミのせいですね。ごめんなさい。
「いやいや、僕がミミックの進化種と始めに伝えておけば良かったんだよ。ははは」
爽やかイケメン……
「お前、本当に良い奴なんだなぁ」
ちょっと涙が出そう。なんなら、瞳はうるうるしている。
そんなこんなで、俺と爽やかイケメンの監獄生活はエンジョイする方向で一ヶ月が過ぎた。
休憩は三十分単位で二回取れ、実労働時間は八時間。焼き鳥屋での仕事は五時間前後だったから、働いている合間に休憩を取るという事に少しだけ新鮮さを感じていた。
「やぁ、お疲れ様」
「うっす」
爽やかイケメンが気さくに声をかけてくる。
黒髪で肌は焦げ茶色。遠くから見れば、誰かの人影と見間違えそうな色黒さだ。
だが、彼が爽やかでイケメンだと感じられるのは、外見もイケメンだが、中身の方だ。
まず、自分の非を全面的に認めている点。
人は誰しも、自分が犯した失敗を認めたがらない所がある。もちろん、個人によって大小の差はある。
仲間のマーアは、料理の失敗に関しては、プライドが邪魔して素直に認めたがらない。
だが、この爽やかイケメンは、自分の失敗を笑い話に変え、更にバネのように利用して成長しようとしている。
なんとも出来た人じゃないか。俺は感心してしまった。
「そうだね。前回は他人のタンスの中に隠れたのが原因だったね。家主の方が引き出した瞬間を狙ったんだけど、冷静に不法侵入と訴えられてしまったよ。ははっ」
照れたように笑う爽やかイケメン。
なんでタンスに隠れたのかが気になるところだが、爽やかなので水に流すことにした。
「でも、前々回のランダムボックスから出現は、かなり驚かせられたんだよ? スキルもレベルが一つ上がった。ただ、相手が悪かったかな? 物凄く怒って、剣で斬りかかって来たんだから」
若気の至り。みたいな空気間で笑う爽やかイケメン。
ランダムボックスからイケメンが出てきたら……うん。俺も斬りかかりそうだな。
爽やかだし、ランダムボックスなんて高級品を買えるだけの金も持ってし、なにより大富豪にバチが当たったと考えれば胸がスッとするので、気にしない方向でいこう。
「一番最初は張り切りすぎてね。この国の宝物庫にある一番豪華な宝箱にしたんだよ。でも、誰も開けに来ないから、僕がフタを開け閉めしてアピールしたんだ。そしたら、門番の人に見つかってね。ちょっと嬉しかった」
本日一番の笑顔を振り撒く爽やかイケメン。
「いや、爽やかイケメンで片付けるの、もう無理だわ」
今までの話でも限界を向かえていたところだが、噛みきれない肉を無理矢理飲み込んだ気分だ。
今度は良く噛んで飲み込んでやる。
「お前はなにか? どこでも不法侵入出来るが、狭い場所にいないと息絶えるのか?」
タンスの中だとか、宝箱の中だとか、
「お前はミミックか」
ミミックとは、収納箱に入り込み、持ち主を驚かせる魔物の一種だ。
迷宮の中に落ちている宝箱の中に潜んだりして、冒険者を襲う。なんて、迷惑な奴もいるが、基本的にはダメージを与えては来ない。
人を驚かせて終わり。たったそれだけの魔物なのだ。
ちなみに、なんで迷宮の中に宝箱が落ちているのか。俺は知らん。
「うん。そうだよ」
爽やかイケメンは、あっさりと首を縦に振る。
「ミミックなのかっ!?」
まさか過ぎて大声でツッコミを入れてしまった。
「うるせぇぞっ! 五百十二番っ! 五百十三番っ!」
「「すみませっ!」」
一番の怒鳴ると噂の看守を怒らせてしまった。
これは爽やかイケメンのせいだな。俺のせいじゃない。
「いやぁ~怒られてしまったね」
「…………ゴメン」
俺のツッコミのせいですね。ごめんなさい。
「いやいや、僕がミミックの進化種と始めに伝えておけば良かったんだよ。ははは」
爽やかイケメン……
「お前、本当に良い奴なんだなぁ」
ちょっと涙が出そう。なんなら、瞳はうるうるしている。
そんなこんなで、俺と爽やかイケメンの監獄生活はエンジョイする方向で一ヶ月が過ぎた。
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