恐怖耐性を上げ過ぎると、恐怖の対象になるようです

シバトヨ

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大失敗の恐怖

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 作戦は失敗した。
 やっぱり、坂道で人体の入れ換えが発生するわけがない。
 あの二人が何百と繰り返し転がって、やっと元の体に戻ったのだ。
 失敗する可能性はめちゃくちゃ高かった。恐らく、一パーセントも無かっただろう。

 だが……だがっ!
 俺は百分の一未満の可能性に掛けたっ!

 それほどまで違和感があったからだっ!!

 ツッコミが下手くそなマーアなどっ! マーアではないっ!!
 あいつは、あいつのツッコミは、俺のどーーーしようもないボケにも的確なツッコミを入れてくる。
 まさしく、針の穴を通すようなツッコミ文句っ!
 あれを聞けないもどかしさっ! これを伝えるだけの語彙力がっ! 俺に……あったならば…………

「ずびばぜんでじだ」
 失敗した者には、それ相応の罰が与えられる。
 俺の場合は、二人から……いや、主に一人なんだが、そいつから同じ目に遭わされた。

 そう。下り坂にね!

 もう数えきれないほど、下り坂を蹴落とされた。
 何度も何度も。横から聖女と兜に見守られ、背後からフルプレートアーマーの首なし人形から蹴落とされた。
 あまりにも精神的な苦痛を与えられ続けたので、新しいスキルを覚えちまったほどだ。
 ちょうどいい機会だ。
 俺のスキルカードを確認しておこう。

 剣術スキル:レベル十二
 ツッコミスキル:レベル九十四
 恐怖耐性スキル:レベル百五十八
 調理スキル:レベル八
 ボケスキル:レベル八十四
 恐怖スキル:レベル七
 苦痛耐性スキル:レベル一

 獲得称号:猪突猛進、老いる者、怖い物知らず、可愛いモノ好き、十死一生、ぶれない心、畏怖、露出狂

 相変わらず、ひでぇ。
 特に獲得称号。最後の奴は本当に酷い。
 なにより、これを取得した敬意が酷い。
 受付のお姉さんに回し見されて獲得とか、マジで酷い。
「あぁ! まだ気が治まらねぇ! そうだ」
 もう抵抗する力のない俺に、人差し指を差し向けてくるデュラハン。
 あれ? これは……
「『死の宣告』!」

 俺は即死スキルを無抵抗で受けた。
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