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即死魔法の恐怖
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酒を飲まずに酔っ払って寝てしまった聖女を起こし、入れ替わり大作戦の新しい方法を模索するのとになった。
だが、ヤンキー聖女は意外にも短気だった。
「俺の作戦の何処が気に食わねぇんだよ?」
「全部だっ! 全部!」
俺の作戦は以下の通りだ。
まず、精神魔法が得意な魔物や魔人を連れてくる。
マーアの話では、魂の器が入れ替わっている。とのことなので、その器に入っている中身を、精神魔法で取り出す。
中身を取り出せば、双方が空っぽの状態になるから、それぞれ正しい方へと詰め替える。
以上、入れ換え完了!
ってところで、聖女がキレた。
「まずだなっ! 精神魔法が得意な魔物や魔人が、俺達の言うことを聞くと思うか?」
「そこは……拳でだな」
「脳筋かっ! 次に、精神魔法に魂を取り出すような魔法はねぇよ!」
「ないのかっ!?」
「あると思っとんたんかっ!? こっちがビックリだっ!!」
ぶっちゃけると、魔法の知識は全然乏しいからな。一般教養があるかどうか。
「特に気に入らねぇのは、他の魔物に頼るって点だっ!」
「自分で出来ねぇことは、他を頼るしかねぇだろ?」
能力的に出来ねぇんだから。
それでも達成したいなら、他を頼るしかねぇ。
「そうじゃねぇだろっ!」
だが、ヤンキーは情熱的だった。
「出来ねぇって、頭から決め込むんじゃなくだな、やれるように工夫する。努力をする。頭を使って、体動かす方が先だろっ! って言いてぇんだよ!」
「………………」
さすが、入れ替わっていても聖女なんだなぁ。
「だが、こればっかりはしょうがねぇだろ?」
「おめぇは、俺の話を聞いとったんかっ!!」
キレ気味聖女様が、本格的にキレ始めた。
「もういいっ! 今の感じなら、使えるだろうっ!」
椅子から立ち上がった聖女様は、再び、俺に向かって指を指してくる。
「これだけは、耐性のある奴にしか使わないでおくつもりだったがな……お前を練習台にしてやんよ」
なんの練習だ?
「お、おいっ!」
聖女様の発言に、慌てるマーアと欠伸をするモー子。
あまりにも対象的すぎて、どのリアクションをすれば良いのか分からねぇ俺。
だが、三人を置き去りに、聖女様はある魔法を使用してきた。
「喰らうがいいっ! ちの……」
「「………………」」
「ぷっ! 噛みおったぞっ! こやつっ!!」
あ、やっぱり噛んだんだ。
「死のせんこちゅ」
「「………………」」
「ぷはははっ!!」
あぁー。そういえば、デュラハンについて聞きに行った際、『死の宣告』とかいう魔法というか、スキルに気を付けろ。みたいなこと言われたなぁ。
あのお姉さん、元気にしてるかなぁ。
「ちの、死のちぇ、死のちぇ、ちの、……」
「今夜はどうする? また同じ家で世話になるのか?」
「ちの、ちのちぇんちょちゅ! 死のせんこちゅ! ちの、……」
「同じ家でいいんじゃねぇの? お爺さんもお婆さんも、二人とも喜んでたし。掃除とかの手伝いをすれば問題ないだろ」
「ちの、ちぇんこく、せんごく、せんこきゅ、ちぇんこきゅ、……」
「掃除だけでは心苦しい。帰り際に、魔物を狩ってくるとしよう」
「魔物の肉でも、調理次第で食べられるからな」
「ちのちぇんちょきゅ! あぁあああ!!!」
「あぶねっ!」
聖女様は、死の宣告という単語が言えないため、叫びながら火属性の初級魔法を放ってくる。
「自棄になって別の魔法を撃つなっ! バカっ!」
「この体のせいでっ! スキルのレベルが上がらねぇんだよぉ! 分かれっ!!」
「知るかっ!」
と、ヤンキー聖女と俺の取っ組み合いを始めた側で、マーアは一人納得したように呟いた。
「なるほど。魔女と呼ばれていたのは、スキルが発動しないイライラを別の魔法で発散していたからか」
どうでもいいっ! 心底、どつでもいいっ!!
だが、ヤンキー聖女は意外にも短気だった。
「俺の作戦の何処が気に食わねぇんだよ?」
「全部だっ! 全部!」
俺の作戦は以下の通りだ。
まず、精神魔法が得意な魔物や魔人を連れてくる。
マーアの話では、魂の器が入れ替わっている。とのことなので、その器に入っている中身を、精神魔法で取り出す。
中身を取り出せば、双方が空っぽの状態になるから、それぞれ正しい方へと詰め替える。
以上、入れ換え完了!
ってところで、聖女がキレた。
「まずだなっ! 精神魔法が得意な魔物や魔人が、俺達の言うことを聞くと思うか?」
「そこは……拳でだな」
「脳筋かっ! 次に、精神魔法に魂を取り出すような魔法はねぇよ!」
「ないのかっ!?」
「あると思っとんたんかっ!? こっちがビックリだっ!!」
ぶっちゃけると、魔法の知識は全然乏しいからな。一般教養があるかどうか。
「特に気に入らねぇのは、他の魔物に頼るって点だっ!」
「自分で出来ねぇことは、他を頼るしかねぇだろ?」
能力的に出来ねぇんだから。
それでも達成したいなら、他を頼るしかねぇ。
「そうじゃねぇだろっ!」
だが、ヤンキーは情熱的だった。
「出来ねぇって、頭から決め込むんじゃなくだな、やれるように工夫する。努力をする。頭を使って、体動かす方が先だろっ! って言いてぇんだよ!」
「………………」
さすが、入れ替わっていても聖女なんだなぁ。
「だが、こればっかりはしょうがねぇだろ?」
「おめぇは、俺の話を聞いとったんかっ!!」
キレ気味聖女様が、本格的にキレ始めた。
「もういいっ! 今の感じなら、使えるだろうっ!」
椅子から立ち上がった聖女様は、再び、俺に向かって指を指してくる。
「これだけは、耐性のある奴にしか使わないでおくつもりだったがな……お前を練習台にしてやんよ」
なんの練習だ?
「お、おいっ!」
聖女様の発言に、慌てるマーアと欠伸をするモー子。
あまりにも対象的すぎて、どのリアクションをすれば良いのか分からねぇ俺。
だが、三人を置き去りに、聖女様はある魔法を使用してきた。
「喰らうがいいっ! ちの……」
「「………………」」
「ぷっ! 噛みおったぞっ! こやつっ!!」
あ、やっぱり噛んだんだ。
「死のせんこちゅ」
「「………………」」
「ぷはははっ!!」
あぁー。そういえば、デュラハンについて聞きに行った際、『死の宣告』とかいう魔法というか、スキルに気を付けろ。みたいなこと言われたなぁ。
あのお姉さん、元気にしてるかなぁ。
「ちの、死のちぇ、死のちぇ、ちの、……」
「今夜はどうする? また同じ家で世話になるのか?」
「ちの、ちのちぇんちょちゅ! 死のせんこちゅ! ちの、……」
「同じ家でいいんじゃねぇの? お爺さんもお婆さんも、二人とも喜んでたし。掃除とかの手伝いをすれば問題ないだろ」
「ちの、ちぇんこく、せんごく、せんこきゅ、ちぇんこきゅ、……」
「掃除だけでは心苦しい。帰り際に、魔物を狩ってくるとしよう」
「魔物の肉でも、調理次第で食べられるからな」
「ちのちぇんちょきゅ! あぁあああ!!!」
「あぶねっ!」
聖女様は、死の宣告という単語が言えないため、叫びながら火属性の初級魔法を放ってくる。
「自棄になって別の魔法を撃つなっ! バカっ!」
「この体のせいでっ! スキルのレベルが上がらねぇんだよぉ! 分かれっ!!」
「知るかっ!」
と、ヤンキー聖女と俺の取っ組み合いを始めた側で、マーアは一人納得したように呟いた。
「なるほど。魔女と呼ばれていたのは、スキルが発動しないイライラを別の魔法で発散していたからか」
どうでもいいっ! 心底、どつでもいいっ!!
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