恐怖耐性を上げ過ぎると、恐怖の対象になるようです

シバトヨ

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ヤンキー聖女の恐怖

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 サントラ・サイトとかいう誰かの名前を呼んだ可愛い聖女様は、未だに男か女か分からないマーアへと迫っていた。
「ひ、人違いであろうっ! 私はマーア……マーア・アーマだっ!」
 そうだったか?
「嘘をつくなっ! それでも聖女かっ!!」
「う、嘘では……ないわっ!」
 マーアの動揺が凄い。
 フルプレートがガチガチなりすぎて、会話があんまり聞き取れん。
 モー子に至っては、両耳を押さえている始末だ。
「白々しいっ! お前がその気ならっ! こっちにも考えがあるぞっ!!」
 と、眉間に山脈が出来た聖女様は、自分の服を豪快に脱ぎ始めた。
「ば、バカ者っ! 何をしとるのだっ!?」
 豪快に脱ぎ始めた聖女に対して、背負っていたハンマーを振り回し始めるマーア。
 正直、マーアの方が何をしとんだっ!? って、ツッコミを入れてやりたいぐらいだ。
 レベルが上がりそうで、言わないでおくが。
「ふんっ! 貴様のハンマーなど、当たるわけがないわっ!」
 軽々とハンマーを回避していく聖女様。
 であったが、
「ふんぎゃっ!?」
 自分で脱ぎ捨てた服で足を滑らせ、後頭部を床に打ち付ける。
「ドジじゃのぉ」
 モー子はマーアから離れた場所で、頭を押さえて床を転がり回る聖女を見て笑っている。
 いや、笑っている場合じゃないんだが。
「や、やるじゃねぇか。腕を上げたようだな」
「いや、完全な自滅だろ」
 相当痛かったのか、立ち上がった今でも後頭部をさすっている。
「ふん。まだまだ。私の実力は、こんなものではないぞ?」
「お前の攻撃は、一つもかすってないからな?」
 むしろスカばっかだったからな。

 マーアの攻撃は当たらないが、なぜか生傷だらけの小さなヤンキー聖女。
 二人の不毛な戦いは、お互いの体力切れで幕を閉じた。
「で? どういう事か、説明してくれるんだよな?」
 戦いを遠巻きに眺めていた俺は、なぜかツッコミスキルのレベルを二つも上昇させていた。
 まぁ、心のそこからツッコミを入れてた場面がチラホラあったからな……脱いだ服が、なぜか元通りに着ていた。とか。
「はぁ、はぁ、分かった。私から説明しよう」

 肩で息をしているマーアの、それはそれは、長い長ーい説明が始まったのであった。
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