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称号の恐怖 再び
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最後は俺か。
とはいえ、マーアとモー子の二人が話した通りだ。
「強いて付け加えるなら、俺のスキルカードが間違っていることぐらいだな」
というのも、マーアが俺を気絶から復帰させて、そのあとに恐怖を魔法で与えた。
その結果がスキルカードに反映されてなかったのだろう。まぁ、俺のスキルカードを覗き見たのは、最後の一悶着がある前だったし、これは仕方がない。
では発表しよう!
剣術スキル:レベル十二
ツッコミスキル:レベル九十一
恐怖耐性スキル:レベル百五十八
調理スキル:レベル八
ボケスキル:レベル八十三
恐怖スキル:レベル七
獲得称号:猪突猛進、老いる者、怖い物知らず、可愛いモノ好き、十死一生、ぶれない心、畏怖
特にスキルレベルが上昇した訳でもないのに、何故か称号が一つ追加された。
「ってな訳で、お姉さん、よろしく」
「どんな訳かは知りませんが、フィルさんのスキルカードには見馴れないスキルが多いですからね」
なんだかんだで笑顔で対応してくる受付のお姉さん。
「どんなクズスキルか、鑑定前から楽しみです!」
「おい」
クズ言うなし。
十分後。
お姉さんは紙を四枚も持って戻ってきた。
「あれ? 新しい獲得称号って三つだったよな?」
「えっと……そのですね…………非常に説明しづらいのですが」
お姉さんは照れたように笑いながら、
「鑑定の途中で一つ増えました」
と言った。
「ふむ。どうせ、変態のスキル鑑定をし過ぎた結果じゃろ? 獲得称号、覗き魔っ! とか、そんなところじゃろ。なぁ、変態」
「もー! モー子ちゃんは、ヘンタイヘンタイ連呼しないのぉ! ぎゅうーしちゃうぞっ!」
「気色の悪い声で喋るなっ!? それと、いい加減っ! 我を解放しろっ!! 自由にしろっ!!」
「む~り~」
ジタバタと暴れるモー子をガッチリとホールドし、俺はお姉さんに獲得称号についての説明を視線求めた。
「……まずは、十死一生についてですが、かなり低い確率ですが、肉体へのダメージを魔力にて受けることになるそうです」
「魔力でだと?」
「はい。フィルさんのステータスなんですが、魔法が一切使えないくせに、無駄に精神系ステータスが強化されているのですよ」
おい、ちょこちょこ口が悪いぞ。
使えない「くせに」とか、「無駄に」とか、受付係として、その辺りはどうお考えなんでしょうかねぇ?
「それと、ぶれない心。これは魔力へのダメージを緩和する効果があるそうです。十死一生での魔力ダメージにも影響を及ぼしているみたいですね」
つまり、本来ならば致命傷レベルの肉体へのダメージが、魔力換算されると致命傷には至らなくなる。といったところか。
「これが高確率で発生する、魔防のスキルでも取得していれば、フィルさんにダメージを与えるのは難しくなりますね。まぁ、あんなスキルは、売りに出されたところで一般人では手が出せませんが」
基本的に魔力を減らすような攻撃をしてくる魔物はそんなにいない。
逆に、肉体への直接的なダメージを与えるのは、人間でも容易に出来る。握り拳一つ作って、殴れば済む話だからな。
だから、肉体ダメージを魔力で受けるというのは、冒険者だけでなく、人間にとってもかなり欲しいスキルの一つではあるわけだ。
まぁ、魔力が枯渇すれば、肉体にダメージは行くだろうし、精神的不可が大きくなって、なんらかの影響を与えてくるだろうが。
「三つ目の称号、畏怖ですが、相手が恐怖状態に陥っている場合のみ、効果を発揮するようです。その内容は、相手の魔力を吸い取るというものらしいですね」
「なんじゃとっ!?」
「もちろん、限界はあるみたいですが、恐怖の度合いに応じて、吸収される量も比例するようですよ」
その説明を聞いたとたん、モー子が今までにないくらい暴れだす。
「離せっ! これ以上、子供になんぞならんぞっ!! 我はっ! 人間を恐れておらんっ! 変態を恐れておるのじゃっ!!」
そんな激しい抵抗をみせるモー子に対して、マーアは冷静だったようだ。
「なるほど。さっきからボコスカ殴られているが、ダメージが魔力換算されても、モウコの魔力を吸い取って回復しているということだな」
その推測を聞いたモー子は、ピタリと動きを止め、
「じゃ、じゃが、魔力へのダメージは、かなり低い確率で起きるのじゃろ? 我の一撃は、人間には致命傷になりかねんほどの者じゃぞ?」
「あぁ。モウコは知らないのも当然だな」
「な、なんじゃ? まさか、貴様も変態に手を貸しておると言うのか?」
「手は貸しておらんっ! いや、正確には間接的に貸しているようなものか」
マーアは背負っていた巨大なハンマーを自身の前で杖代わりにして床を優しく突く。
「このメイスは、攻撃を受けた者の一番低いステータスを、一番高いステータスの数値になるよう加算される能力が備わっているのだ。恐らくフィルは、運のステータスが一番低く、一番高い精神系のどれかの数値まで加算されたのだろう」
「いくら確率が低くても、運が良ければ、二回や三回の連続はあり得ますからね」
お姉さんも似たような見解に至ったらしい。
「……ではなにか? 貴様のハンマーで殴られた変態は、運のステータスが強化され、十死一生の魔力へのダメージ転換の確率が上昇。さらにぶれない心で魔力ダメージが緩和。受けたダメージも、畏怖の効果で、我から魔力を補給している。そういうことかの?」
「「そういうことですね」だな」
モー子が真っ白になった。
それはそれは、燃え尽きた灰のように、綺麗な白色であった。
とはいえ、マーアとモー子の二人が話した通りだ。
「強いて付け加えるなら、俺のスキルカードが間違っていることぐらいだな」
というのも、マーアが俺を気絶から復帰させて、そのあとに恐怖を魔法で与えた。
その結果がスキルカードに反映されてなかったのだろう。まぁ、俺のスキルカードを覗き見たのは、最後の一悶着がある前だったし、これは仕方がない。
では発表しよう!
剣術スキル:レベル十二
ツッコミスキル:レベル九十一
恐怖耐性スキル:レベル百五十八
調理スキル:レベル八
ボケスキル:レベル八十三
恐怖スキル:レベル七
獲得称号:猪突猛進、老いる者、怖い物知らず、可愛いモノ好き、十死一生、ぶれない心、畏怖
特にスキルレベルが上昇した訳でもないのに、何故か称号が一つ追加された。
「ってな訳で、お姉さん、よろしく」
「どんな訳かは知りませんが、フィルさんのスキルカードには見馴れないスキルが多いですからね」
なんだかんだで笑顔で対応してくる受付のお姉さん。
「どんなクズスキルか、鑑定前から楽しみです!」
「おい」
クズ言うなし。
十分後。
お姉さんは紙を四枚も持って戻ってきた。
「あれ? 新しい獲得称号って三つだったよな?」
「えっと……そのですね…………非常に説明しづらいのですが」
お姉さんは照れたように笑いながら、
「鑑定の途中で一つ増えました」
と言った。
「ふむ。どうせ、変態のスキル鑑定をし過ぎた結果じゃろ? 獲得称号、覗き魔っ! とか、そんなところじゃろ。なぁ、変態」
「もー! モー子ちゃんは、ヘンタイヘンタイ連呼しないのぉ! ぎゅうーしちゃうぞっ!」
「気色の悪い声で喋るなっ!? それと、いい加減っ! 我を解放しろっ!! 自由にしろっ!!」
「む~り~」
ジタバタと暴れるモー子をガッチリとホールドし、俺はお姉さんに獲得称号についての説明を視線求めた。
「……まずは、十死一生についてですが、かなり低い確率ですが、肉体へのダメージを魔力にて受けることになるそうです」
「魔力でだと?」
「はい。フィルさんのステータスなんですが、魔法が一切使えないくせに、無駄に精神系ステータスが強化されているのですよ」
おい、ちょこちょこ口が悪いぞ。
使えない「くせに」とか、「無駄に」とか、受付係として、その辺りはどうお考えなんでしょうかねぇ?
「それと、ぶれない心。これは魔力へのダメージを緩和する効果があるそうです。十死一生での魔力ダメージにも影響を及ぼしているみたいですね」
つまり、本来ならば致命傷レベルの肉体へのダメージが、魔力換算されると致命傷には至らなくなる。といったところか。
「これが高確率で発生する、魔防のスキルでも取得していれば、フィルさんにダメージを与えるのは難しくなりますね。まぁ、あんなスキルは、売りに出されたところで一般人では手が出せませんが」
基本的に魔力を減らすような攻撃をしてくる魔物はそんなにいない。
逆に、肉体への直接的なダメージを与えるのは、人間でも容易に出来る。握り拳一つ作って、殴れば済む話だからな。
だから、肉体ダメージを魔力で受けるというのは、冒険者だけでなく、人間にとってもかなり欲しいスキルの一つではあるわけだ。
まぁ、魔力が枯渇すれば、肉体にダメージは行くだろうし、精神的不可が大きくなって、なんらかの影響を与えてくるだろうが。
「三つ目の称号、畏怖ですが、相手が恐怖状態に陥っている場合のみ、効果を発揮するようです。その内容は、相手の魔力を吸い取るというものらしいですね」
「なんじゃとっ!?」
「もちろん、限界はあるみたいですが、恐怖の度合いに応じて、吸収される量も比例するようですよ」
その説明を聞いたとたん、モー子が今までにないくらい暴れだす。
「離せっ! これ以上、子供になんぞならんぞっ!! 我はっ! 人間を恐れておらんっ! 変態を恐れておるのじゃっ!!」
そんな激しい抵抗をみせるモー子に対して、マーアは冷静だったようだ。
「なるほど。さっきからボコスカ殴られているが、ダメージが魔力換算されても、モウコの魔力を吸い取って回復しているということだな」
その推測を聞いたモー子は、ピタリと動きを止め、
「じゃ、じゃが、魔力へのダメージは、かなり低い確率で起きるのじゃろ? 我の一撃は、人間には致命傷になりかねんほどの者じゃぞ?」
「あぁ。モウコは知らないのも当然だな」
「な、なんじゃ? まさか、貴様も変態に手を貸しておると言うのか?」
「手は貸しておらんっ! いや、正確には間接的に貸しているようなものか」
マーアは背負っていた巨大なハンマーを自身の前で杖代わりにして床を優しく突く。
「このメイスは、攻撃を受けた者の一番低いステータスを、一番高いステータスの数値になるよう加算される能力が備わっているのだ。恐らくフィルは、運のステータスが一番低く、一番高い精神系のどれかの数値まで加算されたのだろう」
「いくら確率が低くても、運が良ければ、二回や三回の連続はあり得ますからね」
お姉さんも似たような見解に至ったらしい。
「……ではなにか? 貴様のハンマーで殴られた変態は、運のステータスが強化され、十死一生の魔力へのダメージ転換の確率が上昇。さらにぶれない心で魔力ダメージが緩和。受けたダメージも、畏怖の効果で、我から魔力を補給している。そういうことかの?」
「「そういうことですね」だな」
モー子が真っ白になった。
それはそれは、燃え尽きた灰のように、綺麗な白色であった。
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