恐怖耐性を上げ過ぎると、恐怖の対象になるようです

シバトヨ

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幼少期の恐怖

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 騎士の家系であるプリテ家。魔法よりも剣の技術に重きをおいた家系の長男に生まれた俺は、その日も剣の稽古を付けられていた。
「どうしたっ! この程度で根を上げる気か?」
 そんな檄を浴びせながら、俺の握っている木刀に強い一撃をぶつけてくる剣の先生。
「うわっ!?」
「この程度では……プリテ家の恥になるぞ?」
 芝生に倒れた俺は、軽く打ち付けた肘を擦りながら上半身を起こす。と、ついでに先生へ文句を垂れる。
「子供相手に本気を出す大人の方が恥だろ」
「本気なんか出してねぇよ。まだ八割程度だ」
「充分本気だろうがっ!」
 ツッコミに合わせて木刀を強く振り抜く。
 もちろん、先生の体に当たる前に、先生の木刀で防がれるわけだが、
「お、おめぇ! 不意打ちとかやめろっ! 当たったら痛てぇだろうがっ!!」
「それを子供の俺にっ! 遠慮なしでバシバシ当ててるだろうがっ!!」
「それは俺が痛くねぇから問題ねぇ!」
「なんて野郎だっ!?」
 あまりにも自分に対して過保護な剣の先生だが、教え方がうまい。
 口は悪く、大人として最低だが、それでも剣の技術はピカいちだ。
「おい、俺への評価が駄々漏れしてんぞ?」
 そんな生徒の評価を聞いたばかりの剣の先生は、俺に鞘に収まった短剣を投げて寄越してくる。
「そういうところだからな? 俺の評価が片寄ってんのは、そういうところだからな??」
「あぁあぁ。俺の剣の腕が凄すぎるからだろ?」
「ちげぇよ!」
 俺にツッコミのスキルを授け、剣の腕と共に育成に励んでいる先生は、短剣を手にした俺に一つの課題を出してくる。
「それ使って、森の薬草採取に行くぞ」
「…………」
 先生のポケットにギルドの依頼書のような紙が見え隠れしているが……俺はスルーすることにした。

 ほんと。剣の腕だけはいいんだよなぁー。
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