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狙う者
しおりを挟む一人、二人、三人……木の上にも一人いるわね。
私はジェラルド様とセレモニーの剣舞を見た後、騎士様たちの剣試合や組手を見ていた。
ジェラルド様は女性には分からないだろうと、時々技の解説をしてくれたり、それぞれの試合の見所などを教えてくれる。だから観戦はとても楽しいのだけれど、私の忍としての勘が激しく警戒を呼びかけており、逢引デートどころじゃない。
この会場の近辺には、大勢の一般人に紛れて影が潜んでる。
ほとんどの影は気配が隠せていないから、ここの騎士たちだろう。未だに私の処遇が決まらないところを見ると、私を外に連れ出して不審な動きがないか観察していると言ったところか。......ジェラルド様の部屋の中に私が突然現れたことから、間者の疑いをかけられていても不思議じゃないもの。だから、こちらは私が何もしなければ問題ないわ。
だけど、ほとんど気配が読み取れない本物の「影」がいる。私にも、わずがな殺気だけしか拾えず居場所が特定できない。その影が何を狙っているのか知らないけれど、どうもこちらに視線を感じるのだ。だから私は、密かに警戒態勢に入る。
足には木製のクナイを二本。髪飾りには針を仕込んである。そしてワンピースのポケットには唐辛子などを仕込んだ目潰し弾。
けれど攻撃用の武器は、一般人がいるからほとんど使えない。そういった意味から刺客の方も、まだ狙っては来ないはずだ。けれど油断は出来ない。
防御を確認する。
保護室にあったパラソルに強化布を縫い付けたものを持っている。金属は貫通するから閉じて払う、針など軽い飛ばし武器なら開いて止める。借り物のバッグの中にも攻撃や防御できるものをいくつか詰めてある。何もなくても、忍の習慣でこうしたものは常に所持しているのだ。
敵が動いた場合、攻撃の位置から居場所を割り出し反撃に転じるしかない。複数いるから厳しい状況だけど、忍の名にかけてジェラルド様だけは守ってみせる。
私は意識を張り巡らせて、周囲の様子を伺っていた。
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