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夢に悩まされる 〜ジェラルド視点

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(お侍さん……熊のお侍さん……。私の服を脱がせて下さいませんか? そして、下着も……。熊のお侍さんとお風呂に入りたいんです…….。お願い……)

 黒髪黒目の女が俺の目の前で懇願している。その身体は華奢だが、しなやかで艶かしい......。俺は瞳に灯る劣情を隠そうともしないで、その女の服を脱がそうと両手を伸ばした。......あれ、もう脱がすものがない。それに、すでに女の全身は濡れており、水も滴る良い女が出来上がっているではないか......?


「……ハッ!」

 またあの夢か。俺は上半身を起こして大きなため息をついた。

 アカネの裸体を間近で見て以来、俺はこんな夢ばかり見てしまう。

 騎士団長をしていた頃、多くの武功を上げ『金獅子』と呼ばれた俺だが、この厳つい巨体に目つきの悪い強面のせいで、女からは全くモテなかった。騎士団の公開訓練ではたくさんの女性が集まったが、その視線を一身に集めたのは、細身の銀髪美形男の副団長アーロンであった。

 だからアカネがアーロンでなく、俺に下着をつけてくれと頼んで来たことが余程嬉しかったのかもしれないな。これだからモテない男は厄介なんだ。アカネはなぜか俺に懐いているようだが、別に特別な感情を持っているわけではなかろう。それなのに俺の夢の中では、都合の良いように解釈している。

 夢の中だけならまだいいのだが、夜、ベッドに入る時、アカネの香りがするような気すらしてしまうから困ったものだ。

「柔らかかったな……」

 俺は自分の手のひらを見て呟く。豊満ではないが、アカネの胸は程よく膨らみを帯びており、触り心地が良かった。

「長いこと、女性に触れてなかったからなぁ~」

 俺は独り言を呟いた。

「しかも、夢では『着せて欲しい』が『脱がせて欲しい』に変わっているところが男のサガなんだよなぁ~」

 次にそう呟くと、俺はまた、大きなため息を吐いたのだった。


 ベッドから出て、冷たい水を飲み昂りを収めながら考える。

 今頃、アカネはどうしているだろうか。

 世話役の担当に俺がいないと知った時の、アカネのガッカリとした表情が脳裏に浮かぶ。

 寂しがっていなければいいが……。


 ......今夜も俺は、なかなか眠れそうにない。


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