美醜逆転異世界で、非モテなのに前向きな騎士様が素敵です

花野はる

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専属護衛決定

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私とセディは謁見の間に来ている。

今回は王妃様はいなくて、王様だけがおなりになった。隣には、宰相らしい人が侍っている。

「稀人ゆいよ。体調は良くなられたかな?」

「はい。ありがとございます王様」

私は深々とお辞儀して言った。

「して、護衛にしたい者がいるとか?」

「はい、わたし、せどりっくサン、ごえいおねがいしたいです」

王様は一緒目を見開いたが、それでもすぐに納得したようだ。

「……本当に、それで良いのか?」

「はい。ぜひ、おねがいしたい、です」

「……分かった。セドリック・ローランドよ、心して稀人を守れよ」

セディは片足を跪いて騎士の礼をした。

「命に代えましても必ず」

「しかし、そなたは騎士団の副団長であるから、すぐに王宮に来る訳にも行くまい?」

王様が尋ねると、セディも困ったように私を見た。

「セディ、わたし、きしだんの、お部屋、気にいっています。わたし、そこならアンゼンですか?」

「そうだな。ゆいがそれでいいなら護衛集団の中にいるようなものだし、俺についていてくれれば更に守ってやれるが……」

「わたし、きしだんの、マネージャーします!させてくれますか?セディ」

「えっ?そんなこと……いいのか?」

「はい!わたし、セディのやくに、たちたいです」

私たちのやり取りを聞いていた王様が声を立てて笑った。

「ハハハハハ。ジルベールの息子よ、おぬしなかなかやるではないか。それだけ仲睦まじいのなら、婚約と言わず、すぐにでもゆいどのに結婚してもらえ。そうすれば、保護室などと言わずとも、自分の屋敷に連れて帰れるのだからな」

「ええっ ⁈ 王様、俺は専属護衛をゆいに頼まれただけで、婚約者候補にもなってないんですけど…… 」

「では、特別に私から頼んでやろう。ゆいどの、セドリックは私の親戚に当たる血筋なのだ。このように醜い男で申し訳ないが、そなたが少しでも好意を抱いておられるのなら、こやつの嫁になってやってくれないか?」

「ええっ……わたしで……セディのおくさん、つとまりますか?わたし、なんにもできない、ですが」

私はセディが王様の親戚筋だと聞いて驚いてしまった。

ことばもまともに話せず、貴族の仲間入りなんてしてもいいんだろうか……?

「なあに。こやつはこう見えても公爵家の跡取りだ。ゆいどのは着飾って、こやつの側にいるだけでいいのだ。他のことは、使用人が全部やるでな」

かんらかんらと笑う王様だけど、そんな簡単なものなの?

私はセディを見て助けを求めた。
するとセディは頷いてくれて、王様に話をしてくれた。

「王様、ありがたきお言葉ではございますが、先程専属護衛の話が出たばかりで団長……父ジルベールにもまだ伝わっていない事ですので……その先の事は、ジルベールと話し合って決めさせてもらって良いでしょうか?」

「私は構わぬが、のんびりしていてゆいどのに逃げられぬように致せよ?」

王様は楽しげに笑いながら立ち上がり、玉座を離れていった。

私はとりあえず、元気になったのでセディと一緒に騎士団へ帰った。




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