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私の想い、伝えます。
しおりを挟む【もしもあなたが、この世界でとても美しい人を好きになったなら、その人は醜いというだけで理不尽な目に遭いたくさん傷ついている人だと思って下さい。これまで諦めたものも、普通の人よりはるかに多いと思います。
だからそのような人には、言葉の駆け引きなど伝わりません。具体的な言葉で、誤解できないほどハッキリと好意を伝えて下さい。そして、一度だけでなく、何度も何度も、好意を示し続けなければ、相手は愛されている実感を持ちにくいと思います。日本人には難しいことかも知れませんが、そんな夫を持った私からの、上手くいく夫婦の秘訣だとでも思ってもらえたらと思います】
先代様。
アドバイスをありがとうございます。
私、自分の思いを外に出すのがとても苦手だけれど、セディに相応しくありたいから頑張ります。
「セディ。ノート、ありがとです。すごく、たすかりました」
「そうか。それなら持って来て良かった」
セディはにこりと笑って言った。
「……セディ、まだ、じかんある?わたし、セディにはなしある」
セディは少し硬い表情になったけど、「大丈夫だ」と言った。
私はセディの顔を、目を逸らさないように頑張って見つめた。
……でも、やっぱり急には無理で。
心臓が口から出てしまいそうなので、持っていたノートで顔を隠した。
「セディ、わたし、かおかくす、はずかしいから。あなたのことさけているではない。しんじてくれる?」
「……ああ……」
やや自信なさげだけど、セディは返事をしてくれた。
「ありがと。……では、いまから、わたしのキモチ、いいます。さいごまでゼンブ、きいてクダサイ」
「分かった」
神妙な面持ちでセディが返事をした。
「わたしは、あなたがすき、です」
「……っ!」
セディが息を飲むのが分かったけれど、私は構わずに続ける。
「わたしは、あなたのカオ、とてもすきです。あなたのすたいる、とてもカッコいい。あなたのカミのいろ、ひとみのいろもキレイです。あなたのみため、ぜんぶ、ぜんぶすきです」
私はノートを顔に当てているから、セディの反応が分からなかったけれど、何も言わずに聞いてくれているみたいだ。
「それから、あなたのなかみは、もっとすき、です。ゆうきがあって、おとこらしくて、がんばりやさん。すっごくやさしい。だいすき、です。わたし、うちきで、はなすのがニガテです。でも、あなたにふさわしくなるよう、がんばる。だから、わたしのごえい、なってくれますか?」
「 ………… 」
返事がない。
どうしよう、もうダメだった?
私は恐る恐るノートを下ろして、セディを見た。
「……っ ‼︎ 」
なんと、セディは真っ赤になって、そして滝のように溢れる涙をこぼしていた。
「セディ ⁈ どした?どっかイタイか?」
私はベッドから降りて、セディの足元へ歩み寄った。
「ああ……痛いんだ……。ゆいが、信じられないようなことを言ってくれたから、俺の胸が痛くてしょうがないんだ」
「セディ?ダイジョブ?なかないで?……わたし、どうしたらいい?」
私はどうしていいかわからずオロオロしていたけれど、心の中で自分に言い聞かせる。
(私は妖艶美女よ!セクシー女優なら、こんな時どうするの ⁈ )
私は思い切って、座っているセディの頭を抱きしめた。苦しくないように、ふんわりと。そしてセディの頭を優しく撫でた。
「あなたのむねをいたくして、ごめんね。いっぱいヨシヨシするから、なかないで、セディ」
私は何度も何度も好きだよ、と言いながらセディの頭を撫で続けた。
……その頃壁にマネキンとなっていた侍女は、真っ赤になり震えていたーー。
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