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同じ言葉でも、意味は全く違っています。
しおりを挟むセディが私を気遣ってくれ、アランを呼んでの聞き取りとなったため、時折冗談じみた紳士気取りのアランに癒されて、あっさりと調書の作成が済んだらしい。
「……流石アランだな。悔しいが、女性をリラックスさせる腕は超一流だ」
セディがアランにそんなことを言った。
お笑いの腕が超一流だって、それがセディは悔しいって?セディもお笑いを目指していたのかしら?
私は可笑しくて笑いながら頷いた。
「アラン、楽しい。好き」
男性という性を感じないアランに、私は友情のようなものを感じていた。
ドキドキすることなく言える気軽な好き。
それに対してセディに感じる好きは、すっごくドキドキして、絶対に口に出せない好きだ。
同じ言葉でも、こんなに違うなんて不思議だなぁ。
そんなことを考えていると、アランが私を抱きしめて言った。
「仔猫ちゃん!俺も仔猫ちゃんが大好きだよ!これからもっと俺を好きになって!」
私はいくら、友達として好きだと言っても、流石に男友達に気軽に抱きしめられるのは嫌だ。
「アラン、やり過ぎ!ぎゅうは、ダメ!」
私は笑いながらもはっきり言った。
セディは静かに微笑んでいたけれど、私の言葉を聞いてホッと息をついたように見えた。
デブ同士の抱擁を見て、困惑していたのかしら……。ああ嫌だ。
アランは楽しいけれど、時々冗談が過ぎるから、注意しなくちゃいけないわ。
◇◇◇
調書のための聞き取りが済んで一週間後。
王宮に稀人の詳細が伝わったため、私は王様に謁見することになった。
私は団長のローランド様に作って頂いた、美しいドレスを纏って王宮に来ている。
付き添ってくれているのはセディとアランのふたりだ。
「仔猫ちゃん、王宮でその出で立ちでいると、まるでお姫様のように綺麗だよ。隣に飾られた花たちが、自信を無くして枯れてしまいそうだ」
アランはまた気障な台詞で私をリラックスさせてくれる。
ドレスは確かに綺麗だが、私が着ると全く似合っていなくて恥ずかしい。
「ゆい、きれいない。だからおせじ、言わないで」
そう言うと、セディまで私にお世辞を言う。
「ゆい、君は本当に綺麗だよ。もっと自信持っていい」
超美形にお世辞を言われるのは辛い。
「セディに、言われると辛い 」
思わず口にしてしまうと、セディはごめん、と言って俯いた。
アランは私たちの変な空気を感じて、慌てたように咳払いした。
「さ、仔猫ちゃん。早く文官のところに行って受け付けをしようぜ」
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