6 / 45
騎士団の訓練を見ました。
しおりを挟む私は食事を終えると、心身が疲れてしまっていることに気付いてソファに横になっていた。
これって間違いなく異世界転移だよね。私は喪女で読書好きだったから、すんなりと今の状況を理解していた。
でもどうせ転移するなら、私みたいなデブスじゃなくて、もっとヒロインぽい美少女なら良かったのに。
そしたら物語のロレーヌのように、レックスみたいなヒーローが守ってくれるだろう。
私はたったひとりで言葉もわからず、この世界で無事に暮らしていけるのだろうかとまた心細くなってしまった。
私がつらつらと考え事をしていると、予定通り2時ぴったりにマリーさんがやって来た。
残さず食べた食器を見て、マリーさんがにっこり微笑む。
こんな状況でも残さずごはんを食べたりして、なんだか恥ずかしいなぁ。
流石デブスとか思われているかも。
私は普段はそんなに容姿のことは気にしていないのだけれど、美し過ぎるあの男性や、きれいなお姉さんを前にして、不安も手伝ってコンプレックスが刺激されているみたい。
人間、容姿だけじゃないってわかっているけど、私の中身を知っている人がここには誰もいないのだから。
私はまた、沈んだ表情をしてしまっていたようで、マリーさんが私の手を取って、ドアを指指した。
気分転換に外へ出ようと言っているのかな?
私はマリーさんに導かれるまま部屋を出た。
マリーさんは私の食べた食器を片付けた後、また私の手を取って導いてくれる。
建物の外に出ると、広い校庭のようになっており、そこで騎士服を着た人たちが、剣の訓練をしていた。
「うわぁ~!」
私は思わず歓声を上げた。
異世界ファンタジーが好きな私は、やっぱりここは騎士団だと確信した。
大好きな騎士様たちの訓練を見せてくれるの?
私はマリーさんに、キラキラした瞳でそう問いかけた。
マリーさんはにこりと微笑んで頷く。
私は柵を掴んで、乗り出すように訓練を見つめた。
あれ?
なんか、思っていたのと違う。
筋肉隆々な男らしい人たちが、荒い吐息を吐きながら、汗を滴らせているのを想像していたのだけど、太った人やもやしのような細い人たちが剣をふるっているのだ。
えっ、お笑い的な演出で、私を楽しませてくれているって訳じゃないよね?
でも、私はなんだかおかしくなって、笑顔で訓練を見ていたのだけど。
ひとりだけ笑えない人いましたよ。
そう、先程名前を知った、美し過ぎるセディさん。
彼だけは、引き締まった身体を華麗に動かし剣をふるっている。まるで剣舞を見ているみたいだ。
セディさんはすごく強いみたいで、3人の騎士様を同時に相手にしていた。
(かっこいいな、セディさん)
近くにいると、しっかり見る事が出来ない私だけど、これだけ離れていると堂々と見ることが出来た。
まるで物語から抜け出て来たような騎士様だなぁ……。
私はそれから、お笑い系騎士様たちには目もくれず、セディさんばかりを眺めた。
29
お気に入りに追加
1,518
あなたにおすすめの小説

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。

ただ貴方の傍にいたい〜醜いイケメン騎士と異世界の稀人
花野はる
恋愛
日本で暮らす相川花純は、成人の思い出として、振袖姿を残そうと写真館へやって来た。
そこで着飾り、いざ撮影室へ足を踏み入れたら異世界へ転移した。
森の中で困っていると、仮面の騎士が助けてくれた。その騎士は騎士団の団長様で、すごく素敵なのに醜くて仮面を被っていると言う。
孤独な騎士と異世界でひとりぼっちになった花純の一途な恋愛ストーリー。
初投稿です。よろしくお願いします。

私が美女??美醜逆転世界に転移した私
鍋
恋愛
私の名前は如月美夕。
27才入浴剤のメーカーの商品開発室に勤める会社員。
私は都内で独り暮らし。
風邪を拗らせ自宅で寝ていたら異世界転移したらしい。
転移した世界は美醜逆転??
こんな地味な丸顔が絶世の美女。
私の好みど真ん中のイケメンが、醜男らしい。
このお話は転生した女性が優秀な宰相補佐官(醜男/イケメン)に囲い込まれるお話です。
※ゆるゆるな設定です
※ご都合主義
※感想欄はほとんど公開してます。

私は女神じゃありません!!〜この世界の美的感覚はおかしい〜
朝比奈
恋愛
年齢=彼氏いない歴な平凡かつ地味顔な私はある日突然美的感覚がおかしい異世界にトリップしてしまったようでして・・・。
(この世界で私はめっちゃ美人ってどゆこと??)
これは主人公が美的感覚が違う世界で醜い男(私にとってイケメン)に恋に落ちる物語。
所々、意味が違うのに使っちゃってる言葉とかあれば教えて下さると幸いです。
暇つぶしにでも呼んでくれると嬉しいです。
※休載中
(4月5日前後から投稿再開予定です)


異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜
京
恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。
右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。
そんな乙女ゲームのようなお話。

私だけ価値観の違う世界~婚約破棄され、罰として醜男だと有名な辺境伯と結婚させられたけれど何も問題ないです~
キョウキョウ
恋愛
どうやら私は、周りの令嬢たちと容姿の好みが違っているみたい。
友人とのお茶会で発覚したけれど、あまり気にしなかった。
人と好みが違っていても、私には既に婚約相手が居るから。
その人と、どうやって一緒に生きて行くのかを考えるべきだと思っていた。
そんな私は、卒業パーティーで婚約者である王子から婚約破棄を言い渡された。
婚約を破棄する理由は、とある令嬢を私がイジメたという告発があったから。
もちろん、イジメなんてしていない。だけど、婚約相手は私の話など聞かなかった。
婚約を破棄された私は、醜男として有名な辺境伯と強制的に結婚させられることになった。
すぐに辺境へ送られてしまう。友人と離ればなれになるのは寂しいけれど、王子の命令には逆らえない。
新たにパートナーとなる人と会ってみたら、その男性は胸が高鳴るほど素敵でいい人だった。
人とは違う好みの私に、バッチリ合う相手だった。
これから私は、辺境伯と幸せな結婚生活を送ろうと思います。
※カクヨムにも掲載中の作品です。

異世界転生〜色いろあって世界最強!?〜
野の木
恋愛
気付いたら、見知らぬ場所に。
生まれ変わった?ここって異世界!?
しかも家族全員美男美女…なのになんで私だけ黒髪黒眼平凡顔の前世の姿のままなの!?
えっ、絶世の美女?黒は美人の証?
いやいや、この世界の人って目悪いの?
前世の記憶を持ったまま異世界転生した主人公。
しかもそこは、色により全てが決まる世界だった!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる