美醜逆転異世界で、非モテなのに前向きな騎士様が素敵です

花野はる

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騎士団の訓練を見ました。

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私は食事を終えると、心身が疲れてしまっていることに気付いてソファに横になっていた。

これって間違いなく異世界転移だよね。私は喪女で読書好きだったから、すんなりと今の状況を理解していた。

でもどうせ転移するなら、私みたいなデブスじゃなくて、もっとヒロインぽい美少女なら良かったのに。

そしたら物語のロレーヌのように、レックスみたいなヒーローが守ってくれるだろう。

私はたったひとりで言葉もわからず、この世界で無事に暮らしていけるのだろうかとまた心細くなってしまった。

私がつらつらと考え事をしていると、予定通り2時ぴったりにマリーさんがやって来た。

残さず食べた食器を見て、マリーさんがにっこり微笑む。

こんな状況でも残さずごはんを食べたりして、なんだか恥ずかしいなぁ。

流石デブスとか思われているかも。

私は普段はそんなに容姿のことは気にしていないのだけれど、美し過ぎるあの男性や、きれいなお姉さんを前にして、不安も手伝ってコンプレックスが刺激されているみたい。

人間、容姿だけじゃないってわかっているけど、私の中身を知っている人がここには誰もいないのだから。

私はまた、沈んだ表情をしてしまっていたようで、マリーさんが私の手を取って、ドアを指指した。

気分転換に外へ出ようと言っているのかな?

私はマリーさんに導かれるまま部屋を出た。

マリーさんは私の食べた食器を片付けた後、また私の手を取って導いてくれる。

建物の外に出ると、広い校庭のようになっており、そこで騎士服を着た人たちが、剣の訓練をしていた。

「うわぁ~!」

私は思わず歓声を上げた。
異世界ファンタジーが好きな私は、やっぱりここは騎士団だと確信した。

大好きな騎士様たちの訓練を見せてくれるの?

私はマリーさんに、キラキラした瞳でそう問いかけた。

マリーさんはにこりと微笑んで頷く。

私は柵を掴んで、乗り出すように訓練を見つめた。

あれ?

なんか、思っていたのと違う。

筋肉隆々な男らしい人たちが、荒い吐息を吐きながら、汗を滴らせているのを想像していたのだけど、太った人やもやしのような細い人たちが剣をふるっているのだ。

えっ、お笑い的な演出で、私を楽しませてくれているって訳じゃないよね?

でも、私はなんだかおかしくなって、笑顔で訓練を見ていたのだけど。

ひとりだけ笑えない人いましたよ。

そう、先程名前を知った、美し過ぎるセディさん。

彼だけは、引き締まった身体を華麗に動かし剣をふるっている。まるで剣舞を見ているみたいだ。

セディさんはすごく強いみたいで、3人の騎士様を同時に相手にしていた。

(かっこいいな、セディさん)

近くにいると、しっかり見る事が出来ない私だけど、これだけ離れていると堂々と見ることが出来た。

まるで物語から抜け出て来たような騎士様だなぁ……。

私はそれから、お笑い系騎士様たちには目もくれず、セディさんばかりを眺めた。



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