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見たことがないほど美人な男性

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私は乗り慣れない馬に乗せられ、お尻が痛くてたまらなくなった頃、四角い建物の前でやっと馬から降ろされた。

「jap@w?」

短い言葉で、太ったおじさんが何か言ってにこっと笑った。お疲れ様、大丈夫?みたいな労いの言葉っぽい。

私は何となく微笑んでみせると、おじさんは頷いて私の頭を撫でてくれた。

悪い人じゃないみたいで良かった。

私は四角い学校みたいな建物に誘導されて入って行く。玄関ホールのようなところで、太ったおじさんが大きな声を出した。誰かを呼んでいるみたいな感じだ。

「aptmht!」

すると、奥から若い男の人が駆けて来た。近づくにつれ、その人の顔がはっきりしてくる。

「 ‼︎ 」

私は一重の細い目を、限界まで見開いてその人を見てしまった。

サラサラの銀の髪を後ろに束ねたその人は、少し長めの前髪から碧いきれいな瞳を覗かせていた。身体も太った人や細過ぎる人ばかり見た後だからか、すごく引き締まって理想的な体型に圧倒される。

その人は、私を優しげに見つめ、手を差し出して来た。

「jgaptmd!」

喪女の私には、眩し過ぎるその人から思わず目線を外してしまった。

すると、彼の手は、一瞬ぎこちなく固まり、すっと降ろしてしまった。

多分、挨拶してくれて、握手をしようとしたんだよね?私、失礼なことしちゃったな。

でも、まともに男の人と握手したことすらないし、こんなに美人な男性の手を触るなんて、緊張してしまう。

でも、やっぱり失礼な態度のままじゃいけないよね。

私は震える手を銀髪の彼に差し出した。

彼の顔は見れないから、手しか見ていなかったんだけど、少し戸惑いながらも私の手をやんわりと握り返してくれた。

私は握手しながらぺこりと頭を下げた。

太めの私の手が、汗っぽくなかったか気になるけれど、握手を無視したと思われるよりはいい。

私は手を離そうとしたのだけど、彼の方がまだ握っているようなので、つい顔を上げて彼の顔を見てしまった。

彼は蕩けるような笑顔を浮かべ私を見ていた。

動揺した私は、また顔を俯けてしまうと、握手していたその手は離れていった。



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