24 / 28
ちょっと怖くて楽しみな行為はイグナスと〜サンドラ視点
しおりを挟む
我はイグナスの身体を案じながらも、自国へ戻るために再び歩き出した。
「本当にどこも痛まないのか?歩いて大丈夫なのか?」
イグナスはニコリと笑って答える。
「はい。先ほど姫君から多大な褒美をいただきましたので、このイグナス元気百倍にございます」
そう言われて我は顔を赤らめた。
キスなどと言うものは、ただ口と口を合わせるだけのものだと思っておったのだ。
あのように淫らで、甘美な行為だったとは......。
我は今まで、何も知らずによその男を婿にしようなどと思っていたのだな。
あのような行為は、誰とでもできるものではない。
イグナス以外の男とあのようなことをするのを想像し、ゾワワと身の毛がよだった。
「姫君?いかがいたしました?」
青ざめた我の顔を心配そうに見つめるイグナス。
この者との口づけは、動悸が苦しかったが嫌でなかった、いや、むしろ幸せを感じたな......。
男に恋情を持つと言うのは、こう言うことを言うのだな。
我は改めて、イグナスがどれだけ好きだったのかを知った気がした。
「いや......。我は子供だったのだなと反省しておった。男とキスすると言うことの意味もよく分からず、婿を探しておったのだから」
「そうですよ、姫君。何も知らず、私に男女のことを教えてくれなどとおっしゃって。先ほどいたしたディープキスなど、足元にも及ばぬ行為でございますよ。私が自制しなかったら、姫君は大変な目に合っておりましたよ?」
「そ、そんなにすごい行為なのか?」
「ええ、それはそれは大変な行為ですよ。痛いし、恥ずかしいし、苦しいですし」
「ええっ!それは誠か?」
「さあ、どうでしょうね。それは個人差がありますから、姫君の場合はどうでしょうね」
痛くて、恥ずかしくて、苦しい......?
そんな思いをしてまで、なぜ結婚などせねばならんのだろうか?
「ですが姫君。それは、姫君が、心から思う方との行いであれば、随分緩和されますし、苦痛以上の幸せを感じることができますよ」
我はその言葉を聞いて、ほっと安心した。
「それなら安心だ。我の相手はイグナスだから、きっと上手くやってくれるに違いない。お前は何をやらせても器用な男だから。そん時はよろしく頼むぞ、イグナス」
「......姫君...... 」
イグナスは、返事をせずに、少し寂しそうに微笑んだ。
我はちょっと恐ろしいけど楽しみにも感じるその行為とやらを、イグナスとするのだと疑いもしなかったーー。
「本当にどこも痛まないのか?歩いて大丈夫なのか?」
イグナスはニコリと笑って答える。
「はい。先ほど姫君から多大な褒美をいただきましたので、このイグナス元気百倍にございます」
そう言われて我は顔を赤らめた。
キスなどと言うものは、ただ口と口を合わせるだけのものだと思っておったのだ。
あのように淫らで、甘美な行為だったとは......。
我は今まで、何も知らずによその男を婿にしようなどと思っていたのだな。
あのような行為は、誰とでもできるものではない。
イグナス以外の男とあのようなことをするのを想像し、ゾワワと身の毛がよだった。
「姫君?いかがいたしました?」
青ざめた我の顔を心配そうに見つめるイグナス。
この者との口づけは、動悸が苦しかったが嫌でなかった、いや、むしろ幸せを感じたな......。
男に恋情を持つと言うのは、こう言うことを言うのだな。
我は改めて、イグナスがどれだけ好きだったのかを知った気がした。
「いや......。我は子供だったのだなと反省しておった。男とキスすると言うことの意味もよく分からず、婿を探しておったのだから」
「そうですよ、姫君。何も知らず、私に男女のことを教えてくれなどとおっしゃって。先ほどいたしたディープキスなど、足元にも及ばぬ行為でございますよ。私が自制しなかったら、姫君は大変な目に合っておりましたよ?」
「そ、そんなにすごい行為なのか?」
「ええ、それはそれは大変な行為ですよ。痛いし、恥ずかしいし、苦しいですし」
「ええっ!それは誠か?」
「さあ、どうでしょうね。それは個人差がありますから、姫君の場合はどうでしょうね」
痛くて、恥ずかしくて、苦しい......?
そんな思いをしてまで、なぜ結婚などせねばならんのだろうか?
「ですが姫君。それは、姫君が、心から思う方との行いであれば、随分緩和されますし、苦痛以上の幸せを感じることができますよ」
我はその言葉を聞いて、ほっと安心した。
「それなら安心だ。我の相手はイグナスだから、きっと上手くやってくれるに違いない。お前は何をやらせても器用な男だから。そん時はよろしく頼むぞ、イグナス」
「......姫君...... 」
イグナスは、返事をせずに、少し寂しそうに微笑んだ。
我はちょっと恐ろしいけど楽しみにも感じるその行為とやらを、イグナスとするのだと疑いもしなかったーー。
0
お気に入りに追加
120
あなたにおすすめの小説
一年で死ぬなら
朝山みどり
恋愛
一族のお食事会の主な話題はクレアをばかにする事と同じ年のいとこを褒めることだった。
理不尽と思いながらもクレアはじっと下を向いていた。
そんなある日、体の不調が続いたクレアは医者に行った。
そこでクレアは心臓が弱っていて、余命一年とわかった。
一年、我慢しても一年。好きにしても一年。吹っ切れたクレアは・・・・・
戦いに行ったはずの騎士様は、女騎士を連れて帰ってきました。
新野乃花(大舟)
恋愛
健気にカサルの帰りを待ち続けていた、彼の婚約者のルミア。しかし帰還の日にカサルの隣にいたのは、同じ騎士であるミーナだった。親し気な様子をアピールしてくるミーナに加え、カサルもまた満更でもないような様子を見せ、ついにカサルはルミアに婚約破棄を告げてしまう。これで騎士としての真実の愛を手にすることができたと豪語するカサルであったものの、彼はその後すぐにあるきっかけから今夜破棄を大きく後悔することとなり…。
旦那様、その真実の愛とお幸せに
おのまとぺ
恋愛
「真実の愛を見つけてしまった。申し訳ないが、君とは離縁したい」
結婚三年目の祝いの席で、遅れて現れた夫アントンが放った第一声。レミリアは驚きつつも笑顔を作って夫を見上げる。
「承知いたしました、旦那様。その恋全力で応援します」
「え?」
驚愕するアントンをそのままに、レミリアは宣言通りに片想いのサポートのような真似を始める。呆然とする者、訝しむ者に見守られ、迫りつつある別れの日を二人はどういった形で迎えるのか。
◇真実の愛に目覚めた夫を支える妻の話
◇元サヤではありません
この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
転生聖女のなりそこないは、全てを諦めのんびり生きていくことにした。
迎木尚
恋愛
「聖女にはどうせなれないんだし、私はのんびり暮らすわね〜」そう言う私に妹も従者も王子も、残念そうな顔をしている。でも私は前の人生で、自分は聖女になれないってことを知ってしまった。
どんなに努力しても最後には父親に殺されてしまう。だから私は無駄な努力をやめて、好きな人たちとただ平和にのんびり暮らすことを目標に生きることにしたのだ。
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!
カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。
前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。
全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる