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騎士団へ殴り込み?いいえ、お見合いです。

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「 イグナス!婿殿を探しに参るぞ!付いて参れ 」

サンドラ姫は朝、顔を合わせるなり言い放った。

いつも思いのままに動くお方ゆえ、今更驚きはしないが、いったいどこへ婿殿を探しに行くと言うのだろう?

「姫君、いったいどちらまで行かれるのですか?」
俺は姫君に尋ねた。

「決まっておろう。我の婿殿は我よりも強い者を選ぶのだから、王立騎士団に決まっておろうが」

「御意。すぐに騎士団長に姫君の訪問に備えるよう連絡致します」

俺は伝書鳩で、簡単に訪問の目的を伝え、心積もりなさるようにと騎士団長へ連絡を送った。



◇◇◇


「たのもう!」

……姫君、その訪問の仕方では、全然お見合いをするおなごには見えませんよ。
まあ、予想はついておりましたが。

「これはサンドラ姫。ようこそおいで下さいました。むさ苦しい所ではありますが、どうぞ中へ」

騎士団長殿は、姫君の出迎えのため玄関ホールで待機していたようで、すぐに姿を現した。

慇懃に挨拶した後、騎士団の建物へ案内しようとしたのだが。

「接待などいらぬ。すぐに未婚で婚約者のおらぬ騎士たちを、訓練場に集めよ」

「は?」

騎士団長は姫君の唐突な言葉に面食らう。

「だから、我の婿になれそうな奴らを連れて参れと言っている。早く致せ 」

「ハハッ!これからすぐに該当する者を全員召集致しまする!」

騎士団長は側にいた騎士に、俺たちを訓練場に案内させ、自分は騎士たちの元へ走って行った。



◇◇◇


「姫君、大変お待たせ致しました」

騎士団長は汗を拭いながら、10人程度の騎士たちを連れて来た。

「独身の騎士は他にもいるのでありますが、交代勤務や遠方勤務に行っているものなどがおりまして。今日とりあえず集められたのはこれだけなのですが、よろしいでしょうか?」

姫君はざっと騎士たちを見回して言った。

「おお~、むさい奴らが揃いも揃ったな。ハハハハハ。良い良い、数としては丁度良いわ。我が半分相手をするから、もう半分はイグナス、お前が相手を致せ」

「御意」

姫君と俺は、5人ずつ剣の試合をすることになった。

俺は姫君に相応しいと思えない男たちを容赦なく負かして行った。

だが、ひとり手強い相手がいた。

この騎士団の副団長をしているアーロン殿だ。
確か、歳は俺と同じ二十歳だったか。見目も良く、出自も伯爵位。性格も温厚誠実と聞く。
剣の腕は、俺とほぼ互角といったところか……。

俺はこの男なら、姫君の婿殿に相応しいと判断して、アーロン殿に敗北した。

一方、姫君の方は、全ての騎士たちを負かして試合を終えていた。



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